合理的配慮

1. 合理的配慮

2. 背景
•2006年、国連総会において
「障害者の権利に関する条約」が採
択された

3. 背景
•障害者の人権や基本的自由の
共有を確保し、
障害者固有の尊厳の尊重の促進と
障害者の権利の実現のための措置な
どを規定している。

4. Nothing About Us
Without Us
（私たちのことを私たち抜きに決めない
で！）

5. 背景
•2014年、日本は障害者権利条約に批
准し、140番目の締約国となった。

6. 背景
•この動向を受け、2016年から「障害
者差別解消法」が施行された。
•さらに、障害者雇用の促進に関する
法の一部を改正する法律も同時に施
行された。

7. 背景
雇用の分野での
障害者差別禁止
障害者であることを理由とした
障害のない人との不当な差別的
取り扱いを禁止
雇用の分野での合理
的配慮の提供義務
障害者に対する合理的配慮の提
供が義務となる
相談体制の整備、苦
情処理紛争解決の援
助
障害者からの相談に対応する体
制の整備が義務。また、障害者
からの苦情を自主的に解決する
ことが努力義務となる。

8. 雇用義務制度
•事業主が雇用する障害者の人数が
「法定雇用率」を満たす水準を超え
た場合には、国から事業主に「調整
金」を支払い、逆にした回った際に
は事業主から国に「納付金」を支払
う、という仕組みになっている。
➔ 雇用義務制度

9. 差別の禁止と合理的配慮
•2013年の法改正は、事業主に
①
・労働者の募集・採用の際に、障害者に
非障害者と均等な機会を与えること
・採用した障害者を賃金その他の処遇に
おいて障害を理由とする不当な差別的取
り扱いをしてはならないこと

10. 差別の禁止と合理的配慮
②
・障害者の募集採用の際、採用した
障害者について均等な機会の確保や
能力発揮の師匠となっている事情を
改善するために必要な措置をとるこ
と
を義務づけた。

11. 雇用義務制度 ➔ 障害者手帳
差別禁止・合理的配慮➔ 手帳を取
得していない人であっても、「長期
にわたり職業生活に相当の制限を受
ける者」という障害者の定義に該当
すれば対象
対象

12. 差別禁止・合理的配慮（障害者雇用
促進法）
➔ 公法的な効力はあるが、私法的
な効力はない。
事業主は国に対する義務を負うが、
障害者に対する義務は負っていない
法的な義務

13. 確かに障害者が裁判を起こしても裁
判所は事業主に対してその障害者の
ために差別を解消する措置や合理的
配慮を提供することを命じる判決を
下せないだろう。
しかし、
法的な義務

14. しかし、事業主の国に対する義務で
あるからこそ、国の行政機関がこれ
らの義務に違反する事業主に対して
助言・指導・さらに勧告をしていく
根拠になる（法 第36条の６）
法的な義務

15. 障害者差別解消法
• 民間の事業者に対してお客様等の外部の障害者に対する合理的
配慮を求める（努力義務）
• 事業主が内部の従業員（採用応募者を含む）に対して合理的配
慮を提供することは、障害者雇用促進法の「措置を講じなけれ
ばならない」という文言により、明確な法的義務として定めら
れた。

16. 雇用に必要な配慮
• 抽象的な表現・曖昧な言い方「あれ」「それ」などの指示語
• 「ちょっと」「すぐに」のような程度を表す言葉も避けて
• 「コピーを取ってからFAXして」ではなくひとつづつ指示をする
• 業務指導や相談に対応する担当者を定めることが望ましい
• 口頭ではなく文字や図にして視覚化
• 複雑な手順を示すときは一段階づつ手順表
• ADHD:話の要点（時間・場所・量・期限）を口頭で確かめる
• 適切な行動をしたときに褒める
• 指導をするときは、配慮と具体性。（障害のない人にとっても
good）

17. まずは「対話」
• 合理的配慮を提供にあたっては、事業主とそれぞれの障害者と
の間での対話が重要。
• 会社で働くということは休日を除けば１日の大半を職場で上
司・同僚と過ごすことであり、それを何か月も何年も続けてい
くということ。
• 信頼関係は継続的な関わりを通じてはぐくまれている。
• 互いに相手の感情に配慮しながら、事情を打ち明け要望を述べ
合い、それぞれの理解をすり合わせ、お互いに納得のいく合意
を積み上げる努力をすることがより良い労使関係を作るポイン
ト。

18. 合理的配慮（reasonable
accommodation)
• 障害者権利条約。
• 「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的
自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適
当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされる
ものであり、かつ均衡を失した又は過度の負担を課さないもの
をいう」と定義している。
➔ わかりやすくいうと、障害のある人が社会で生きていく上で
その人に必要となる（本人が必要とする）配慮を提供することを
意味する

19. 過度の負担
①事業活動への影響の程度
②実現困難度
③費用負担の程度
④企業の規模
⑤企業の財務状況
⑥公的支援の有無
６つの要素を総合的に勘案し、個別に判断する。

20. 合理的配慮の具体例
読み・書き 漢字を書くことが極端に苦手なので、書
き文字による書類の提出はさせず、すべ
てパソコンによる書類提出に切り替えた。

21. 合理的配慮の具体例
指示の
統一
複数の人からのちがった指示によ
り混乱してしまうことが多いため、
作業ごとに担当者を決め、その担
当者からだけ指示を出すルールに
した
指示を出す担当者には目印（帽子
に赤ラインを入れるなど）をつけ
た

22. 合理的配慮の具体例
業務の明確
化
毎日、仕事内容を書いた書類を本人に渡
した。書類には本人も実際に業務上必要
なことを記入できるようにメモのスペー
スも設けた。

23. 合理的配慮の具体例
作業への見
通しを立て
るための工
夫
・当日のスケジュールをホワイトボード
等に
貼る。
・必ず本人に所定の書式にメモをとって
もらい、
業務内容を１つづつ確認した
・時間ごとの業務内容がわかるよう、時
間（時計の図）と作業の写真を組み合わ
せたカードホルダーを渡した
・「この時間にはこの作業をする」とい

24. 合理的配慮の具体例
心理的特性 過集中を防ぐため、
他の従業員と時間をズラしたうで
一定時間ごとに休憩をとるための
計画を作成した。

25. 合理的配慮の具体例
感覚過敏 通勤ラッシュを避けるため、始業時間を
遅くした
音に対して過敏であるため、静かな所で作業
を
してもらう
耳栓を付与する、ヘッドフォンの着用を認め
る
机の電話を外す等の配慮を行った。

26. 合理的配慮の具体例
当事者の
意思の確
認
機会の設
定
作業日報や日誌を提出してもらい、
担当者が本人の状況を確認したり、さらに
定期的に面談する機会を設定した

27. 合理的配慮の具体例
仕事スキ
ル向上に
向けた取
り組み
本人に対してビジネスマナー等に関する研修
を
実施した

28. 合理的配慮の具体例
職場ス
タッフの
共通理解
本人の希望を踏まえ、他の職員に対し、
対応上の留意点（指示：注意をするときは穏
やかに話すこと、１つづつ指示を出すこと、
昼休憩等の関わり方等）について共有した

29. 合理的配慮の
プロセス

32. 最後に
合理的配慮は一方的なもので
はなく合意形成のたまもの。

33. 最後に
そしてそれは障害のある人に
とっても雇用側にとっても
「利益」に繋がる。
さらに、他の定型発達の人に
とっても生産性を高める環境
に繋がること

34. 最後に
そのためには
お互いの「声」に耳を傾け
る
ことが何よりも大切なことに
なる。