マスメディアを通じて華々しく報道される遺跡の発掘調査。その舞台裏については、国民が多くを知ることはない。10年くらい前の制作。使用している資料はやや古くなったが、基本的なところは同じ。

1. 「発掘調査の舞台裏」
相 馬 信 吉

2. 「カゴに乗る人 担ぐ人
ワラジを作る人」
●マスメディアに登場する人
●発掘現場指揮・監督する人
●報告書を作る人
●発掘作業をする人
●遺物の整理作業をする人
●予算の交渉する人
●全体計画を立案する人

3. 発掘届出等件数の推移
●ポイントー「バブル崩壊」の影響が顕著

4. 都道府県別発掘届等件数
平成１８年度

5. 緊急発掘調査費用の推移
問ー発掘調査費用は誰が負担するか？
答ー原因者負担の原則

6. 県緊急発掘調査費経年変化

7. 発掘届等の開発事業別件数
平成１８年度

8. 青森県内遺跡数
●問ー現在、青森県内には、遺跡がどのくらいあるか？
●答ー４６４４カ所（平成１９年４月１日現在）

9. 県内遺跡数推移

10. 北海道・東北地区遺跡数
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
北海道 青森 岩手 宮城 秋田 山形 福島
遺跡数(H13)

11. 県内時代別遺跡比率
2.6%
8.8%
40.5%
3.8%0.4%
5.0%
38.6%
0.2% 旧石器
縄文
弥生
古墳
奈良
平安
中世
近世

12. 県内時期別縄文遺跡数
22.7%
50.4%
7.4%
14.3%
5.1%
早期
前期
中期
後期
晩期

13. 県内埋蔵文化財専門職員
●問ー県・市町村あわせてどの位の人数がいるでしょうか？
●答ー合計で９５人（平成１９年度）県４９人 市町村４６人

14. 都道府県別専門職員数

15. 発掘調査→整理→活用
• 発掘調査（グリッド設定→粗掘り→土層観察→
遺構確認→遺構精査→写真撮影→実測図作成→
遺物・分析資料採取）
• 整理・報告書作成（水洗い→注記→接合・復元
→拓本取り→遺物実測→トレース→図版組み・
原稿執筆→報告書刊行）
• 資料の保存と活用（収蔵・保管/保存処理/教育
普及活動）

16. グリッド設定
• 遺跡全体に方眼の升目をかぶせる→遺跡内の所
在を明示するための地番をふる

17. 粗掘り
• 耕作土などの表土を剥ぎ取ることをいう

18. 土層観察
• 断面に見える土色の違い・遺物の出土状況など
を観察する

19. 遺構確認
• 平面的な土色の違い・広がりなどから遺構を確
認する

20. 遺構精査
• 住居跡などを慎重に掘り進めていく

21. 発掘作業時の服装

22. 暑さ対策
• 女性ならではの工夫！

23. 写真撮影
• 遺構を掘り上げた後、記録写真を撮る

24. 実測図作成
• 掘り上げた遺構の平面図・断面図などを作成す

25. 遺物・分析資料採取
• 出土遺物や各種分析資料を取り上げる

26. 水洗い
• 現場から持ち帰った遺物の洗浄を行う

27. 注 記
• 遺物１片ずつに出土情報などを書き込む

28. 微細遺物の注記用具
• 以前はすべて手作業だった

29. 接合・復元
• 土器片などをくっつけたり、足りないところに
石膏を入れたりする

30. 拓本取り
• 主に土器片の文様などを写し取る

31. 石器実測
• 現在はテレビ画面を見ながら形を写し取る

32. 土器実測
• 定規・デバイダーなどの用具で計測する

33. 理化学的分析１
Ｘ線分析
壺形土器
透視例

34. 理化学的分析２
赤外線カメラ
墨書土器
写真例

35. トレース
• 実測図の計測線を写し取る→報告書に使用

36. 図版組み・原稿執筆
• トレースした図や原稿をレイアウトする

37. 報告書刊行
• 調査成果を印刷物にする 300∼500部

38. 収蔵・保管
• 遺物を活用しやすいように整理・保管する

39. 保存処理
• 鉄器や木製品が劣化しないようにする

40. 教育普及活動
• 県民の方に調査成果等をお知らせする

41. 考古学はどんな学問か？
●遺構ー後世の土地開発などによって削平された
ところでは、残らない。
●遺物ー衣服・骨などの有機物は腐って残らな
い。
●現在まで残された遺構や遺物を対象に、過去に
生きた人間の歴史を復元する学問

42. 事例ー竪穴住居跡
• 発掘調査で発見されるものー柱穴・炉跡・土器・
石器などの腐らないもの

43. 事例ー復元住居例
• 失われたものー椀・鉢・皿・ 子などの木製品、
カゴ・ザル、ゴザなどの敷物、食材、柱・梁・屋根
材などの建材、弓、漁網など←ほとんどの物が失わ
れている！分かっていることの方が少ない！

44. 三内丸山遺跡住居復元例
長さ約３２ｍ 幅約１０ｍ

45. 御所野遺跡住居復元例

53. 事例ー「アイスマン」
４０代半ば、身
長約1.6m、体重
54Kg、
右耳たぶに穴の
痕跡（耳飾
り？）、数カ所
に刺青、左肩に
やじり？（衣服
から４人の人間
の血液痕）
1991年、アルプス山中（標高3200m）で
発見された5000年前の遺体

54. 「アイスマン」の復元
• ７０点の遺物から、往時の姿を復元

55. 脱線の時間です！
「大きい・長い・多い」！？

56. 「縄文クッキー」について
●旧石器ねつ造事件をきっかけに、「縄文クッ
キー」の根拠となった「残留脂肪酸分析」の科学
的根拠が否定された。
●「総合的な学習」の一環として、全国の小中学校
でもてはやされた。中でも、食にかかわる「縄文クッ
キー」作りには、人気があった。
●ここで一度リセットする必要がある。知識や科学
は、誤りを克服しながら生み出されていく。