ミツマタＰの取り組みの概要と、取り組みの中で感じた、ミツマタを活用するうえでの課題等をまとめたものです。

1. ミツマタＰ
取組の紹介
蒸煮風景

2. ミツマタＰとは
西粟倉村が進める【百年の森林事業】によって
増えている、副産物的森林資源「ミツマタ」を
有効活用するプロジェクト。
・自生ミツマタの出荷、加工、販売
・耕作放棄地での栽培、加工、販売
・和紙への加工・販売
・出張ワークショップ
などを主に行っている。

3. ミツマタとは？
• じんちょうげ科の落葉低木で、中国中南部、ネパー
ル地方が原産といわれ、日が適度に当たり、かつ水
はけが良い場所が栽培適地とされている。3月下旬
ころから黄色い花を咲かせ、シーズンには行楽客を
呼ぶ。
• (南は宮崎、北は埻玉で自生の記事を見かける。国
内栽培発祥は静岡天竜地域）
• 楮（こうぞ）、雁皮（がんぴ）と並んで、主に高級
和紙の原料として多く使われている。
• 日本銀行券の原料の一部として使用されていること
でも有名。（明治12年より日本銀行券の原料に）

4. ミツマタの花

5. ミツマタ自生の様子(西粟倉私有林）
ミツマタ自生の様子(鳥取道）

6. 資源化の方法
• 原木で出荷
• 白皮で出荷
• 和紙にして販売

9. ミツマタの換金能力
• 原木・・・1kg
48～53円
※真庭市ミツマタ工場買取価格
• 白皮・・・1kg 2600～2800円
※国立印刷局買取（30kg78000円～84000円を基準）
• 和紙製品・・・値付け次第
※自分で値段を付けるのが大切
※歩留まりを原木100％とした場合、白皮は約7％、製
品は約3.5％と言われている。
※白皮の局納を専門的にやっているところでは、70梱
包出荷でとんとん(1人雇用+バイト）

10. なぜミツマタなのか
• 獣害が殆ど無い（シカやイノシシが食べ
ない）
獣害対策コストがかからない
• ほっておいても生えてくる（栽培適地）
年2回の草刈り程度という声も
• 需要に対して供給がかなり不足している
局納という確実な販売ルート
• 森林の副産物（スギやヒノキとの混植も
可能）
これからの森づくりに必要。風景維持

11. 実施状況
• 原木出荷を西粟倉村民、その他参加者と実施
5591㎏出荷（業者引き取り価格￥48/ｋｇ）
出荷者平均約￥27,000-売り上げ
• 和紙製品を「あわくら和紙」として展開中。
和紙雑貨販売、地域文化施設でのワークショッ
プなど
• 世界初のＦＳＣ認証ミツマタ和紙を生産。カンバ
シとして商品化し、ドイツＦＳＣ本部にコレク
ションされている。
• 50年ぶりに西粟倉村からミツマタの局納が完了。
関連取材が新聞4社、テレビ4社（2013.12現在）
• ミツマタ研修（体験希望者、神奈川県大手採石業
者など）

12. 初期の製品売り場
中学生就農体験
村民との原木出荷
ミツマタ吟行ツアー
うちわ作り体験
ＷＳ

13. ＦＳＣ事務局総会でのカンバシお披露目

14. 課題
1. 人手(組織化）が必要。設備投資やコストが
ある程度かかるため、集約化が効果的
2. 機械化が進んでいない。自分たちでの技術
の習得と工夫が必要(工夫が生きるとも言え
る）
3. 熟練工かつ年金受給者、兼業農家という立
ち位置が主流
4. 【ミツマタ】という市場は局納以外無い。
5. 「紙」はありふれている。ミツマタ和紙は
価格的に日常使いのものにならない。

15. 必要な展開
ミツマタの計画的な栽培
・1反5000本（定植3年目より1ｋｇ/本収獲）
・可能であれば森林の持ち主等と、10年先を見据えた計画の中で行う。
種取から収穫まで約6年を要する。
・放棄地の場合、水を張れば、1年で根が腐るので、返還は容易
ひとひねり加えた和紙製品を製作、販売
・製品と作品の間を狙うことで、意義と目的が一致し安定した販売に繋が
る
プロジェクトからプロデュースに
・現在実施の地域の生産者、プロジェクト参加者増加によるインパクトこ
そが大切
・県内外へのソフト展開が有効。中山間地の栽培資源として有効な選択肢
。
文化的視点を加える
・新たな顧客の創造。「持続的」という視点、ＥＳＤの盛り上がり

16. ミツマタを活用する上で
• 何を目的とした取り組みなのか？
– 産業作り？
– 技術の継承？
– 森林資源、耕作放棄地活用？
• 長期的な動き方が可能か？
– 種取から収穫まで6年必要
• キャッシュポイント(換金形態）はどこに
定めるか？
– 原木、白皮、和紙製品