SlideShare a Scribd company logo
1 of 3
2008 年 2 月 11 日
                  大変革をもたらす「サービス化」
                  大変革をもたらす「サービス化」という潮流

                                             Fusion Reactor LLC CEO 徳田 浩司


今、世界では、ビジネスの競争原理が大きく変わりつつあります。これまでの「ものづくり」をベースにし
たビジネスから、「サービス化」を軸にしたビジネスの時代になりつつあるということを、米国シリコンバレー
でベンチャー投資や IT コンサルティングに携わりながら、日々感じています。今回は、その動きを、私が深
く関与する IT 業界を事例として説明してみたいと思います。


言うまでもありませんが、初期の IT 産業は、ハードウエアを売ることで利益を確保するというビジネスも
出るものでした。どちらかというと、ソフトウエアはハードウエアの「おまけ」のように扱われていたことをご
記憶されているかたも多いと思います。


しかし、大型コンピュータから PC へとハードウエアのダウンサイジング化が進んだことから、ハードウエ
アを販売することでの利益確保が困難になり、ビジネスの重点がソフトウエアへと次第にシフトして行きま
す。IBM が PC 部門を売却してしまったのは、その象徴とも言える出来事でした。
最近では、インターネットの普及によって、SaaS(Software as a Service)や ASP(Application Service
Provider)と呼ばれる、「サービス化」へのシフトが進展していることがあげられるでしょう。


これは、企業や個人がソフトウエアを資産として購入するのではなく、ネットワークを通して社外の情報
処理サービスの提供を受けるというものです。ハードウエアとソフトウエアを資産として購入するのではな
く、使用量にあわせて料金を払うといった、「ユーティリティモデル」がさまざまなところで導入されてきてい
るのです。


それを分かりやすくするため IT 業界(ソフトウエア業界)の業界構造を、図にして説明してみます。




最下層に、マイクロソフトに代表される OS(オペレーションシステム)が基盤としてあり、その上層部に、ミ
ドルウエアと呼ばれる、さまざまなアプリケーションツールを連携するソフト。その上には、経理システムな
どの情報処理をになうアプリケーションシステムがあります。そして最上層部には、ユーザーが使えるよう
にシステム開発を提供するインテグレーションが存在します。


この「サービス化」の流れは、業界内に非常に大きな影響を及ぼしています。これまで、個別企業が一
から自社開発していたコンピュータシステムですが、オープン化・標準化が進展していき、アプリケーション
がインテグレーション領域を侵食していきます。これまで、インテグレーションは、言葉の壁で守られていた
のですが、インド・中国の台頭により、ついに海外へ移管(オフショアリング)されるケースが増えていくでし
ょう。さらに、SaaS、ASP などによる Web 上でのサービス化が進むと、図にあるように、国内 IT 業界の大半
の占める、システムインテグレーターたちの対象となる市場はどんどん小さくなり、業界は大打撃を受ける
可能性が高くなるものと考えられます。


アメリカでは、2000 年の IT バブル崩壊後、一気にこの流れが加速し、システムインテグレーションの多く
は主にインドなど海外に流出しましたが、次に同様の現象が起こるのは日本ではないでしょうか。これら
のことから、以下のことが起こると考えられます。


 ●世の中のインフラは次第に世界共通になる。ユーザー数は非常に大きくなり、しだいに安く提供する
  ことができる。しかも、使用量でコストを決めるユーティリティモデルが優勢となってくるため、ますます
  導入コストが安くなり、普及の速度が速くなる。


 ●ソフトもハードも、多くのベンダー企業が存在していたのが、次第にいくつかの企業に集約される。ソ
  フトやハードづくりは、そこに提供する一部の企業だけですんでしまうからだ。


 ●これがさらに進むと、マーケットに大きな変化が起こる。その 1 つの例として Google の動きが挙げられ
  る。Google はウェブ上で強力な集客力を持ち、広告モデルが成立するため、利用者にさまざまなサー
  ビスを無料で提供できる。もし、これまでさまざまなパッケージソフトベンダーやインテグレーターが有
  料で提供していたソリューションを、無料サービスとして提供し始めるとどうなるだろうか?高いシェア
  とユーザーを持つ強力なツールベンダー以外は、一気に吹き飛んでしまう可能性が高い。


こういった流れに対抗意識を燃やすマイクロソフトが、先日、ヤフーへの買収提案を行いました。ソフトウ
エアパッケージ販売だけでは成長が頭打ちになると危機感を感じ、新たな打開策として 選択されたのが、
Yahoo への買収提案だったと想像しています。つまり、これまでソフトの売り上げで莫大な収益を得てきた
マイクロソフトですら、サービス化へのギアチェンジを決断したということなのです。


上記のことは、IT 業界だけではなく、多くの業界でも進行していると考えてもいいでしょう。
サービス化が進展することで、ものづくりのビジネスが大きな影響を受けるようになります。生き残るのは
非常に厳しい時代ですが、この流れを積極的にとらえ、サービスの品質で勝負しようとする日本企業は、
世界市場で成功する可能性を秘めていると感じます。


                                           (日経トップリーダー寄稿)
徳田 浩司(トクダ コウジ)
Fusion Reactor LLC(在米国シリコンバレー)社長
三和銀行、三和総研、三菱商事証券などで、システムコンサルティング、ベンチャー投
融資などに従事。2004 年に独立、米国シリコンバレーで、ベンチャーサポート、IT・金
融ビジネスのコンサルティング、ワイヤレス・ブロードバンド・ソリューションの開発・ベ
ンチャー経営、老舗スポーティング・グッズ・メーカの米国代表などに従事。




             本件に関するご意見・お問い合わせ


                  Fusion Reactor LLC
                   代表;
                   代表; 徳田 浩司
           050-5534-      国内電話で通じます)
     電話 日本 050-5534-5314 (国内電話で通じます)
             E-mail: info@fusion-reactor.biz
                     info@fusion-
           http://www.fusion-
    ホームページ http://www.fusion-reactor.biz/japanese

More Related Content

Similar to 大変革をもたらす「サービス化」という潮流

Svmf12月例会ver1.0.ppt
Svmf12月例会ver1.0.pptSvmf12月例会ver1.0.ppt
Svmf12月例会ver1.0.pptHiroshi Yagi
 
Helpfeel User Manual Search サービス資料.pdf
Helpfeel User Manual Search   サービス資料.pdfHelpfeel User Manual Search   サービス資料.pdf
Helpfeel User Manual Search サービス資料.pdfmkomatsu1
 
[G-Tech2015]攻めのITとは、それを実現する人材とは ~IT関係者は期待されている!そして期待に応えるために!~ - 日本情報システム・ユーザ...
[G-Tech2015]攻めのITとは、それを実現する人材とは ~IT関係者は期待されている!そして期待に応えるために!~ -  日本情報システム・ユーザ...[G-Tech2015]攻めのITとは、それを実現する人材とは ~IT関係者は期待されている!そして期待に応えるために!~ -  日本情報システム・ユーザ...
[G-Tech2015]攻めのITとは、それを実現する人材とは ~IT関係者は期待されている!そして期待に応えるために!~ - 日本情報システム・ユーザ...Trainocate Japan, Ltd.
 
Innovation, how to make it
Innovation, how to make itInnovation, how to make it
Innovation, how to make itOsaka University
 
Rtocs#10:mixiの成長戦略
Rtocs#10:mixiの成長戦略Rtocs#10:mixiの成長戦略
Rtocs#10:mixiの成長戦略Koh Takahashi
 
ラボラトリーオートメーションのためのソフトウェア思想教育(非プログラマ―が知っておくべきプログラミングの本質)
ラボラトリーオートメーションのためのソフトウェア思想教育(非プログラマ―が知っておくべきプログラミングの本質)ラボラトリーオートメーションのためのソフトウェア思想教育(非プログラマ―が知っておくべきプログラミングの本質)
ラボラトリーオートメーションのためのソフトウェア思想教育(非プログラマ―が知っておくべきプログラミングの本質)Tokoroten Nakayama
 
世界のスタートアップ情勢と知る人ぞ知る注目企業とは?
世界のスタートアップ情勢と知る人ぞ知る注目企業とは?世界のスタートアップ情勢と知る人ぞ知る注目企業とは?
世界のスタートアップ情勢と知る人ぞ知る注目企業とは?Kazuaki ODA
 
ビジネスモデル検討に影響を与える新たなビジネス環境の変化
ビジネスモデル検討に影響を与える新たなビジネス環境の変化ビジネスモデル検討に影響を与える新たなビジネス環境の変化
ビジネスモデル検討に影響を与える新たなビジネス環境の変化Hiroshi Takahashi
 
JPC2018[E3]NoOps で進める! Microsoft 365 提案のポイント
JPC2018[E3]NoOps で進める! Microsoft 365 提案のポイントJPC2018[E3]NoOps で進める! Microsoft 365 提案のポイント
JPC2018[E3]NoOps で進める! Microsoft 365 提案のポイントMPN Japan
 
製造業のサービス化論課題
製造業のサービス化論課題製造業のサービス化論課題
製造業のサービス化論課題Yasuji Suda
 
Digitalizationの進展とビジネスモデル変革
Digitalizationの進展とビジネスモデル変革Digitalizationの進展とビジネスモデル変革
Digitalizationの進展とビジネスモデル変革Hiroshi Takahashi
 
LiBRA 09.2020 / DXとこれからのビジネス for User
LiBRA 09.2020 / DXとこれからのビジネス for UserLiBRA 09.2020 / DXとこれからのビジネス for User
LiBRA 09.2020 / DXとこれからのビジネス for UserMasanori Saito
 
Watson summit 2016 コグニティブ時代に求められる事業継続性のビジョン
Watson summit 2016 コグニティブ時代に求められる事業継続性のビジョンWatson summit 2016 コグニティブ時代に求められる事業継続性のビジョン
Watson summit 2016 コグニティブ時代に求められる事業継続性のビジョンTakashi Mukaida
 
Io tビジネスモデルに関する考察20161119
Io tビジネスモデルに関する考察20161119Io tビジネスモデルに関する考察20161119
Io tビジネスモデルに関する考察20161119Keiichiro Nabeno
 
IoTの「I」をカタチにする~インターネット企業が取り組むスピーディなIoT参入への挑戦~
IoTの「I」をカタチにする~インターネット企業が取り組むスピーディなIoT参入への挑戦~ IoTの「I」をカタチにする~インターネット企業が取り組むスピーディなIoT参入への挑戦~
IoTの「I」をカタチにする~インターネット企業が取り組むスピーディなIoT参入への挑戦~ Koichi Sasaki
 
Itreview for_veondors
Itreview for_veondorsItreview for_veondors
Itreview for_veondorsYUI Azumai
 
第11回SIA例会プレゼン資料
第11回SIA例会プレゼン資料第11回SIA例会プレゼン資料
第11回SIA例会プレゼン資料Tae Yoshida
 
エンジニアのキャリアを考える
エンジニアのキャリアを考えるエンジニアのキャリアを考える
エンジニアのキャリアを考えるMKT International Inc.
 

Similar to 大変革をもたらす「サービス化」という潮流 (20)

リーンスタートアップをどう実践するのか
リーンスタートアップをどう実践するのかリーンスタートアップをどう実践するのか
リーンスタートアップをどう実践するのか
 
20201105 pmconf2020
20201105 pmconf202020201105 pmconf2020
20201105 pmconf2020
 
Svmf12月例会ver1.0.ppt
Svmf12月例会ver1.0.pptSvmf12月例会ver1.0.ppt
Svmf12月例会ver1.0.ppt
 
Helpfeel User Manual Search サービス資料.pdf
Helpfeel User Manual Search   サービス資料.pdfHelpfeel User Manual Search   サービス資料.pdf
Helpfeel User Manual Search サービス資料.pdf
 
[G-Tech2015]攻めのITとは、それを実現する人材とは ~IT関係者は期待されている!そして期待に応えるために!~ - 日本情報システム・ユーザ...
[G-Tech2015]攻めのITとは、それを実現する人材とは ~IT関係者は期待されている!そして期待に応えるために!~ -  日本情報システム・ユーザ...[G-Tech2015]攻めのITとは、それを実現する人材とは ~IT関係者は期待されている!そして期待に応えるために!~ -  日本情報システム・ユーザ...
[G-Tech2015]攻めのITとは、それを実現する人材とは ~IT関係者は期待されている!そして期待に応えるために!~ - 日本情報システム・ユーザ...
 
Innovation, how to make it
Innovation, how to make itInnovation, how to make it
Innovation, how to make it
 
Rtocs#10:mixiの成長戦略
Rtocs#10:mixiの成長戦略Rtocs#10:mixiの成長戦略
Rtocs#10:mixiの成長戦略
 
ラボラトリーオートメーションのためのソフトウェア思想教育(非プログラマ―が知っておくべきプログラミングの本質)
ラボラトリーオートメーションのためのソフトウェア思想教育(非プログラマ―が知っておくべきプログラミングの本質)ラボラトリーオートメーションのためのソフトウェア思想教育(非プログラマ―が知っておくべきプログラミングの本質)
ラボラトリーオートメーションのためのソフトウェア思想教育(非プログラマ―が知っておくべきプログラミングの本質)
 
世界のスタートアップ情勢と知る人ぞ知る注目企業とは?
世界のスタートアップ情勢と知る人ぞ知る注目企業とは?世界のスタートアップ情勢と知る人ぞ知る注目企業とは?
世界のスタートアップ情勢と知る人ぞ知る注目企業とは?
 
ビジネスモデル検討に影響を与える新たなビジネス環境の変化
ビジネスモデル検討に影響を与える新たなビジネス環境の変化ビジネスモデル検討に影響を与える新たなビジネス環境の変化
ビジネスモデル検討に影響を与える新たなビジネス環境の変化
 
JPC2018[E3]NoOps で進める! Microsoft 365 提案のポイント
JPC2018[E3]NoOps で進める! Microsoft 365 提案のポイントJPC2018[E3]NoOps で進める! Microsoft 365 提案のポイント
JPC2018[E3]NoOps で進める! Microsoft 365 提案のポイント
 
製造業のサービス化論課題
製造業のサービス化論課題製造業のサービス化論課題
製造業のサービス化論課題
 
Digitalizationの進展とビジネスモデル変革
Digitalizationの進展とビジネスモデル変革Digitalizationの進展とビジネスモデル変革
Digitalizationの進展とビジネスモデル変革
 
LiBRA 09.2020 / DXとこれからのビジネス for User
LiBRA 09.2020 / DXとこれからのビジネス for UserLiBRA 09.2020 / DXとこれからのビジネス for User
LiBRA 09.2020 / DXとこれからのビジネス for User
 
Watson summit 2016 コグニティブ時代に求められる事業継続性のビジョン
Watson summit 2016 コグニティブ時代に求められる事業継続性のビジョンWatson summit 2016 コグニティブ時代に求められる事業継続性のビジョン
Watson summit 2016 コグニティブ時代に求められる事業継続性のビジョン
 
Io tビジネスモデルに関する考察20161119
Io tビジネスモデルに関する考察20161119Io tビジネスモデルに関する考察20161119
Io tビジネスモデルに関する考察20161119
 
IoTの「I」をカタチにする~インターネット企業が取り組むスピーディなIoT参入への挑戦~
IoTの「I」をカタチにする~インターネット企業が取り組むスピーディなIoT参入への挑戦~ IoTの「I」をカタチにする~インターネット企業が取り組むスピーディなIoT参入への挑戦~
IoTの「I」をカタチにする~インターネット企業が取り組むスピーディなIoT参入への挑戦~
 
Itreview for_veondors
Itreview for_veondorsItreview for_veondors
Itreview for_veondors
 
第11回SIA例会プレゼン資料
第11回SIA例会プレゼン資料第11回SIA例会プレゼン資料
第11回SIA例会プレゼン資料
 
エンジニアのキャリアを考える
エンジニアのキャリアを考えるエンジニアのキャリアを考える
エンジニアのキャリアを考える
 

More from Fusion Reactor LLC

米国における事業撤退プロセス - コロナ危機からの脱却
米国における事業撤退プロセス  - コロナ危機からの脱却米国における事業撤退プロセス  - コロナ危機からの脱却
米国における事業撤退プロセス - コロナ危機からの脱却Fusion Reactor LLC
 
米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒント
米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒント米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒント
米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒントFusion Reactor LLC
 
Market & Technology Research of 3D Printers
Market & Technology Research of 3D PrintersMarket & Technology Research of 3D Printers
Market & Technology Research of 3D PrintersFusion Reactor LLC
 
アクセス・ログ取得システム導入の考察
アクセス・ログ取得システム導入の考察アクセス・ログ取得システム導入の考察
アクセス・ログ取得システム導入の考察Fusion Reactor LLC
 
米国におけるコールセンターソリューションの動向
米国におけるコールセンターソリューションの動向米国におけるコールセンターソリューションの動向
米国におけるコールセンターソリューションの動向Fusion Reactor LLC
 
スポーツウエア下克上
スポーツウエア下克上スポーツウエア下克上
スポーツウエア下克上Fusion Reactor LLC
 
米国における水処理関連事業
米国における水処理関連事業米国における水処理関連事業
米国における水処理関連事業Fusion Reactor LLC
 
地球温暖化を防ぐ仮想化技術
地球温暖化を防ぐ仮想化技術地球温暖化を防ぐ仮想化技術
地球温暖化を防ぐ仮想化技術Fusion Reactor LLC
 
バイアウトにおける投資リターンの分析
バイアウトにおける投資リターンの分析バイアウトにおける投資リターンの分析
バイアウトにおける投資リターンの分析Fusion Reactor LLC
 
企業価値と純利益の相関関係
企業価値と純利益の相関関係 企業価値と純利益の相関関係
企業価値と純利益の相関関係 Fusion Reactor LLC
 
アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)
アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)
アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)Fusion Reactor LLC
 
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)Fusion Reactor LLC
 
国際金融決済システムSWIFTとは(短縮版)
国際金融決済システムSWIFTとは(短縮版)国際金融決済システムSWIFTとは(短縮版)
国際金融決済システムSWIFTとは(短縮版)Fusion Reactor LLC
 
米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用
米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用
米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用Fusion Reactor LLC
 
経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案
経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案
経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案Fusion Reactor LLC
 
ゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものに
ゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものにゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものに
ゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものにFusion Reactor LLC
 
Jetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for web
Jetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for webJetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for web
Jetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for webFusion Reactor LLC
 
ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?
ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?
ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?Fusion Reactor LLC
 

More from Fusion Reactor LLC (20)

米国における事業撤退プロセス - コロナ危機からの脱却
米国における事業撤退プロセス  - コロナ危機からの脱却米国における事業撤退プロセス  - コロナ危機からの脱却
米国における事業撤退プロセス - コロナ危機からの脱却
 
Covid19 stanford study
Covid19 stanford studyCovid19 stanford study
Covid19 stanford study
 
米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒント
米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒント米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒント
米国進出後、伸び悩む企業に向けて打開策のヒント
 
Market & Technology Research of 3D Printers
Market & Technology Research of 3D PrintersMarket & Technology Research of 3D Printers
Market & Technology Research of 3D Printers
 
アクセス・ログ取得システム導入の考察
アクセス・ログ取得システム導入の考察アクセス・ログ取得システム導入の考察
アクセス・ログ取得システム導入の考察
 
米国におけるコールセンターソリューションの動向
米国におけるコールセンターソリューションの動向米国におけるコールセンターソリューションの動向
米国におけるコールセンターソリューションの動向
 
スポーツウエア下克上
スポーツウエア下克上スポーツウエア下克上
スポーツウエア下克上
 
米国における水処理関連事業
米国における水処理関連事業米国における水処理関連事業
米国における水処理関連事業
 
どっこい合衆国
どっこい合衆国どっこい合衆国
どっこい合衆国
 
地球温暖化を防ぐ仮想化技術
地球温暖化を防ぐ仮想化技術地球温暖化を防ぐ仮想化技術
地球温暖化を防ぐ仮想化技術
 
バイアウトにおける投資リターンの分析
バイアウトにおける投資リターンの分析バイアウトにおける投資リターンの分析
バイアウトにおける投資リターンの分析
 
企業価値と純利益の相関関係
企業価値と純利益の相関関係 企業価値と純利益の相関関係
企業価値と純利益の相関関係
 
アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)
アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)
アクセス・ログ取得システム導入の考察(完全版)
 
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
国際金融決済システムSWIFTとは(完全版)
 
国際金融決済システムSWIFTとは(短縮版)
国際金融決済システムSWIFTとは(短縮版)国際金融決済システムSWIFTとは(短縮版)
国際金融決済システムSWIFTとは(短縮版)
 
米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用
米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用
米国における青少年保護のためのインターネット規制と運用
 
経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案
経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案
経理アウトソーシングによるコスト削減のご提案
 
ゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものに
ゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものにゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものに
ゴアの預言した「スマート・グリッド」が現実のものに
 
Jetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for web
Jetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for webJetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for web
Jetro game connection_brochure_2012_feb-pd001_for web
 
ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?
ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?
ビジネス・プロセス・マネジメント・ソリューションとは?
 

大変革をもたらす「サービス化」という潮流

  • 1. 2008 年 2 月 11 日 大変革をもたらす「サービス化」 大変革をもたらす「サービス化」という潮流 Fusion Reactor LLC CEO 徳田 浩司 今、世界では、ビジネスの競争原理が大きく変わりつつあります。これまでの「ものづくり」をベースにし たビジネスから、「サービス化」を軸にしたビジネスの時代になりつつあるということを、米国シリコンバレー でベンチャー投資や IT コンサルティングに携わりながら、日々感じています。今回は、その動きを、私が深 く関与する IT 業界を事例として説明してみたいと思います。 言うまでもありませんが、初期の IT 産業は、ハードウエアを売ることで利益を確保するというビジネスも 出るものでした。どちらかというと、ソフトウエアはハードウエアの「おまけ」のように扱われていたことをご 記憶されているかたも多いと思います。 しかし、大型コンピュータから PC へとハードウエアのダウンサイジング化が進んだことから、ハードウエ アを販売することでの利益確保が困難になり、ビジネスの重点がソフトウエアへと次第にシフトして行きま す。IBM が PC 部門を売却してしまったのは、その象徴とも言える出来事でした。 最近では、インターネットの普及によって、SaaS(Software as a Service)や ASP(Application Service Provider)と呼ばれる、「サービス化」へのシフトが進展していることがあげられるでしょう。 これは、企業や個人がソフトウエアを資産として購入するのではなく、ネットワークを通して社外の情報 処理サービスの提供を受けるというものです。ハードウエアとソフトウエアを資産として購入するのではな く、使用量にあわせて料金を払うといった、「ユーティリティモデル」がさまざまなところで導入されてきてい るのです。 それを分かりやすくするため IT 業界(ソフトウエア業界)の業界構造を、図にして説明してみます。 最下層に、マイクロソフトに代表される OS(オペレーションシステム)が基盤としてあり、その上層部に、ミ ドルウエアと呼ばれる、さまざまなアプリケーションツールを連携するソフト。その上には、経理システムな
  • 2. どの情報処理をになうアプリケーションシステムがあります。そして最上層部には、ユーザーが使えるよう にシステム開発を提供するインテグレーションが存在します。 この「サービス化」の流れは、業界内に非常に大きな影響を及ぼしています。これまで、個別企業が一 から自社開発していたコンピュータシステムですが、オープン化・標準化が進展していき、アプリケーション がインテグレーション領域を侵食していきます。これまで、インテグレーションは、言葉の壁で守られていた のですが、インド・中国の台頭により、ついに海外へ移管(オフショアリング)されるケースが増えていくでし ょう。さらに、SaaS、ASP などによる Web 上でのサービス化が進むと、図にあるように、国内 IT 業界の大半 の占める、システムインテグレーターたちの対象となる市場はどんどん小さくなり、業界は大打撃を受ける 可能性が高くなるものと考えられます。 アメリカでは、2000 年の IT バブル崩壊後、一気にこの流れが加速し、システムインテグレーションの多く は主にインドなど海外に流出しましたが、次に同様の現象が起こるのは日本ではないでしょうか。これら のことから、以下のことが起こると考えられます。 ●世の中のインフラは次第に世界共通になる。ユーザー数は非常に大きくなり、しだいに安く提供する ことができる。しかも、使用量でコストを決めるユーティリティモデルが優勢となってくるため、ますます 導入コストが安くなり、普及の速度が速くなる。 ●ソフトもハードも、多くのベンダー企業が存在していたのが、次第にいくつかの企業に集約される。ソ フトやハードづくりは、そこに提供する一部の企業だけですんでしまうからだ。 ●これがさらに進むと、マーケットに大きな変化が起こる。その 1 つの例として Google の動きが挙げられ る。Google はウェブ上で強力な集客力を持ち、広告モデルが成立するため、利用者にさまざまなサー ビスを無料で提供できる。もし、これまでさまざまなパッケージソフトベンダーやインテグレーターが有 料で提供していたソリューションを、無料サービスとして提供し始めるとどうなるだろうか?高いシェア とユーザーを持つ強力なツールベンダー以外は、一気に吹き飛んでしまう可能性が高い。 こういった流れに対抗意識を燃やすマイクロソフトが、先日、ヤフーへの買収提案を行いました。ソフトウ エアパッケージ販売だけでは成長が頭打ちになると危機感を感じ、新たな打開策として 選択されたのが、 Yahoo への買収提案だったと想像しています。つまり、これまでソフトの売り上げで莫大な収益を得てきた マイクロソフトですら、サービス化へのギアチェンジを決断したということなのです。 上記のことは、IT 業界だけではなく、多くの業界でも進行していると考えてもいいでしょう。 サービス化が進展することで、ものづくりのビジネスが大きな影響を受けるようになります。生き残るのは 非常に厳しい時代ですが、この流れを積極的にとらえ、サービスの品質で勝負しようとする日本企業は、 世界市場で成功する可能性を秘めていると感じます。 (日経トップリーダー寄稿)
  • 3. 徳田 浩司(トクダ コウジ) Fusion Reactor LLC(在米国シリコンバレー)社長 三和銀行、三和総研、三菱商事証券などで、システムコンサルティング、ベンチャー投 融資などに従事。2004 年に独立、米国シリコンバレーで、ベンチャーサポート、IT・金 融ビジネスのコンサルティング、ワイヤレス・ブロードバンド・ソリューションの開発・ベ ンチャー経営、老舗スポーティング・グッズ・メーカの米国代表などに従事。 本件に関するご意見・お問い合わせ Fusion Reactor LLC 代表; 代表; 徳田 浩司 050-5534- 国内電話で通じます) 電話 日本 050-5534-5314 (国内電話で通じます) E-mail: info@fusion-reactor.biz info@fusion- http://www.fusion- ホームページ http://www.fusion-reactor.biz/japanese