小說選

1. 女工の意図と動機について
日三 B 01122233 陳怡安
１. はじめに
〈セメント樽の中の手紙〉は、プロレタリア文学作家葉山善樹によって 1925
年に《文芸戦線》（プロレタリア文学文学雑誌）に発表された短篇小説である。
3000 字に及ばない極短篇小説だが、労働階級についての描写は非常に深刻で、
読者に深い印象に残されている。
作者である葉山善樹（1894 - 1945）は、日本のプロレタリア文学の作家であ
る。士族の家庭の出身だが、葉山善樹は一生に日本の労働者福祉活動に勤めて
いた。1923 年、労働争議などにかかわり投獄され、獄中でもプロレタリア文
学小説を執筆した。1925 年出獄後、《文芸戦線》に〈セメント樽の中の手紙〉
を発表し、つい文壇の新進作家になった。
加藤邦彦は〈届けられた手紙、送られる返信〉に〈セメント樽の中の手紙〉
手紙の真偽について分析していた。加藤邦彦は、「手紙の内容は虚構」の可能
性があると断定している。では、なぜ女工はわざわざと嘘ばっかりの手紙を書
くのか。虚構な物語に借りても伝えたいことは何だろう。筆者は興味深い。そ
こで、手紙の事故が虚構を前提として女工の意図と動機を分析する。
本レポートは、まず２節で女工の意図を説明し、３節で女工の背後の動機を
分析する。また４節で女工の意図をまとめ、最後に５節で結論をつけ、または
今後の課題を述べる。
２. 女工の意図
手紙の事故の物語を借りて、女工が言いたいことは何だろう。本節は、読者
が手紙を読んで感じたことから女工の意図を推測する。
２.１ 労働者の仕事は危険
「私の恋人は破砕器へ石を入れることを仕事にしていました。そして十月の
七日の朝、大きな石を入れる時に、その石と一緒に、クラッシャーの中へ嵌り
ました」
ほかの仕事のミスはせいぜい会社の迷惑になるぐらいが、労働者のミスは死
亡する恐れがある。労働者の仕事は辛いだけではなく、注意しないと死に至る。
いわゆる命をかける仕事に違いない。労働者の仕事は危険だと判明する。
２.２ 階級の対立
「私の恋人は幾樽のセメントになったでしょうか、そしてどんなに方々へ使
われるのでしょうか。あなたは左官屋さんですか、それとも建築屋さんですか。
私は私の恋人が、劇場の廊下になったり、大きな邸宅の塀になったりするの

2. を見るに忍びません。ですけれどそれをどうして私に止めることができましょ
う！ あなたが、若し労働者だったら、此セメントを、そんな処に使わないで
下さい。」
上流社会の象徴――セメント建築は、どれぐらいの人命をかけて作ったのか。
上流社会の繁栄の背後にあるのは、労働者たちの辛いさ、危険さ、さらに彼ら
の命だ。労働者が一所懸命に作ったセメントは、自分のために使うではなく、
上流社会の人々に使うのだ。そこは、階級の対立を掲示していると分かってい
る。
３. 女工の動機
上の２節は、手紙が伝いたい意図を簡単に分析したが、いったいなぜ、女工
はその意図を持っていたのか。本節は、〈セメント樽の中の手紙〉が発表され
た時点からして、その動機を分析する。
３.１ 「労働者の仕事は危険」の動機について
労働者の仕事は危険ということは、むしろ現代人の常識だ。では、女工はな
ぜ、この点を呼びかけるのか。筆者は以下２点を考えた。
①労働安全の観念を普及
日本の労働安全衛生法の設立は 1972 年（昭和 47 年）1。一方、〈セメント樽
の中の手紙〉の発表は 1926 年（昭和元年）2。つまり、〈セメント樽の中の手
紙〉が発表された時点においては、日本では労働者を保護する法律は欠乏だっ
たと判明されている。日本は 19 世紀後半以降産業革命に進みながら、労働者
に直面する仕事の危険さも激増した。しかし、社会が労働者の生命安全を漠然
した結果、およそ産業革命の百年後労働安全の法律が設立し始めた。故に、当
時の女工は、この小説に通じて世の人に労働安全の必要性を呼びかけたいので
はないかと考える。
②自分の体を大切する重要性
労働者の仕事は危険。気をつけないと体が不自由になったり、死亡したりに
なるのが当然なことだ。しかし、労働者が一旦意外事故が起こると、身内の妻・
恋人・子供はどんなに辛くなるのか。この手紙は、死亡した労働者の恋人から
この物語を掲示した。その用意は、読んでくれた労働者に身内の人々に悲しま
ないように自分の体をしっかり守ろうと呼びかけるじゃないかと考える。
1労働安全衛生法 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%AE%89%E5%85%A8%E8%A1%9B%E7%9
4%9F%E6%B3%95
2葉山嘉樹 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%89%E5%B1%B1%E5%98%89%E6%A8%B9

3. ３.２ 「階級の対立」の動機について
日本は、明治維新から資本主義経済となったが3、近代化と伴い資金が大量
に上流階級に集まったのは、貧富の格差を拡大した。いわゆる経済的不平等で
ある。〈セメント樽の中の手紙〉が発表された時点は、日本の近代政府が成立
したばかり、貧富の格差に対する福祉制度はまだ整備していない。富者は資産
を積みながら、貧者はさらに貧しくなるというのは、当時の実態だった。
①プロレタリアートの実態を政府官員に
上述のとおり、労働階級は非常に辛い一群だが、労働者の辛い現状を改善で
きるのは上流社会の政府官員だった。もし、政府官員が労働者が苦しい現状さ
え知らなかったら、現状を改善するわけではないじゃないかと考える。そのた
め、女工が手紙を書いた用意は、できるだけ多くの政府官員に見られるのでは
ないか。もちろんただのセメント樽の中の手紙では上流社会の政府官員に見ら
れるわけではないが、作者の葉山嘉樹はこの手紙を基づいて小説を書いたので、
女工の目的は、ほぼ達成したではないかと考える。
②社会革命を労働階級に
〈セメント樽の中の手紙〉が発表された時点においては、労働安全と福祉制
度のもまだまだ整備してないし、貧富の格差も非常に多いし。まさに極度不平
等な社会であった。その時点の日本では、日本共産党が成立したばかりで4、
共産主義は社会に芽生えしたということだ。共産主義の核心である概念――労
働階級の不平等は、女工が手紙を通じて一番伝えたいことではないのかと考え
る。また、上が述べたとおり、労働階級を改善する方法の一つは、政府官員の
改善策を期待するということが、もし政府官員が労働階級の実態を知っても動
かなかったら、その時は社会革命の力を借りるしかないではないかと考える。
女工は労働階級に労働者の実態を披露し、不満を一斉に集めるのは、労働階級
が社会革命を行うのを期待するのではないかと筆者は考える。
４. まとめ
上の分析からみると、女工は当時の社会の労働階級が直面したいろいろな問
題点を察し、そして手紙を通じて多くの人に知ってもらおうとした。これが、
女工が手紙を書く真意だと考える（本レポートは事故の内容が虚構を前提とし
て分析した）。ここでは、もう一度女工の意図と動機を説明しようと考える。
3 資本主義 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9
4 日本共産党 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%85%B1%E7%94%A3%E5%85%9A

4. ５. 終わりに
女工の意図と動機からみると、昔の労働者に関連している問題点を観察する
ことができる。もちろん労働者関連の問題はさまざまあるが、女工は直接にそ
の問題をいうのではなく、物語の形でこれらの問題点を自然と読者の心に伝え
る。これこそは、小説が担った任務ではないかと考える
〈セメント樽の中の手紙〉は、おそよ百年以前の小説だったが、女工が改善
してほしい問題点の大半は、今の日本ではほぼ解決したと考える。しかし、日
本以外の国々ではまだ解決していないと思っている。例えば、2015 年 4 月 10
日の台中メトロの事故からみると、台湾では労働者の生命安全をまだ守らない
のだ。そこは、小説を読んだ私たちがこれからやるべきなことではないかと筆
者は実感した。
手紙
労働者の仕事は危険 階級の対立
労働安全の
観念を普及
自分の体を
大切する重
要性
プロレタリ
アートの実
態を政府官
員に
社会革命を
労働階級に
（
意
図
）
（
動
機
）