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めまいの原因
有限会社エイアイコーポレーション
ふじ調剤薬局
寺山 直樹
めまいの原因は?
 メニエール病( 2 %)
 良性発作性頭位めまい症( 50 %)
 前庭神経炎( 5 %)
  →など耳鼻科疾患が約 80 %
 椎骨脳底動脈循環不全症
 頭痛・肩こり( 10 %)
 脳梗塞・不整脈(心房細動) ( 10 %)
 自律神経失調症(起立性低血圧、更年期障害)
 貧血
 高血圧
 低血糖
 薬物によるもの
 心因性
 →など 20 %。 ※重複するものもあります。
内耳(前庭・蝸牛神経)の構造
前庭神経は前庭部より、蝸牛神経は蝸牛より伸びている
外耳から入った音波は、鼓膜から耳小骨を通って蝸牛へ移動します。
内耳(前庭神経)の仕組み( 1 )
※ リンパ液の成分は脳脊髄液の成分と同じ
『半規管』 と 『耳石器』が体
平衡機能に関係しています
内耳(前庭神経)の仕組み( 2 )
半規管:リンパの流れ→膨大部で有毛細胞が感知→ K+ 流入→
     脱分極→前庭神経→前庭神経核→脳
耳石器:耳石が動く→耳石膜が動く→有毛細胞が感知→・・・上に
同じ
内耳(蝸牛神経)の仕組み
内有毛細胞がリンパ液の振動を感知して、求心性神経に出力する。
外有毛細胞は延髄からの遠心性神経が入力される。
コルチ器の構造
ピンク部分
→ 内リンパ液
内耳神経路
めまいの種類
 回転性めまい
 ・・・ぐらぐら感、内耳の障害が原因
 動揺性(浮動性)めまい
 ・・・ふわふわ感、脳幹部の障害が原因
 眠前暗黒感
 ・・・目の前が暗くなる、低酸素が原因
回転性めまい
 内耳(半規管や耳石器)の障害
 前庭神経核への血液不足
 脳幹の障害による間接的作用
脳幹とは、延髄、橋、中脳、間脳(視床・視床下部)
のこと
・ 前庭神経核→橋
・ 血管運動中枢→延髄
・ 自律神経中枢→視床下部
回転性めまいの概略
メニエール病(内リンパ水腫)
 内耳のリンパ液の産生と内リンパ嚢にお
ける内リンパ液の吸収の不均衡による
 リンパ液量の増加→内外リンパ液境界膜
膨張・破裂→前庭部の障害
 蝸牛症状(耳鳴りや難聴)を合併する
 耳鳴りは有毛細胞の異常運動、難聴は有
毛細胞の障害が原因
 60 歳超えてからの発症率は少ない。
 回転性めまいが 30 分~半日以上続く
前庭神経炎
 原因は不明だが、風邪等による前庭神経
へのウイルス感染が疑われる
 めまいは突然起こる
 2 ~ 3 日間に渡る回転性めまい
 吐気、嘔吐を伴うが、蝸牛症状は伴わな
い
 軽快後しばらくふらつき症状が残る
良性発作性頭位めまい症
 耳石器の耳石が耳石膜から剥がれ落ち、
半規管内へ。動き終えた後でも半規管内
で耳石が動いて回転性のめまいを引き起
こす。
 寝返りや起き上がりの際に多く起きる
 止まっていればめまいは治まる
 軽い吐気を伴うことはあるが、蝸牛症状
は伴わない
 頭を動かして耳石を元の位置まで移動さ
せる治療法がある
椎骨脳底動脈循環不全症(1)
脳への血管は、内頚動脈系と椎骨動脈系の2つがあり、このうち椎骨動脈系
の血流量が一時的に減少して起こる病態
椎骨脳底動脈循環不全症(2)
 一過性脳虚血発作(TIA)の一種
 椎骨動脈は脳幹や小脳、内耳等に栄養を送って
る
 高血圧、高脂血症のある人( 50 歳以上)に注
意
 ただし、高血圧→めまいの順か、めまい→高血圧の順
かが重要
 血圧が高めでも安定していれば、めまいの発症
は少ない。不安定の血圧が誘因
 首の上下や回転運動は椎骨動脈を圧迫してめま
いの誘因になる
 主として回転性めまい、視覚障害、四肢の脱力
、顔面しびれ等を伴うことがある
他の神経への入出力
※ 前庭神経核周囲の顔面神経核や三叉神経運動核にも影響を
及ぼして、視覚障害、しびれなどを引き起こす。
一過性脳虚血発作( TIA )
 頻度は内頚動脈系 TIA が約
80 %、椎骨脳底動脈系
TIA が約 20 %
 24 時間以内に後遺症を残
さないで回復する
 送られる先の栄養不足によ
り数々の障害が起こる
動揺性めまいの概略
動揺性めまいの誘発原因
 脳梗塞
 不整脈(心房細動等)
 貧血・・・酸素不足
 低血糖・・・グルコース不足
 自律神経失調症
 他薬剤によるもの
眠前暗黒感の概略
眠前暗黒感の誘発原因
 貧血・・・酸素不足
 低血圧(立ちくらみ等)・・・血液不足
 他自律神経失調症
薬物による内耳障害
 前庭(めまい)障害
 フェノバルビタール
 フェニトイン
 向精神薬系
 プレガバリン   
等
 蝸牛(聴覚)障害
 アミノグリコシド
 アスピリン
 シスプラチン
 フロセミド   等
 
例)
アミノグリコシド:外有毛細胞の壊死
アスピリン:外有毛細胞の細胞膜特性の変化
シスプラチン:外有毛細胞にアポトーシスが引き起こされる
フロセミド:内耳ラセン器の外有細胞に,一時的に作用障害
その他)
アルコールは小脳(前庭小脳)が麻痺させ、眩暈を誘発する
めまいの薬
 メリスロン→内耳循環障害改善
 アデホス→内耳・前庭機能改善
 ストミン→内耳環境血流増加
 セファドール→椎骨動脈循環改善( AT )Ⅱ
 セロクラール→椎骨動脈循環改善( α )
 トラベルミン→嘔吐中枢、迷走神経阻害
ご清聴ありがとうございました。
参考サイト
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9D%B8%E7%89%9B
 http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1p03.pdf
 http://www.nichiiko.co.jp/data2/55630/04_interview/lasix_tf-if05%282%29.
 http://kanri.nkdesk.com/hifuka/atopy.php
 http://www.izu.co.jp/~pro-tecs/miminuki-1.htm
 http://jibika.exblog.jp/tags/%E3%82%81%E3%81%BE
%E3%81%84/
 http://medical.itp.ne.jp/sickness/dic/encyclopedia/17-mimi/0447-
26.html
 http://www.yamamotoclinic.jp/dir25/index.html
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%81%E3%81%BE%E3%81%84
 http://www6.ocn.ne.jp/~n-ent/tokusyu/04_4_2.html
 http://merckmanual.jp/mmhe2j/sec06/ch080/ch080b.html
 http://www.qlife.jp/square/oshiete/story14461.html
 http://www.memainavi.com/

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めまい

Editor's Notes

  1. よく、高血圧や低血糖、他薬の副作用の聞き取りでめまいの有無を確認することがある。まためまいや耳鳴りがするけどなぜ?という質問を受ける機会も少なくはないと思います。
  2. 耳鼻科疾患の割合だけで80%、脳梗塞が約10%、その他の原因が約10%を占めている。 耳鼻科の疾患を理解するために、内耳の構造を解説します。
  3. 前庭神経は前庭部より、蝸牛神経は蝸牛より伸びている。 外耳から入った音波は、鼓膜から耳小骨を通って蝸牛へ移動します。詳しくは蝸牛の抗で解説します。
  4. 内耳にある『半規管』と『耳石器』が体の平衡機能に関係しています。 半規管は3本の細い管でできていて、 3方向の回転を感知します。 半規管の根元を「半規管膨大部」と呼びますが、ここには感覚細胞が存在し、感覚細胞から感覚毛が伸びており、その上をクプラというゼラチン質が覆っています。 「頭が回転すると、半規管の中の内リンパ液と共にクプラも動きます。その動きが感覚毛を通じて感覚細胞に伝わり、脳へ伝達されることで頭の回転が感知されます」 耳石器は水平面に位置する卵形嚢と、垂直面に位置する球形嚢の2つの袋からできています。袋の中には感覚細胞が並び、その上をゼラチン質の耳石膜が覆い、さらに耳石と呼ばれる炭酸カルシウムの結晶が数多くのっています。「頭が前後・左右、上下方向に動くと、卵形嚢と球形嚢の耳石が動いて重さのバランスが変わります。その変化を感覚細胞がキャッチし、脳へ伝えることで頭や体の前後・左右、上下方向の動きが感知されます」 すなわち、半規管は頭や体の回転を感知し、耳石器は前後左右、上下方向の動きを感知していて、これらに何らかの障害が起こると回転性のめまいが起こります。
  5. 蝸牛を輪切りにすると中心部にコルチ器が見える。 音波→外耳道→鼓膜→ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨→卵円窓(前庭窓)→前庭階の外リンパ液の振動→鼓室階の外リンパ液の振動→鼓室階と蝸牛管の境界の膜の 一部でもあるコルチ器の基底膜が振動→3列の外有毛細胞と1列の内有毛細胞が蓋膜(ガイマク)に触れることで毛が折れ曲がる→有毛細胞が脱分極を起こす→有毛細胞が興 奮→蝸牛神経に興奮が伝わる→らせん神経節→橋にある蝸牛神経核→ラセン神経節から入力され、台形体核を経て、大脳皮質(聴覚野)へ入力する。 有毛細胞はピアノの鍵盤のような働きをしていて、あらゆる音を伝えますが、一度傷害された有毛細胞は回復しないため、これが原因で起こる難聴や耳鳴りは治らない。
  6. 内耳の神経路の概略図です。橋にある蝸牛神経核や前庭神経核は大脳皮質だけでなく、小脳や他の神経核へも投射しています。
  7. 一言でめまいと言ってもその症状から幾つかの種類に分けられます。あくまで目安ですが、大体の障害臓器は図のようになります。
  8. 脳幹への血液が不足すれば、前庭からのめまいだけでなく、血管運動中枢や自律神経中枢にも影響が及ぼされて血圧上昇のような症状が起こります。
  9. 回転性めまいを引き起こす代表的疾患には、メニエール病、前庭神経炎、良性発作性頭位めまい症があります。それぞれについて解説します。
  10. メニエール病はめまいの原因のほんの少数 1、内リンパ水腫(内耳のむくみ)によって耳鳴りや難聴を伴った回転性のめまい発作を繰り返しおこす病気です。 しかし、メニエール病の内リンパ水腫がどうしておこってくるかはまだ解っていません。 メニエール病の20-40%は左右両側におこってきます。 しばしばストレスや過労が発作の引き金になります。 3、「めまい」だけで難聴や耳鳴りなどの耳の症状(蝸牛症状)を伴わないメニエール病は、まずないと考えた方が良い 4、メニエール病は60歳以降に初めて起こることはほとんどありません。そこで60歳以上の方が初めて「めまい発作」を起こした場合には、メニエール病以外の病気を考えた方が良いでしょう 5、急に(発作性)回転性めまいが起こり、発作と同時に難聴、耳鳴り、耳閉感などの「耳の症状」を伴います。一旦起こったメニエール病の「めまい発作」は、普通、約30分から6時間程度続きます。そして日にちをおいて、そのような「めまい発作」を何度も繰り返します。 発作を繰り返しているうちに、聴力悪化(低温障害)の程度がひどくなり、めまいが治った後も聴力が改善しなくなってきます。つまり次第に難聴がすすみ、耳が聞こえなくなってくるのです。
  11. 前庭神経炎の原因はまだ分かっていません。めまいが起こる前に風邪(上気道感染)にかかっていることが多いので、その原因として前庭神経へのウイルス感染が疑われています。しかし血管障害(循環障害)、すなわち前庭神経への血管が詰まったり、あるいは血液の流れが悪くなって起こるのではと考えている専門家も多いようです。 前庭神経炎のめまいは、通常、突然に起こり、2~3日激しい回転性のめまいが続きます。そして発病から1週間程度は歩行が困難なほどであることがしばしばです。また吐き気や嘔吐を伴うのが普通です。耳鳴りや難聴は伴いません。その後、少しずつめまいは軽快し、発病後3週間位でほぼめまいは治まりますが、しばらく体動時や歩行時のふらつきが続きます
  12. 良性発作性頭位めまい症は、耳石器の耳石が耳石膜から剥がれ落ちることから生じます。体を動かしたときに耳石も動き、その情報が脳へ伝えられて体の平衡機能が保たれるのですが、なんらかの原因で耳石が剥がれ、半規管の中に落ちると半規管の神経を刺激し、回転性のめまいを引き起こす経過がよく、 良性であり → 「良性」 発作性にぐるぐる回り → 「発作性」 頭の位置によっておこる → 「頭位」 めまいであることから、この名前がつけられました。カルシウムが良く効くことからカルシウム不足が原因ともいわれる。 良性発作性頭位めまい症の「めまい」は、回転性であり、頭を動かさないでじっとしている限りめまいは起りません。
  13. 椎骨動脈と内頚動脈の場所を確認します。 脳底動脈は脳や平衡感覚に関係する部位への血液提供する血管で、首の左右を走るのが椎骨動脈といい、脳の下部で1本になり、脳底動脈となります。この2つを合わせて、「椎骨脳底動脈」といいます。 内頚動脈系領域の血流の減少は脳血管不全症、椎骨脳底動脈系領域の血流低下は椎骨脳底動脈循環不全症といわれています。内頚動脈循環不全症ではふらふら感、椎骨脳底動脈循環不全症では回転性めまいを訴えることが多いと言われています。 椎骨動脈は、脳幹や小脳、後頭葉や内耳にも血液と栄養を送っています。この椎骨動脈または脳底動脈の血流が何らかの原因で滞ると、脳幹や小脳に栄養が届かなくなり、めまいや手足の しびれ、頭痛、目のかすみ、舌のもつれなどの症状を引き起こします
  14. 1、椎骨脳底動脈循環不全症は、一過性脳虚血発作の一種です。 2、さきほど申しましたとおり、脳への血管は、内頸動脈系と椎骨動脈系の二つがある。このうち椎骨動脈系の血流量が一時的に減少しておこる病態です。 椎骨脳底動脈系の一過性虚血による症状としては、回転性めまい、複視、構音障害、四肢の脱力、顔面のしびれ感などが出現します。めまいは最も頻度が高い症状で、首を回したり、体位変換したときに起ります。 3、高血圧症、高脂血症がある人(特に50歳以上の中高年)は椎骨脳底動脈循環不全に注意が必要 高血圧、低血圧でも血圧が恒常に保持されているとき(つまり血圧が安定している場合)、めまいの発症は少ないです。「急激な一過性の血圧変動」 がめまいの発症に大きく関与します。不安定で変動が大きい場合。 4、回転性めまいは脳幹背側部、とくに前庭神経核障害により生じ、その際に前庭神経核周辺にも障害が及ぶとそれに基づく種々の神経症状を合併します。例えば前庭神経核に隣接する三叉神経核にも障害が及びますと口の周囲のしびれ感が出ますし、前庭神経核の頭側にある外転神経核,動眼神経核が障害されますと複視が生じます。回転性めまいは突然出現して数分以内に消失することが多い。 めまいは回転性めまいが多くみられますが浮動性、眼前暗黒感の例もみられ、長くても数分間で消失します。
  15. 一過性脳虚血発作(TIA)の症状は内頚動脈系と椎骨脳底動脈系に大別されますが、その頻度は内頚動脈系TIAが約80%、椎骨脳底動脈系TIAが約20%といわれています。 内頚動脈循環不全症ではふらふら感、椎骨脳底動脈循環不全症では回転性めまいを訴えることが多いと言われています。 椎骨脳底動脈循環不全とは一過性脳虚血発作一種であり、この発作の発現には椎骨動脈系血流量の一過性減少が原因と想定される病態を総称している。回転性めまい(45%)が最も多く、浮動性めまい(25%)、眼前暗黒感(15%)もみられる。 24時間以内に後遺症を残さないで回復するものをいいます。 以降に多い 高血圧症、高脂血症のある人は要注意
  16. ふらふら感を引き起こす疾患
  17. 前庭症状は神経伝達を抑制することによりめまいを生じる 蝸牛症状は内外有毛細胞が傷害されることで引き起こされる