More Related Content
More from Ryuichi Ueda (20)
PythonとJupyter Notebookを利用した教科書「詳解確率ロボティクス」の企画と執筆
- 4. 確率ロボティクスの学習は大変
• ロボットを動かさないと必要性を実感できない
• しかし、動かす機会が少ない
• 動かすには準備とメンテナンス、公道利用の許諾などが必要
• シミュレータもバージョンアップ地獄
• 必要な知識が多い
• 制御、ベイズ統計学、情報理論、信号処理、画像処理、
プログラミング言語、ミドルウェア、クラウド・・・
• ハードを作る場合はさらに
学習するだけでも準備が
大変な上に敷居が高い 公道や通行人のいる環境
で実験できるのは年数回
2020/5/20 11:00 第64回システム制御情報学会研究発表講演会(SCI'20) 4
- 5. どうすれば敷居が下がるのか
• 千葉工大で講義を持ったときに考え出す
• 2015年~
• 個人的な状況
• 研究者復帰までサラリーマン経験
• 「シェル芸」というシェルワンライナー普及活動
• 大学とは全く異なる方法での活動
• オープンソース文化に触れる
• オープンソース文化
• ソフトがタダで使えるという単純な話ではない
• (いろいろ書くことがあるが)一言でいうと、
「知識と道具は上から授けるものではなくシェアするもの」
2020/5/20 11:00 第64回システム制御情報学会研究発表講演会(SCI'20) 5
最近のシェル芸界隈の事件
- 6. 先行事例: Atsushi Sakaiさんのブログ
• 次の3つが簡潔に掲載されておりとても分かりやすい
• サンプルコード
• コードを動かしたシミュレーションの動画
• 解説
• 発表者もサラリーマン生活で
完全忘却していたのでお世話に
• 硬い教科書よりも入り口として有効
• 「知識のシェア」
• 大学にいたままだと素直にそう思えなかったかも
2020/5/20 11:00 第64回システム制御情報学会研究発表講演会(SCI'20) 6
講義に取り入れたい
- 7. Jupyter Notebook + GitHub の利用(2017年)
• Jupyter Notebookで講義資料作成
• Pythonでアルゴリズムを記述
• 3要素(解説・コード・デモ)を配置
• GitHubに作りながら公開
• さっさと世に出す・隠さない
• 次のような流れを90分で繰り返す
1. ノートの資料を読んで解説
2. コードを動かして見せる
3. コードを書いてもらう
2020/5/20 11:00 第64回システム制御情報学会研究発表講演会(SCI'20) 7
資料とコードを一体化 画像を出力
- 8. 講義の評価
• 評価
• 学生からはそこそこの評価
• 大学のFD委員会からも事例の紹介を依頼される
• 自己評価: あまり手応えなし
• ノートで講義はしにくい
• 手を動かしてもらうには時間が短すぎる
• 毎年同じ話をするのは非効率
• 講義の進め方がアドホックで方法論として弱い
2020/5/20 11:00 第64回システム制御情報学会研究発表講演会(SCI'20) 8
自宅で勉強して、講義でコードを書いてほしい
(つまり反転授業を目指す)
- 10. 書籍化
• 次のように改善すれば読むのが面倒にならない
• Jupyter Notebook: 動くコードを掲載
• ドキュメント: 説明の下に動くコードを抜粋して掲載
• オープンなテキストにするか書籍化するか
• これはプロに編集してもらったほうがいい
• かなりの作業量なので印税はほしい
• コードだけオープンに
• Twitterで打診
• 翌日講談社さんから連絡
2020/5/20 11:00 第64回システム制御情報学会研究発表講演会(SCI'20) 10
書籍の形式
- 11. できた書籍: 詳解確率ロボティクス
• 2019年10月出版
• 現在3刷
• 好評いただいております
• Amazonの評価
• ☆4.4 / 16件
• レビューのあるものはすべて☆5
(2020年5月20日現在)
2020/5/20 11:00 第64回システム制御情報学会研究発表講演会(SCI'20) 11
- 15. 苦労した点1:コードをどう掲載するか
• 一行一行が長い
• 二つ方法がある
• スクリーンショット: 解像度に問題
• 文字で渡して編集してもらう: 見た目が変わる
• 最終的にスクリーンショット方式で
• Macで高解像度のものを撮影
• サイズを揃えること、コードに
変更があるときの差し替えに苦労
• 文字の大きさはギリギリ
2020/5/20 11:00 第64回システム制御情報学会研究発表講演会(SCI'20) 15
コードと本文の字の大きさの違い(これはKindle版)
- 18. まとめ
• 詳解確率ロボティクス
• 書いたのは1年弱だが構想や試作に3年
• 簡単ではないですが、自身の経験が踏み台になることを希望
• あまり言わないようにしているが、「上から授ける」に猛烈に反発して執筆
• 自身のシェル芸を通じたコミュニティー活動の経験から
• 学会も元来、コミュニティーなのに(以下略)
• 講義というものを再定義したい
• Jupyter Notebookを用いた講義
• 講義で話ながら使う場合は、コードが少なくて済むなら有効
• 後期の講義に向け、ノートブックで問題を作る予定
2020/5/20 11:00 第64回システム制御情報学会研究発表講演会(SCI'20) 18