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Nashモデル動物作製
- 3. NASH病態ラット作製
• 動物; Obese (fa/fa) Zucker rats (♂;n=16)
• 特殊飼料; High-fat and-cholesterol diet (HFC diet; 8wks)
Metabolic Parameters Control HFC
Liver weight (g) 13.3 ± 0.5 53.2 ± 0.5 *
Plasma Glucose (mmol/L) 5.6 ± 0.3 8.2 ± 0.5 *
Plasma Insulin (ng/mL) 8.4 ± 0.9 9 ± 0.5
Plasma total cholesterol (mg/dL) 128 ± 1.5 1360 ± 74 *
Plasma ALT (U/L) 71.3 ± 8.5 138 ± 7.7 *
Serum NEFAs (mEq/L) 1.15 ± 0.19 1.77 ± 0.11 *
Hepatic triglycerides (g/liver) 65.7 ± 5.2 170 ± 14 *
Antioxidant enzymes
GSH (nmol/mg protein) 61 ± 5.5 42 ± 5 *
SOD (U/mg protein) 96 ± 10 54 ± 7.1 *
GPx (U/mg protein) 604 ± 20 356 ± 43 *
Catalase (U/mg protein) 5956 ± 278 1381 ± 141 *
Lipid peroxidation (TBARS)
Liver (nmol/mg protein) 0.6 ± 0.1 1.56 ± 0.3 *
Erythrocyte (nmol/g hemoglobin) 15.3 ± 2.7 30.6 ± 5.2 *
* P < 0.05 for HFC diet-induced rats vs control diet-induced rats.
Steatosis (%) 1.8 ± 1.3 88.7± 8.1*
Activity (inflammation) 0.4 ± 0.2 5.5 ± 0.5*
Stage (fibrosis)
Histological diagnosis steatohepatitisnormal
Control HFC
0 3*
* P < 0.01 for HFC diet-induced rats vs control diet-induced rats.
インスリン
抵抗性
高血糖
高脂血症
酸化ストレス
脂質過酸化
two hits theory 成立広範囲な線維化(架橋形成)脂肪変性および炎症細胞の浸潤
Editor's Notes
- メタボリックパラメーターにおいて、肝重量の上昇、さらには高血糖、高脂血症を呈する数値が認められました。
肝臓の抗酸化酵素群については、全てで顕著な減少が認められ、肝に酸化ストレスが誘導されていることが考えられます。
また肝臓と赤血球の脂質過酸化を測定したところ、上昇していることから脂質過酸化反応の誘導も認められました。
以上から、NASHの定義である“two hits theory”が成立したと考えます。
病理組織についてですが、HEでは肝細胞において顕著な脂肪変性、さらには小葉および血管周囲における炎症細胞の浸潤が認められました。
マッソンにおいては、肝組織全体に及ぶ、つまり架橋形成を伴う線維化が認められたことから、このNASHは非常にグレードの高いNASHであることが分かりました。
以上の結果から、本モデルは脂肪性肝炎と診断できました。
- そのNASHモデルの肝臓を用いて、FA合成調節関連遺伝子の発現量を測定しました。
以下の模式図は、AdipoRとIRSを基点としたFA合成機序のカスケードです。これに沿って説明していきますと、
まずAdipoRの減少が認められ、次にAMPKの減少も認められました。このことからAMPKのFA合成抑制作用が減退されたことが考えられます。
次にIRSですが、IRS-1の上昇およびIRS-2の減少が認められました。さらにはSREBP-1cの上昇が認められたことから、FA合成が亢進していると考えられ、
実際に、アセチルおよびマロニルCoA関連遺伝子は上昇しました。
まとめますと、・・・・。
さらに近年、SREBP-1cの上昇はIRS-2をサプレッシングすることが明らかとなり、本研究結果もそれに適用できると考えています。
しかしながら、IRS-1が上昇した理由は不明ですが、実際にSREBP-1cの上昇が認められていることから、IRS-2の減退をIRS-1が補っている、
つまり、IRS-1とIRS-2は補完的関係性を持つ可能性が考えられます。
- 次に、FA酸化についてです。
先程と同様、IRS-1の上昇およびIRS-2の減少が認められました。通常FAのβ酸化をするFoxa2はIRSによって抑制されていますが、本研究では上昇しました。つまりFoxa2の調節はIRS-2に依存していることが考えられます。そしてFoxa2の上昇によってUCP-2も上昇し、ミトにおけるFA酸化は上昇したことが考えられました。
次にFA酸化をつかさどるAdipoR2についてですが、減少しています。よってFAの酸化を亢進するPPARαも減少しました。しかしながら、ペルやミクロにおけるFA酸化関連遺伝子は上昇しました。この理由は、先程も説明させて頂きましたが、本モデルでは顕著なFAの蓄積が認められております。ペルおよびミクロの遺伝子は、肝細胞に顕著なFAが蓄積したとき、ミトの代償的に働くことが明らかになっています。本研究結果では、それが適用したと考えています。
まとめますと、・・・・。
- 総括です。
AdipoR共に減少したことで、AMPKのFA合成抑制作用、PPARαのFA酸化亢進作用が惹起されました。
またIRS-1の上昇によって、SREBP-1cを上昇させ、FA合成作用を亢進させました。
最後にIRS-2の減少は、ネガティブフィードを示すFoxa2を上昇させ、FA酸化作用を亢進させました。
以上から、・・・・。
今後は、本モデルのクオリティーを上げる目的として、IRSに着目した実験系を確立していき、また肝臓・骨格筋・脂肪組織を含めた糖代謝の実験系にも力を入れていく予定であります。