1. 平松里英さんがお書きになったように、準備に数か月を費やして無事に開催された通訳ワークシ
ョップは、40 人近い参加者にお越しいただき、大大成功のうちに終了いたしました。皆さんの「学
びたい！」という熱意が会場内に満ち溢れ、実にポジティブな雰囲気で始終した１日でした。
ワークショップの開始は 10 時からでしたが、早めに会場に到着する方もいらして、待ち時間を有
効に使いそれぞれネットワーキングなどなさっていたようです。
最初のスピーカーは AIIC (International Association of Conference Interpreters) の Vega（世界中
の会議通訳者をつなぐネットワーク）を代表してお越しくださったアンドリュー・ミーハンさん。AIIC
に登録している日本人通訳者が少ないこと、そろそろ世代交代の時期も来ていることなどから、
AIIC のプロモーションをするためにわざわざ日本から飛んできて下さいました。参加者の中には
AIIC 登録を考えている方もいたことから、AIIC や Vega に関していくつも質問が出されました。
Vega は、会議通訳者を目指す人、また会議通訳者としての経験がまだ浅い人たちを支援する活
動を行っているそうです。その一環として、会議通訳者になるための質問であれば、Vega に連絡
すれば必ずいずれかのメンバーが答えて下さるとのことです。また、以下のページに「よくある質
問」も載っていますので、まずそちらを読んでみるのもよいでしょう。
http://aiic.net/p/1803
なお、当日のコーヒーとお茶は、アンドリューさんが代表を務めるミーハングループからの提供であったことを一言
申し添えます。ビスケットは平松さんからの差し入れです。
二人目のスピーカーは、EU 認定会議通訳者である桂子・ティールさん。EU の通訳者認定試験に
受かるための準備や、実際の試験の様子についてお話し頂きました。質疑応答の時間には、EU
の通訳者認定試験を受けることを検討している参加者からさまざまな質問が出されました。
その後 1 時間のお昼休みとなりました。が、その前にベン・ジョーンズさんから ITI へのお誘いの
言葉、それに続いて当日の会場となったロンドン・メトロポリタン大学大学院の会議通訳科（筆者も
通学中です）で使われている同時通訳ブース施設のツアーがありました。ガイド役は同コース講師
のグリーン・裕美さんでした。ありがとうございました。当日急遽撮影係を務めて下さった J-Net 会
員の内柴晴子さんにもお礼を申し上げます。
午後一番のトークは再びアンドリュー・ミーハンさんの登場です。IR 通訳を中心に、ビジネス通訳
一般の案件を受けた際の準備の仕方や通訳時の心得などについてお話し頂きました。このセッシ

2. ョンでも何人もの方からさまざまな質問が出され、アンドリューさんはその一つ一つに誠実に丁寧
に答えてくださいました。聞きたいことが多すぎて時間が足りないくらいでしたね。
そして最後はわれらが運営委員会委員長でもある平松里英さんによる発声指導でした。まずは平
松さんからの説明を聞いた後、参加者も立ち上がって発生や滑舌の練習をしました。プロのアナ
ウンサーを養成するためのコースを修了されている平松さんならではの、とても役に立つセッショ
ンでした。
ワークショップ終了後は、一旦近くのパブで乾いた喉を潤してから懇親会会場へ。懇親会にも 20
名以上の方が参加してくださり、非常に盛り上がったディナーとなりました。3 人のスピーカーの
方々はこの席でも人気者で、昼間に引き続き質問攻めにあっていたのではないでしょうか。ワーク
ショップの成功に大きく貢献して下さったスピーカーの皆さんに心よりお礼を申し上げます。アンド
リューさんからは企画の段階からいろいろと貴重なアドバイスを頂きました。そのご尽力に対して
も、運営委員一同よりお礼を申し上げます。
通訳者を対象とした講座やセミナーが多く開催される日本と違って、イギリス国内で通訳者のみを
対象にしたイベントが開かれることはあまりないように感じます。ですから、イギリスや欧州在住の
現役通訳者や通訳志望者にとって、今回のワークショップは「待ちに待った」イベントだったとも言
えるのではないでしょうか？
運営委員一同、ワークショップの超大成功を心から喜ぶと共に、「イベントの準備・運営がまさかこ
んなに大変だったとは！」とかなり驚いているのも事実です。特にスピーカーでもあり委員長も務
めて下さった平松里英さんの働きぶりはまさに「スーパーウーマン」としか形容のしようがありませ
ん。平松さん無くしてこのワークショップの実現はあり得ませんでした。
参加者の皆さんからは「また是非次回を」とのご要望を多く頂きましたが、今後このような規模の
ワークショップが再び実現できるかどうかは、企画・準備・運営作業を引き受ける人材がいるかど
うかにかかっています。ですから、、、、もしかしてこのワークショップは「伝説」となるかもしれませ
ん。後々まで語り継がれる（であろう）今回のワークショップに参加できた方々は本当にラッキーで
したね！
春の通訳ワークショップ運営委員 坂井裕美