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学習会「道州制について」レジュメ
2013.1.18
報告/須藤
1.道州制の登場の経緯
(1)過去の道州制に関する主な動き
→過去にいくつもの案が出てきたものの、実現には至らず。
1927 年 田中義一内閣による州庁設置構想(府県の上に州庁をおくもの)
1945 年 地方総監部設置案
1957 年 第 4 次地方制度調査会による道州制案
府県の廃止と官選(民選ではない)地方長を置く案を提起。反対が強く実現せず。
※その後、経済界や国、自治体、民間団体などから、100 を超える道州制構想が出される。
(2)近年の道州制に関する主な動き
1989 年 臨時行政改革推進審議会(臨時行革審)の第 2 次答申
経済のグローバル化をふまえ「都道府県制に代わる広域的な地域行政主体の形 成をめざすべき」と提
言。
2006 年 2 月 第 28 次地方制度調査会が、「道州制のあり方」について答申。
これに基づき、道州制特区推進法を制定(実際には北海道のみが対象)。
2006 年 9 月以降 安倍内閣に「道州制担当大臣」を設置
2007 年 1 月 道州制担当大臣の下に「道州制ビジョン懇談会」を設置
2008 年 3 月に中間報告を発表したが、2009 年 8 月の政権交代を受け、同懇談会は消滅。
2008 年 11 月 日本経団連が「道州制の導入に向けた第 2 次提言」を発表。
2012 年 9 月 自民党の道州制推進本部が「道州制基本法案(骨子案)」を発表。
2.現在検討されている道州制の主な中身
○都道府県を廃止して、全国に 10 程度の道州を設置。
→国・道州・基礎自治体(市町村)の 3 層構造に。
○国・道州・基礎自治体(市町村)の役割分担を見直す。
→国は「国家の存立に関わるもの」等、道州は「広域行政」等、基礎自治体は「住民に身近 な事務」等を担う。
○道州の首長と議員は、直接選挙で選出する。
○道州の税・財源は、中央政府に依存しない税・財源とするとともに、必要な財政調整制度を設ける。
3.道州制の導入に向けた計画
自民党の計画は、以下の 3 段階で道州制を実現するというもの、
(1)「道州制基本法」の制定
→マスコミ報道によると、自民党の道州制推進本部は、きたる 1 月 28 日召集の通常国会に、法案を議員立法で
提出する予定とのこと。
(2)その後、「道州制実施法」の作成
(3)国と地方の協議の場で合意を得て、「道州制法」を制定する。
4.道州制の内容をめぐる主な主張
(1)佐々木信夫著『道州制』(59~60 頁)によるまとめ
●推進論の掲げるメリット
①行財政基盤を強化する。
②行政サービスが向上する。
③魅力ある地域圏、都市圏が形成できる。
④経済生活圏と行政圏を一致させる。
⑤大都市圏の一体的運営で経済活力も向上できる。
●反対論の掲げるデメリット
①そもそも国民は、道州制を望んでいるとは考えにくい。府県で育んだ文化を失う。
②制度を変える前に、現行の都道府県で広域連合をつくり広域対応したらどうか。
③道州制であまり区域を広げると、自治体に地域住民の声が届かなくなる。
④各道州の間で経済格差が広がり、勝ち組、負け組がはっきりしてしまう。
⑤あまり道州の権限を強くすると、国家全体が統一性を失いバラバラになる。
(2)その他の反対論
○国・道州・基礎自治体という垂直的三層構造は、日本国憲法の地方自治の理念と相容れない。
○推進論はメリットの 1 つとして、人件費削減(公務員削減)を挙げるが、日本の公務員は諸外国と比較するとむしろ
少ない。
○ナショナルミニマムの解体が進み、住民の福祉が切り下げられる。
○(上記の反対論③と関連して)憲法上の地方自治の規定に抵触する。
5.主な参考文献
○佐々木信夫『道州制』(2010 年)
○岡田知弘『増補版・道州制で日本の未来はひらけるか』(2010 年)
○その他、上記レジュメ中で掲げたもの。
以 上

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学習会「道州制について」レジュメ

  • 1. 学習会「道州制について」レジュメ 2013.1.18 報告/須藤 1.道州制の登場の経緯 (1)過去の道州制に関する主な動き →過去にいくつもの案が出てきたものの、実現には至らず。 1927 年 田中義一内閣による州庁設置構想(府県の上に州庁をおくもの) 1945 年 地方総監部設置案 1957 年 第 4 次地方制度調査会による道州制案 府県の廃止と官選(民選ではない)地方長を置く案を提起。反対が強く実現せず。 ※その後、経済界や国、自治体、民間団体などから、100 を超える道州制構想が出される。 (2)近年の道州制に関する主な動き 1989 年 臨時行政改革推進審議会(臨時行革審)の第 2 次答申 経済のグローバル化をふまえ「都道府県制に代わる広域的な地域行政主体の形 成をめざすべき」と提 言。 2006 年 2 月 第 28 次地方制度調査会が、「道州制のあり方」について答申。 これに基づき、道州制特区推進法を制定(実際には北海道のみが対象)。 2006 年 9 月以降 安倍内閣に「道州制担当大臣」を設置 2007 年 1 月 道州制担当大臣の下に「道州制ビジョン懇談会」を設置 2008 年 3 月に中間報告を発表したが、2009 年 8 月の政権交代を受け、同懇談会は消滅。 2008 年 11 月 日本経団連が「道州制の導入に向けた第 2 次提言」を発表。 2012 年 9 月 自民党の道州制推進本部が「道州制基本法案(骨子案)」を発表。 2.現在検討されている道州制の主な中身 ○都道府県を廃止して、全国に 10 程度の道州を設置。 →国・道州・基礎自治体(市町村)の 3 層構造に。 ○国・道州・基礎自治体(市町村)の役割分担を見直す。 →国は「国家の存立に関わるもの」等、道州は「広域行政」等、基礎自治体は「住民に身近 な事務」等を担う。 ○道州の首長と議員は、直接選挙で選出する。 ○道州の税・財源は、中央政府に依存しない税・財源とするとともに、必要な財政調整制度を設ける。 3.道州制の導入に向けた計画 自民党の計画は、以下の 3 段階で道州制を実現するというもの、
  • 2. (1)「道州制基本法」の制定 →マスコミ報道によると、自民党の道州制推進本部は、きたる 1 月 28 日召集の通常国会に、法案を議員立法で 提出する予定とのこと。 (2)その後、「道州制実施法」の作成 (3)国と地方の協議の場で合意を得て、「道州制法」を制定する。 4.道州制の内容をめぐる主な主張 (1)佐々木信夫著『道州制』(59~60 頁)によるまとめ ●推進論の掲げるメリット ①行財政基盤を強化する。 ②行政サービスが向上する。 ③魅力ある地域圏、都市圏が形成できる。 ④経済生活圏と行政圏を一致させる。 ⑤大都市圏の一体的運営で経済活力も向上できる。 ●反対論の掲げるデメリット ①そもそも国民は、道州制を望んでいるとは考えにくい。府県で育んだ文化を失う。 ②制度を変える前に、現行の都道府県で広域連合をつくり広域対応したらどうか。 ③道州制であまり区域を広げると、自治体に地域住民の声が届かなくなる。 ④各道州の間で経済格差が広がり、勝ち組、負け組がはっきりしてしまう。 ⑤あまり道州の権限を強くすると、国家全体が統一性を失いバラバラになる。 (2)その他の反対論 ○国・道州・基礎自治体という垂直的三層構造は、日本国憲法の地方自治の理念と相容れない。 ○推進論はメリットの 1 つとして、人件費削減(公務員削減)を挙げるが、日本の公務員は諸外国と比較するとむしろ 少ない。 ○ナショナルミニマムの解体が進み、住民の福祉が切り下げられる。 ○(上記の反対論③と関連して)憲法上の地方自治の規定に抵触する。 5.主な参考文献 ○佐々木信夫『道州制』(2010 年) ○岡田知弘『増補版・道州制で日本の未来はひらけるか』(2010 年) ○その他、上記レジュメ中で掲げたもの。 以 上