My Twitter : https://twitter.com/mod_tamu75 ArtStation : https://tamu75.artstation.com/

1. Overgrown Alley 制作過程まとめ

2. 発表の流れ
❏ 自己紹介・作品紹介
❏ UE4を使った背景制作の利点
❏ 制作過程の紹介
❏ Substanceについて
だいたいこんな感じ！

4. 自己紹介
❏ 名前 tamu75
❏ ジョブ 学生
❏ 好き CG、酒、ゲーム （主に海外のゲームを遊びます ドン勝たのしいね）
❏ SNS Twitter @mod_tamu75
❏ ポートフォリオ https://tamu75.artstation.com/

5. 作品紹介
YouTube URL
https://www.youtube.com/watch?v=zMv2iPvRP2U
ArtStation URL
https://www.artstation.com/artwork/ONzXK

11. 使用したツール
❏ 3ds Max 2017
ローポリモデリング、ハイポリモデリング、UV展開
❏ Substance Designer ・ Substance Painter
ベイク・テクスチャ制作に使用 タイリング出来るテクスチャはSD、プロップはSPが主
❏ Photoshop
リサイズ、細かい修正等 ほとんど出番はなくSubstanceを使った
❏ Zbrush Core
ハイポリモデルにディテールを足す時に使った なぜCoreなのか？ お金がないからさ (´・ω・｀)
❏ Unreal Engine
背景エディタ・レンダリング・動画制作等
Substanceは便利だね
でも依存し過ぎは
良くないと思ってるよ

12. 一ヶ月
8月1日に突然月末にTGS向け作品の展示があることを知らされる
一ヶ月で完成させるのはかなりきつかった
8月は夏休みだったので飯と一服以外はずっと家に篭ってなんとか間に合わせた
正直もう少し時間をかけて作り込みたかったが締め切りの段階で一旦区切りをつけた
製作期間

13. モデル
130個ほど 仮素材+本素材
テクスチャ
120枚ほど（各種マップを合わせて）
プロジェクト全体のファイルサイズ
560MBほど（テクスチャが8割以上）
作った物
悪い やっぱ辛えわ

15. なぜUE4を使っているのか
❏ 元々はYouTubeにあるSpeed Level Designの動画を見たのがきっかけ
→ 特にMaverickさん、evilmrfrankさんの動画
❏ プリレンダよりリアルタイムレンダリングの方が好きだから
→ 即時反映される速さはリアルタイムならではの良さ
❏ 背景制作に役立つ機能が豊富に揃っている
→ 効率よく作業できる！時間のかかる個人制作では余計な手間は省きたい
❏ 物理ベースレンダリングのおかげでSubstanceとの相性が抜群に良い
→ Substance Designerは1年以上前から使っている
PBRマテリアルをそのまま持っていけるのは楽で時間がかからない
楽ちんだね！
https://tamu75.artstation.com/

16. 背景制作に役立つ機能例

17. マテリアルエディタ
物理ベースレンダリングを採用している
物理と聞くと頭の痛くなる人もいるかもしれないが、
質感の付け方はある程度決まっているため仕組み
を理解できると一気に質感をつけるのが楽になる
ありがたいことに参考書があるよ！ 必読！
Unreal Engine 4 マテリアルデザイン入門
画像：公式ドキュメントより

18. ランドスケープ ツール
スカルプトのような感覚で地面を作れる
地面にマテリアルをブラシでペイントできる
ブラシを使った直感的な操作のためグラフィッカー
でも簡単に扱える
画像：公式ドキュメントより

19. フォリッジ ツール
植物等をブラシを使って生やすことが出来る
静物だったら大体生やせる
壁にも生やせるのでツタとかにも使えるよ
先ほどの作品のツタはこのツールを使ってペイントしている
草、生える
画像：自分の作品より

20. 紹介したものはほんの一例
紹介したSpeed Level Designの動画を見るのがわかりやすい
興味があれば見てみよう
UE4で背景制作、楽しいよ！

22. 作品制作過程紹介

23. コンセプト
❏ 背景アーティストになりたいのに建物系の作品がない！
→建物を作らねば！（ニューヨークの路地を参照している）
❏ 廃墟＋自然
→The Last of Us、Fallout等からかなり影響を受けている 大好きなので(；´Д｀)・・・
❏ 背景制作のワークフローを確認しながら制作をしたかった
→この後流れを説明するよ

24. 今回はこのようなワークフローで制作
1. 作りたい作品を決める
2. リファレンス（参照）収集
3. 仮モデル作成
4. 本モデル作成
5. ライティング・ブラッシュアップ

25. 背景制作のワークフローについては
茄子さんの講演資料が大変参考になるので見てみよう
UE4背景アーティスト勉強会（前編） 背景ワークフロー解説
UE4背景アーティスト勉強会（後編） 実演＋解説

26. 1. 作りたい作品を決める
建物を作る前提でイメージを膨らませた
作りたいものと自分の技量を相談した結果、
ニューヨークの路地をイメージした背景になった
程々の大きさでリファレンスが集まりやすかったため
背伸びせずに
作れそうなやつを作れよ！
Done is better than perfect.

27. 2. リファレンス（参照）を集める
何かを作るときには絶対にリファレンスを集める
多ければ多いほどいい
頭の中だけで考えないこと
実物のモデルを作ったりするなら尚更である
リファレンスからイメージが膨らむこともある
リファレンスフォルダ
見本があればわかりやすいね！

28. リファレンスの一つ
（Googleマップのスクショ）

29. 3. 仮モデル作成
背景制作においては仮モデルを最初に作るべき
仮モデルを先に作っておくことで、必要な素材の洗い出し、構図の確認、大きさの確認な
どが行える
いきなり本モデルから作ると・・・
これらの確認のステップがないため作り直しになった時に時間が無駄になる
清書の前には下書きをするのと同じである
出来るだけ仮モデル制作の段階で何度も確認しよう

30. UE4にはスナップ機能がある
一定の大きさでモデルを作るとピッタリくっつける事ができる

31. 長さが10で割り切れるようにしている
3ds Maxの場合はUnits Setupで
以下のようにセンチメートルを選択する
長さ：240
長さ：350
長さの確認は下にある画像のところで確認できる

32. 実際にUE4にこのメッシュを持ち込んでみると綺麗にくっつく！
このルールを守ればレゴブロックのような感覚で並べてレベルを作れる

33. このような作り方を
Modular Level Designという
ゲームでの背景制作に使われる技法
Modular Level Design for Skyrimより

34. じゃあ実際にどうやってパーツを分けていくの？

35. 参照画像例 （Googleマップよりキャプチャ）
一例を紹介
まずはリファレンスをよく観察する！

36. 1階より上の構造はほぼ同じである（青部分）
1階部分は建物によって構造が異なる（赤部分）

37. 2階以上は汎用パーツ
1階部分は形の種類を多めに
もちろんモジュラー式になるように長さに気をつける

38. 仮モデル状態（作り込まずにとりあえず並べて確認）
サイズ感は合っている？
きちんとスナップでくっつく？
構図はこれでいい？

39. 仮モデル状態（作り込まずにとりあえず並べて確認）
サイズ感は合っている？
きちんとスナップでくっつく？
構図はこれでいい？

40. この段階でよく確認してOKであれば
いよいよ本モデル制作に入る
気になる部分があったらこの段階で何度も修正を行うことで
次のステップで迷いなく制作ができる！！

41. 本モデル制作の流れ
1. 仮モデルを元にハイポリモデルを作る
ハードサーフェスモデリングの要領で
2. ローポリモデルをUV展開し、ベイク
ベイクはXnormal（無料）またはSubstanceで 今回はSubstanceで行った
3. テクスチャを作る
基本はSubstanceで

42. ゲーム(リアルタイム)を意識して負荷を減らす為に
色々と工夫しているので一部を紹介！

43. プロップ

44. テクスチャ枚数を減らすために
ある程度モデルをまとめている

46. 非常階段

47. tamuk75@gmail.om
①非常階段のハイポリ
②ローポリを複製して繋げると長くなる
③繋げたローポリを組み合わせモデルを作成
古びた感じにしたかったため歪みを加えている

48. 非常階段テクスチャ
UVはタイリング出来るようにしているので、モデルを
複製して繋げてもテクスチャの継ぎ目が目立たない
ようになっている
複製して並べることで若干のリピート感は出るが、テ
クスチャの枚数を減らせる上にテクスチャ密度を確
保できる
おかげで非常階段の階段と足場はこのテクスチャ
だけで済んだ
メモリ節約

50. 植物

51. 植物はハイポリモデルをMaxで作り、板ポリにベイクしている

52. 植物はハイポリモデルをMaxで作り、板ポリにベイクしている

53. タイリングテクスチャはSubstance Designerで作成

54. タイリングテクスチャはSubstance Designerで作成

55. Substance Designerで作成したタイリングテクスチャの
高解像度スクリーンショットはArtStationにあります
https://www.artstation.com/artwork/8gJzE

56. UE4でのテクスチャ形式
UE4にテクスチャを取り込む際には色々な形式が使える（PNG、BMP、TGA等）
個人的にはSubstanceでの書き出しが速くファイルサイズも小さいTGAをオススメする
必要なテクスチャは物理ベースレンダリングなので、基本はBasecolor、Normal、
Roughness、Metallicの4つ
AOやHeightなども必要に応じて追加する
テクスチャの枚数削減のためMaskマップというテクスチャにAO、Roughness、Metallicを
RGB別に格納している
（Red・・・AO、Green・・・Roughness、Blue・・・Metallic）

57. 本モデルギャラリー

58. 4. ライティング・ブラッシュアップ
素材をUE4に持ち込む
マテリアル作成、ライティング調整、フォリッジツールを使用した植物の配置等を行い
頭の中のイメージを形にしていく
ライティングは最終的な見栄えに大きく関係してくる
いくらしっかりしたモデル・テクスチャでもライティングが駄目だと台無しになる
UE4のマテリアルを使用したテクニックもこの後いくつか紹介するよ

59. 汎用マスターマテリアル
上部に苔が乗るようになっている

60. プロップの苔

61. 壁の落書きはDecalを使用

62. 壁や地面等は頂点カラーを使って
4種類のマテリアルをブレンドしている
草が生えている所には草のマテリアルを塗ったり
汚しを足したり出来る

63. ブレンド用マテリアル

65. フォリッジツールでの植物ペイント
UE4のフォリッジツール
植物を登録してブラシで任意の場所にペイントでき
る
草や地面に落ちたレンガの欠片、ツタ等はこのツー
ルを使って配置した
密度、長さ、描画距離等細かく設定できる
草は結構パフォーマンスに影響するので生やし過
ぎないように注意

66. ライティング
UE4に元々ある機能だけでライティングをしている
マーケットからアセットを入れたりせずにこの作品く
らいの絵は作れる
デフォルトの空（Sky_Sphere）は雲があまりリアルで
はないのでこれだけは買ってもいいような気がする
今回の作品ではUE4の作業をしながら少しずつ雰
囲気を作っていった

67. ライティングに関して
UE4のライティングに関わる部分を知っておくのは大前提
ありがたいことに紹介した茄子さんのスライドでライティングのことについて触れられているので見てみよう
僕は昔、某海外のゲームのライティング調整MOD を作っていたことがあって、いくらかその経験が生きているのか
なと思う
ライティングに関して僕から言えることがあるとすれば、日頃から色々なゲーム、映像、作品に触れながら作品を
作っていき、自分の「これいいな」を確立していくことが重要だと思う
最終的に自分の作品の様々な決定権は自分自身にならないといけないので、自分の見る目を鍛える必要がある
そのための手段としてやはりいいものは常に見ておくのがいいと思う

68. 全体像 もちろん見えるところだけ作っている

70. というわけでこんな感じで完成！
全部は紹介しきれなかったけど制作過程はこんな感じ！

72. ここからは今回の作品とは外れて
Substanceについて少し紹介

73. Substanceってなあに
allegorithmic社が出しているツールの総称 最近のYouTubeの動画
一言で言うと、テクスチャ制作ソフト
物理ベースレンダリングを採用したゲームに強い
Uncharted 4、Horizon Zero Dawn、Dishonored 2 等
95％以上のAAAゲームはSubstanceを使っているらしい（公式ツイッターソース）
日本でどのくらい使われているかは現場の人間ではないのでよくわからない

74. 大きく分けて4つソフトがあります

75. Substanceの使い分け
Substance Designer
タイリング可能なマテリアル作成に便利
ノードを繋いでいくことでテクスチャを作成する
Substanceの中では最も扱うのが難しいが、
習得できれば最もリターンの大きなソフトだと思う
最後にSubstance Designerについて少し紹介する
よ
Substance Painter
モデルに直接ペイント出来る（3Dペイント）
3Dビューアで見ながら制作できるのでわかりやす
い
ある程度プリセットやマテリアルが入っているため扱
うのは難しくない
タイリングテクスチャで対応出来ないユニークなプ
ロップのテクスチャ制作で重宝する

76. Substanceの使い分け
Substance Player
Substanceツール群の中では唯一無料
ただしこれ単体では何も出来ない
Substance Designerで作成したマテリアルを見たり、
パラメータを変更して各種画像形式で保存したりで
きる
Bitmap2Material
一枚の画像からタイリング可能なPBRマテリアルを
作成できる
手軽に使えるため一番とっつきやすい
ただし出来ることは限られており、Substance
Designerがあれば不要になる可能性が高い

77. Substanceについての個人的な考え
Substanceを使いこなせれば、テクスチャ製作時間が圧倒的に減り、かつ作品のクオリティが上がるのは間違いな
い
ただし、個人制作では関係ないが会社に必ずこのソフトがあるわけではない
Photoshopが未だにテクスチャ制作で使われていたりする場合、Substanceに慣れすぎているとうまく出来ない可
能性があるので注意しないといけない
依存性が高いがPhotoshopを使うのが馬鹿馬鹿しくなるほど便利なツールである
個人的には今後日本でもっとSubstanceやMARIといった3Dペイントソフトが普及してほしいなと思う
何故かと言うと、効率がいいから