「祝祭」から学習論を問い直す
- 2. 発表概要
• 導⼊入
– なぜ「祝祭」を選んだのか?
– 「祝祭論論」が語れること
• 祝祭論論
– 古典としての「祝祭論論」
– 現代としての「都市祝祭論論」
• まとめと考察
– 学びと祝祭の関係を捉える
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- 5. 「祝祭論論」で語れること
⽇日常 ⾮非⽇日常
(ケ) (ハレ)
学校 学校外
(いわゆる授業) (ワークショップ)
企業 企業外
(いわゆる仕事・研修)
(イベント)
Learning 1.0 〜~ Learning 4.0
Learning5.0 (⽇日常と⾮非⽇日常のどちらをも包含したかたちでの理理論論)
「ハレの場のデザイン」に関する理理論論化を
あなたは結局
「ハレのデザイン」をしたいのか、それとも「ケ」のデザインをしたい
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のか?
- 7. 祝祭の「古典」を学ぶ
• デュルケム(1858 – 1917)
– フランスの社会学者
– 「聖」と「俗」という絶対的な⼆二元論論的対⽴立立の上に、社会
⽣生活の実態をみようとした
• 2つの形相
– 俗なるもの(⽇日常の期間:「ケ」)
• 経済的活動が⽣生活の中⼼心
• 変化に乏しい、凡庸な⽣生活
• 家族や⼩小集団など分散して⽣生活
– 聖なるもの(⾮非⽇日常の期間:「ハレ」)
• 宗教的祭儀が⽣生活の全体
• 特定の場所に参集し、集結し、凝集
• ⼈人々の間の異異常なまでの激情と熱狂
• 「集合的沸騰」
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- 8. 儀礼の持つ意味
• 宗教的「儀礼」
– 「聖なるもの」「俗なるもの」は絶対的なものでは
ない。儀礼を通じて、区分が作り出され、確定され、
確認される
• 集合的沸騰の効果
– 集合的沸騰における儀礼の体験を通じてのみ社会集
団は周期的に作り出され、確定され、確認される
– 強烈烈な⼀一体感を得ることができる
• 「創造的沸騰」
– 儀礼は社会の理理想が確認され、承認される場だけで
はなく、それが⽣生成され、創造される場でもある。
例例)ルネッサンスや社会主義運動
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- 9. 通過儀礼論論
• ファン・ヘネップ(フランス 1873-1957)
– 「通過儀礼論論」
• 年年齢、⾝身分、場所、状態などが、ある世界から別の世界へと
移⾏行行する際の節⽬目に⾏行行われる儀礼
– 俗なる世界と区別される神聖な世界との境⽬目に、超
⾃自然的な禁制を犯すことなく超えたり、通過したり
できない境界がある
• ターナー(イギリス 1920-1983)
– ヘネップの議論論を援⽤用
– 通過儀礼
• 分離離段階:⽇日常から⾮非⽇日常へ
• 過渡段階(ここに注⽬目)
• 統合段階:⾮非⽇日常から⽇日常へ
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- 10. リミナリティ(境界性)
• リミナリティ(過渡期の状態)
– 曖昧で無所属な状態。⾝身分や階級、職業や財産、家
系や所属などもろもろの社会的属性から解放
• コミュニタス
– 社会構造が未分化で全ての成員が平等な共同体
– ⾮非⽇日常的な社会状態
– 「反構造」の様式(構造(⽇日常)との対⽴立立)
– 地位や役割などが体系化されていない
– 「反構造」の様式が、構造への強⼒力力なアンチテーゼ
として構造をゆるがし体系をゆさぶる
– ⽇日常をゆさぶることで、⼈人々は社会的⾃自⼰己を振り返
り、集団としての⾃自らのあり⽅方に思いをめぐらせる
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- 11. 古典まとめ
• 儀礼は2項対⽴立立的に捉えられる
– 俗なるものと聖なるもの
• 儀礼の特徴
– 熱狂、曖昧な存在、フラットな関係、構造がない
• 儀礼の作⽤用
– 境界をつくりだす
• 社会集団の境界
• ⽇日常と⾮非⽇日常の境界
– 社会構造を外側から問い直す・壊す
• ⽇日常の問い直し、アンチテーゼ
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- 14. 現代の「都市祝祭論論」
松平(1990)
• 「祝祭」の定義
– ⽇日常⽣生活の反転、それからの脱却と変⾝身によって、
⽇日常的な現実を客観化・対象化し、それによって
感性の世界を復復活させ、社会的な共感を⽣生み出す
共同⾏行行為
• 現代の「祝祭」を考える
– 現代 = 社会解体期(脱産業化社会へ)
– 価値観の転換期に起こる(平安時代にもあった)
• ⽣生産中⼼心主義の禁欲的な倫倫理理観念念
• コンサマトリー(⾃自⼰己充⾜足的)な価値を追求する、
「楽しみ」を視野に⼊入れた⽣生活
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- 15. ⽇日本の都市祝祭の分類
• 時間的集約的祝祭
– 閉鎖系(社会安定期)
• 伝統型
– いわゆる祭り
• 管理理志向型(A)
– 同じ企業の⼈人たちでやるスポーツ・フェアなど
– 選べない縁で結ばれた祝祭(by 上野千鶴⼦子)
– 開放系(社会不不安定期)
• 合衆型
– 現代型の祭り(次に詳しく)
• 管理理志向型(B)
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- 16. 合衆型祝祭とは?
• 合衆型祝祭
– 不不特定多数の⼈人々が、⾃自分たちの⾃自由意思で選択し、さまざま
な縁につながって、ごく⼀一時的に結びつく、きわめて開放的な
祝祭(終わったら解散する)
– ※野⽕火的活動・ノットワーキング(エンゲストローム)
• イメージは似ているけどちょっと違う。祭りはもっと無⽬目的的。
• 特徴
– 「無⽬目的志向」と「楽しみ(遊び)」
• 社会統合の強化という、きわめて⽬目的指向的な祝祭は存在しない。そこ
にあるのは、個⼈人が⾃自由な選択をとおして獲得する共同中での「楽し
み」であり、それによる⾃自⼰己充⾜足である。
• 出現の条件
– 社会統合の解体が顕著になり、社会集団の枠組みが乱れていな
がら、いまだ新しい社会の枠組みが形をなしていない社会秩序
未成熟の時期に限定され、しかも都市の中あるいは都市を核と
した⼤大衆的な祝祭
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- 17. 現代まとめ
• 現代の都市にも祝祭が⾒見見て取れる
– ⾮非⽇日常による⽇日常の相対化
• 「祝祭」の種類は時代によって異異なる
– 社会解体期 = 合衆型祝祭
– ⾮非⽬目的的、楽しみ
• 「祝祭」の種類は⼤大事
– だれがきて、⽬目的はなんなのか?
– ワークショップの分類への応⽤用可能性
• 組織内でWSと外でやるWSは別物ではないか
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- 19. ハレとケとケガレ
3.転
ケ(1.起)
ケガレ(2.承)
ハレ軸
4.結合
薗⽥田(1990)
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- 20. 「祭り」と「遊び」
• 祭りの世界と遊びの世界はきわめて近い(薗⽥田
1990)
• ホイジンガ(1872 – 1945)
– 遊びは⾃自由な⾏行行為であり、「ほんとのことではない」とし
てありきたりの⽣生活の埒外にあると考えられる。
– にもかかわらず、それは遊ぶ⼈人を完全にとりこにするが、
だからと⾔言って何か物質的利利益と結びつくわけでは全くな
く、また他⾯面、何らかの効⽤用を織り込まれているのでもな
い。
– それは進んで限定した時間と空間の中で遂⾏行行され、⼀一定の
法則に従って秩序正しく進⾏行行し、しかも協同的規範を作り
出す。
– それは⾃自らを好んで秘密で取り囲み、あるいは仮想をもっ
てありきたりの世界とは別のものであることを強調する。
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- 22. まとめと考察(1)
• 祝祭論論の有効性
– 「⽇日常(組織内)」と「⾮非⽇日常(組織外)」を考
える上で⾮非常に有効な枠組み
– 2つは同時に検討する必要がある
– ⽭矛盾した価値観が併置され緊張状態にあることに
意味があるのではないか
• 祭りは時代によって意味が異異なる
– 社会安定期の祭り(組織が強い)
• 決められたメンバー、⽬目的指向的
– 社会解体期の祭り(個への回帰)
• 不不特定多数のメンバー、それ⾃自体を楽しむ
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- 23. まとめと考察(2)
• 祭りの持つ効果
– コミュニティ(境界)を作る作⽤用を持つ
– 「体制を強化する」ということにも⽤用いられる
– 強い⼀一体感を感じられる
– ⽇日常の問い直し、既存の価値観に対するアンチ
テーゼ(⾰革命へ通ずる発想)
– ⾏行行為⾃自体に⽬目的がなくても、⽇日常との対⽐比で意味
が⾒見見いだされる
• 祭りの構成要素
– フラット、⾮非構造、無⽬目的、遊び
– ワークショップの構成要素とも似ている?
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- 24. 議論論したい点
• あなたはつまるところ「ハレ」と「ケ」どちらの場を
デザインしたいのか?
– 正⽉月料料理理を⽇日常へ(ハレ → ケ)
– より楽しい、新しい正⽉月の演出(ハレ)
• 「祝祭」を「⽇日常」的な価値観で捉える意味はない?
– ワークショップの評価は答える必要のない問い?
• 時代によって「祭り」の意味は変わる
– いまは明らかに社会解体時の祭り
– 限定的に出現するらしいがいつまで?
• 祝祭論論を学ぶことで、これまでの「越境論論」などにど
ういう視点を加えることができるのか?
• EnCampは合衆的祝祭か?
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