要 約

 本事業成果報告書は、独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)の実施する検査制度の高

度化検討支援のうち、供用期間中検査(ISI)の実情調査として、平成 19 年度の調査結果を示

す。今後の ISI の主流となりうる、リスク情報を活用した供用期間中検査(RI-ISI)について

は継続的に動向を調査しており、米国のリスク情報を活用した規制(RIR)全体の枠組みにお

ける位置づけと、RI-ISI に関する最新の規格の動向等を調査した。ISI を補完し、効率化と

安全確保を可能にするプラント運転中の点検・監視技術、及び ISI に関する現場の活動を

把握するための NRC 地方局と事業者の活動について調査した。

1-1) NRC は、その規制活動のほとんど全ての分野にリスク情報を活用した取り組みを行な

っており、標準化プラント解析用リスクモデル、事故シーケンス予兆プログラム、重要度

決定プロセス及び管理指令 8.3 が実用化されている。RI-ISI の申請は、規制指針(RG)1.174、

1.178 及び標準審査計画(SRP)19.1、19.2、3.9.8 により審査される。

1-2) ISI にリスク情報を活用し安全性に基づいた(RIS_B)技術を用いる指針である ASME コ

ードケース N-716 に従って作成した RI-ISI プログラムを、PWR、BWR 各一基に対して試

適用した結果が NRC に提出され、NRC はこの RI-ISI プログラムを承認した。ただし NRC

は、これはコードケース N-716 を承認するものではないと断っている。

1-3) RI-ISI のための確率論的安全評価においては、配管のあるセグメントの破損をその系

統の動的機器の故障に基づいて評価する代理事象の考え方に基づいて、条件付炉心損傷確

率(CCDP)が計算される。ウェスティング・オーナーズ・グループ(WOG)の手法では CCDP

と破損頻度の積として炉心損傷頻度(CDF)を求め、リスク低減重要度(RRW)に変換して安全

重要度が決定される。米国電力研究所(EPRI)の手法では CCDP の値によってセグメントの

破損の影響度を分類し、劣化メカニズムを組み合わせて安全重要度が決定される。

1-4) RI-ISI においては、配管の破損に伴うリスク(頻度)は「配管の破損頻度」と「配管の破

損による影響(確率)」の積として計算される。配管の破損頻度は運転経験から得られるも

のであって、データベース化して活用する取り組みが行なわれている。

2-1) 計画停止中の保守作業の負荷を緩和すると考えられる、運転期間中の点検・監視技術

に関するASMEコードケース BC 08-038は、人が立ち入ることができない場所へ検査対象

を拡大する必要が生じた場合の対策を定めたものであるが、NRCはまだ合意していない。

3-1) 事業者は ASME または産業界の規格の要求に従って検査を行ない、NRC に結果を報

告する。NRC 検査官は原子炉監視プロセス(ROP)を実施し、その指摘事項に対して、事業

者は是正措置計画書(CAP)を提出し、対策をとることを NRC に約束している。

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    要 約 本事業成果報告書は、独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)の実施する検査制度の高 度化検討支援のうち、供用期間中検査(ISI)の実情調査として、平成19 年度の調査結果を示 す。今後の ISI の主流となりうる、リスク情報を活用した供用期間中検査(RI-ISI)について は継続的に動向を調査しており、米国のリスク情報を活用した規制(RIR)全体の枠組みにお ける位置づけと、RI-ISI に関する最新の規格の動向等を調査した。ISI を補完し、効率化と 安全確保を可能にするプラント運転中の点検・監視技術、及び ISI に関する現場の活動を 把握するための NRC 地方局と事業者の活動について調査した。 1-1) NRC は、その規制活動のほとんど全ての分野にリスク情報を活用した取り組みを行な っており、標準化プラント解析用リスクモデル、事故シーケンス予兆プログラム、重要度 決定プロセス及び管理指令 8.3 が実用化されている。RI-ISI の申請は、規制指針(RG)1.174、 1.178 及び標準審査計画(SRP)19.1、19.2、3.9.8 により審査される。 1-2) ISI にリスク情報を活用し安全性に基づいた(RIS_B)技術を用いる指針である ASME コ ードケース N-716 に従って作成した RI-ISI プログラムを、PWR、BWR 各一基に対して試 適用した結果が NRC に提出され、NRC はこの RI-ISI プログラムを承認した。ただし NRC は、これはコードケース N-716 を承認するものではないと断っている。 1-3) RI-ISI のための確率論的安全評価においては、配管のあるセグメントの破損をその系 統の動的機器の故障に基づいて評価する代理事象の考え方に基づいて、条件付炉心損傷確 率(CCDP)が計算される。ウェスティング・オーナーズ・グループ(WOG)の手法では CCDP と破損頻度の積として炉心損傷頻度(CDF)を求め、リスク低減重要度(RRW)に変換して安全 重要度が決定される。米国電力研究所(EPRI)の手法では CCDP の値によってセグメントの 破損の影響度を分類し、劣化メカニズムを組み合わせて安全重要度が決定される。 1-4) RI-ISI においては、配管の破損に伴うリスク(頻度)は「配管の破損頻度」と「配管の破 損による影響(確率)」の積として計算される。配管の破損頻度は運転経験から得られるも のであって、データベース化して活用する取り組みが行なわれている。 2-1) 計画停止中の保守作業の負荷を緩和すると考えられる、運転期間中の点検・監視技術 に関するASMEコードケース BC 08-038は、人が立ち入ることができない場所へ検査対象 を拡大する必要が生じた場合の対策を定めたものであるが、NRCはまだ合意していない。 3-1) 事業者は ASME または産業界の規格の要求に従って検査を行ない、NRC に結果を報 告する。NRC 検査官は原子炉監視プロセス(ROP)を実施し、その指摘事項に対して、事業 者は是正措置計画書(CAP)を提出し、対策をとることを NRC に約束している。