①記憶障害、②火の不始末、③トイレ、④判断力、⑤徘徊、⑥金銭問題、⑦妄想

1. 認知症
各症状とそれに応じた対策

2. 記憶障害
もの忘れ防止
持ち物は同じ袋・カゴに入れる。バラバラに置かず貴重品はまとめる。
携帯電話と同じ所に貴重品をつけておくことでなくした時に特定できるよう
にする。
キーファインダー・TLIE（遺失物の特定に使える道具）などのツールの活
用をする
TILEは、TiLE本体からは音でスマホからは地図上で場所を確認できる。スマ
ホをなくした時でもTiLEのボタンを押すとスマホから音が鳴り位置を知らせ
てくれる。3110円で電池寿命は1年ほど。
予定忘れ防止
軽度独居の人なら、アラームと同時に毎朝その日の予定が一言で表示さ
れるように設定してもよいかも。

3. 火の不始末
ガスコンロの火の不始末について
時々鍋を焦がす程度であれば「火の用心」を書いた紙を貼る。
それでも不始末がある時は外からガス栓を止めてガスを使えないように
するか、直火を使わない電磁調理器（IHクッキングヒーター）に換える。認
知症の人にとって新しい電化製品は使い方が分かりにくいので、できるだ
け操作が単純な物を選び、1人で使えるかどうか確認しておく必要がある。
火災報知器も設置する。
タバコ
無理にタバコをやめさせるのではなく家族の目の届くところでタバコを吸っ
てもらう。
灰皿は通常より大きな物にして水を張る、部屋の中に水の入ったバケツ
を置くなどもよい。仏壇の蝋燭は電燈式にする。

4. トイレ
使い方
水洗トイレの使い方が分からず、旧式便器（汲み取り式）を使ってい
た記憶だけが残っていて、便器に残っていると気になって処理しよう
と便器の中を手でかき回してしまうこともある。
水洗トイレの使い方を説明する時は、「終わったらこのレバーを押し
てください」と書いた紙を目につきやすいところに貼る。それでもうま
くいかない場合は、家族が後から水を流すか、自動水洗器を備える
のも手。便座から立ち上がると自動的に水が流れる便器。
場所
トイレの場所が分からず探している内に漏らしてしまう場合には、部
屋をトイレの近くに移すのもいい。「トイレ」と書いた紙を貼るのも手。

5. 失禁・排泄の記録を作り、トイレへの誘導回数・誘導時間・誘導時の排泄の有無
を確認してパターンを把握すること。1日3～4回、時間を決めてトイレに連れて行
くなどもよい。D-Freeという排泄予測デバイスが膀胱の大きさの変化を捉え排泄
のタイミングを知らせてくれる。販売価格4万9880円（税抜）。
安心パンツ
それでも尿失禁が続くようであれば、吸水量が多く通常の下着に近い安心パン
ツを使うとよい。これらは不快感が少なく拒まれる事が少ない。
失禁
便失禁は下痢のときに多い。下痢は体力の低下にもつながるので予防や早期
治療が大切。下痢が起こった時には止痢薬の服用も効果的。
大量に失禁してしまう場合は浣腸を行って半ば強制的に排便させることもある。
失禁してしまった時は騒いだり叱ったりせずすぐに始末する。日本コンチネンス
協会ＨＰでは尿失禁オムツの情報がある。

6. 判断力
①時系列的
判断力
今朝は掃除をしたので、昼は買い物に行き、夜はテレビ
を見ようといった判断ができにくくなる。時間の概念に
頼らずにその時々で対応する必要がある
②抽象的な
判断力
何故ここにいるのか、世話をいつまでしてくれるのか。
信号を見て赤青黄の3色を言う事はできてもその色が何
を意味しているのか理解できにくくなる。赤でも道を
渡ってしまう。
③総合的
判断力
尿意をもよおした時、どの程度我慢できるか、トイレは
どこでどのくらいの時間でたどりつけるかなどを総合的
に判断して行動しにくくなる。
→「何にしますか？」と多くの中から選ばせるのではなく、
「ご飯とうどん、どちらにしますか？」情報・選択肢を絞って伝える

7. 徘徊
手の届きにくい上の方にも鍵をつける。
ダイヤル式の鍵をつける。
徘徊高齢者家族支援サービスを利用する。

8. 徘徊高齢者家族支援サービス

9. お金の問題
認知症の人の判断力があるうちに、不動産・預金・株券・年金・現金
がどれくらいあるのか明らかにしておく。
後見人 本人の代理人、家庭裁判所。
医療上の意思決定できず、倫理委員会で協議。
社協の権利擁護 金銭管理。本人の同意

11. 日常生活自立支援事業

12. クーリングオフ制度
特定商取引に関する法律による制度で、購入後一定の猶予期間中に無条件で解約できる。
原則として8日以内に書面で解約の意思表示をしなければいけない。未成年者・知的障害者・認知
症の人などについては、この8日を過ぎても解約が可能なことがありますので、各地にある「消費
生活センター」などに早めに相談しましょう。
こうした経済的な被害を防ぐための最も確実な対策は「成年後見制度」を利用して、本人の生活と
財産を保護するようにしておくこと。
認知症患者の場合、購入からどのくらいの期間クーリングオフ制度の利用が認められているかの
法的な条文はないが、できるだけ所定の期間内に手続しましょう。
１． 必ず販売事業者に対して、書面で通知する
２． できるだけ「内容証明郵便」で発送する
３． 記入した用紙の控え（コピーでもよい）をとっておく
４． クレジットの契約をした時は、クレジット会社にも同様の内容を出しておく

13. 通知例

14. 妄想
被害妄想 その人が認知症であることを親戚や兄弟近所の人にわかってもら
う。
大事な物はできるだけ身に着けてもらう。
財布などは身から離れないようにゴム紐でくくりつけたりする。
妄想が起こる原因は、この先自分が生きていけるかどうかの不
安・孤立感であることが多いので、最期まで側にいると何度も
言って安心させることが大切である。
嫉妬妄想 自分だけ置き去りにされるのでは、自分は不要なものと思われて
いるといったひがみから妄想に発展する場合が多いので、
そのような不安を軽減する話しかけや接触が望まれる。