近年、音声アシスタントやバイタルデータの計測などの機能を搭載したイヤフォン型のウェアラブルデバイスであるヒアラブルデバイスが注目されている。これらの機能を悪用して、他者の個人情報や機密情報に不正にアクセスすることを防ぐために、ヒアラブルデバイス向けの認証システムが必要とされ、多くの研究が進められている。しかし、既存の研究は、生体情報を用いたものが多く、生体情報の変化や保存への懸念などの問題を抱えている。そこで、我々は、空間音響技術とヘッドジェスチャを用いた知識ベースの認証システムを提案する。具体的には、音源の組合せをパスワードとし、空間的に提示される音源をヘッドトラッキングと歯の噛み合わせ音で選択することにより認証を行う。

1. 空間オーディオを用いた
ヘッドパスワードの提案と
音源提示手法の最適化
慶應義塾大学
内藤龍
慶應義塾大学
雨坂宇宙
慶應義塾大学
Tian Min
01 概要
02 提案手法
空間オーディオを用いた知識ベース認証
• 音源の組合せ(PIS)をあらかじめ設定
- PIS：Personal Identification Sounds
• 提示される音源をPISの通りに入力し認証
• ヒアラブルデバイスの多機能化
- 個人情報や機密情報の利用
• 認証システムの必要性
背景
• 生体情報ベース認証の研究が多い
• 既存の知識ベース認証は実装困難
- タッチパネルがない
課題
• 生体情報が不要な認証システム
- 空間音響技術による音源キー
- 頭部姿勢推定による音源探索
- 歯の噛み合わせによる音源選択
アプローチ
03 実験1
• アンケート調査
- 認証システムに
適した音源を選択
- GoogleForm
• 類似度が高い音源を排除
- 周波数成分の分析
- コサイン類似度
• 10種類の音源を選定
04 実験2
問い合わせ先 info-lcl-group@keio.jp
慶應義塾大学
杉浦裕太
ヘッドジェスチャによる音源入力
• 空間音響技術により複数の音源をユーザの周囲に提示
• 頭部姿勢推定により次に入力する音源を探索
• 正面に捉えた音源を歯の噛み合わせにより選択
音源の選定
音源の数と位置による
識別容易性
• 21種類の音源の配置
- 数 ：4~10個
- 位置：1~3行
• 指定した音源の位置を特定
• 水平方向に並べる音源は
3個以下が適切
1行 2行 3行
4個 94.4 98.9 100
5個 97.8 98.9 100
6個 93.3 100 98.9
7個 84.4 96.7 100
8個 82.2 91.1 97.8
9個 85.6 88.9 98.9
10個 73.3 90.0 95.6
1行 2行 3行
4個 9.84 7.91 10.26
5個 10.89 9.56 11.46
6個 16.06 11.38 14.45
7個 16.97 15.30 13.69
8個 22.23 18.27 17.21
9個 22.54 20.49 16.77
10個 27.51 24.50 22.02
正答率(%) 回答時間の平均(秒)