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実数pqrに対しC 𝑝𝑞𝑟 =
𝑝 𝑞 𝑟
𝑟 𝑝 𝑞
𝑞 𝑟 𝑝
とおく。この形の行列を旋回行列と呼ぶ。実3次正方行列Aについ
て以下の問に答えよ。
(1)Aが巡回行列であるためにはC010 𝐴 = 𝐴C010が必要十分であることを示せ。
(2)Aは正則行列とする。Aが巡回行列であるためには𝐴−1
が巡回行列となることが必要十分であるこ
とを示せ。
(3)A=C 𝑝𝑞𝑟が正則である時、𝐴−1=𝐶 𝑠𝑡𝑢と表せば(p+q+r)(s+t+u)=1が成り立つことを示せ。
実数pqrに対しC 𝑝𝑞𝑟 =
𝑝 𝑞 𝑟
𝑟 𝑝 𝑞
𝑞 𝑟 𝑝
とおく。この形の行列を旋回行列と呼ぶ。実3次正方行列Aについ
て以下の問に答えよ。
(1)Aが巡回行列であるためにはC010 𝐴 = 𝐴C010が必要十分であることを示せ。
証明
𝐴 =
𝑎 𝑏 𝑐
𝑐 𝑎 𝑏
𝑏 𝑐 𝑎
この時、C010A=
𝑐 𝑎 𝑏
𝑏 𝑐 𝑎
𝑎 𝑏 𝑐
逆も同様𝐴 =
𝑎 𝑏 𝑐
𝑑 𝑒 𝑓
𝑔 ℎ 𝑖
と置いて確かめれば良い
𝐴C010
=
𝑐 𝑎 𝑏
𝑏 𝑐 𝑎
𝑎 𝑏 𝑐
(2)Aは正則行列とする。Aが巡回行列であるためには𝐴−1
が巡回行列となることが必要十分であることを示せ。
証明
(1)によって
Aが巡回行列⇆C010 𝐴 = 𝐴C010 ⇆ C010 𝐴−1 = 𝐴−1C010⇆𝐴−1が巡回行列
(3)A=C 𝑝𝑞𝑟
が正則である時、𝐴−1
=𝐶 𝑠𝑡𝑢
と表せば(p+q+r)(s+t+u)=1が成り立つことを示せ。
証明
A𝐴−1=Iに注意して計算すれば出てくる。

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  • 2. 実数pqrに対しC 𝑝𝑞𝑟 = 𝑝 𝑞 𝑟 𝑟 𝑝 𝑞 𝑞 𝑟 𝑝 とおく。この形の行列を旋回行列と呼ぶ。実3次正方行列Aについ て以下の問に答えよ。 (1)Aが巡回行列であるためにはC010 𝐴 = 𝐴C010が必要十分であることを示せ。 証明 𝐴 = 𝑎 𝑏 𝑐 𝑐 𝑎 𝑏 𝑏 𝑐 𝑎 この時、C010A= 𝑐 𝑎 𝑏 𝑏 𝑐 𝑎 𝑎 𝑏 𝑐 逆も同様𝐴 = 𝑎 𝑏 𝑐 𝑑 𝑒 𝑓 𝑔 ℎ 𝑖 と置いて確かめれば良い 𝐴C010 = 𝑐 𝑎 𝑏 𝑏 𝑐 𝑎 𝑎 𝑏 𝑐 (2)Aは正則行列とする。Aが巡回行列であるためには𝐴−1 が巡回行列となることが必要十分であることを示せ。 証明 (1)によって Aが巡回行列⇆C010 𝐴 = 𝐴C010 ⇆ C010 𝐴−1 = 𝐴−1C010⇆𝐴−1が巡回行列 (3)A=C 𝑝𝑞𝑟 が正則である時、𝐴−1 =𝐶 𝑠𝑡𝑢 と表せば(p+q+r)(s+t+u)=1が成り立つことを示せ。 証明 A𝐴−1=Iに注意して計算すれば出てくる。