これは、視覚障がい者向け音声コードの技術を比較したものです。 しっかりとした技術で、視覚障がい者や海外の旅行者に役に立つものを 紹介したい、という思いからです。 概要 音声コードは、2次元コードの発展の中で、VoiceyeとUni-Voiceという 二つの異なるアプローチを生んだ。 • Voiceyeは、日本発の世界標準であるQRコード等2次元コードの歴史 をさらに継承発展させ、印刷と認識の制約が少ないまま、大容量化に成 功した。 • Uni-Voiceは、SPコードという独自のアプローチを継承したが、その技術 的な問題も引き継いだ。 音声コードの歴史と背景 QRコード 位置検出パターンで自動検出、タイミングパターンと位置合わせパターンで精度向上 Voiceye 検出パターンで自動検出、位置合わせマークで精度向上 検出パターン 位置合わせマーク SPコード、Uni-Voice 検出マークなし、位置制御情報を周囲に分離 データ部 (制御情報なし） 位置制御部 音声コードの技術比較　 まとめ Voiceyeは、日本発の世界標準であるQRコード等の過去の2次元コードにお ける以下のような技術を発展させて、印刷と認識の制約が少ないまま、大容量 化に成功した。 • コード検出パターンによって、コード場所・方向・傾きを自動検出。 • コード内の制御情報によって、読み取り精度を高める。 • Uni-Voiceは、データと制御を分離したSPコードという独自のアプローチを継承 したが、技術的に以下の問題も引き継いだ。 • コードを検出するためのパターンを含まないため、コードの場所とその向き・傾きの自動認 識に弱い。 • 位置制御情報を周辺部にまとめ内部に持たないため、画像にゆがみがあったり、撮影条 件によっては、認識できないという脆弱さがある。そのため、印刷時の品質要求が高い一 方で認識の容易さ・精度にも影響が出る。

1. 音声コード技術比較
Voiceye versus Uni-Voice
独立ITプロフェッシナル
http://yo-sato.com/

2. 概要
• 音声コードは、2次元コードの発展の中で、VoiceyeとUni-Voiceという
二つの異なるアプローチを生んだ。
• Voiceyeは、日本発の世界標準であるQRコード等2次元コードの歴史
をさらに継承発展させ、印刷と認識の制約が少ないまま、大容量化に成
功した。
• Uni-Voiceは、SPコードという独自のアプローチを継承したが、その技術
的な問題も引き継いだ。

3. 音声コードの歴史と背景
QRコード(*)
SPコード Uni-Voice
Voiceye
1994年 株式会
社デンソーウェーブ
2003年 株式会社オリジナル
デザインと株式会社廣済堂
2003年 VOICEYE inc.
2013年 日本視覚障がい情報普及支
援協会、Uni-Voice事業企画株式会社
2016年 日本、障害を理由とする
差別の解消の推進に関する法律の施行。
2008年 韓国、情報の差別禁止法。
Voiceyeを国家標準として採用。
（＊）音声コードではないが参考
認識のため
の制御のし
くみを改善
しつつ、大
容量化
位置制御を周囲に
追い出して、大容量
化、あるいはQRコー
ド以前の技術。
改良

4. QRコード
位置検出パターンで自動検出、タイミングパターンと位置合わせパターンで精度向上

5. Voiceye
検出パターンで自動検出、位置合わせマークで精度向上
検出パターン
位置合わせマーク

6. SPコード、Uni-Voice
検出マークなし、位置制御情報を周囲に分離
データ部
(制御情報なし）
位置制御部

7. 音声コードの技術比較
QRコード(*) Voiceye SPコード Uni-Voice
容量 • サイズ固定。 • 大容量化
• 制御情報をコンパクトに
• 全体のサイズを可変に
• データに圧縮を用いる
• 標準的な設定で1コードあたり1600文字。
• 大容量化を図る
• 位置制御情報とデー
タ領域を分離
• 標準的な設定で1コードあ
たり800文字。
• スマホ対応のため、SP
コードの位置制御情報
を改良。
• 標準的な設定で1コー
ドあたり800文字。
認識 • 方向独立、位置制約
なし。
• 誤り訂正機能あり。
• 高精度
• マーク内に位置
制御情報と
データを混在配
置。
• 方向独立、位置制約なし。
• QRコード等の検出パターン、位置制御
情報を改良し、コードの場所・傾き・向き
を自動認識。
• 誤り訂正機能あり。
• 高精度
• QRコード等同様に、データ内に制御情
報を持つため、認識が誤りにくく、印刷に
制約がない。
• 方向依存。ページの切込み
による位置検出補助を用い
る。
• 誤り訂正機能あり。
• SPコードを改良し、傾き
補正を組み込むが、
ページの切込みを用い
る。
ハード • 印刷は300DPI以上。
• 読み取りはスマホ。
• 印刷は600DPIレーザープ
リンタを推奨。
• 読み取りは専用端末必要。
• 印刷は600DPIレーザ
プリンタを推奨。
• 読み取りはスマホ。
• 世界的標準。 • 韓国で2008年以来の実績。 • 日本で普及したが、印刷不
具合や誤認識のトラブルが
多いと評される。
• トラブルが続く
（＊）音声コードではないが参考

8. まとめ
• Voiceyeは、日本発の世界標準であるQRコード等の過去の2次元コードにお
ける以下のような技術を発展させて、印刷と認識の制約が少ないまま、大容量
化に成功した。
• コード検出パターンによって、コード場所・方向・傾きを自動検出。
• コード内の制御情報によって、読み取り精度を高める。
• Uni-Voiceは、データと制御を分離したSPコードという独自のアプローチを継承
したが、技術的に以下の問題も引き継いだ。
• コードを検出するためのパターンを含まないため、コードの場所とその向き・傾きの自動認
識に弱い。
• 位置制御情報を周辺部にまとめ内部に持たないため、画像にゆがみがあったり、撮影条
件によっては、認識できないという脆弱さがある。そのため、印刷時の品質要求が高い一
方で認識の容易さ・精度にも影響が出る。

9. 参考文献
• QRコード
• JIS X 0510:2004、「二次元コードシンボルーQRコードー基本仕様」
• SPコード
• 公開特許公報、特開2001-298077 、「二次元コード、二次元コードの読取方法、プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体」
• Uni-Voice
• 公開特許公報、特開2003-76959、「二次元コード」
• 厚労省、障害者自立支援機器研究開発プロジェクト、「文字情報を暗号化したコードを音声化できる携帯電話または携帯端末の開発に関する研
究」、平成21年度総括・分担研究報告書
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/cyousajigyou/jiritsushien_project/seika/S2abstract.pdf
• 日本盲人会連合 マイナンバー制度で総務大臣に緊急に要望 http://nichimou.org/all/news/secretariat-news/151222-jimu/
• http://nagao.miyakyo-u.ac.jp/monogatari/2015.html 等
• Voiceye
• United States Patent US 8,096,480 B2, “SYSTEM AND METHOD FOR ENCODING AND DECODING LARGE CAPACITY 2-
DIMENSIONAL COLOR BAR CODE WHICH CAN BE COLOR-CORRECTED”, Jan. 17, 2012
• Voiceye紹介：http://www.telesoft.co.jp/report/n074.html
• Voiceye構造説明 http://www.nippontelesoft.com/pdffile/VOICEYECODE.pdf
• Publisher Ability article: http://qr-hd.org/
• Academic paper: “Assistive Technology for Vision-impairments”
http://www.wwwconference.org/proceedings/www2011/companion/p513.pdf