生成AI時代の創作のあり方について述べます。

1. これからの創作のあり方
〜「情報」の本質〜
2023-11-23
ktabata

2. 文字の起源
• アルファベットの成立
• B.C. 3200 …… ヒエログリフ
• B.C. 2000 …… フェニキア文字
• B.C. 900 …… ギリシア文字
• B.C. 300 …… ラテン文字
• 参考
• B.C. 1300 …… 甲骨文字（漢字）
• A.D. 600 …… 万葉仮名
• A.D. 800 …… カタカナ
’aleph (牛) の遷移
ヒエログリフ
原カナン文字
フェニキア文字
Α ギリシア文字

3. 情報の記録
• 人類はいくつかの形態で情報を残してきた
• 最初は口頭で伝承していた（たとえば地名）
• だんだん石板や粘土へ（つまり石）
• これは取り扱いが大がかり
• そのあと紙へ（これは木＝有機物）
• 火事や劣化には弱い
• 書き写しすれば1000年以上情報を保てる
• 次にハードディスクへ（これは金属＋磁気）
• 現在はSSDなどの半導体（これはシリコン）
• 紙の本の時代が長く、紙や本という有機物に価値を見いだしてきた
• 本当の価値は、紙ではなく、情報そのものにある

4. 通信の獲得
• 1830年頃 …… モールス信号など
• 1890年 …… 東京-横浜間の電話
• 1995年 …… インターネット
• 通信の獲得以前は、手の届く範囲でしか情報をコピーできな
かった
• 通信の獲得以後は、手の届かない範囲でも情報をコピーできる
ようになった
• 情報の伝達そのものより、情報がコピーされる点が重要

5. 検索技術
• A.D. 1995 以降、Webに大量の情報が作り出された
• 最初は「ディレクトリ」によって手作業で整理された
• ディレクトリとは電話帳のこと
• Yahoo! ディレクトリが主要なサービスだった
• A.D. 2000、Google検索のサービス開始
• Googleのミッションは「情報を整理して利用可能にすること」
• 21世紀、情報の整理と利用が始まった

6. 生成AI
• ニューラルネットワーク
• 情報の特徴をパラメータとして学習し、推論に利用できる
• 最初は画像認識で利用された
• 敵対的生成ネットワーク
• 生成と識別で2つのニューラルネットワークを使うアイディア
• 拡散モデル
• 元データに徐々にノイズを加えたものを、逆から辿って学習するアイディア
• 生成AI
• 文章から画像を生成（画像生成モデル）
• 文章から文章を生成する（大規模言語モデル）
• 生成とはいいながら、情報を整理して利用している段階
• ＝本当に新しい情報は生まれていない

7. 情報の創造
• 本当に新しい情報とは？
• 遺伝子で考える
• 遺伝子のコピーのミスで変異が生じる
• 変異が生存上有意義なものであれば後の世代に残る確率が高まる
• 「意味をなす誤り」が新しい情報の一種
• 薬で考える
• ある薬品がたまたま病気を治すことが発見される
• 「発見」が新しい情報の一種
• 創作物で考える
• 誰も試したことのないスタイルが受け入れられれば新しい創作となる
• 「スタイル」が新しい情報の一種
• 人間は創作物で情報を創造しているが、コンピュータにはまだできない

8. 創作物の価値
• 現在の生成AIでは情報を整理して利用することしかできない
• たとえば画像生成
• 過去に流行した絵の特徴しか再現できない
• 創作物は明らかに人間にしか作り出せず、情報の価値が高い

9. これからの創作者のあり方
• 既存のスタイルは生成AIで模倣される
• 模倣を見越してスタイルを変えていく必要がある
• これはトップクラスの創作者にとって以前から変わらないこと
• 結論：スタイルを切り開くことが鍵

10. 情報の本質
• 遺伝子も情報
• Webも情報
• 創作物も情報
• 情報社会において、創作物は本質的に高い意味を有する！
• それが私がビジュアルノベルに取り組む意義