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広島市立地適正化計画(目次)
章 題 内 容
第
1
章
基本的事項
1 背景
2 位置付け
3 対象区域
4 計画期間
第
2
章
現状と課題
1 現状
2 課題
第
3
章
基本目標 基本目標
第
4
章
都市機能誘導区域の設定
1 基本的な考え方
2 都市機能誘導区域の設定
3 長期的な対応
第
5
章
誘導施設の設定
1 基本的な考え方
2 誘導施設の設定
第
6
章
居住誘導区域の設定
1 基本的な考え方
2 居住誘導区域の設定
3 長期的な対応
第
7
章
誘導施策 誘導施策
第
8
章
計画の評価・検証
1 評価・検証の指標の設定
2 計画の評価・検証(考え方)
平成 29 年 5 月
広 島 市
広島市立地適正化計画
(骨子案)
1 背景
(1) 広島市都市計画マスタープランに掲げる「集約型都市構造※
」への転換
○ 平成 25 年 8 月に策定した「広島市都市計画マスタープラン」において、“活力”、“魅力”、“快適性”
という三つの視点で都市づくりの目標を掲げており、その目標を実現するための土台として、公共交
通等で連携された「集約型都市構造」への転換を目指すこととしている。
(2) 立地適正化計画制度の創設
○ 我が国の都市における今後のまちづくりは、人口の急激な減少と高齢化を背景として、高齢者や
子育て世代にとって、安心できる健康で快適な生活環境を実現すること、財政面及び経済面におい
て持続可能な都市経営を可能とすることなどが、大きな課題となっている。
○ こうしたなか、国は、平成 26 年 5 月に都市再生特別措置法を改正し、都市構造の集約化に向けた
アクションプランとなる「立地適正化計画」を市町村が策定できる旨を定めた。
○ 立地適正化計画は、都市計画法を中心とした従来の土地利用の計画に加えて、公共交通によるア
クセスの利便性が高い区域に居住機能や都市機能を誘導するエリアを設定して、ゆるやかにこれら
の機能を誘導することにより、公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりに向けた取組を推進し
ようとするものである。
2 位置付け
立地適正化計画は、都市再生特別措置法第 81 条に基づき、上位計画である「広島市基本構想」や「広
島圏都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」(広島県策定)に即して定めるものである。
また、本計画は広島市都市計画マスタープランと調和を保つこととされており、本計画に定める「基本
的な方針」は、広島市都市計画マスタープランの一部とみなされる。
3 対象区域
本市の都市計画区域を対象とする。
4 計画期間
被爆 100 周年の 2045 年を見据えつつ、都市計画マスタープランの目標年次である平成 42 年(2030 年)
までとする。
第1章 基本的事項
1
概ね5年ごとに行う都市計画に関する基礎調査や、都市計画マスタープランの改定時期にあわせて計画の
評価・検証を行い、必要に応じて計画を見直すこととする。
※ 「集約型都市構造」とは、“市街地の無秩序な拡大を抑制し、
公共交通にアクセスしやすい場所に、居住機能、医療・福祉等
の生活サービス機能などを集積させる都市構造”であり、高齢
者をはじめとする住民が過度に自家用車に頼ることなく生活
できる都市をめざすものです。
都市構造の転換イメージ図
拠点
上記以外の駅等
公共交通など
都市機能の集積
市街地の拡大を抑制
都心及び拠点地区に
多様な都市機能を集積
駅周辺などで日常的な生活
サービス機能を維持・強化
将来都市構造図
「広島圏都市計画区域マスタープラン」(広島県策定)
広域的、根幹的な都市計画に関する基本方針を定めるもの 「広島市基本構想」
「広島市都市計画マスタープラン」
「広島市地域公共交通網形成計画」
立
地
適
正
化
計
画
基本的な方針
具体的な誘導区域、誘導施設など
即する 即する
即
す
る
調和
調和
都市計画法第18条の2
都市再生特別措置法第81条
地域公共交通の活性化及び再
生に関する法律第5条
関連計画
○「世界に誇れる『まち』広島」創生総合戦略
○広島広域都市圏発展ビジョン
○広島市高齢者施策推進プラン
○広島市子ども・子育て支援事業計画
○広島市公共施設等総合管理計画
○ひろしま都心活性化プラン
○活力創造都市“ひろしま西風新都”推進計画2013
など
連携
項目 現状 課題
人口
・老年人口が増加する一方で、年少人口及び生産年齢人口は減
少し、総人口としては緩やかに減少する見込み。(国立社会
保障・人口問題研究所推計)
〔H27 年に対する増減〕
年少人口 :H42 年 22%減、H52 年 28%減
生産年齢人口:H42 年 9%減、H52 年 20%減
老年人口 :H42 年 21%増、H52 年 34%増
総人口 :H42 年 3%減、H52 年 8%減
・高齢者が出歩きやすく健康で快適な生活を送れ、社会参画し
やすい環境を整えるため、日常生活に密着した高齢者福祉施
設などを利便性の高いエリアに誘導する必要がある。
・子育て家庭が安心して子どもを生み育てられる環境を整える
ため、子育てに関する相互交流や相談・助言を行う子育て支
援施設などを利便性の高いエリアに誘導する必要がある。
地勢・土地利用
・市街化区域の面積は市域全体の約 20%である。
・S51 年から H26 年までの約 40 年で、建物用地は約 2 倍、農地
は半分になった。
・S46 年から H27 年までの約 45 年で、市街化区域は約 1.3 倍に
なった。
・人口減少に対応するため、拡大を基調とした都市づくりから
転換を図り、既存の市街地における必要な都市機能の誘導や
維持などにより質の向上や有効活用を図る必要がある。
公共交通
・市街化区域の公共交通アクセスに係る徒歩圏人口カバー率は
約 9 割となっているが、通勤や買物目的の交通は、マイカー
に依存する傾向が強い。
・高齢者の移動目的では買物・通院などが多く、移動手段は他
の年代に比べ公共交通や徒歩等が多くなっている。
・通勤をはじめとする日常的な交通手段については、公共交通
の一層の充実を通して、自動車から公共交通への利用転換を
図り、マイカーに依存する傾向を是正する必要がある。
・高齢者の買物や通院など日常生活上の移動手段を受け持つ公
共交通サービスの維持・向上を図っていく必要がある。
生活サービス機能
・市街化区域の基礎的生活サービス施設(スーパー、コンビニ、内科、
金融機関)に係る徒歩圏人口カバー率は約 8 割となっている。
・中学校区を単位とする日常生活圏域において、高齢者福祉施
設や子育て支援施設の一部が未開設の地域がある。
・今後の高齢者の増加に対応するため、利便性の高いエリアに
おいて高齢者福祉施設の充実・強化を図る必要がある。
・子育て家庭の孤立化を防止し、安心して子どもを生み育てら
れる環境を整えるため、利便性の高いエリアに子育て支援施
設を誘導する必要がある。
高次都市機能
・都心などに高度医療施設や大規模商業施設などの高次都市機
能が集積している。
・事業所数、支所・支社・支店数、年間商品販売額、百貨店・
総合スーパー数、大学数、外国人観光客数などは、中四国地方
の県庁所在地都市の中で最も多い。
・広島広域圏域全体の発展や都市の魅力向上のため、都心や広
域拠点での特性に応じた高次都市機能の一層の充実・強化が
必要である。
市民意識
・市内に「住み続けたい」または「住み続けてもいい」との回
答が 9 割以上を占めている。
・住宅団地アンケートでも 6 割以上が「住み続けたい」と回答
している一方で、転居したい理由として「買物が不便」や「通
院が不便」などが上位を占めている。
・「住み慣れた場所に住み続けたい」、「生活利便性の高い場所
に住みたい」などの多様な居住ニーズに対応するため、デル
タ周辺部の住宅団地などでの居住や都心居住などそれぞれ
の居住形態に応じて安心して暮らせる環境を整える必要が
ある。
災害リスク
・市街地周辺部(山麓部)は土砂災害の発生リスクがある。
・中心部(デルタ部)は水害の発生リスクがある。
・災害リスクの低い区域へ居住を誘導する必要がある。
・都市機能の集積状況などを踏まえると、災害リスクの可能性
のある全てのエリアを都市機能誘導区域や居住誘導区域か
ら除外することはできないため、災害リスクを周知したうえ
で、都市機能の誘導や居住を許容する区域設定を検討する必
要がある。
財政
・生産年齢人口の減少に伴い市税収入が減少する見込み。
・高齢者の増加等に伴い社会保障費が増加している。
・公共施設等(インフラ資産及びハコモノ資産)の老朽化に伴
い、これらの更新や維持保全に要する費用が増加する見込
み。
・人口減少や高齢化を見据えた効率的な行政サービスの提供や
インフラ資産の効果的・効率的な維持保全が必要である。
・ハコモノ資産の更新及び維持保全に当たっては、市民のニー
ズに応えられるよう機能・サービスを見直し様々な工夫を講
じ施設数・規模を調整するとともに、予防的に修繕や改修を
行う必要がある。
・
・市街地の無秩序な拡大を抑制し、公共交通のアクセスしやすい場
所に医療・福祉等の生活サービス機能を集積させ、その周りに緩
やかに居住を誘導することにより、持続可能な都市構造への転換
を図るとともに、高齢者をはじめとする住民が過度に自家用車に
頼ることなく社会参画しやすい都市を目指す。
・「200 万人広島都市圏構想」を実現するため、中四国地方のエンジ
ンにふさわしい都市機能の充実強化を図るとともに、さらなる都
市の魅力向上のため、都心や広域拠点ににぎわいの創出や圏域経
済活性化につながる施設などを誘導する。
・既存の公共交通を活かしながらその機能を充実・強化し、公共交
通利便性の高い区域などに日常的な生活サービス機能を集積させ
ることにより、これまで以上に生活利便性の向上を図る。
・「快適性」、「利便性」、「安全性」などの多様な居住ニーズを踏まえ
ながら、人口減少、少子高齢化社会を見据え、一定の人口密度や
地域コミュニティが維持できる安全・安心な居住環境を整える。
第2章 現状と課題 第3章 基本目標
2
基本目標
人口減少、少子高齢化社会に対応した持続可能な都市構造への転換
中四国地方の発展をリードする魅力ある都市づくりの推進
公共交通と連携した生活サービス機能の集積による生活利便性の向上
多様な居住ニーズを踏まえた安全・安心な居住環境の確保
1 基本的な考え方
⑴ 対象エリア
「都市機能誘導区域」は、居住者の利便性を高める都市機能を確保するエリアであり、当該区域は、「居
住誘導区域」の中に設定することとされている。
① このため、都市機能誘導区域の設定に当たっては、法令等により居住誘導区域に含まないとされてい
る次のエリアを除外する。
市街化調整区域、災害危険区域(急傾斜地崩壊危険区域)、工業専用地域、流通業務地区、
臨港地区、住宅建築が制限された地区計画区域、土砂災害特別警戒区域
② また、次のエリアは、店舗や病院等の生活利便施設の建築が制限されており、都市機能誘導区域に馴
染まないため除外する。
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域
⑵ 階層的な設定
① 都市機能誘導区域は、過度に自家用車に頼ることなく生活できる都市をめざして、公共交通利便性の
高い区域に「都市機能誘導区域(一般)」を設定する。
② これに加えて、行政区レベルの拠点である地域的な都市機能を担う拠点(以下、「地域拠点」という。)
に「都市機能誘導区域(地域拠点)」を、中四国地方を牽引する本市の役割を踏まえ、広域的な都市機
能を担う拠点(以下、「広域拠点」という。)と都心及びその隣接エリアに「高次都市機能誘導区域(広
域拠点・都心及びその隣接エリア)」を階層的に設定する。
2 都市機能誘導区域の設定
種類 分類 区域
都市機能誘導
区域
一般
・JR 在来線駅からの徒歩圏域(500m)
・アストラムライン駅からの徒歩圏域(500m)
・広電宮島線駅からの徒歩圏域(500m)
・路面電車電停からの徒歩圏域(300m)
・広島市地域公共交通網形成計画(公共交通ネットワーク方針図)を踏
まえたバス路線のバス停からの徒歩圏域(300m)
地域拠点 ・交通拠点や公共施設等からの徒歩圏域(500m)
高次都市機能
誘導区域
広域拠点
西風新都
・市街化区域のうち、『活力創造都市「ひろしま西風新都」推進計画 2013』
に示す「中央軸」沿道の商業系の用途地域や大学、広域公園(陸上競
技場)などの高次都市機能施設が立地するエリアを設定
その他 ・交通拠点や公共施設等からの徒歩圏域(500m)
都 心 及 び そ
の隣接エリア
・広島駅周辺地区と紙屋町・八丁堀地区を東西の核とする楕円形の都心
づくりのエリアと、これに隣接する高次都市機能を有する施設(広大
病院、舟入病院等)が立地するエリア
☞ 都市機能誘導区域(概略図)については、次頁の別図を参照。
3 長期的な対応
将来、現在の見込みを大幅に超える人口減尐により、現行バス路線の廃止等による公共交通網の改変があ
った場合には、これに伴い都市機能誘導区域についても見直しを検討する。
1 基本的な考え方
⑴ 対象施設
都市再生特別措置法では、「誘導施設」とは、都市機能増進施設(医療施設、福祉施設、商業施設その
他の都市の居住者の共同の福祉又は利便のため必要な施設であって、都市機能の増進に著しく寄与するも
の)のうち、都市機能誘導区域にその立地を誘導すべき施設として位置付けた施設と定義されている。
本市は、都市全体を見据えながら必要な都市機能の全体像を示すことが必要であると考え、都市機能増
進施設全般を対象として幅広く誘導施設を設定することに加え、ホテル、オフィスビル等の法定外の施設
についても「誘導施設に準ずるもの」として設定する。
なお、コンビニや銀行などの日常生活に密着した小規模な商業施設や業務施設等については、利便性
の高い場所のみへ政策的に誘導する性格の施設ではなく、民間の経済原理に任せて居住誘導区域全般に
立地する方が望ましいと考えるため、誘導施設には設定しない。
⑵ 階層的な設定
広島市都市計画マスタープラン、「世界に誇れる『まち』広島」創生総合戦略、広島市広域都市圏発展
ビジョンで、都市に求められている都市機能を整理し、次のとおり誘導施設を設定する。
① 都市機能誘導区域の誘導施設
都市機能誘導区域(一般)には、将来の人口減尐・尐子高齢化に対応するため、「広島市高齢者施策
推進プラン」、「広島市子ども・子育て支援事業計画」などで整備促進を図ることとしている施設のうち、
交通利便性の高い人口密集地へ立地することにより、利用者の利便性や事業者のサービス実施の効率化
の向上が図れる施設を誘導施設に設定する。
また、都市機能誘導区域(地域拠点)には、行政区レベルで地域の生活者のための都市機能を有する
施設を誘導施設に設定する。
② 高次都市機能誘導区域の誘導施設
中四国地方を牽引する役割を担う本市では、近隣市町とともに圏域経済活性化と圏域内人口 200 万人
を目指す「200 万人広島都市圏構想」を掲げており、中四国地方のエンジンにふさわしい都市機能の充
実強化を図ることとしているため、高次都市機能誘導区域(広域拠点・都心及びその隣接エリア)に高
次都市機能を有する施設を誘導施設に設定する。
2 誘導施設の設定
種類 都市機能 分類 誘導施設
都市機能誘
導区域
日常生活レベル
の都市機能
一般
商業施設、地域医療支援病院、在宅療養支援病院、地域密着型サ
ービス事業所、地域子育て支援拠点施設
行政区レベルの
都市機能
地域拠点
区図書館、区民文化センター、地域福祉センター、区役所
都市機能誘導区域(一般)に設定する誘導施設
高次都市機
能誘導区域
高次都市機能
広域拠点
西風新都
高機能オフィスビル※
、大規模商業施設、大学、専門学校、屋外
運動施設
都市機能誘導区域(一般)に設定する誘導施設
その他
高機能オフィスビル※
、大規模商業施設
都市機能誘導区域(一般)に設定する誘導施設
都 心 及 び そ
の隣接エリア
高機能オフィスビル※
、大規模商業施設、オープンカフェ、MICE
関連施設※
、屋外イベント施設、シティホテル※
、大学、専門学校、
美術館、博物館、音楽ホール、図書館、文化センター、特定機能
病院、高度放射線治療センター、総合体育館、合同庁舎、裁判所、
県庁、市役所
区図書館、区民文化センター、地域福祉センター、区役所
都市機能誘導区域(一般)に設定する誘導施設
※ 誘導施設に準ずるもの
3
第4章 都市機能誘導区域の設定 第5章 誘導施設の設定
4
都市機能誘導区域概略図
第4章 都市機能誘導区域の設定
別 図
都心及び
その隣接エリア
可部
高陽
緑井
大町
古市
西風新都
井口・
商工センター五日市
西広島駅
周辺
船越
横川
凡例
都市計画区域
市街化区域
除外エリア①( )
除外エリア②( )
高次都市機能誘導区域(都心及びその隣接エリア)
高次都市機能誘導区域(広域拠点)
都市機能誘導区域(地域拠点)
都市機能誘導区域(一般)
宇品・
出島
1 基本的な考え方
市街化区域の大半(約 84%)が人口集中地区(DID)であり、計画期間とする平成 42 年(2030 年)までの
市街化区域内の人口減尐は 3%程度(約 113 万人→約 109 万人)と緩やかなものであることから、現在の市
街化区域を基本に居住誘導区域を設定する。
ただし、法令等により居住誘導区域に設定することができない等の次のエリアを除外する。
①都市再生特別措置法の規定により設定できないエリア(災害危険区域(急傾斜地崩壊危険区域))
②住宅建築を制限しているエリア(工業専用地域、流通業務地区、臨港地区及び一部の地区計画区域)
③居住を誘導することが適さないエリア(建築基準法の規定により建築物の構造を制限しているエ
リア(土砂災害特別警戒区域))
2 居住誘導区域の設定
⑴ 居住誘導区域の設定
居住誘導区域(基本エリア)を踏まえ、さらに居住を誘導することが適切でないエリア等に関して詳細
に調査・分析を行い、具体的な区域を設定する。
⑵ 浸水等に関する災害リスクを周知し居住を許容する区域の明示
洪水や高潮、津波などにより浸水被害が想定される区域及び土砂災害警戒区域については、法令等によ
る住宅建築等の制限はないため、居住誘導区域には設定するが、「浸水等に関する災害リスクを周知し居
住を許容する区域」であることを明示し居住者に周知する。
3 長期的な対応
将来、人口減尐が見込みを大きく上回る状態になるようであれば、その時点の人口減尐の程度を踏まえ、
現在の市街化区域を基本として設定した居住誘導区域を縮小していくことも検討する。
居住誘導区域(基本エリア)
浸水等に関する災害リスクを周知し居住を許容する区域
凡例
都市計画区域
市街化区域
除外エリア(
)
居住誘導区域(基本エリア)
凡例
都市計画区域
市街化区域
浸水想定区域
土砂災害警戒区域
5
第6章 居住誘導区域の設定
1 誘導施策
⑴ 財政支援等による誘導
必要な都市機能や居住を誘導するための財政支援、税制支援等については以下のとおりであり、これら
を活用して誘導を進めていく。
都市機能の誘導
① 財政支援(国)
・ 都市機能誘導区域内で実施する都市再生事業(「都市再生整備計画事業」等で、誘導施設を核と
して整備するものに限る。)に対する補助 〔 補助率:50% 〕
・ 都市機能誘導区域内で実施する市街地開発事業(「区画整理事業」や「市街地再開発事業」等で、
誘導施設を核として整備するものに限る。)の交付率や補助対象額の嵩上げ
〔 区画整理事業の場合 交付率:1/3⇒1/2 補助対象額(道路用地費参入率):2/3⇒100%〕
② 税制支援
・ 誘導施設のうち、国土交通大臣が認定する「民間誘導施設等整備事業計画」に記載された誘導施
設の所得税(譲渡所得)の繰り延べや固定資産税及び都市計画税の軽減
③ 都市計画制度を活用した容積緩和
・ 都心等の都市機能誘導区域内での誘導施設(シティホテル)の立地を促進するため、地区計画等
を活用した容積率の緩和
居住の誘導
① 財政支援(国)
・ 公営住宅整備事業において、公営住宅を除却し、居住誘導区域内に再建等を行う場合、除却費等
に対して補助
② 提案制度の特例
・ 都市計画又は景観計画について、住宅地の良好な環境や景観を保全するために当該計画の変更等
の提案を行うことができる者は土地所有者等とされているが、居住誘導区域内において、20戸以
上の住宅整備に関する事業を行おうとする者にあっては特例的に提案が可能(都市再生特別措置法
第 86 条及び第 87 条)
⑵ 届出・勧告による誘導
① 届出
都市機能誘導区域外での誘導施設の建築や、居住誘導区域外での一定規模以上の住宅建築については、
必要に応じて当該区域内への誘導に向けて調整を行うため、事前の届出が必要になる。
都市機能の誘導
対象とする誘導施設が設定されている都市機能誘導区域外において、次のいずれかの行為を行う場合、
30日前までに届出が必要
・当該誘導施設を有する建築物の新築、用途の変更
・当該誘導施設を有する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為
例)病院を新築する場合
居住の誘導
居住誘導区域外において、次のいずれかの行為を行う場合、30日前までに届出が必要
・3戸以上の住宅等の新築、用途の変更
・住宅等の建築の用に供する目的で行う 1,000 ㎡以上の開発行為
例)長屋住宅(3戸以上)を新築する場合
② 勧告
市町村長は、届出に係る行為が区域内の立地の誘導を図る上で支障があると認めるときは、当該届出
をした者に対して、必要な勧告をすることができる。(都市再生特別措置法第 88 条第 3 項及び法第 108
条第 3 項)
この場合、市町村長は、必要があると認めるときは、その勧告を受けた者に対し、土地の取得につい
てのあっせんその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。(都市再生特別措置法第 88 条第
4 項及び法第 108 条第 4 項)
支障があると認める場合の例(都市計画運用指針より)
[規模] 都市機能誘導区域外で新たに医療施設、福祉施設、商業施設が建設されることによって、
都市機能誘導区域にそうした施設の立地を誘導するのに支障を来す場合(規模が著しく
大きな施設など)
[位置] 居住誘導区域から離れ過ぎた地域での住宅開発
1 評価・検証の指標の設定
計画の総合的な達成状況の確認や今後の見直しの参考とするため、定量的に評価・検証できるよう、指標
を設定する。
(設定例)
・居住誘導の指標(一定の人口密度の維持) ⇒ 居住誘導区域の人口密度など
・公共交通利用の指標(公共交通の利用促進)⇒ 公共交通機関の日利用者数など
・都市機能誘導の指標(誘導施設の整備) ⇒ 都市機能誘導区域内での誘導施設の整備数など
2 計画の評価・検証(考え方)
本計画は、計画期間を平成 42 年(2030 年)までとする相当の期間にわたる計画であるため、社会経済情
勢の変化や都市計画事業の実施状況、地域のまちづくりの動きなどを常に把握し、これらに沿ったものとす
る必要がある。
このため、概ね 5 年ごとに実施される都市計画基礎調査に合わせて、同調査の結果や評価・検証の指標な
どを用い、計画の評価・検証を行い、必要に応じて計画の見直しを行う。
届出必要届出必要
誘導施設:病院
届出不要
都市計画区域(立地適正化計画区域)
居住誘導区域
都市機能誘導区域
第7章 誘導施策
第8章 計画の評価・検証
届出必要届出不要
都市計画区域(立地適正化計画区域)
居住誘導区域
都市機能誘導区域
届出不要
6

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  • 1. 広島市立地適正化計画(目次) 章 題 内 容 第 1 章 基本的事項 1 背景 2 位置付け 3 対象区域 4 計画期間 第 2 章 現状と課題 1 現状 2 課題 第 3 章 基本目標 基本目標 第 4 章 都市機能誘導区域の設定 1 基本的な考え方 2 都市機能誘導区域の設定 3 長期的な対応 第 5 章 誘導施設の設定 1 基本的な考え方 2 誘導施設の設定 第 6 章 居住誘導区域の設定 1 基本的な考え方 2 居住誘導区域の設定 3 長期的な対応 第 7 章 誘導施策 誘導施策 第 8 章 計画の評価・検証 1 評価・検証の指標の設定 2 計画の評価・検証(考え方) 平成 29 年 5 月 広 島 市 広島市立地適正化計画 (骨子案)
  • 2. 1 背景 (1) 広島市都市計画マスタープランに掲げる「集約型都市構造※ 」への転換 ○ 平成 25 年 8 月に策定した「広島市都市計画マスタープラン」において、“活力”、“魅力”、“快適性” という三つの視点で都市づくりの目標を掲げており、その目標を実現するための土台として、公共交 通等で連携された「集約型都市構造」への転換を目指すこととしている。 (2) 立地適正化計画制度の創設 ○ 我が国の都市における今後のまちづくりは、人口の急激な減少と高齢化を背景として、高齢者や 子育て世代にとって、安心できる健康で快適な生活環境を実現すること、財政面及び経済面におい て持続可能な都市経営を可能とすることなどが、大きな課題となっている。 ○ こうしたなか、国は、平成 26 年 5 月に都市再生特別措置法を改正し、都市構造の集約化に向けた アクションプランとなる「立地適正化計画」を市町村が策定できる旨を定めた。 ○ 立地適正化計画は、都市計画法を中心とした従来の土地利用の計画に加えて、公共交通によるア クセスの利便性が高い区域に居住機能や都市機能を誘導するエリアを設定して、ゆるやかにこれら の機能を誘導することにより、公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりに向けた取組を推進し ようとするものである。 2 位置付け 立地適正化計画は、都市再生特別措置法第 81 条に基づき、上位計画である「広島市基本構想」や「広 島圏都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」(広島県策定)に即して定めるものである。 また、本計画は広島市都市計画マスタープランと調和を保つこととされており、本計画に定める「基本 的な方針」は、広島市都市計画マスタープランの一部とみなされる。 3 対象区域 本市の都市計画区域を対象とする。 4 計画期間 被爆 100 周年の 2045 年を見据えつつ、都市計画マスタープランの目標年次である平成 42 年(2030 年) までとする。 第1章 基本的事項 1 概ね5年ごとに行う都市計画に関する基礎調査や、都市計画マスタープランの改定時期にあわせて計画の 評価・検証を行い、必要に応じて計画を見直すこととする。 ※ 「集約型都市構造」とは、“市街地の無秩序な拡大を抑制し、 公共交通にアクセスしやすい場所に、居住機能、医療・福祉等 の生活サービス機能などを集積させる都市構造”であり、高齢 者をはじめとする住民が過度に自家用車に頼ることなく生活 できる都市をめざすものです。 都市構造の転換イメージ図 拠点 上記以外の駅等 公共交通など 都市機能の集積 市街地の拡大を抑制 都心及び拠点地区に 多様な都市機能を集積 駅周辺などで日常的な生活 サービス機能を維持・強化 将来都市構造図 「広島圏都市計画区域マスタープラン」(広島県策定) 広域的、根幹的な都市計画に関する基本方針を定めるもの 「広島市基本構想」 「広島市都市計画マスタープラン」 「広島市地域公共交通網形成計画」 立 地 適 正 化 計 画 基本的な方針 具体的な誘導区域、誘導施設など 即する 即する 即 す る 調和 調和 都市計画法第18条の2 都市再生特別措置法第81条 地域公共交通の活性化及び再 生に関する法律第5条 関連計画 ○「世界に誇れる『まち』広島」創生総合戦略 ○広島広域都市圏発展ビジョン ○広島市高齢者施策推進プラン ○広島市子ども・子育て支援事業計画 ○広島市公共施設等総合管理計画 ○ひろしま都心活性化プラン ○活力創造都市“ひろしま西風新都”推進計画2013 など 連携
  • 3. 項目 現状 課題 人口 ・老年人口が増加する一方で、年少人口及び生産年齢人口は減 少し、総人口としては緩やかに減少する見込み。(国立社会 保障・人口問題研究所推計) 〔H27 年に対する増減〕 年少人口 :H42 年 22%減、H52 年 28%減 生産年齢人口:H42 年 9%減、H52 年 20%減 老年人口 :H42 年 21%増、H52 年 34%増 総人口 :H42 年 3%減、H52 年 8%減 ・高齢者が出歩きやすく健康で快適な生活を送れ、社会参画し やすい環境を整えるため、日常生活に密着した高齢者福祉施 設などを利便性の高いエリアに誘導する必要がある。 ・子育て家庭が安心して子どもを生み育てられる環境を整える ため、子育てに関する相互交流や相談・助言を行う子育て支 援施設などを利便性の高いエリアに誘導する必要がある。 地勢・土地利用 ・市街化区域の面積は市域全体の約 20%である。 ・S51 年から H26 年までの約 40 年で、建物用地は約 2 倍、農地 は半分になった。 ・S46 年から H27 年までの約 45 年で、市街化区域は約 1.3 倍に なった。 ・人口減少に対応するため、拡大を基調とした都市づくりから 転換を図り、既存の市街地における必要な都市機能の誘導や 維持などにより質の向上や有効活用を図る必要がある。 公共交通 ・市街化区域の公共交通アクセスに係る徒歩圏人口カバー率は 約 9 割となっているが、通勤や買物目的の交通は、マイカー に依存する傾向が強い。 ・高齢者の移動目的では買物・通院などが多く、移動手段は他 の年代に比べ公共交通や徒歩等が多くなっている。 ・通勤をはじめとする日常的な交通手段については、公共交通 の一層の充実を通して、自動車から公共交通への利用転換を 図り、マイカーに依存する傾向を是正する必要がある。 ・高齢者の買物や通院など日常生活上の移動手段を受け持つ公 共交通サービスの維持・向上を図っていく必要がある。 生活サービス機能 ・市街化区域の基礎的生活サービス施設(スーパー、コンビニ、内科、 金融機関)に係る徒歩圏人口カバー率は約 8 割となっている。 ・中学校区を単位とする日常生活圏域において、高齢者福祉施 設や子育て支援施設の一部が未開設の地域がある。 ・今後の高齢者の増加に対応するため、利便性の高いエリアに おいて高齢者福祉施設の充実・強化を図る必要がある。 ・子育て家庭の孤立化を防止し、安心して子どもを生み育てら れる環境を整えるため、利便性の高いエリアに子育て支援施 設を誘導する必要がある。 高次都市機能 ・都心などに高度医療施設や大規模商業施設などの高次都市機 能が集積している。 ・事業所数、支所・支社・支店数、年間商品販売額、百貨店・ 総合スーパー数、大学数、外国人観光客数などは、中四国地方 の県庁所在地都市の中で最も多い。 ・広島広域圏域全体の発展や都市の魅力向上のため、都心や広 域拠点での特性に応じた高次都市機能の一層の充実・強化が 必要である。 市民意識 ・市内に「住み続けたい」または「住み続けてもいい」との回 答が 9 割以上を占めている。 ・住宅団地アンケートでも 6 割以上が「住み続けたい」と回答 している一方で、転居したい理由として「買物が不便」や「通 院が不便」などが上位を占めている。 ・「住み慣れた場所に住み続けたい」、「生活利便性の高い場所 に住みたい」などの多様な居住ニーズに対応するため、デル タ周辺部の住宅団地などでの居住や都心居住などそれぞれ の居住形態に応じて安心して暮らせる環境を整える必要が ある。 災害リスク ・市街地周辺部(山麓部)は土砂災害の発生リスクがある。 ・中心部(デルタ部)は水害の発生リスクがある。 ・災害リスクの低い区域へ居住を誘導する必要がある。 ・都市機能の集積状況などを踏まえると、災害リスクの可能性 のある全てのエリアを都市機能誘導区域や居住誘導区域か ら除外することはできないため、災害リスクを周知したうえ で、都市機能の誘導や居住を許容する区域設定を検討する必 要がある。 財政 ・生産年齢人口の減少に伴い市税収入が減少する見込み。 ・高齢者の増加等に伴い社会保障費が増加している。 ・公共施設等(インフラ資産及びハコモノ資産)の老朽化に伴 い、これらの更新や維持保全に要する費用が増加する見込 み。 ・人口減少や高齢化を見据えた効率的な行政サービスの提供や インフラ資産の効果的・効率的な維持保全が必要である。 ・ハコモノ資産の更新及び維持保全に当たっては、市民のニー ズに応えられるよう機能・サービスを見直し様々な工夫を講 じ施設数・規模を調整するとともに、予防的に修繕や改修を 行う必要がある。 ・ ・市街地の無秩序な拡大を抑制し、公共交通のアクセスしやすい場 所に医療・福祉等の生活サービス機能を集積させ、その周りに緩 やかに居住を誘導することにより、持続可能な都市構造への転換 を図るとともに、高齢者をはじめとする住民が過度に自家用車に 頼ることなく社会参画しやすい都市を目指す。 ・「200 万人広島都市圏構想」を実現するため、中四国地方のエンジ ンにふさわしい都市機能の充実強化を図るとともに、さらなる都 市の魅力向上のため、都心や広域拠点ににぎわいの創出や圏域経 済活性化につながる施設などを誘導する。 ・既存の公共交通を活かしながらその機能を充実・強化し、公共交 通利便性の高い区域などに日常的な生活サービス機能を集積させ ることにより、これまで以上に生活利便性の向上を図る。 ・「快適性」、「利便性」、「安全性」などの多様な居住ニーズを踏まえ ながら、人口減少、少子高齢化社会を見据え、一定の人口密度や 地域コミュニティが維持できる安全・安心な居住環境を整える。 第2章 現状と課題 第3章 基本目標 2 基本目標 人口減少、少子高齢化社会に対応した持続可能な都市構造への転換 中四国地方の発展をリードする魅力ある都市づくりの推進 公共交通と連携した生活サービス機能の集積による生活利便性の向上 多様な居住ニーズを踏まえた安全・安心な居住環境の確保
  • 4. 1 基本的な考え方 ⑴ 対象エリア 「都市機能誘導区域」は、居住者の利便性を高める都市機能を確保するエリアであり、当該区域は、「居 住誘導区域」の中に設定することとされている。 ① このため、都市機能誘導区域の設定に当たっては、法令等により居住誘導区域に含まないとされてい る次のエリアを除外する。 市街化調整区域、災害危険区域(急傾斜地崩壊危険区域)、工業専用地域、流通業務地区、 臨港地区、住宅建築が制限された地区計画区域、土砂災害特別警戒区域 ② また、次のエリアは、店舗や病院等の生活利便施設の建築が制限されており、都市機能誘導区域に馴 染まないため除外する。 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域 ⑵ 階層的な設定 ① 都市機能誘導区域は、過度に自家用車に頼ることなく生活できる都市をめざして、公共交通利便性の 高い区域に「都市機能誘導区域(一般)」を設定する。 ② これに加えて、行政区レベルの拠点である地域的な都市機能を担う拠点(以下、「地域拠点」という。) に「都市機能誘導区域(地域拠点)」を、中四国地方を牽引する本市の役割を踏まえ、広域的な都市機 能を担う拠点(以下、「広域拠点」という。)と都心及びその隣接エリアに「高次都市機能誘導区域(広 域拠点・都心及びその隣接エリア)」を階層的に設定する。 2 都市機能誘導区域の設定 種類 分類 区域 都市機能誘導 区域 一般 ・JR 在来線駅からの徒歩圏域(500m) ・アストラムライン駅からの徒歩圏域(500m) ・広電宮島線駅からの徒歩圏域(500m) ・路面電車電停からの徒歩圏域(300m) ・広島市地域公共交通網形成計画(公共交通ネットワーク方針図)を踏 まえたバス路線のバス停からの徒歩圏域(300m) 地域拠点 ・交通拠点や公共施設等からの徒歩圏域(500m) 高次都市機能 誘導区域 広域拠点 西風新都 ・市街化区域のうち、『活力創造都市「ひろしま西風新都」推進計画 2013』 に示す「中央軸」沿道の商業系の用途地域や大学、広域公園(陸上競 技場)などの高次都市機能施設が立地するエリアを設定 その他 ・交通拠点や公共施設等からの徒歩圏域(500m) 都 心 及 び そ の隣接エリア ・広島駅周辺地区と紙屋町・八丁堀地区を東西の核とする楕円形の都心 づくりのエリアと、これに隣接する高次都市機能を有する施設(広大 病院、舟入病院等)が立地するエリア ☞ 都市機能誘導区域(概略図)については、次頁の別図を参照。 3 長期的な対応 将来、現在の見込みを大幅に超える人口減尐により、現行バス路線の廃止等による公共交通網の改変があ った場合には、これに伴い都市機能誘導区域についても見直しを検討する。 1 基本的な考え方 ⑴ 対象施設 都市再生特別措置法では、「誘導施設」とは、都市機能増進施設(医療施設、福祉施設、商業施設その 他の都市の居住者の共同の福祉又は利便のため必要な施設であって、都市機能の増進に著しく寄与するも の)のうち、都市機能誘導区域にその立地を誘導すべき施設として位置付けた施設と定義されている。 本市は、都市全体を見据えながら必要な都市機能の全体像を示すことが必要であると考え、都市機能増 進施設全般を対象として幅広く誘導施設を設定することに加え、ホテル、オフィスビル等の法定外の施設 についても「誘導施設に準ずるもの」として設定する。 なお、コンビニや銀行などの日常生活に密着した小規模な商業施設や業務施設等については、利便性 の高い場所のみへ政策的に誘導する性格の施設ではなく、民間の経済原理に任せて居住誘導区域全般に 立地する方が望ましいと考えるため、誘導施設には設定しない。 ⑵ 階層的な設定 広島市都市計画マスタープラン、「世界に誇れる『まち』広島」創生総合戦略、広島市広域都市圏発展 ビジョンで、都市に求められている都市機能を整理し、次のとおり誘導施設を設定する。 ① 都市機能誘導区域の誘導施設 都市機能誘導区域(一般)には、将来の人口減尐・尐子高齢化に対応するため、「広島市高齢者施策 推進プラン」、「広島市子ども・子育て支援事業計画」などで整備促進を図ることとしている施設のうち、 交通利便性の高い人口密集地へ立地することにより、利用者の利便性や事業者のサービス実施の効率化 の向上が図れる施設を誘導施設に設定する。 また、都市機能誘導区域(地域拠点)には、行政区レベルで地域の生活者のための都市機能を有する 施設を誘導施設に設定する。 ② 高次都市機能誘導区域の誘導施設 中四国地方を牽引する役割を担う本市では、近隣市町とともに圏域経済活性化と圏域内人口 200 万人 を目指す「200 万人広島都市圏構想」を掲げており、中四国地方のエンジンにふさわしい都市機能の充 実強化を図ることとしているため、高次都市機能誘導区域(広域拠点・都心及びその隣接エリア)に高 次都市機能を有する施設を誘導施設に設定する。 2 誘導施設の設定 種類 都市機能 分類 誘導施設 都市機能誘 導区域 日常生活レベル の都市機能 一般 商業施設、地域医療支援病院、在宅療養支援病院、地域密着型サ ービス事業所、地域子育て支援拠点施設 行政区レベルの 都市機能 地域拠点 区図書館、区民文化センター、地域福祉センター、区役所 都市機能誘導区域(一般)に設定する誘導施設 高次都市機 能誘導区域 高次都市機能 広域拠点 西風新都 高機能オフィスビル※ 、大規模商業施設、大学、専門学校、屋外 運動施設 都市機能誘導区域(一般)に設定する誘導施設 その他 高機能オフィスビル※ 、大規模商業施設 都市機能誘導区域(一般)に設定する誘導施設 都 心 及 び そ の隣接エリア 高機能オフィスビル※ 、大規模商業施設、オープンカフェ、MICE 関連施設※ 、屋外イベント施設、シティホテル※ 、大学、専門学校、 美術館、博物館、音楽ホール、図書館、文化センター、特定機能 病院、高度放射線治療センター、総合体育館、合同庁舎、裁判所、 県庁、市役所 区図書館、区民文化センター、地域福祉センター、区役所 都市機能誘導区域(一般)に設定する誘導施設 ※ 誘導施設に準ずるもの 3 第4章 都市機能誘導区域の設定 第5章 誘導施設の設定
  • 5. 4 都市機能誘導区域概略図 第4章 都市機能誘導区域の設定 別 図 都心及び その隣接エリア 可部 高陽 緑井 大町 古市 西風新都 井口・ 商工センター五日市 西広島駅 周辺 船越 横川 凡例 都市計画区域 市街化区域 除外エリア①( ) 除外エリア②( ) 高次都市機能誘導区域(都心及びその隣接エリア) 高次都市機能誘導区域(広域拠点) 都市機能誘導区域(地域拠点) 都市機能誘導区域(一般) 宇品・ 出島
  • 6. 1 基本的な考え方 市街化区域の大半(約 84%)が人口集中地区(DID)であり、計画期間とする平成 42 年(2030 年)までの 市街化区域内の人口減尐は 3%程度(約 113 万人→約 109 万人)と緩やかなものであることから、現在の市 街化区域を基本に居住誘導区域を設定する。 ただし、法令等により居住誘導区域に設定することができない等の次のエリアを除外する。 ①都市再生特別措置法の規定により設定できないエリア(災害危険区域(急傾斜地崩壊危険区域)) ②住宅建築を制限しているエリア(工業専用地域、流通業務地区、臨港地区及び一部の地区計画区域) ③居住を誘導することが適さないエリア(建築基準法の規定により建築物の構造を制限しているエ リア(土砂災害特別警戒区域)) 2 居住誘導区域の設定 ⑴ 居住誘導区域の設定 居住誘導区域(基本エリア)を踏まえ、さらに居住を誘導することが適切でないエリア等に関して詳細 に調査・分析を行い、具体的な区域を設定する。 ⑵ 浸水等に関する災害リスクを周知し居住を許容する区域の明示 洪水や高潮、津波などにより浸水被害が想定される区域及び土砂災害警戒区域については、法令等によ る住宅建築等の制限はないため、居住誘導区域には設定するが、「浸水等に関する災害リスクを周知し居 住を許容する区域」であることを明示し居住者に周知する。 3 長期的な対応 将来、人口減尐が見込みを大きく上回る状態になるようであれば、その時点の人口減尐の程度を踏まえ、 現在の市街化区域を基本として設定した居住誘導区域を縮小していくことも検討する。 居住誘導区域(基本エリア) 浸水等に関する災害リスクを周知し居住を許容する区域 凡例 都市計画区域 市街化区域 除外エリア( ) 居住誘導区域(基本エリア) 凡例 都市計画区域 市街化区域 浸水想定区域 土砂災害警戒区域 5 第6章 居住誘導区域の設定
  • 7. 1 誘導施策 ⑴ 財政支援等による誘導 必要な都市機能や居住を誘導するための財政支援、税制支援等については以下のとおりであり、これら を活用して誘導を進めていく。 都市機能の誘導 ① 財政支援(国) ・ 都市機能誘導区域内で実施する都市再生事業(「都市再生整備計画事業」等で、誘導施設を核と して整備するものに限る。)に対する補助 〔 補助率:50% 〕 ・ 都市機能誘導区域内で実施する市街地開発事業(「区画整理事業」や「市街地再開発事業」等で、 誘導施設を核として整備するものに限る。)の交付率や補助対象額の嵩上げ 〔 区画整理事業の場合 交付率:1/3⇒1/2 補助対象額(道路用地費参入率):2/3⇒100%〕 ② 税制支援 ・ 誘導施設のうち、国土交通大臣が認定する「民間誘導施設等整備事業計画」に記載された誘導施 設の所得税(譲渡所得)の繰り延べや固定資産税及び都市計画税の軽減 ③ 都市計画制度を活用した容積緩和 ・ 都心等の都市機能誘導区域内での誘導施設(シティホテル)の立地を促進するため、地区計画等 を活用した容積率の緩和 居住の誘導 ① 財政支援(国) ・ 公営住宅整備事業において、公営住宅を除却し、居住誘導区域内に再建等を行う場合、除却費等 に対して補助 ② 提案制度の特例 ・ 都市計画又は景観計画について、住宅地の良好な環境や景観を保全するために当該計画の変更等 の提案を行うことができる者は土地所有者等とされているが、居住誘導区域内において、20戸以 上の住宅整備に関する事業を行おうとする者にあっては特例的に提案が可能(都市再生特別措置法 第 86 条及び第 87 条) ⑵ 届出・勧告による誘導 ① 届出 都市機能誘導区域外での誘導施設の建築や、居住誘導区域外での一定規模以上の住宅建築については、 必要に応じて当該区域内への誘導に向けて調整を行うため、事前の届出が必要になる。 都市機能の誘導 対象とする誘導施設が設定されている都市機能誘導区域外において、次のいずれかの行為を行う場合、 30日前までに届出が必要 ・当該誘導施設を有する建築物の新築、用途の変更 ・当該誘導施設を有する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為 例)病院を新築する場合 居住の誘導 居住誘導区域外において、次のいずれかの行為を行う場合、30日前までに届出が必要 ・3戸以上の住宅等の新築、用途の変更 ・住宅等の建築の用に供する目的で行う 1,000 ㎡以上の開発行為 例)長屋住宅(3戸以上)を新築する場合 ② 勧告 市町村長は、届出に係る行為が区域内の立地の誘導を図る上で支障があると認めるときは、当該届出 をした者に対して、必要な勧告をすることができる。(都市再生特別措置法第 88 条第 3 項及び法第 108 条第 3 項) この場合、市町村長は、必要があると認めるときは、その勧告を受けた者に対し、土地の取得につい てのあっせんその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。(都市再生特別措置法第 88 条第 4 項及び法第 108 条第 4 項) 支障があると認める場合の例(都市計画運用指針より) [規模] 都市機能誘導区域外で新たに医療施設、福祉施設、商業施設が建設されることによって、 都市機能誘導区域にそうした施設の立地を誘導するのに支障を来す場合(規模が著しく 大きな施設など) [位置] 居住誘導区域から離れ過ぎた地域での住宅開発 1 評価・検証の指標の設定 計画の総合的な達成状況の確認や今後の見直しの参考とするため、定量的に評価・検証できるよう、指標 を設定する。 (設定例) ・居住誘導の指標(一定の人口密度の維持) ⇒ 居住誘導区域の人口密度など ・公共交通利用の指標(公共交通の利用促進)⇒ 公共交通機関の日利用者数など ・都市機能誘導の指標(誘導施設の整備) ⇒ 都市機能誘導区域内での誘導施設の整備数など 2 計画の評価・検証(考え方) 本計画は、計画期間を平成 42 年(2030 年)までとする相当の期間にわたる計画であるため、社会経済情 勢の変化や都市計画事業の実施状況、地域のまちづくりの動きなどを常に把握し、これらに沿ったものとす る必要がある。 このため、概ね 5 年ごとに実施される都市計画基礎調査に合わせて、同調査の結果や評価・検証の指標な どを用い、計画の評価・検証を行い、必要に応じて計画の見直しを行う。 届出必要届出必要 誘導施設:病院 届出不要 都市計画区域(立地適正化計画区域) 居住誘導区域 都市機能誘導区域 第7章 誘導施策 第8章 計画の評価・検証 届出必要届出不要 都市計画区域(立地適正化計画区域) 居住誘導区域 都市機能誘導区域 届出不要 6