マイクロラーニングについて、メリットや導入例について紹介していきます。

1. インフォテリア株式会社
2018 年 5 月
White Paper
(C) 2018 Infoteria Corporation. All Rights Reserved.
マイクロラーニングで
現場のスキルアップ
そのメリットと課題

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はじめに
企業の人手不足が、深刻になっています。日本商工会議所が 2017 年 7 月に取りまとめた調査によ
ると、全体の 6 割以上の企業が「人手不足である」と回答しており、特に飲食・サービス業や運輸、
建設業で人手不足が顕著だということです。
帝国データバンクが先日（4 月 9 日）発表した
調査によれば、人手不足による企業の倒産が 5 年
間で 2.5 倍も増加しているそうです。
企業にとって人手不足は経営の屋台骨さえ脅か
しかねない問題といえますが、実際の現場レベル
でいうと以下のような現象が発生し、業務に支障
が出ています。
・従業員 1 人あたりの労働負担増
・サービスレベルの低下
・技能、ノウハウ伝承が途絶える
システムやサービスが次々導入され、従業員が覚えるべき技術や作業は増え続けるばかりなのに、
人手が足りないためにそれをカバーできる余裕がありません。
また、熟練したスキルのある人材の採用が困難であり、未経験者も採用せざるを得ない現実がさら
に余裕をなくしています。人材の定着率も問題で、転職売り手市場の今、ちょっと自分に合わないとか、
仕事に不満があるという理由で従業員が辞めてしまうことも少なくないでしょう。
そこで必要とされるのは、未経験者やスキルの低い新人に、いち早く仕事を覚えてもらい戦力になっ
てもらう仕組みにほかなりません。
そのため、従業員に知識をつけてもらう「研修」「学習」の重要性は非常に増しています。しかし、
人手不足の状況では「ゆっくり研修を受ける暇もない」「研修を行う人材さえ不足している」という事
態が生まれます。教育コストがかさむ一方で効果が出ず、どの企業も悩みの種になっているのが現状
ではないでしょうか。
そんななか新しい教育概念として、マイクロラーニングという手法が登場しました。
その名の通り、「短い小さい」教材を使った学習手法ですが、スマートで新しい教育スタイルとして
話題です。もしかしたらこの方法が、企業の教育に変革をもたらし人手不足時代の救世主になるかも
しれません。
本書ではマイクロラーニングについて、メリットや導入例について紹介していきます。

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１．マイクロラーニングの紹介
さて、まずマイクロラーニングとは一体どういう学習方法なのか、ということから説明していきましょう。
マイクロラーニングの定義
マイクロラーニングとは簡単に言うと、
「小さく区切られた教材を用いて、短時間で学習する研修方法のこと」です。
補足のため、英語の Wikipedia の説明から、引用しておきましょう。
“ Generally, the term "microlearning" refers to micro-perspectives in the context of
learning, education and training. More frequently, the term is used in the domain of
e-learning and related fields in the sense of a new paradigmatic perspective on learning
processes in mediated environments.”
- Wikipedia より -
「一般的に、マイクロラーニングという語は学
習、教育、トレーニングの分野におけるミクロ
な物の見方という意味である。しばしば、E ラー
ニング関連の分野で、その分野の学習プロセス
における新しい規範となる観点という意味で使
用される。」
ここでポイントなのは、マイクロラーニング
とは、「パースペクティヴ」＝「物の見方や考え方」
と記載されています。
つまり、何か特定の手法や教材があるわけではなく、「短い教材コンテンツ」「短い学習時間」という「小
ささ」の側面から捉えた新しい見地、といえるかと思います。
もちろん、昔から「少しずつ学習する」という概念がなかったわけではないでしょうが、それが「マ
イクロラーニング」という語句で言い表され、体系化されてきたのは 2005 年くらいだといわれてい
ます。しばらくは学会での発表など、実践よりも理論における議論が続きましたが、徐々に実践的な
教育プログラムにも浸透していき、トレンドとなっていきました。
マイクロラーニング普及の背景
マイクロラーニングが浸透した背景にはインターネットとモバイルデバイスの進化が密接に関連し
ています。前述した Wikipedia の定義では「しばしば E ラーニングの分野で」とありますが、現状マ
イクロラーニングでは殆どの場合、電子コンテンツが利用されており、とりわけ企業やビジネス向け
の教育・研修では、ほぼ 100%E ラーニングにおける方法論のことを指すといっても過言ではありま
せん。