SlideShare a Scribd company logo
1 of 22
www.fas.org
米国の核抑止政策と日本の核政策
Hans M. Kristensen
Director, Nuclear Information Project
Federation of American Scientists
hkristensen@fas.org | 202-454-4695
Briefing to
GENSUIKIN
Tokyo
March 6, 2015
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 2
歴史と現状
1945年以来 125,000発以上の核弾頭が製造
軍用「保有量」のピークは1986年の 64,500発(退
役核弾頭も入れると 70,300発)
• 米国の保有量のピークは早く(1967年
• ロシアの保有量のピークは遅く1986年
1986年のピークから大量の削減:
• 約54,000 発の保有核弾頭削減
• 約47,000発以上が解体
現在
約10,000 発の軍用「保有」核弾頭 (解体待ちの退役
核弾頭を入れると約16,000発)
米ロで世界全体の90%を保有 (退役核弾頭を入れる
と94% );それぞれ、米ロ以外の国の保有数合計の4
倍以上の核弾頭を保有;第三位の国(フランス)の
15倍を保有
減少中: 米、ロ、英、仏
増加中:中、パ、印
イスラエル:ほぼ一定。北朝鮮:試み中
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 3
世界の総量の90%を保有する米ロは、削減について特
別な責任を負う
配備戦略核の削減 1989年の約 23,000 から2014年の
3,500 へ (新STARTの数え方で 3,285)
残っている戦略核の準備態勢のレベルは高い:約1,800発
が迅速な警戒態勢(アラート状態)に
公式な警戒態勢解除(ディアラーティング)はない。が。
警戒態勢の全体的な数は相当に減少:重爆撃機警戒態勢解
除、米国 ICBMsと SLBM は搭載核弾頭数の減少。非戦略
核の警戒態勢解除。
傾向:削減ペースの低下
米国:2009-2013年削減は309発のみ。これに対し 2004-
2008年は3,287 発の削減
ロシア:2009-2013年の推定削減数1000発。これに対し
2004-2008年の削減数は 2,500 発
削減のペースを維持または増強するのではなく、米ロの
保有数はI長期にわたって横這いの模様。新しい焦点は
「近代化」
軍縮の停滞を防ぐには新しいイニシアチブが必要
Note: retired, but still intact, warheads awaiting dismantlement are not shown
米ロの核兵器
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 4
全世界の核兵器数推定
2015年 世界の核弾頭推定数
国名 配備 保有 退役 総数
ロシア 1,780 4,300 3,200 7,500
米国 2,080 4,760 2,340 7,100
フランス 240 300 300
中国 260 low 260
英国 120 215 low 215
パキスタン 120 120
インド 110 110
イスラエル 80 80
北朝鮮 ? ?
合計 4,220 10,145 5,540 15,685
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 5
数の減少:米国の核兵器保有数1945-2015年
• 冷戦時代と比べると保有数と配備数の相当な削減
• 保有数ピーク1967年; 配備戦略核ピーク 1987年
• 推定保有数4,760発 (戦略核1,750発と戦術核180 発が配備)
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 6
種類の減少
爆弾
対潜水艦ミサイル
魚雷
爆雷機雷砲弾
ロケット
海上発射巡航ミサイル
• 米国の非戦略核のほとんどが廃棄
• 数百発の重量爆弾が残るのみ
短距離ミサイル
対空ミサイル
GLCM地上発射巡航ミサイル
衝突:ソ連の潜水艦と米国フリゲート艦
衝突:米巡洋艦とソ連フリゲート艦
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide
数の減少:傾向
• W・ブッシュ政権は、2007年までに保有量を約半分に削減
• オバマは約500発削減; 冷戦後の大統領の中で最小の削減
• 新STARTの上限は核弾頭ではほとんど達成; しかし、「運搬手段」の方はまだ。
• 2030年までは保有数の大きな削減は計画されていない
7
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 8
変えようという意図
“冷戦思考に終止符を打ち・・・我が国の安全保障戦略における核兵器の役
割を低減する。そ して他国にもそうするよう呼びかける”
オバマ大統領 プラハ 2009年 強調は引用者 (emphasisadded)
「より小さな核戦力で我が国の抑止目標を達成するというのはありうる。そうすれ
ば我が国の核兵器保有数だけでなく、我が国の安全保障戦略におけるその役割
を減らすことになる」
『世界における米国のリーダーシップの維持:21世紀の国防の優先事項』, DOD, 2012 (強調は原文)
国防省に対し 「核以外の攻撃を抑止する上での核兵器の役割を減らすこと」及び
「攻撃下発射の役割を減らすこと」を支持し “いずれ[核攻撃に抑止を米国の核兵
器の唯一の役割とするゴール]に向けて努力する意向を再確認する」
『米国の核運用[使用]戦略に関する報告』 DOD, 2013年6月12日
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 9
近年の核戦争計画の変遷
• STRATCOM “米国の核戦争計画を単一の大きな統合計画から広範なシナリオに適
応できる一連の計画に変更している”
• “GlobalStrike”ミッションが戦略軍STRATCOMに与えられる
SIOP plans
OPLAN 8044
OPLAN 8010
• 最初の “LivingSIOP”
• NPR
• 大きな改訂
• PDD-60
•中国がまた SIOPに
• 柔軟戦域オプション
• NPR
• CONPLAN 8022 (後に OPLANと合体)
• NPR
• NSPD-14
• 大きな改訂が提供する「より柔軟なオプションによって広範な非常事態
において同盟国を安心させ、敵国を思いとどまらせ、抑止し、そして必要
な場合には打破することが可能となる」
• 「 政府諸機関の抑止活動と同盟国パートナーの統合に向けた
重要な一歩」を意味する「地球大抑止計画”
• JSCP-N
• NUWEP-04
• JSCP-N• JSCP-N
• NUWEP-92 • NUWEP-08 (GEF)
JCS:
White House:
OSD: • NUWEP-99
1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2997 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
JUL 12:
OPLAN 8010-12
• JSCP-N
• NUWEP-13 (GEF)
• PPD-24
新/改訂
OPLAN?
STRATCOM:
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide10
脅威の範囲の広がり
• クリトンとW・ブッシュの両政権は、
核戦略を拡大した
• 拡散についての懸念と9・11攻撃が大量
破壊兵器(WMD)を持つ「地域国家」に
対する通常兵器だけでなく核計画の拡
大をもたらした
• 「核武装した」敵から「WMD武装し
た」敵へと用語が変わった
• 作戦計画OPLAN 8044 Revision 03は、
地域拡散国家に対する攻撃オプション
を含んでいた
• 根拠は国家安全保障大統領令NSPD-14
(2002)
• 影響:ミッションの拡散 (より少量で多
くを); 計画の複雑化
Source: STRATCOM OPLAN 8044 Revision 03 briefing slide obtained by
FAS under FOIA
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide11
より小さいがより広範な戦略戦争計画
• OPLAN 8010-12 (2012年7月):
戦略抑止と戦力運用[使用]
• 六つの敵国に対応. 恐らく、ロシア、中国、
北朝鮮、イラン、シリア、それと9・11型
WMDシナリオ
• 半分は核兵器を持たず、4カ国はNPTの加盟
国
• 4類型の核攻撃オプションを含む:
o 基本攻撃オプション (BAOs)
o 選択的攻撃オプション (SAOs)
o 緊急対応オプション (EROs)
o 有向・対応型計画能力オプション
• 今では核戦争計画にはもう大規模攻撃オプ
ション(MAOs)はない。
• 基本計画は、戦略的効果を持つために広範な
国力を含んでいる。
Source: STRATCOM OPLAN 8010 briefing slide obtained by FAS under FOIA
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 12
核戦争計画指令(ガイダンス)
大統領指令は長いプロセスにおける最初のステップに過ぎない:
• 2004年4月:核兵器運用[使用]計画 NUWEP-04 は次のように述べている: “
米国の核戦力は、潜在的敵国の指導部が最も価値があると見なしていて、
戦争後の世界においてその目標を達成するために依存するであろう戦争遂
行・戦争支援アセットを破壊することができなければならず、また、その能力
があると見られなければならない。
• 2008年5月: それまでの半ダースほどのガイダンス文書をまとめた戦力運用
[使用]ガイダンス(GEF)のNUWEP-08 Annex
• 2013年6月: オバマ政権の核兵器運用戦略 (PPD-24)は、カウンターフォース
(対戦力)を再確認し、新 START以下への戦力構成の削減を支持せず、現在
の警戒態勢(アラート)のレベルを維持している。
• 新しい核兵器運用計画NUWEP (Annex to GEF) と統合戦略能力計画JSCP-N
のための情報を提供している
• OPLAN 8010-12の修正の可能性
“大統領の私に対する指示は2ページ以下だった。 大統領が本当に言おうとしたこと
についての幕僚事務局の説明は、26ページだった.”
戦略軍STRATCOM 司令官ジェイムズ・エリス提督2004年6月18日
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide
核兵器の役割の低減
オバマ政権は核態勢の見直し(NPR)は核兵器の役割を低減したと言う:
•NPRは「米国の核戦力の基本的役割は核攻撃を抑止することだと宣言すること
によって我が国の防衛態勢における核兵器の役割を減らしている….我々の新しい ド
ドクトリンはまた、NPT の加盟国で核不拡散の義務を遵守している国に対しては
我が国は核兵器を使わないと宣言することにより米国の保証を提供している
トーマス・ドニロン2011年3月(強調は引用者)
…しかし、役割を低減できないと述べ、その理由を次のように説明する:
• “米国あるいはその同盟国及びパートナーに対する通常兵器あるいはCBWの攻撃を抑止す
る上で米国の核兵器が役割を果たす可能性のある状況が狭い範囲で残る。従って、米国は、
現時点では、米国の核兵器の「唯一の目的」は米国とその同盟国及びパートナーに対する
核攻撃を抑止することにあるとする普遍的な政策を採用する用意はない….”
核態勢の見直し(NPR) 2010年4月
13
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide
オバマの核ガイダンス
2013年6月に核兵器運用[使用]戦略 (PPD-24)を発表:
変更
• 配備戦略核の1/3の低減の追求を指示
• 米国は極限の状況でのみ核の使用を考えると述べて
いる
• 核戦略の範囲を狭め21世紀の目的とミッショにのみ
焦点を当てている、
• 非核能力の強化と、非核攻撃の抑止における核の役
割の低減を指示している
• 非常事態計画において攻撃下発射(LUA)の役割の低
減を指示している
• 予備核弾頭のためのヘッジング戦略を修正している
現状維持
• カウンターフォース戦略を再確認し、カウンタ
ヴァリュー(対価値)・最小抑止を拒絶してい
る
• 3本柱と核・通常両用航空機DCAの必要性を再確
認
• 地政学的ヘッジ・予備核兵器の必要性を再確認
• 新START以上の核戦力構成削減を指示していない
• 非核兵器国に対する核兵器の役割を維持してい
る
• 攻撃下発射の能力を維持
• 現在の警戒態勢レベルを維持
14
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide
オバマの核ガイダンス
大統領政策令PPD-24の準備過程は、数々の核運用戦略オプションと、
それぞれのオプションが核戦力要件や抑止が失敗した場合に米国と
その同盟国の目的の達成にとって持つ意味の分析を含んでいた。
この試みは、冷戦後の地域的シナリオにおける核の焦点の
増大傾向を強化しているようである。とりわけ、地域紛争における
エスカレーションを抑止し、抑止が失敗した場合には、米国とその同盟国
が決める条件において敵を打破するというものである:
“このガイダンスは、計画は21世紀に必要な目的及びミッション(エスカレートする地域紛争にお
ける核の使用を抑止を含む)だけに焦点を当てなければならないと指示することによって米国の
核戦略の幅を狭めている。
地域的抑止の課題は、米国が準備しなければならない核のシナリオの中で「ありそうになさの最
小のものleast unlikely」であり得、それに対して我々の計画・オプションを強化し続けることは、米
国の核運用政策・計画を今日の戦略環境に合わせる上で中核をなすものである エレイン・バン
国務次官補代理DASD (核・ミサイル防衛政策),国防長官室OSD, 2014年3月5日
15
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide
役割の低減によって影響を受けるのは?
「新しいドクトリン 」が現在の戦争計画における6つの敵に対する核
計画を通常の調整以上に減らすかどうか:
敵 役割の低減によって影響を受けない。なぜなら:
ロシア 核兵器を持っている
中国 核兵器を持っている
北朝鮮 核兵器を持っているし、NPTから脱退している
イラン NPT遵守とみなされておらず、WMD能力を持っている
シリア NPT遵守とみなされておらず、WMD能力を持っている
9/11 シナリオ 非政府アクター(NPTのメンバーでない)が独自に、あるいは
NPT非遵守・非加盟の「暴漢国家」と共同で行動
オバマ大統領は2012年の韓国外国語大学での講演で述べている:核兵器を使用したり、使用の威嚇を
したりするかもしれない不慮の事変の範囲を狭めた。
16
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide
役割をさらに減らすためのオプション
“冷戦思考に終止符を打つ” には、単に核態勢のエッジを削るという程度では不十分で
ロシアと中国に対する中核的な計画想定・原則を変える必要がある:
• 標的の範疇の数・範囲を減らす
• 攻撃オプションにおける核弾頭のもたらす被害予測に関する要件を減ら
す
• 攻撃オプションの数を減らす
• ICBMの迅速発射要件を減らすあるいは無くす
• SSBNの警戒態勢を解除し配備状態を変える
• 被害限定攻撃のための計画の要件を減らすか無くす
• 役割を核攻撃の抑止に限る; 「我々は、核使用を核戦力の唯一の役割とす
るための具体的な措置を講じることにコミットしている」
トーマス・ドニロン2011年3月
• カウンターフォース及び戦力対戦力戦闘計画を限定的なものにするか無
くす; “カウンターフォースは先制攻撃preemptiveか攻撃的対応offensively
reactive”
国防省 拡散対抗作戦構成 2002年4月
• 核態勢を報復能力の確保に限定する:中核的抑止core deterrence
17
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide
同盟国に対する影響
• 拡大抑止のコミットメントは、米国の核に関する宣言政策、ミッション・戦略、
近代化において顕著な役割を果たす
• B-2 とB-52Hのグアムへのローテーション配備は、部分的には拡大核抑止の
ミッションだ
• 北東アジア及びNATOの同盟国は核関連調達や核態勢に影響を与える:
• 日本政府関係者がTLAM/Nの退役に反対する活発なロビー活動を展
開した
• New B61-12誘導スタンドオフ爆弾は北東アジアでミッションを持つこと
になる。; 拡大抑止が正当化の議論で顕著な役割を果たしている
• 核能力を持った新しいF-35Aは、明確に拡大抑止ミッションで正当化
されている。北東アジアやNATOのミッションがなければ予算がでてい
ない。
• 新しい空中発射巡航ミサイル(LRSO) は部分的には、北東アジアにお
ける地域的な限定抑止、エスカレーションシナリオに焦点を当ててい
る。
• 忘れないように:拡大抑止は核だけではない。というより、ほとんど核ではな
い。
18
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide
ICBM
• Minuteman III 寿命延長作業終了へ
• 核弾頭起爆装置/相互運用可能核弾頭計画
• 地上配備戦略抑止力GBSD (ICBM 代替) 開発中
SSBN / SLBM
• Trident II D5 SLBM寿命延長開発
• SSBN 代替開発 (12 計画)
• W76-1 核弾頭寿命延長配備中
• W88-1核弾頭寿命延長開発
爆撃機
• B-2 and B-52 の改良進行中
• LRS-B 次期爆撃機開発中
• B61-12誘導スタンドオフ爆弾開発中
• LRSO (ALCM) 代替開発中
戦術
• F-35A 核能力開発中
• B61-12誘導スタンドオフ爆弾開発中
インフラ
• ウラン処理施設 (セカンダリー用) 建設中
• プルトニウム部品製造施設 (プライマリ-用) 建設中
• 核弾頭検査・シミュレーション施設改良
新しい焦点:近代化
19
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide
広範な近代化
向こう10年間:
核戦力とインフラの維持・近代化
のために3500億ドル
包括的近代化:
• 戦略核の3本柱すべて
• 戦術用2重目的航空機
• 核弾頭製造施設群
核弾頭の種類の統合・近代化
遅延が発生しつつある。更なる遅
延が予想される
核抑止を2080年まで続ける
20
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide
核弾頭の近代化 利点と主張されているもの:
• 核弾頭の種類の数が減ることでヘッ
ジの削減が可能
• 核弾頭の修正で安全性、使用コント
ロール、パーフォーマンス・マージン
の増強
• 核弾頭の種類がへれば、維持・配備
が安上がり
リスクの可能性:
• 核実験された設計から離れた修正;
信頼性問題?
• 保有核の多様性の減少
• 遅延や予算超過を招きやすい複雑
で高くつくプログラム
• 修正核弾頭は「新型」?
• 費用は不確実性が高く、見積もりは
恐らく過小評価
• 本質的疑問:
• ヘッジングは、ミサイルの核弾頭には
必要で、爆撃機用には必要でない
か?
• 英仏両国はヘッジをしないのになぜ
米国はするのか?
• なぜ「配備」核弾頭数が将来も同じな
のか?
3+2戦略: 12 種類(8つの基本設計)の核弾頭から5種類への低減 :
3 種の「相互運用可能な」・「順応性のある」“I核弾頭をICBMとSLBM用に
IW-1 (W78/W88-1), IW-2 (W87/W88-1), IW-3 (W76-1)
2種の「総合運用可能でない」核弾頭を重爆撃機と戦闘機に
W80-1 or W84搭載のALCM (LRSO)
B61-12誘導スタンドオフ爆弾
21
www.fas.org
Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide
結論と提言
• 米国の核弾頭と核兵器の種類は冷戦時代から相当に削減されている
• 約束:核兵器の数・役割を減らし、「冷戦思考に終止符を打つ」
• 現実:冷戦後の大統領の中で最小の削減幅;核兵器の重要性の再確認;既存の3本柱と非戦略核へコ
ミット;ヨーロッパでの前方展開継続;カンターフォース(対戦力)戦略の維持;高いレベルの警戒態勢の
核兵器の継続
• 傾向:削減の鈍化(米国だけではない)
• 核態勢の再編成や核弾頭寿命延長計画などで将来の削減が可能となる
• 広範な近代化が進行中
• 拡大抑止と同盟国の希望が核態勢・近代化計画において重要な役割を果たす
22

More Related Content

More from hkano

使用済み燃料プール火災の恐怖──空冷式乾式貯蔵の迅速導入を
使用済み燃料プール火災の恐怖──空冷式乾式貯蔵の迅速導入を使用済み燃料プール火災の恐怖──空冷式乾式貯蔵の迅速導入を
使用済み燃料プール火災の恐怖──空冷式乾式貯蔵の迅速導入をhkano
 
使用済み燃料の貯蔵状況と対策
使用済み燃料の貯蔵状況と対策使用済み燃料の貯蔵状況と対策
使用済み燃料の貯蔵状況と対策hkano
 
重大事故等に対する再処理施設の安全性向上について(その2) 重大事故等:冷却機能喪失による蒸発乾固に係る安全対策 日本原燃再処理事業部
重大事故等に対する再処理施設の安全性向上について(その2) 重大事故等:冷却機能喪失による蒸発乾固に係る安全対策 日本原燃再処理事業部重大事故等に対する再処理施設の安全性向上について(その2) 重大事故等:冷却機能喪失による蒸発乾固に係る安全対策 日本原燃再処理事業部
重大事故等に対する再処理施設の安全性向上について(その2) 重大事故等:冷却機能喪失による蒸発乾固に係る安全対策 日本原燃再処理事業部hkano
 
六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性【重大事故等対処施設】重大事故等への対処の基本方針及び想定する条件(蒸発乾固)日本原燃 2015年6月29日
六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性【重大事故等対処施設】重大事故等への対処の基本方針及び想定する条件(蒸発乾固)日本原燃 2015年6月29日六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性【重大事故等対処施設】重大事故等への対処の基本方針及び想定する条件(蒸発乾固)日本原燃 2015年6月29日
六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性【重大事故等対処施設】重大事故等への対処の基本方針及び想定する条件(蒸発乾固)日本原燃 2015年6月29日hkano
 
六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性 【重大事故等対処施設】重大事故に係る燃料条件 日本原燃 2015年8月31日
六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性 【重大事故等対処施設】重大事故に係る燃料条件 日本原燃 2015年8月31日六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性 【重大事故等対処施設】重大事故に係る燃料条件 日本原燃 2015年8月31日
六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性 【重大事故等対処施設】重大事故に係る燃料条件 日本原燃 2015年8月31日hkano
 
六ヶ所再処理工場回収プルトニウム利用計画(平成22年度)
六ヶ所再処理工場回収プルトニウム利用計画(平成22年度)六ヶ所再処理工場回収プルトニウム利用計画(平成22年度)
六ヶ所再処理工場回収プルトニウム利用計画(平成22年度)hkano
 
これまでの議論の整理について
これまでの議論の整理についてこれまでの議論の整理について
これまでの議論の整理についてhkano
 
我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方(平成30年7月版)
我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方(平成30年7月版)我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方(平成30年7月版)
我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方(平成30年7月版)hkano
 
20200211平和フォーラム
20200211平和フォーラム20200211平和フォーラム
20200211平和フォーラムhkano
 
エネルギー基本計画の影響─脱石炭の世界の潮流に遅れる日本
エネルギー基本計画の影響─脱石炭の世界の潮流に遅れる日本エネルギー基本計画の影響─脱石炭の世界の潮流に遅れる日本
エネルギー基本計画の影響─脱石炭の世界の潮流に遅れる日本hkano
 
第5次エネルギー基本計画ファクトチェック補足資料(原子力)
第5次エネルギー基本計画ファクトチェック補足資料(原子力)第5次エネルギー基本計画ファクトチェック補足資料(原子力)
第5次エネルギー基本計画ファクトチェック補足資料(原子力)hkano
 
第5次エネルギー基本計画ファクトチェックについて
第5次エネルギー基本計画ファクトチェックについて第5次エネルギー基本計画ファクトチェックについて
第5次エネルギー基本計画ファクトチェックについてhkano
 
使用済み燃料火災の危険低減のための提案: 米国原子力規制委員会(NRC)の反応
使用済み燃料火災の危険低減のための提案: 米国原子力規制委員会(NRC)の反応使用済み燃料火災の危険低減のための提案: 米国原子力規制委員会(NRC)の反応
使用済み燃料火災の危険低減のための提案: 米国原子力規制委員会(NRC)の反応hkano
 
分離済みプルトニウム処分のためのオプション
分離済みプルトニウム処分のためのオプション分離済みプルトニウム処分のためのオプション
分離済みプルトニウム処分のためのオプションhkano
 
トランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talko並べ替えノート翻訳追加作業revnote
トランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talko並べ替えノート翻訳追加作業revnoteトランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talko並べ替えノート翻訳追加作業revnote
トランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talko並べ替えノート翻訳追加作業revnotehkano
 
トランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talk並べ替えノート翻訳
トランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talk並べ替えノート翻訳トランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talk並べ替えノート翻訳
トランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talk並べ替えノート翻訳hkano
 
管理状況議事録・2014 2016 
管理状況議事録・2014 2016 管理状況議事録・2014 2016 
管理状況議事録・2014 2016 hkano
 
マーティンNDA解答短縮版発表用
マーティンNDA解答短縮版発表用マーティンNDA解答短縮版発表用
マーティンNDA解答短縮版発表用hkano
 
2016年11月2日英国pu記者会見rev.
2016年11月2日英国pu記者会見rev.2016年11月2日英国pu記者会見rev.
2016年11月2日英国pu記者会見rev.hkano
 
オバマ政策再考資料201605
オバマ政策再考資料201605オバマ政策再考資料201605
オバマ政策再考資料201605hkano
 

More from hkano (20)

使用済み燃料プール火災の恐怖──空冷式乾式貯蔵の迅速導入を
使用済み燃料プール火災の恐怖──空冷式乾式貯蔵の迅速導入を使用済み燃料プール火災の恐怖──空冷式乾式貯蔵の迅速導入を
使用済み燃料プール火災の恐怖──空冷式乾式貯蔵の迅速導入を
 
使用済み燃料の貯蔵状況と対策
使用済み燃料の貯蔵状況と対策使用済み燃料の貯蔵状況と対策
使用済み燃料の貯蔵状況と対策
 
重大事故等に対する再処理施設の安全性向上について(その2) 重大事故等:冷却機能喪失による蒸発乾固に係る安全対策 日本原燃再処理事業部
重大事故等に対する再処理施設の安全性向上について(その2) 重大事故等:冷却機能喪失による蒸発乾固に係る安全対策 日本原燃再処理事業部重大事故等に対する再処理施設の安全性向上について(その2) 重大事故等:冷却機能喪失による蒸発乾固に係る安全対策 日本原燃再処理事業部
重大事故等に対する再処理施設の安全性向上について(その2) 重大事故等:冷却機能喪失による蒸発乾固に係る安全対策 日本原燃再処理事業部
 
六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性【重大事故等対処施設】重大事故等への対処の基本方針及び想定する条件(蒸発乾固)日本原燃 2015年6月29日
六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性【重大事故等対処施設】重大事故等への対処の基本方針及び想定する条件(蒸発乾固)日本原燃 2015年6月29日六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性【重大事故等対処施設】重大事故等への対処の基本方針及び想定する条件(蒸発乾固)日本原燃 2015年6月29日
六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性【重大事故等対処施設】重大事故等への対処の基本方針及び想定する条件(蒸発乾固)日本原燃 2015年6月29日
 
六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性 【重大事故等対処施設】重大事故に係る燃料条件 日本原燃 2015年8月31日
六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性 【重大事故等対処施設】重大事故に係る燃料条件 日本原燃 2015年8月31日六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性 【重大事故等対処施設】重大事故に係る燃料条件 日本原燃 2015年8月31日
六ヶ所再処理施設における新規制基準に対する適合性 【重大事故等対処施設】重大事故に係る燃料条件 日本原燃 2015年8月31日
 
六ヶ所再処理工場回収プルトニウム利用計画(平成22年度)
六ヶ所再処理工場回収プルトニウム利用計画(平成22年度)六ヶ所再処理工場回収プルトニウム利用計画(平成22年度)
六ヶ所再処理工場回収プルトニウム利用計画(平成22年度)
 
これまでの議論の整理について
これまでの議論の整理についてこれまでの議論の整理について
これまでの議論の整理について
 
我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方(平成30年7月版)
我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方(平成30年7月版)我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方(平成30年7月版)
我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方(平成30年7月版)
 
20200211平和フォーラム
20200211平和フォーラム20200211平和フォーラム
20200211平和フォーラム
 
エネルギー基本計画の影響─脱石炭の世界の潮流に遅れる日本
エネルギー基本計画の影響─脱石炭の世界の潮流に遅れる日本エネルギー基本計画の影響─脱石炭の世界の潮流に遅れる日本
エネルギー基本計画の影響─脱石炭の世界の潮流に遅れる日本
 
第5次エネルギー基本計画ファクトチェック補足資料(原子力)
第5次エネルギー基本計画ファクトチェック補足資料(原子力)第5次エネルギー基本計画ファクトチェック補足資料(原子力)
第5次エネルギー基本計画ファクトチェック補足資料(原子力)
 
第5次エネルギー基本計画ファクトチェックについて
第5次エネルギー基本計画ファクトチェックについて第5次エネルギー基本計画ファクトチェックについて
第5次エネルギー基本計画ファクトチェックについて
 
使用済み燃料火災の危険低減のための提案: 米国原子力規制委員会(NRC)の反応
使用済み燃料火災の危険低減のための提案: 米国原子力規制委員会(NRC)の反応使用済み燃料火災の危険低減のための提案: 米国原子力規制委員会(NRC)の反応
使用済み燃料火災の危険低減のための提案: 米国原子力規制委員会(NRC)の反応
 
分離済みプルトニウム処分のためのオプション
分離済みプルトニウム処分のためのオプション分離済みプルトニウム処分のためのオプション
分離済みプルトニウム処分のためのオプション
 
トランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talko並べ替えノート翻訳追加作業revnote
トランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talko並べ替えノート翻訳追加作業revnoteトランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talko並べ替えノート翻訳追加作業revnote
トランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talko並べ替えノート翻訳追加作業revnote
 
トランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talk並べ替えノート翻訳
トランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talk並べ替えノート翻訳トランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talk並べ替えノート翻訳
トランプ大統領と米国核兵器のアジアへの復帰(Gk japan talk並べ替えノート翻訳
 
管理状況議事録・2014 2016 
管理状況議事録・2014 2016 管理状況議事録・2014 2016 
管理状況議事録・2014 2016 
 
マーティンNDA解答短縮版発表用
マーティンNDA解答短縮版発表用マーティンNDA解答短縮版発表用
マーティンNDA解答短縮版発表用
 
2016年11月2日英国pu記者会見rev.
2016年11月2日英国pu記者会見rev.2016年11月2日英国pu記者会見rev.
2016年11月2日英国pu記者会見rev.
 
オバマ政策再考資料201605
オバマ政策再考資料201605オバマ政策再考資料201605
オバマ政策再考資料201605
 

米国の核抑止政策と日本の核政策

  • 1. www.fas.org 米国の核抑止政策と日本の核政策 Hans M. Kristensen Director, Nuclear Information Project Federation of American Scientists hkristensen@fas.org | 202-454-4695 Briefing to GENSUIKIN Tokyo March 6, 2015
  • 2. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 2 歴史と現状 1945年以来 125,000発以上の核弾頭が製造 軍用「保有量」のピークは1986年の 64,500発(退 役核弾頭も入れると 70,300発) • 米国の保有量のピークは早く(1967年 • ロシアの保有量のピークは遅く1986年 1986年のピークから大量の削減: • 約54,000 発の保有核弾頭削減 • 約47,000発以上が解体 現在 約10,000 発の軍用「保有」核弾頭 (解体待ちの退役 核弾頭を入れると約16,000発) 米ロで世界全体の90%を保有 (退役核弾頭を入れる と94% );それぞれ、米ロ以外の国の保有数合計の4 倍以上の核弾頭を保有;第三位の国(フランス)の 15倍を保有 減少中: 米、ロ、英、仏 増加中:中、パ、印 イスラエル:ほぼ一定。北朝鮮:試み中
  • 3. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 3 世界の総量の90%を保有する米ロは、削減について特 別な責任を負う 配備戦略核の削減 1989年の約 23,000 から2014年の 3,500 へ (新STARTの数え方で 3,285) 残っている戦略核の準備態勢のレベルは高い:約1,800発 が迅速な警戒態勢(アラート状態)に 公式な警戒態勢解除(ディアラーティング)はない。が。 警戒態勢の全体的な数は相当に減少:重爆撃機警戒態勢解 除、米国 ICBMsと SLBM は搭載核弾頭数の減少。非戦略 核の警戒態勢解除。 傾向:削減ペースの低下 米国:2009-2013年削減は309発のみ。これに対し 2004- 2008年は3,287 発の削減 ロシア:2009-2013年の推定削減数1000発。これに対し 2004-2008年の削減数は 2,500 発 削減のペースを維持または増強するのではなく、米ロの 保有数はI長期にわたって横這いの模様。新しい焦点は 「近代化」 軍縮の停滞を防ぐには新しいイニシアチブが必要 Note: retired, but still intact, warheads awaiting dismantlement are not shown 米ロの核兵器
  • 4. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 4 全世界の核兵器数推定 2015年 世界の核弾頭推定数 国名 配備 保有 退役 総数 ロシア 1,780 4,300 3,200 7,500 米国 2,080 4,760 2,340 7,100 フランス 240 300 300 中国 260 low 260 英国 120 215 low 215 パキスタン 120 120 インド 110 110 イスラエル 80 80 北朝鮮 ? ? 合計 4,220 10,145 5,540 15,685
  • 5. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 5 数の減少:米国の核兵器保有数1945-2015年 • 冷戦時代と比べると保有数と配備数の相当な削減 • 保有数ピーク1967年; 配備戦略核ピーク 1987年 • 推定保有数4,760発 (戦略核1,750発と戦術核180 発が配備)
  • 6. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 6 種類の減少 爆弾 対潜水艦ミサイル 魚雷 爆雷機雷砲弾 ロケット 海上発射巡航ミサイル • 米国の非戦略核のほとんどが廃棄 • 数百発の重量爆弾が残るのみ 短距離ミサイル 対空ミサイル GLCM地上発射巡航ミサイル 衝突:ソ連の潜水艦と米国フリゲート艦 衝突:米巡洋艦とソ連フリゲート艦
  • 7. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 数の減少:傾向 • W・ブッシュ政権は、2007年までに保有量を約半分に削減 • オバマは約500発削減; 冷戦後の大統領の中で最小の削減 • 新STARTの上限は核弾頭ではほとんど達成; しかし、「運搬手段」の方はまだ。 • 2030年までは保有数の大きな削減は計画されていない 7
  • 8. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 8 変えようという意図 “冷戦思考に終止符を打ち・・・我が国の安全保障戦略における核兵器の役 割を低減する。そ して他国にもそうするよう呼びかける” オバマ大統領 プラハ 2009年 強調は引用者 (emphasisadded) 「より小さな核戦力で我が国の抑止目標を達成するというのはありうる。そうすれ ば我が国の核兵器保有数だけでなく、我が国の安全保障戦略におけるその役割 を減らすことになる」 『世界における米国のリーダーシップの維持:21世紀の国防の優先事項』, DOD, 2012 (強調は原文) 国防省に対し 「核以外の攻撃を抑止する上での核兵器の役割を減らすこと」及び 「攻撃下発射の役割を減らすこと」を支持し “いずれ[核攻撃に抑止を米国の核兵 器の唯一の役割とするゴール]に向けて努力する意向を再確認する」 『米国の核運用[使用]戦略に関する報告』 DOD, 2013年6月12日
  • 9. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 9 近年の核戦争計画の変遷 • STRATCOM “米国の核戦争計画を単一の大きな統合計画から広範なシナリオに適 応できる一連の計画に変更している” • “GlobalStrike”ミッションが戦略軍STRATCOMに与えられる SIOP plans OPLAN 8044 OPLAN 8010 • 最初の “LivingSIOP” • NPR • 大きな改訂 • PDD-60 •中国がまた SIOPに • 柔軟戦域オプション • NPR • CONPLAN 8022 (後に OPLANと合体) • NPR • NSPD-14 • 大きな改訂が提供する「より柔軟なオプションによって広範な非常事態 において同盟国を安心させ、敵国を思いとどまらせ、抑止し、そして必要 な場合には打破することが可能となる」 • 「 政府諸機関の抑止活動と同盟国パートナーの統合に向けた 重要な一歩」を意味する「地球大抑止計画” • JSCP-N • NUWEP-04 • JSCP-N• JSCP-N • NUWEP-92 • NUWEP-08 (GEF) JCS: White House: OSD: • NUWEP-99 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2997 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 JUL 12: OPLAN 8010-12 • JSCP-N • NUWEP-13 (GEF) • PPD-24 新/改訂 OPLAN? STRATCOM:
  • 10. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide10 脅威の範囲の広がり • クリトンとW・ブッシュの両政権は、 核戦略を拡大した • 拡散についての懸念と9・11攻撃が大量 破壊兵器(WMD)を持つ「地域国家」に 対する通常兵器だけでなく核計画の拡 大をもたらした • 「核武装した」敵から「WMD武装し た」敵へと用語が変わった • 作戦計画OPLAN 8044 Revision 03は、 地域拡散国家に対する攻撃オプション を含んでいた • 根拠は国家安全保障大統領令NSPD-14 (2002) • 影響:ミッションの拡散 (より少量で多 くを); 計画の複雑化 Source: STRATCOM OPLAN 8044 Revision 03 briefing slide obtained by FAS under FOIA
  • 11. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide11 より小さいがより広範な戦略戦争計画 • OPLAN 8010-12 (2012年7月): 戦略抑止と戦力運用[使用] • 六つの敵国に対応. 恐らく、ロシア、中国、 北朝鮮、イラン、シリア、それと9・11型 WMDシナリオ • 半分は核兵器を持たず、4カ国はNPTの加盟 国 • 4類型の核攻撃オプションを含む: o 基本攻撃オプション (BAOs) o 選択的攻撃オプション (SAOs) o 緊急対応オプション (EROs) o 有向・対応型計画能力オプション • 今では核戦争計画にはもう大規模攻撃オプ ション(MAOs)はない。 • 基本計画は、戦略的効果を持つために広範な 国力を含んでいる。 Source: STRATCOM OPLAN 8010 briefing slide obtained by FAS under FOIA
  • 12. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 12 核戦争計画指令(ガイダンス) 大統領指令は長いプロセスにおける最初のステップに過ぎない: • 2004年4月:核兵器運用[使用]計画 NUWEP-04 は次のように述べている: “ 米国の核戦力は、潜在的敵国の指導部が最も価値があると見なしていて、 戦争後の世界においてその目標を達成するために依存するであろう戦争遂 行・戦争支援アセットを破壊することができなければならず、また、その能力 があると見られなければならない。 • 2008年5月: それまでの半ダースほどのガイダンス文書をまとめた戦力運用 [使用]ガイダンス(GEF)のNUWEP-08 Annex • 2013年6月: オバマ政権の核兵器運用戦略 (PPD-24)は、カウンターフォース (対戦力)を再確認し、新 START以下への戦力構成の削減を支持せず、現在 の警戒態勢(アラート)のレベルを維持している。 • 新しい核兵器運用計画NUWEP (Annex to GEF) と統合戦略能力計画JSCP-N のための情報を提供している • OPLAN 8010-12の修正の可能性 “大統領の私に対する指示は2ページ以下だった。 大統領が本当に言おうとしたこと についての幕僚事務局の説明は、26ページだった.” 戦略軍STRATCOM 司令官ジェイムズ・エリス提督2004年6月18日
  • 13. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 核兵器の役割の低減 オバマ政権は核態勢の見直し(NPR)は核兵器の役割を低減したと言う: •NPRは「米国の核戦力の基本的役割は核攻撃を抑止することだと宣言すること によって我が国の防衛態勢における核兵器の役割を減らしている….我々の新しい ド ドクトリンはまた、NPT の加盟国で核不拡散の義務を遵守している国に対しては 我が国は核兵器を使わないと宣言することにより米国の保証を提供している トーマス・ドニロン2011年3月(強調は引用者) …しかし、役割を低減できないと述べ、その理由を次のように説明する: • “米国あるいはその同盟国及びパートナーに対する通常兵器あるいはCBWの攻撃を抑止す る上で米国の核兵器が役割を果たす可能性のある状況が狭い範囲で残る。従って、米国は、 現時点では、米国の核兵器の「唯一の目的」は米国とその同盟国及びパートナーに対する 核攻撃を抑止することにあるとする普遍的な政策を採用する用意はない….” 核態勢の見直し(NPR) 2010年4月 13
  • 14. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide オバマの核ガイダンス 2013年6月に核兵器運用[使用]戦略 (PPD-24)を発表: 変更 • 配備戦略核の1/3の低減の追求を指示 • 米国は極限の状況でのみ核の使用を考えると述べて いる • 核戦略の範囲を狭め21世紀の目的とミッショにのみ 焦点を当てている、 • 非核能力の強化と、非核攻撃の抑止における核の役 割の低減を指示している • 非常事態計画において攻撃下発射(LUA)の役割の低 減を指示している • 予備核弾頭のためのヘッジング戦略を修正している 現状維持 • カウンターフォース戦略を再確認し、カウンタ ヴァリュー(対価値)・最小抑止を拒絶してい る • 3本柱と核・通常両用航空機DCAの必要性を再確 認 • 地政学的ヘッジ・予備核兵器の必要性を再確認 • 新START以上の核戦力構成削減を指示していない • 非核兵器国に対する核兵器の役割を維持してい る • 攻撃下発射の能力を維持 • 現在の警戒態勢レベルを維持 14
  • 15. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide オバマの核ガイダンス 大統領政策令PPD-24の準備過程は、数々の核運用戦略オプションと、 それぞれのオプションが核戦力要件や抑止が失敗した場合に米国と その同盟国の目的の達成にとって持つ意味の分析を含んでいた。 この試みは、冷戦後の地域的シナリオにおける核の焦点の 増大傾向を強化しているようである。とりわけ、地域紛争における エスカレーションを抑止し、抑止が失敗した場合には、米国とその同盟国 が決める条件において敵を打破するというものである: “このガイダンスは、計画は21世紀に必要な目的及びミッション(エスカレートする地域紛争にお ける核の使用を抑止を含む)だけに焦点を当てなければならないと指示することによって米国の 核戦略の幅を狭めている。 地域的抑止の課題は、米国が準備しなければならない核のシナリオの中で「ありそうになさの最 小のものleast unlikely」であり得、それに対して我々の計画・オプションを強化し続けることは、米 国の核運用政策・計画を今日の戦略環境に合わせる上で中核をなすものである エレイン・バン 国務次官補代理DASD (核・ミサイル防衛政策),国防長官室OSD, 2014年3月5日 15
  • 16. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 役割の低減によって影響を受けるのは? 「新しいドクトリン 」が現在の戦争計画における6つの敵に対する核 計画を通常の調整以上に減らすかどうか: 敵 役割の低減によって影響を受けない。なぜなら: ロシア 核兵器を持っている 中国 核兵器を持っている 北朝鮮 核兵器を持っているし、NPTから脱退している イラン NPT遵守とみなされておらず、WMD能力を持っている シリア NPT遵守とみなされておらず、WMD能力を持っている 9/11 シナリオ 非政府アクター(NPTのメンバーでない)が独自に、あるいは NPT非遵守・非加盟の「暴漢国家」と共同で行動 オバマ大統領は2012年の韓国外国語大学での講演で述べている:核兵器を使用したり、使用の威嚇を したりするかもしれない不慮の事変の範囲を狭めた。 16
  • 17. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 役割をさらに減らすためのオプション “冷戦思考に終止符を打つ” には、単に核態勢のエッジを削るという程度では不十分で ロシアと中国に対する中核的な計画想定・原則を変える必要がある: • 標的の範疇の数・範囲を減らす • 攻撃オプションにおける核弾頭のもたらす被害予測に関する要件を減ら す • 攻撃オプションの数を減らす • ICBMの迅速発射要件を減らすあるいは無くす • SSBNの警戒態勢を解除し配備状態を変える • 被害限定攻撃のための計画の要件を減らすか無くす • 役割を核攻撃の抑止に限る; 「我々は、核使用を核戦力の唯一の役割とす るための具体的な措置を講じることにコミットしている」 トーマス・ドニロン2011年3月 • カウンターフォース及び戦力対戦力戦闘計画を限定的なものにするか無 くす; “カウンターフォースは先制攻撃preemptiveか攻撃的対応offensively reactive” 国防省 拡散対抗作戦構成 2002年4月 • 核態勢を報復能力の確保に限定する:中核的抑止core deterrence 17
  • 18. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 同盟国に対する影響 • 拡大抑止のコミットメントは、米国の核に関する宣言政策、ミッション・戦略、 近代化において顕著な役割を果たす • B-2 とB-52Hのグアムへのローテーション配備は、部分的には拡大核抑止の ミッションだ • 北東アジア及びNATOの同盟国は核関連調達や核態勢に影響を与える: • 日本政府関係者がTLAM/Nの退役に反対する活発なロビー活動を展 開した • New B61-12誘導スタンドオフ爆弾は北東アジアでミッションを持つこと になる。; 拡大抑止が正当化の議論で顕著な役割を果たしている • 核能力を持った新しいF-35Aは、明確に拡大抑止ミッションで正当化 されている。北東アジアやNATOのミッションがなければ予算がでてい ない。 • 新しい空中発射巡航ミサイル(LRSO) は部分的には、北東アジアにお ける地域的な限定抑止、エスカレーションシナリオに焦点を当ててい る。 • 忘れないように:拡大抑止は核だけではない。というより、ほとんど核ではな い。 18
  • 19. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide ICBM • Minuteman III 寿命延長作業終了へ • 核弾頭起爆装置/相互運用可能核弾頭計画 • 地上配備戦略抑止力GBSD (ICBM 代替) 開発中 SSBN / SLBM • Trident II D5 SLBM寿命延長開発 • SSBN 代替開発 (12 計画) • W76-1 核弾頭寿命延長配備中 • W88-1核弾頭寿命延長開発 爆撃機 • B-2 and B-52 の改良進行中 • LRS-B 次期爆撃機開発中 • B61-12誘導スタンドオフ爆弾開発中 • LRSO (ALCM) 代替開発中 戦術 • F-35A 核能力開発中 • B61-12誘導スタンドオフ爆弾開発中 インフラ • ウラン処理施設 (セカンダリー用) 建設中 • プルトニウム部品製造施設 (プライマリ-用) 建設中 • 核弾頭検査・シミュレーション施設改良 新しい焦点:近代化 19
  • 20. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 広範な近代化 向こう10年間: 核戦力とインフラの維持・近代化 のために3500億ドル 包括的近代化: • 戦略核の3本柱すべて • 戦術用2重目的航空機 • 核弾頭製造施設群 核弾頭の種類の統合・近代化 遅延が発生しつつある。更なる遅 延が予想される 核抑止を2080年まで続ける 20
  • 21. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 核弾頭の近代化 利点と主張されているもの: • 核弾頭の種類の数が減ることでヘッ ジの削減が可能 • 核弾頭の修正で安全性、使用コント ロール、パーフォーマンス・マージン の増強 • 核弾頭の種類がへれば、維持・配備 が安上がり リスクの可能性: • 核実験された設計から離れた修正; 信頼性問題? • 保有核の多様性の減少 • 遅延や予算超過を招きやすい複雑 で高くつくプログラム • 修正核弾頭は「新型」? • 費用は不確実性が高く、見積もりは 恐らく過小評価 • 本質的疑問: • ヘッジングは、ミサイルの核弾頭には 必要で、爆撃機用には必要でない か? • 英仏両国はヘッジをしないのになぜ 米国はするのか? • なぜ「配備」核弾頭数が将来も同じな のか? 3+2戦略: 12 種類(8つの基本設計)の核弾頭から5種類への低減 : 3 種の「相互運用可能な」・「順応性のある」“I核弾頭をICBMとSLBM用に IW-1 (W78/W88-1), IW-2 (W87/W88-1), IW-3 (W76-1) 2種の「総合運用可能でない」核弾頭を重爆撃機と戦闘機に W80-1 or W84搭載のALCM (LRSO) B61-12誘導スタンドオフ爆弾 21
  • 22. www.fas.org Hans M. Kristensen, Federation of American Scientists, 2015 | Slide 結論と提言 • 米国の核弾頭と核兵器の種類は冷戦時代から相当に削減されている • 約束:核兵器の数・役割を減らし、「冷戦思考に終止符を打つ」 • 現実:冷戦後の大統領の中で最小の削減幅;核兵器の重要性の再確認;既存の3本柱と非戦略核へコ ミット;ヨーロッパでの前方展開継続;カンターフォース(対戦力)戦略の維持;高いレベルの警戒態勢の 核兵器の継続 • 傾向:削減の鈍化(米国だけではない) • 核態勢の再編成や核弾頭寿命延長計画などで将来の削減が可能となる • 広範な近代化が進行中 • 拡大抑止と同盟国の希望が核態勢・近代化計画において重要な役割を果たす 22