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Lilien, G.L. & Rangaswamy, A. (2004) Marketing Engineering: Chapter 1-2
- 4. マーケティングエンジニアリングとは?
意思決定の方法
■メンタルモデル を使う = コンセプショナルマーケティング
メンタルモデルとは、人が外界の物事に対し見通しをつけるため、直感、推理、
経験等を基に「これはこういうものだろう」と思考するプロセスを表現したもの。
例)経験的に広告/セールス比を〇〇%と決定。
■決定モデル+コンピュータ = マーケティングエンジニアリング(ME)
マーケティング決定モデルとは、特定のアクションについて意思決定を行うため、
複雑なマーケティング現象の一部を単純化し表示するモデル。
例)広告量の違いによって市場がどう反応するか、Excel等のソフトでシ
ミュレーションを行い、セールスや利益が最大になるポイントを探る。
マーケティングマネジメント:
顧客と市場を理解し、その知見を意思決定とアクションに組み込み
望ましい交換(マーケティング)を行うこと。
[参考: http://kotobank.jp/]
4
- 8. 言語モデル:言葉で説明 → 理解しやすい
図解モデル:図形・チャート等 → 関係性がわかりやすい
数理モデル:数式で表現 → 度合がわかる
決定モデルの分類① - 表現方法 -
通常新製品が投入された直後の売上は穏やかである。はじめにイノベータと呼ばれる少数に
受け入れられるため。しかし彼らはイミテータと呼ばれる後追いの人々の購入に影響をあたえ、
セールスは加速する。大部分の人々が購入した段階になると、売上の伸び率は下がる。
人口
イノベータ
イミテータ
購入影響
売上累計
時間
マーケット
ポテンシャル
𝑥 𝑡 = 時点𝑡における購入者数
𝑁 = 総人口
𝑎, 𝑏 = パラメータ
𝑑𝑥𝑡
𝑑 𝑡
= (𝑎 + 𝑏𝑥 𝑡)(𝑁 − 𝑥 𝑡)
8
- 9. 決定モデルの分類② - 課題のタイプ -
記述的(予想)モデル:もしアクションAを実行したらどうなるか?
→ 様々なシナリオをシミュレーションし起こりうる現象を診断
例)新フレーバーを投入したらブランドとしてのセールスはアップするか?
規範的モデル:(与えられた状況下で)最適なアクションはどれか?
→ 何かしらの制限が存在。
・選択肢が少ない場合はケーススタディ等
・選択肢が多い場合は数学的な方法
例)デジタルサイネージ自販機を設置する最適なロケーションは?
ハイブリッドモデル:記述的+規範的
例)新パッケージ導入におけるコンジョイント分析
・ 新パッケージ製品の効用は既存品より高いか?
・ サイズ/価格/同じ棚に置く他製品のベストな組み合わせは?
9
- 15. 市場反応モデル - シンプルな例 -
広告・売上モデル:広告量を増やすと売上が増加する
𝒀 = 𝒂 + 𝒃𝒃
パラメータの値を入れたモデル:
𝒀 = 𝟐𝟐𝟐𝟐𝟐 + 𝟒𝑿
・XとYは正の関係性:広告量を1上げるとセールスは4増加。
・広告を行わなくても(X=0)、ベースのセールスが23000存在。
従属変数(セールス) パラメータ 独立変数(広告量)
y = 23000 + 4x
22990
23000
23010
23020
23030
23040
23050
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
Y(売上)
X(広告量)
α=23000
1
Δy/Δx = b = 4
15
- 18. 市場反応モデルの形式
① Linear model (線形モデル)
𝒀 = 𝒂 + 𝒃𝒃
☻ シンプル。よく使用される。
☻ Xのレンジを絞れば、現象P4、P7、P8も再現可能。
☹ リターンが一定(ΔY/ΔX=b)。上限がない。
P1 ○ P2 ○
P3 × P4 △
P5 × P6 ×
P7 △ P8 △
② Power series model (多項式モデル)
𝒀 = 𝒂 + 𝒃𝒃 + 𝒄𝒄 𝟐 + 𝒅𝑿 𝟑 + ⋯
☻ 多くの現象(リターンが一定でない場合も)を表現可能。
☹ シリーズが多くなるにつれ、フィット具合が悪くなる。
(i.e. パラメータの推測が困難になる)
P1 ○ P2 ○
P3 ○ P4 ×
P5 ○ P6 ○
P7 × P8 ○
18
- 19. 市場反応モデルの形式
③ Fractional root model (フラクショナル・ルートモデル)
𝒀 = 𝒂 + 𝒃𝑿 𝒄
☻ シンプルで、パラメータ「c」の指定する事により柔軟性が出る。
c=1: 𝑎 + 𝑏𝑋1 = 𝑎 + 𝑏𝑏. Linear modelとなる。
c=0.5: 𝑎 + 𝑏𝑋0.5 = 𝑎 + 𝑏 𝑋
Square root modelとなり、P3、P5が再現可能
c=-1: 𝑎 + 𝑏𝑋−1 = 𝑎 + 𝑏1
𝑋
Reciprocal modelとなり、P4が再現可能
P1 ○ P2 ○
P3 ○ P4 ○
P5 ○ P6 ×
P7 × P8 ×
④ Semilog model (セミログモデル)
𝒀 = 𝒂 + 𝒃 𝐥𝐥(𝑿)
P1 × P2 ×
P3 ○ P4 ×
P5 × P6 ×
P7 ○ P8 ×
☻ 現象P7(しきい値)が再現できる。
☻ Xの変化率が一定の場合、Yの変化量が一定。
19
- 20. 市場反応モデルの形式
⑤ Exponential model (指数モデル)
𝒀 = 𝒂 + 𝒆 𝒃𝒃 where X > 0,
☻ パラメータ「𝑏」が正か負で色々な現象が表現可能 P1 × P2 ×
P3 × P4 ○
P5 ○ P6 ×
P7 × P8 ×
+𝑏
現象P5:リターンの増加
−𝑏
価格反応モデルとしてポピュラー
X
Y
X
Y
下限値をゼロとしたP4現象
⑥ Modified exponential model (修正指数モデル)
𝒀 = 𝒂 𝟏 − 𝒆−𝒃𝒃 + 𝒄
☻ 現象P3:リターンの減少と、上限(P4現象)も表現可能に
現象P3:リターンの減少
販売努力への反応モデルとして使われる事が多
い
上限 = 𝑐 + 𝑎
下限 = 𝑐
X
Y
P1 ○ P2 ×
P3 ○ P4 ○
P5 × P6 ×
P7 × P8 ×
20
- 21. 市場反応モデルの形式
⑦ Logistic model (ロジスティックモデル)
𝒀 =
𝒂
𝟏 + 𝒆−(𝒃+𝒄𝒄)
+ 𝒅
☻ 「Sシェイプ」を再現するモデルで最もポピュラー P1 × P2 ×
P3 × P4 ○
P5 × P6 ○
P7 × P8 ×
現象P6:Sシェイプ
上限 = 𝑎 + 𝑑
𝑑 + 𝑎/2あたりでシンメトリー
X
Y
⑧ Gompertz model (ゴンペルツモデル)
𝒀 = 𝒂𝒃 𝒄𝒄 + 𝒅, 𝒂 > 𝟎, 𝟏 > 𝒃, 𝒄 < 𝟏
☹ パラメータの推定が困難。
☹ ロジスティックモデルの方がよく使用されている。
P1 ○ P2 ×
P3 × P4 ○
P5 × P6 ○
P7 × P8 ×21
- 22. 市場反応モデルの形式
⑨ ADBUDG model (アドバッジモデル)
𝒀 = 𝒃 + (𝒂 − 𝒃)
𝑿 𝒄
𝒅 + 𝑿 𝒄
☻ 広告反応モデルでよく使われる
c>1: 「Sシェイプ」を再現
0<c<1: Concave(リターンの減少)を再現
上限値 = 𝑎
下限値 = 𝑏
P1 ○ P2 ×
P3 ○ P4 ○
P5 × P6 ○
P7 × P8 ×
22
- 24. パラメータの推定
0
5
10
15
20
25
30
35
40
0 2 4 6 8 10 12 14
Y実測値
Y予測値
y = 2.1488x + 5.3333
R² = 0.9578
モデルのあてはまり度合を示す指標:決定係数(または寄与率)
𝑅2 = 1 −
∑ (𝑌𝑖−𝑌�𝑖)2𝑛
𝑖=1
∑ (𝑌𝑖 − 𝑌�)2𝑛
𝑖=1
𝑅2
= 1 : 完璧なモデル
𝑅2 = 0 : 𝑌を推測するのに平均値を使ったのと同じレベル (∑ (𝑌𝑖−𝑌�𝑖)2𝑛
𝑖=1 = ∑ (𝑌𝑖 − 𝑌�)2𝑛
𝑖=1 )
𝑅2 ≤ 0 : モデルを構築する意味がない程出来の悪いモデル
24
- 25. マーケティングアクションの評価方法
■オブジェクティブが利益の場合
関連原価 = 固定費用 + 意思決定により変動するコスト (例: 販売インセンティブ)
→ 利益の評価は関連原価を考慮するべきである。
→ 将来うけとるキャッシュフローは、現在価値に換算するべきである。
→ 通常ディスカウント率は、国債の利子率を使う。
→ リスクプレミアム(リスクを取る対価)やWACC(債権者や株主に払う利子)
も考慮すべきである。
25
短期利益 = 商品価格 − 変動コスト ・販売数 − 関連原価
長期利益 = 𝑍0 + 𝑍1 + 𝑍2 + 𝑍3 + ⋯ 𝑍𝑡は期間𝑡の利益
現在価値(長期利益) = 𝑍0 + 𝑍1 𝑟 + 𝑍2 𝑟2 + 𝑍3 𝑟3 + ⋯
𝑟は1/(1 + 𝑑), 𝑑はディスカウント率
- 30. 市場反応モデル:競合の影響
・製品クラス全体のセールスモデル(V) ( e.g. 人口、総広告量等で構築)
・マーケットシェアモデル(M) (= 競合からの影響)
を別々に構築し、最終的にブランドセールス(Y)をモデル化する。
・ 𝐴𝑖もまた魅力度モデルを構築し推測される。
30
𝑌 = 𝑀 × 𝑉
𝑀𝑖 =
𝐴𝑖
𝐴1 + 𝐴2 + ⋯ + 𝐴 𝑛
𝑀𝑖=企業𝑖のマーケットシェア、𝐴𝑖=ブランド𝑖の魅力度