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ボードゲームと図書館の

基本的なお話

ウニゲームス
2020/11/06 第20回図書館総合展 図書館とゲーム部
ボードゲームのカタログと未来:
図書館でボドゲやりたいから目録が必要な件について
ウニゲームスって誰?何やってるの?

ボードゲームを製作しています。
学術・教育系ゲーム専門です。
ボードゲームカタロギングWGの言い出しっ
ぺです。
2
制作したゲーム

真贋のはざまで カリフ
協力: 東京藝大・西洋美術史研究者 監修: イスラーム法学者・中田考先生
3
ボードゲームって何?

広義ではテーブルトップゲームとも言って、ゲーム機を使わないゲームのこと
● モノポリー
● 人生ゲーム
● 麻雀
● チェス
● 囲碁
● ポーカー
● 七ならべ
● 神経衰弱
● 花札
4
ボードゲームってはやってるの?

5
どこでボードゲームをやってるの?

● 日本ではボードゲームカフェや個人・
企業が開催するボードゲームイベント
などが中心。
● 日本国外では学校や図書館でボード
ゲームを導入しているケースも多い。
● 子どもの療育や企業の研修に用いら
れるボードゲームもある。
● 最近ではデジタル化されたボードゲー
ムがオンラインで遊べる。
6
ボドゲここがいい!

● 複数人で一緒に遊べる
● 終わる時間が決まっている
● 電気がなくてもできる
● 色んな物体を触れる
● 美しい、目に楽しい
● 追加の課金がほとんどない
● 語学力が身に付きやすい
ボドゲここがダメ!

● 場所をとる
● 対面で遊ぶ場合は感染症対策が
必要
7
なんでボドゲを図書館に入れるの?
それが資料だからです。
8
なんでボドゲを図書館に入れるの?
「「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一
般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーシヨン等に資することを
目的とする施設」(図書館法第二条)
「郷土資料、地方行政資料、美術品、レコード及びフィルムの収集にも十分留意し
て、図書、記録、視聴覚教育の資料その他必要な資料(電磁的記録(電子的方式、
磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られた記
録をいう。)を含む。以下「図書館資料」という。)を収集し、一般公衆の利用に供す
ること。」(図書館法第三条一)
9
なんでボドゲを図書館に入れるの?
マンガは?ラノベは?映画は?音楽CDは?
「本」しか入れちゃいけない理由はなんですか?
● ゲームは我が国における主要な文化・表現形態のひとつ
● 芸術や文学と同等のものとしてアーカイブ構築が必要
10
なんでボドゲを図書館に入れるの?
※「ボドゲを図書館に入れなければならない」訳ではありません。
● 資料の収蔵基準は館によって違います。
● あくまで「入れることができるようにする」が目的
11
ボドゲ制作者は嫌じゃないの?
12
「嫌だ」という制作者は1/6程度
● マダミス・レガシー系
● 図書館がうるさくなり、ボード
ゲームが迷惑がられるのが嫌
なんでボドゲ専用の目録規則が必要なの?
ボドゲが本と全然違うからです。
● 図書館で資料を収蔵・管理するにはそもそも目録が必要
目録がないと「どういうものが・どこにあるのか」が正確にわからない・探せない
○ 作品名
○ 著者名
○ 出版社名
○ 出版年度
○ (パッケージ)サイズ
13
● 分類記号
● コンポーネント
● 価格
● メカニクス
● フレーバー
……などなど
ボドゲと本は何が違うの?
14
ボードゲームには伝統的に
● メカニクス
● フレーバー
という分類の方法があります。
メカニクスって何?

● ゲームのルールを決める元になる「仕組み」のこと
● メカニクスの数は有限(約60-300個)なので、大抵のゲームのメカニクスは共通して
いる
15
● 出目移動 - サイコロを振って進む
● セットコレクション - 特定のカードや
チップなどを集めて「役」を作る
● 完全情報 - 運の要素が一切入らない
● チーム戦 - 複数人でチームに分かれ
て競う
● デッキ構築 - 場札を獲得して自分の
能力を増強する
● 協力プレイ - 競うのではなく協力して
目的を達成する
● オークション - 競りを行ってカードやア
イテム等を獲得する
フレーバーって何?

● ゲームの雰囲気を決めるストーリーや
設定のこと
● 大抵みんなここで独自性を出している
16
ボドゲと本とは何が違うの?
メカニクスやフレーバーは1つのゲームにつき複数あることが当たり前
● 「チーム戦」かつ「セットコレクション」
● 「出目移動」かつ「オークション」
● 「スチームパンク」な「クトゥルフ神話」
17
従来のツリー型分類が適さない。
→ファセット分類を導入する必要がある。
既存のデータベースではだめなの?
ボドゲーマ
18
Board game geek
既存データベースの利点と課題
ユーザー参加の利点
● 速報性が高い
● 網羅性が高い
● 一般ユーザーが使いやすい
● 編集の自由度が高い
課題
● 情報の正確さや細かさにばらつき
● 情報の抜け・もれ
● 時間経過による変化が追いづらい
→研究者にとっては困る
19
100年後まで使える情報を残したい!
今後みなさんに手伝ってほしいこと
20
ボドゲ勢の皆さん
● 近隣の図書館に行ってみる
● 図書館を利用してみる
● 概念モデル案を見てツッコミを入
れる
● メカニクスの定義を話し合う
図書館の皆さん
● ボドゲを触る・やってみる
● 収蔵の課題を洗い出す
● 概念モデル案を見てツッコミを入
れる
● 他の人にこの話をする
WE WANT YOU!!

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