こちらはEMS用の参考資料になります。2014年度「宗教心理学」の第6回目の講義で使用したパワーポイントです。

1. 宗教心理学(2014/5/21)
第6回 特別篇: 「回心」の心理と構造

2. 1. 「宗教心理学」の2つの系譜(復習)
(1)世界観・・実証主義
(2)方法・・量的研究・統計
的手法
(3)主要なテーマ・・「回心」
研究・青年期〜老年期の
宗教心理
(1)世界観・・解釈学など
(2)方法・・文献研究・夢
宗教経験の「解釈」
(3)主要なテーマ・・「宗
言説の研究・神話/昔話の
「深層心理」的探求。

3. 2-1. 構造構成主義を「視点」とした「学問」に対
考え方・・(1)「方法」の原理
「方法」とは
(1)目的
(2)現実的制約(状況)
の2つに応じて(相関して)選択される。
「目的」と無関係に絶対的に正しい「方法」はない

4. 2-2. 構造構成主義を「視点」とした「学問」
る考え方・・(2)「価値」の原理
なんらかの特定の「価値」はさまざまな契機(
かけ)と関心とに相関して形成される。

5. 2-3. 「科学」とはなにか？
(1)帰納主義・・個別事例の積み重ね→法則の
帰納。
(2)反証主義・・ある言明が、観察や実験の結
によって、否定、反駁される可能性をもつこ
科学の基準とする。
(3)パラダイム論・・事実や理論は「世界モデ
(模範例)による解釈である。
(4)構造主義科学論・・科学とは「コトバ」と
バ」との同一性の探求である。

6. 1. 「宗教」はこころの支えになるか？: ジェイムズ
点から
(1)宗教的経験の価値は、そのことがいかにして起こ
かということではなく、何が達成されたかによる。
⇨直接の明白性・哲学的合理性・道徳的有用性
(2)宗教的経験の権威性について
・その状態になった個人に対して権威性を持つ。
・その局外者に対して無批判に受容させるほどの権
性は持たない。
・しかし理性と感覚に依拠する合理主義を打破する

7. 2. ジェイムズの「回心」論
(1)「回心」(conversion)とは？
「回心する、再生する、恩恵を受ける、宗教を体
する、安心を得る、というような言葉は、それま
していて、自分は間違っていて下等であり不幸で
と意識していた自己が、宗教的な実在者をしっか
つかまえた結果、自分は正しくて優れていて幸福
ると意識するようになる、緩急さまざまな過程を
れあらわすものである」。
(2)回心のメカニズム
潜在意識的な潜伏→緊張→爆発＝回心

8. 3. スターバック(Sturback, E, G)による「回心」研
2-1. 宗教心理学の定義(⇨心理学的宗教心理学)
「宗教心理学の課題は、十分に確立された科学の
法(methods of science)を用いて、宗教意識の諸事
を分析し組織化し、その生長と性格を決定する諸法
を確定することである」(『宗教心理学』(1899)より
2-2. 宗教心理学の方法
質問紙法(questionaire methode)を用いて、資料蒐
集→分析→分類→一般化→解釈の手順をふむ。

9. 4. スターバックによる「回心」研究(2)
(1)得られたデータは女性120、男性72名(他のデー
タも加え女性245、男性1011名)。(※表はそのうち
学校卒業生をのぞき女性254、男性230名)。
(2)回心は16歳を頂点としてその前後の青年期の現
象 (心理・生理的特徴との相関)
(3)回心の動機は思春期前期は自己に関するもの(罰
への恐怖)、後期は道徳的理想。
(4)回心の構造は消沈と悲嘆(憂鬱・意気消沈・混乱
不安・罪悪感)⇨転回点⇨歓喜と平安である。
(5)類型として(1)罪からの脱出型(escape from the
sin)と霊的覚醒型(spiritual illumination)がある。

10. 5. スターバックによる「回心」研究(3)
●スターバックへの批判
・サンプリングの偏りの問題。⇨資料のほとんど
ロテスタントのメソジスト派からによるもの。
・応答資料を無批判に援用。⇨面接法などを併用
べき？
・回心の「法則」について。⇨思春期特有の現象
「回心」か？ 壮年期の現象をどう理解する？

11. 6. 文献
James,W.(2010). The Varieties of Religious
Experience: A Study in Human Nature. Being the
Gifford Lectures on Natural Religion Delivered at
Edinburgh in 1901–1902,
Library of America. (＝W・ジェイムズ著・桝田啓三郎
訳(1970). 宗教的経験の諸相.(上)(下). 岩波書店. )
西條剛央(2005). 構造構成主義とは何か: 次世代人間科学
の原理. 北大路書房.
西條剛央(2009). 研究以前のモンダイ: 看護研究で迷わな
い
ための超入門講座. 医学書院.
Starbuck, E, D(1901). The Psychology of Religion: an
Empirical Study of the Growth of Religious