1. 国立国会図書館のILLサービス
ーこれまでとこれからー
2013年5月29日
第163回 ku-librarians勉強会
国立国会図書館関西館 服部 智

2. NDLのILLサービス
Ø 「NDLのILLサービス」の定義
Ø NDLのILLサービスの沿革
Ø サービスの概要（遠隔複写・図書館間貸出）
Ø サービスの現状と課題

3. 「NDLのILLサービス」の定義
Ø 遠隔複写、図書館間貸出（、図書館送信）
※前提となる制度が「登録利用者制度」と、「図書館間貸出制度」
Ø ILL（Interlibrary Loan）は語義としては資料貸借のみ
を指しますが、ここでは複写を含む文献提供サービ
スとしてこの語を用います
Ø 一般的には「相互貸借」の名称のとおり、双方向的
なサービス。しかしNDLの場合は、リクエストに応え
るのみの単方向サービス

4. サービスの概要
○サービス体制
Ø 関西館：文献提供課 複写貸出係
→遠隔サービス（ILL）の窓口(東京・関西)
→関西館資料の複写・郵送貸出
Ø 東京本館：複写課 遠隔複写係
→東京資料の遠隔複写
図書館資料整備課 図書資料係
→東京資料の貸出
Ø 国際子ども図書館：資料情報課 情報サービス係
→子ども図書館資料の利用提供

5. サービスの概要(遠隔複写)
Ø NDL-OPACからの申込み
→ ①各所蔵館ごとに申込書が出力される
Ø 郵送用資料複写申込書による申込み
→ ①’申込みを電子化（基盤システムに代行入力）
＊申込書の記述そのままでは代行入力できない場合は、まず所蔵調査
②申込みが入った資料を出納
③申込書を基に複写箇所を特定
④複写作業・検品・梱包・発送

6. サービスの概要(図書館間貸出)
Ø NDL-OPACからの申込み
→ ①各所蔵場所ごとに申込書が出力される
Ø 貸出資料申込書による申込み
→ ①’申込みを電子化（基盤システムに代行入力）
＊申込書の記述そのままでは代行入力できない場合は、まず所蔵調査
②申込みが入った資料を出納
③資料が館外貸出可能か確認
④梱包・発送

7. サービスの概要(国際複写・貸出)
《受理手順》
（１）FAX・郵送による申込みは、申込み1件ごとに受理簿に記録
（２）申込みを電子化（基盤システムに代行入力）
（３）〔入力完了〕 →受理簿にチェックし、以後申込完了までシステムで管理
〔入力できず〕→職員に申込書が戻される →（４）
（４）返戻理由によって申込内容を確認、場合によっては申込者に確認する
〔特定完了〕 →（２）
〔特定できず〕→受理簿に記録して謝絶

8. NDLの海外ILL etc...
Ø 2010年11月からNDLが作成した書誌データがOCLC WorldCatに搭載開始
→書誌情報にOCLC番号と、このデータから確認したと思われるISBN/ISSN
番号を記載した申込みが多数来るように
課題：NDL-OPACからの申込みは現状、日本語版のみ
Ø 料金支払い方法の問題
Ø NDL-OPAC経由でなければ、申込方法はFAX・郵送のみ
→ill-sec@ndl.go.jpに申込みを送ってくる場合、NDL未所蔵のケースが
しばしば。その場合、レファレンスフォームに誘導。国内機関の所蔵を案内
Ø 窓口の問題。「日本に資料があるらしい」という情報からどうアクセスしてくるのか
Ø 素朴な疑問：欧文会議録に海外機関から複写申込み多数。なぜ？

9. サービスの現状と課題
《電子ジャーナル（EJ）の遠隔複写サービス》
Ø 2011年4月からEJの遠隔複写サービス開始
Ø 2012年からNDL-OPACに書誌投入
→機関からのEJ申込みに対する謝絶が増加
※EJのプリントアウト提供は、ベンダーとの契約上、国内在住の個人からの
申込みのみ
→NDL-OPACから申し込む際に、選択している書誌がEJであるとわかりにくい
Ø 洋雑誌の購読を打ち切りEJでそれ以降及び欠号部分の巻号をカバーするという
場合、機関経由ではカバーされている部分は利用できなくなってしまう
Ø 現状、EJはNDL-OPACの書誌更新頻度が低いことも利用上問題になる

10. サービスの現状と課題
《デジタル化資料のプリントアウト》
Ø NDLのデジタル化は「デジタル画像化」。
複写申込に対する箇所特定に冊子体資料の時よりも人的・時間的コストがかかる
Ø デジタル化資料のメタデータ整備も十分とは言い難い状況
一般にデジタルデータに期待されるメリット（検索性の向上とそれに伴って文献ま
で到達する時間の短縮）があまり感じられない
→プリントアウトしての利用を第一前提としていない、という問題
Ø 図書については、原資料の目次のとおりにしかインデックスを作っていないものも
あるので、一枚一枚見ていくしかないことも
→この場合、キーワード検索もできない
Ø 資料保存と利用提供のジレンマ

11. NDLのILLサービスのこれから
Ø ILLサービスは文献提供のための手段の一つ
Ø より使いやすいツールになるには

12. 問い合わせ先
Ø 遠隔複写・図書館間貸出に関する全般的問い合わせ
Ø 登録利用者制度・図書館間貸出制度に関する問い合わせ
関西館 文献提供課 複写貸出係
Tel: 0774-98-1313
（関西館開館日の10時～18時）