まだレポートや論文をほとんど書いたことのない人向けです．プレゼンバージョンは後日

1. レポート・プレゼンの初めの一歩
堀田政二
• レポートの書き方やプレゼンテーションの方法については
多くのサイト・書籍がある
• ただし、ほとんどのものが経験者向けに書かれている
• 本当に初めてレポートを書いたり，プレゼンをやったりする
人に特に注意して欲しいことを述べる
この資料の目的

2. レポート編

3. レポートの書き方は既に習っている？
http://www.rimse.or.jp/research/pdf/report_chukou.pdf
レポートの書き方（中学校・高等学校用）レポートの書き方（中学校・高等学校用）レポートの書き方（中学校・高等学校用）レポートの書き方（中学校・高等学校用）
（一般財団法人理数教育研究所 2017年6月1日閲覧）
基本的な構成は上記の資料の通りでＯＫ
• 感想は不要（指示がある場合のみ書く）
• 比較することに意義がある，を意識すべし
• 学術論文を書くための練習
大学でのレポートと何が違うか

4. 学術論文ってなに？
• 学術論文(Journal)：査読を経て論文誌に掲載が許可されたも
の．査読では以下の点を重視
新規性（新しいアイデアが含まれているかどうか）
有効性（従来よりも役に立つものか）
信頼性（主張を裏付ける結果や資料を提示しているか）
了解性（読みやすいかどうか，再現可能かどうか）
• Proceedings: 口頭発表の会議での資料．特に査読付きのTop
conferenceとはだいたい以下のランキングでA以上のものを言
う（厳密な定義はない）
http://lipn.univ-paris13.fr/~bennani/CSRank.html
• レポート：提示された課題に対して，信頼性，了解性，再現性を
重視して書いた文章．
（2017年6月1日閲覧）

5. 学術論文やProceedingsを見てみよう
https://www.ieee.org/publications_standards/publicatio
ns/periodicals/journals_magazines.html
IEEE Journal & Magazines （2017年6月1日閲覧）
http://kesen.realtimerendering.com/sig2017.html
SIGGRAPH 2017 papers on the web （2017年6月1日閲覧）
背景や目的だけでも数ページ
実験条件も細かく記述されている
図や表に非常に力を入れている→見やすい・読みや
すいように
パラグラフを意識して書かれている→読みやすい
数式を使って曖昧性の少ない文章となっている
（再現性と了解性を高めるため）

6. 論文の構成と意義(赤字は意識すべき点)
タイトル
著者名 所属
Abstract
これから述べることだから現
在形で．文献引用はしない．
1.Introduction
1. 背景・目的（これが一番
難しい） 有効性
2. 従来手法とその問題点
信頼性
3. 提案手法の概要 新規
性
4. 実験結果の概要とmain
contribution 有効性・了
解性
2. Proposed approach
1. 提案手法の概要と新規
な点 新規性
2. 問題の定式化の準備，
記号の説明 了解性
3. 問題の定式化 再現性と
了解性
4. 問題の解法 信頼性・再
現性
5. 提案手法のメリットや従
来手法との違い 有効
性・新規性
3. Experimental Results
1. データの内訳の詳細 再
現性
2. 実験条件（パラメータの
決め方等）再現性・信頼
性
3. 実験結果 有効性・信頼
性
4. 比較実験 有効性
5. 考察 有効性
4. Conclusion
1. 提案手法の概要とmain
contribution 了解性
2. 提案手法の問題点 信
頼性
3. 将来の展望 将来性
References
[1] 著者名，タイトル，雑誌
名，vol.x, no.X, pp.xx-xx,
2017.
引用順 or 著者名順
信頼性
Appendix
本文中で冗長になりそう事柄
（式の証明など）は付録に回
して読みやすくする
了解性

7. レポートの構成と意義
タイトル
著者名 所属
1.Introduction
1. このレポートで何を明ら
かにしたいのか 有効性
2. 実験方法の概要 了解
性
3. 実験結果の概要と結論
の概要 信頼性・了解性
3. Experimental Results
1. データの内訳の詳細 再
現性
2. 実験条件（パラメータの
決め方等）再現性・信頼
性
3. 実験結果 信頼性
4. 比較実験 有効性
5. 考察 有効性
References
[1] 著者名，タイトル，雑誌
名，vol.x, no.X, pp.xx-xx,
2017.
引用順 or 著者名順
信頼性
Appendix
本文中で冗長になりそう事柄
（式の証明など）は付録に回
して読みやすくする
了解性
2. 実験方法の詳細
1. 実験で明らかにしたいこ
との詳細 了解性
2. 1.を明らかにするために
どのような方針を目指す
のか 了解性
3. 実験手順の詳細 再現
性と了解性
4. 予想される結果，効果
有効性
4. Conclusion
1. 実験内容と結果の概要
了解性
2. 実験における問題点 信
頼性
3. 改善方法および考察 将
来性

8. 大前提：パラグラフを意識して書く
論文やレポートはパラグラフライティング
落分けは読みやすくするためではない
段落は文章区切りではなく，意味のまとまり
（紙芝居の1ページと同じ）
1. 各段落に話題は1つ
2. 話題の要約は文章の先頭に
3. 話題の詳細や補助は先頭文の後に
4. 不用意な接続語は置かない
※ 「また」は最たるもので，不用意に使わないこと
http://www.ams.eng.osaka-u.ac.jp/user/ishihara/?p=566
パラグラフライティングの作法パラグラフライティングの作法パラグラフライティングの作法パラグラフライティングの作法
（2017年6月1日閲覧）

9. 分かりやすく書く＆曖昧に書かない
• 一文一義
• 主語述語，目的語を明確に
• ×「値が大きくなることがわかる。」
○「Xが減少するにつれてYの値が大きくなることがわかる。」
• ×「猫は最適な経路を選んでいることがわかる。」
○「猫は総歩行距離が最小となる経路を選んでいることが
わかる。」
http://bcl.sci.yamaguchi-u.ac.jp/texts/paper.pdf
論文の書き方の掟論文の書き方の掟論文の書き方の掟論文の書き方の掟
（2017年6月1日閲覧）

10. 図表は気合を入れて作るべし
1. 図表の位置はページの最上部か最下部
2. 図のキャプションは下，表のキャプションは下
3. 図表のタイトルはキャプションに．図表中に書かない
4. 図表の意味と，そこから読み取れることは文中に明記
5. グラフの縦軸横軸，凡例は忘れないこと
6. 他の文章から引用した図や表は出典を明記
ex. 図XX (文献Aより引用)

11. 数式：変数はイタリック，特殊関数はゴシック
変数や記号の意味は文章を使って説明する
ゴシック

12. 参考文献：書き方を統一しよう
• 既知の事実を述べるときは，必ず文献を引用する
• 知っていることは全て記す，が基本．自分の主張が有利と
なるように隠蔽してはいけない
• 論文：著者, タイトル, 雑誌, 巻, ページ, 発行年
• 著書：著者, 章名, 編集者名(ed) 本の名前, 出版社名, ペー
ジ, 発行年
• ウェブの場合はURLと最終閲覧日．Wikipediaは引用しない
方が良い．arXivはJournalに元論文があれば元論文を引用

13. パラグラフライティングが意識されているか？
短すぎる，あるいは長すぎるパラグラフは構成
に問題があるが，そのようなパラグラフはない
か？
自分で書いていてモヤモヤする部分はない
か？ある場合は推敲がたりないのでチェック．
口語は使わない，である調で書かれている
か？
また，は多用するのは危険．加えて，更に，と
付け加えることが多くなったら箇条書きにする
ことも考えたか？
第三者が読んで，同じ実験が再現できるように
詳しく書かれているか？
ふさわしい形容詞を用いているか？e.g., 次元
が高い，次元数が大きい
句読点が,。．，の混在となっていないか？
同音異義語に注意したか？（対象と対称，特徴
と特長）
とる，という言葉は要注意．抽出する，計算す
る，等におきかえられるものがないか？
グラフは見やすいか（太い線を使う，見やすい
色を用いるなど）
式の直後に意図せぬ改行がないか？
変数はイタリックとなっているか？
変数の説明を忘れていないか？
添え字までベクトル表記にしないか？
cosやexpなどの特殊関数は斜体になっていな
いか？
参考文献は書式が統一されているか？
文中の参考文献・図表番号は正しいか？
セルフチェック

14. レポートから論文へシフトしよう
●やればできる 卒業論文の書き方
http://www015.upp.so-net.ne.jp/notgeld/sotsuron.html
●科学技術論文の書き方
http://www.okada-lab.org/Ronbun/TableOfContents.php
文章上達の唯一の極意
1. 良い本・面白い本を沢山読む
2. 何度も何度も文章を書いて訓練する
（いずれも2017年6月1日閲覧）
最初からうまく書ける人などいない