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平成30年度福祉行政報告
例集計結果の概要
(児童福祉関係)
令和2年1月30日 厚生労働省
グラフ化&コメント T.Senda
【参考】都道府県、政令市(児童相談所設置市)別
18歳未満人口の率(平成27年国勢調査結果) ※東京都特別区部は再掲
児童相談所相談の種類別年次推移(全国)
0
100000
200000
300000
400000
500000
600000
31,298 33,794 36,819 44,806 52,851 61,525 63,886 66,301 74,435 75,668 78,698 83,505 85,274 87,596 99,068107,511116,728127,252145,370162,119
184,314195,786
231,772166,169169,996177,059
183,748
189,581
203,218
223,937
159,017158,598162,982
194,166182,053182,524192,082173,112
185,853175,285172,945
183,506
185,283
185,186
185,032
189,180
73,760 70,995
70,881
69,108
68,357
67,424
63,584
65,478 65,356 61,304
60,908 58,958 55,005
51,796 49,919
51,751 52,182 51,520
50,839
49,978
45,830
43,446
41,416
16,449 17,308
17,669
17,072
17,073
16,841
15,670
16,508 18,084 17,571
17,409 17,670 17,172 17,690 17,112
17,155 16,640 17,020
16,740
15,737
14,398 14,110
13,006
29,779 34,422
33,813
33,099
33,262
32,835
30,948
34,355 35,365 32,386
29,769
25,666 24,439 22,638
21,613
23,024 23,429 23,260
23,673
26,083
27,744 28,506
29,625
養護 障害 育成 非行 その他
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
「養護相談」の伸びに注目!
22年間で 7.4倍
児童相談所の業務
受付ける相談の種類
養
護
相
談
児童虐待
相談
児童虐待の 防止等 に 関 す る 法律 の 第 2条 に 規定 す る 次の行為に関
する相談
(1) 身体的虐待 (2) 性的虐待 (3) 心理的虐待 (4) 保護の怠慢、拒否(ネグレクト)
その他養
護相談
父又は母等保護者の家出・失踪、死亡、離婚、入院、稼働及び服役等による養育困難児、
棄児、迷子、親権を喪失した親の子、後見人を持たぬ児童等環境的問題を有する児童、
養子縁組
保健相談 未熟児、虚弱児、ツベルクリン反応陽転児、内部機能障害、小児喘息等を有する児童
障害相談 肢体不自由児、運動発達の遅れ、盲、ろう等視聴覚障害児、構音障害、吃音、失語等音
声や言語の機能障害、言語発達遅延、重症心身障害児(者)、知的障害児、自閉症、アス
ペルガー症候群、その他広汎性発達障 害、学習障害、注意欠陥多動性障害等の児童
非行相談 虚言癖、浪費癖、家出、浮浪、乱暴、性的逸脱等のぐ犯行為、問題行動、警察署からのぐ
犯通告、触法行為、犯罪少年で家庭裁判所から送致の児童
育成相談 反抗、生活習慣の著しい逸脱等性格、行動上の問題、不登校(園)、進学適性、職業適性
、学業不振等、しつけ、性教育、遊び等
その他の相談 上記のいずれにも該当しない相談
児童相談所における受付件数,都道府県-指定都市-中核市×相談の種類別
18歳未満1000人当たりの件数
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
全国平均
ライン
21.81
※いじめ、児童買春は再掲、
目盛りは右側
児童相談所における受付件数,都道府県-指定都市-中核市×相談の種類別
全相談に占める相談の種別ごとの割合
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
市町村における受付件数,都道府県-指定都市-中核市×相談の種類別
全相談に占める相談の種別ごとの割合
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
全国児童相談所の受付した虐待相談件数と児童
福祉司数の推移
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
4000
4500
0
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
140,000
160,000
180,000
虐待相談受理件数 児童福祉司数
【出所】厚生労働省福祉行政報告例、報道発表資料
21年間で
通告受理は25.0倍
児童福祉司は2.76倍
全国児童相談所の受付した虐待相談件数と児童
福祉司数の推移(平成10年を100とした比率)
100.0%
167.8%
255.7%
335.7% 342.4% 383.3%
481.9% 497.3% 538.4%
586.3% 615.5% 637.8%
813.4%
864.4%
962.2%
1064.7%
1282.9%
1490.0%
1768.3%
1929.9%
2306.0%
100.0% 107.8% 115.1% 129.7% 142.6% 151.9% 158.9% 174.3% 187.5% 198.3% 206.7% 212.8% 217.1% 228.4% 234.0% 242.9% 247.9% 257.1% 265.6% 273.0%
334.5%
0%
500%
1000%
1500%
2000%
2500%
相談件数 児童福祉司数
【出所】厚生労働省福祉行政報告例、報道発表資料
虐待を受けた子どもの年齢構成(児童相談所)
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
虐待を受けた子どもの年齢構成の伸び
(児童相談所・平成13年度を1とした伸び率)
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
虐待の種類別年次推移(児童相談所)
0
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
140,000
160,000
10,828 10,932 12,022 14,881 14,712 15,364 16,296 16,343 17,371 21,559 21,942 23,579 24,245 26,181 28,611 31,927 33,223
40,256
8,804 8,940 10,140
12,263 12,911 14,365 15,429 15,905 15,185
18,352 18,847 19,250 19,627
22,455
24,438
25,842 26,821
29,474
778 820 876
1,048 1,052 1,180 1,293 1,324 1,350
1,405 1,460 1,449 1,582
1,520
1,518
1,622 1,537
1,731
2,864 3,046 3,531
5,216 5,797 6,414 7,621 9,092 10,305
15,068 17,670
22,423
28,348
38,775
48,775
63,184
72,197
88,389
身体的虐待 保護の怠慢 性的虐待 心理的虐待
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
心理的虐待の伸びが顕
著、25年度からは心理
的がトップに
性的虐待はこんなに少
ない?!
児童虐待とは……
児童虐待の防止等に関する法律の規定
身体的虐待
性的虐待
心理的虐待
ネグレクト
・児童の身体に外傷が生じる暴力を加える
・生じるおそれのある暴行を加える
・児童にわいせつな行為をする
・児童をしてわいせつな行為をさせる
・児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応をする
・児童が同居する家庭における配偶者(内縁関係を含む。)に
対する暴力
・その他児童に著しい心理的外傷を与える言動をする
・児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長
時間の放置
・保護者以外の同居人による上記3と同様の行為の放置
・その他保護者としての監護を著しく怠る
主たる虐待者の年次推移(児童相談所)
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
主たる虐待者の年次推移(構成割合・児童相談所)
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
年度別虐待通告の経路別内訳推移(児童相談所・実数)
79,138
11,449
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
70,000
80,000
90,000
家族親戚 近 隣・知 人 児童本人 福祉事務所
児童委員 保健所 医療機関 児童福祉施設等
警察等 学校等 その他
学校は横ばい
率では減少!?
警察
が激増!
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
年度別虐待通告の経路別内訳推移(児童相談所・割合)
1,743 2,085
2,981 4,236
4,743 4,887 5,213 6,091 6,326 6,742 7,433 7,281 7,342 8,838 8,949 8,664 8,947 9,802 10,131 11,536 11835 13,492
437
616 1,678
2,449
3,312 3,101 3,435 4,837 4,807 5,475 5,756 6,132 7,615 12,175 12,813
13,739
13,866 15,636 17,406
17,428 16982 21,449
783
939 1,543
2,306
3,266 3,567 3,725 4,433 4,591 5,672 6,311 6,053
5,993
6,859 6,442
6,559
6,618
7,073
7,131
7,673
7626 8,331
250
395 573
799
971 1,152
1,235
1,408
1,393 1,490 1,649
1,772 1,715
2,116
2,310
2,653
2,525
2,965
3,079
3,109
3199 3,542
311
415 617
1,109 1,508 1,401
1,478
2,034
2,294 2,766 4,115 6,177 6,600
9,180 11,142 16,003
21,223
29,172 38,522 54,813 66055 79,138
687 895 1,431 2,382 3,025 2,882
3,918
5,078
5,073
5,688 5,241 4,886 5,243
5,667 6,062 6,244 6,498 7,256 8,180
8,851
9281 11,449
431 670 1,204 1,996 3,036 3,044 4,208 5,996 6,909 6,618 7,271 7,414 7,226 8,708 9,387 9,910 11,123 14,028 14,920 15,850 15125 17,889
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
家族親戚 近 隣・知 人 児童本人 福祉事務所 児童委員 保健所
医療機関 児童福祉施設等 警察等 学校等 その他
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
児童相談所における児童相談受付件数,年齢×相談の種類別
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
市町村における児童相談受付件数,年齢×相談の種類別
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
虐待相談受付件数,都道府県-指定都市-中核市×全相談に占める割合(児童相談
所)
人口1,000人当たりの件数
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
?
11.02
虐待相談受付件数,都道府県-指定都市-中核市×虐待の種類別(児童相談所)
18歳未満1,000人当たりの件数
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
虐待相談受付件数,都道府県-指定都市-中核市×虐待の種類別(児童相談所)
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
虐待相談受付件数,都道府県-指定都市-中核市×虐待の種類別(児童相談所)
人口1,000人当たりの件数
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
児童相談所における処理の種類別件数の推移
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
※面接指導
のみ右目盛
児童相談所が行う援助の種類
1
在
宅
指
導
(1)措置によらない指導 ア 助言指導
イ 継続指導
ウ 他機関あっせん
(2)措置による指導 ア 児童福祉司指導
イ 児童委員指導
ウ 市町村指導
エ 児童家庭支援センター指導
オ 知的障害者福祉司指導、社会福祉主事指導
カ 障害者等相談支援事業を行う者の指導
キ 指導の委託
(3)訓戒、誓約措置
2 児童福祉施設入所措置、指定発達支援医療機関委託
3 里親、小規模住居型児童養育事業委託
4 児童自立生活援助の実施
5 市町村への事案送致
6 福祉事務所送致等
7 家庭裁判所送致
8 家庭裁判所に対する家事審判の申立て(①保護者の意に反しての入所、②親権喪失又は停止等、③未成年後見人選
任・解任の請求 ) 25
【出所】『児童相談所運営指針』(厚生労働省)
2号措置
1号措置
3号措置
4号措置
児童福祉
法27条
第1項の
児童相談所における処理の種類別,都道府県-指定都市-中核市
人口10万人当たりの件数
※面接指導
のみ右目盛
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
児童相談所における処理の種類別,都道府県-指定都市-中核市
18歳未満1万人当たりの件数
※面接指導
のみ右目盛
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
705.0
児童相談所における所内一時保護相談種別内訳の推移
17.3
18.5
20.7 20.4
22.4
24.3
25.9
26.7
28.0 28.6
27.7 27.7 28.4 29.0
29.8 30.1 29.6 29.6 29.4
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0
35.0
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
保健・その他 育 成 非 行 障 害 その他養護 虐待 養護計 1件当たり平均日数
【出所】厚生労働省「社会福祉行政報告例」
児童相談所における所内一時保護、都道府県・市ご
との状況
【出所】厚生労働省「社会福祉行政報告例」
(件数) (日)
児童相談所における所内一時保護、都道府県・市ご
との解除後の対応等(児童1,000人当たり)
【出所】厚生労働省「社会福祉行政報告例」
家庭と同様の環境における養育の推進
(28年改正児童福祉法)
家庭
実親による
養育
施設
乳児院
乳児(0歳)
必要な場合幼児(小学校就学前
児童養護施設
大舎(20人以上)、
中舎(13~19人)、
小舎(12人以下)
1歳~18歳未満
(必要な場合 0歳~20歳未満)
地域小規模児童養護施設
(グループホーム)
本体施設の支援の下で地域の民間住宅 などを活
用して家庭的養護を行う
小規模グループケア(分園型)
・地域において、小規模なグループで家庭的 養護
を行う
・1グループ6~8人 (乳児院は4~6人)
良好な家庭的環境
施設
里親
家庭と同様の養育環境
養子縁組(特別養子縁組含む。)
小規模住居型児
童養育事業
小規模住居型
児童養育事業(ファ
ミリーホーム)
・養育者の住居で養育
を行う家庭養護
・定員5~6人
里親
・家庭における養育 を
里親に委託する家 庭
養護
・児童4人まで
○ 国・地方公共団体(都道府県・市町村)の責務として家庭と同様の環境における養育の推進等を明記
①まずは、児童が家庭において健やかに養育されるよう、保護者を支援。
②家庭における養育が適当でない場合、児童が「家庭における養育環境と同様の養育環境」において継続的に養育されるよう、 必要な
措置。
③②の措置が適当でない場合、児童が「できる限り良好な家庭的環境」で養育されるよう、必要な措置。
※ 特に就学前の児童については、②の措置を原則とすること等を通知において明確化。
里親委託率=
里親+ファミリーホーム
養護+乳児院+里親+ファミリーホーム
平成29年3月末 18.3%
改正法による対応
〇 児童が心身ともに健やかに養育されるよう、より家庭に近い環境での養育の推進を図ることが必要。
〇 しかしながら、社会的養護を必要とする児童の約9割が施設に入所しているのが現状。
〇 このため、児童相談所が要保護児童の養育環境を決定する際の考え方を法律において明確化することが必要。
課
題
(出典)厚生労働省
児童相談所における所内一時保護、都道府県・市ご
との解除後の対応等(児童1,000人当たり)
【出所】厚生労働省「社会福祉行政報告例」
児童養護施設の定員、年度末在籍人員等の推移
【出所】厚生労働省「社会福祉行政報告例」
児童福祉施設の種別ごと年度末在籍人員の比較
(2018)
【出所】厚生労働省「社会福祉行政報告例」
児童福祉施設の種類(児童福祉法に規定するもの・入所のみ)
乳児院(37条)
• 乳児(保健上、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、幼児を含む。)を入院させ
て、これを養育し、あわせて退院した者について相談その他の援助を行うことを目的とする
母子生活支援施設(38条)
• 配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護するとともに、これらの者の自立の促進
のためにその生活を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする
児童養護施設(41条)
• 保護者のない児童(乳児を除く。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、乳児を含む。以下この条において同じ。)、
虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うこと
を目的とする
障害児入所施設(42条)
•障害児を入所させて保護、医療、日常生活の指導及び独立自活に必要な知識技能の付与等の支援を行うことを目的とする
児童心理治療施設(43条の2)
• 環境上の理由により社会生活への適応が困難となった児童に社会生活に適応するために必要な心理に関する治療及び生活指導を主として行い、あわせて
退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする
児童自立支援施設(44条)
• 不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、又は保護者の下から通わせ
て、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする
里親に委託されている児童数の推移(年代別)
【出所】厚生労働省「社会福祉行政報告例」
里親の種類等(厚生労働省発表資料等より)
種 類 機 能 委託費用等 登録里親数 委託里親数 委託児童数
養育里親
保護者のない子ども又は保護者の監護させること
が不適当であると認められる子どもを養育する
養育里親 月額86,000円
(2人目以降43,000円加算)
専門里親 月額137,000円
(2人目以降94,000円加算)
児童の一般生活費
乳児 58,310円、 他50,570円
(幼稚園費、入進学支度金、医療
費等も加算)
※児童は所得税法上の扶養親
族とみなされるため、扶養控除の
対象
9.073 3.180 3.943
親族里親
要保護児童の三親等内の親族であり、両親その
他その子どもを現に監護するものが死亡、行方不
明又は拘禁等の状態となった子どもを養育する
526 513 744
短期里親
1年以内の期間を定めて、要保護児童を養育す
る
- - -
専門里親
2年以内の期間を定めて、要保護児童のうち、児
童虐待等の行為により心身に有害な影響を受け
た子どもを養育する
689 167 202
里親制度の概要(厚生労働省広報より)
里親に委託されている児童数の推移(年代別)
【出所】厚生労働省「社会福祉行政報告例」
里親に委託されている児童数,都道府県-指定都市-中核市×年齢階級別
18歳未満1万人当たりの数
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
(里親数)
全社会的養護利用とうち里親委託の児童数,都道府県-指定都市-中核市
棒グラフは18歳未満1万人当たりの人数
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
都道府県、政令市等別児童相談所における対応の種類別割合
15.00%
25.00%
35.00%
45.00%
55.00%
65.00%
75.00%
85.00%
95.00%
全
国
北
海
道
青
森
県
岩
手
県
宮
城
県
秋
田
県
山
形
県
福
島
県
茨
城
県
栃
木
県
群
馬
県
埼
玉
県
千
葉
県
東
京
都
神
奈
川
県
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潟
県
富
山
県
石
川
県
福
井
県
山
梨
県
長
野
県
岐
阜
県
静
岡
県
愛
知
県
三
重
県
滋
賀
県
京
都
府
大
阪
府
兵
庫
県
奈
良
県
和
歌
山
県
鳥
取
県
島
根
県
岡
山
県
広
島
県
山
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県
徳
島
県
香
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県
愛
媛
県
高
知
県
福
岡
県
佐
賀
県
長
崎
県
熊
本
県
大
分
県
宮
崎
県
鹿
児
島
県
沖
縄
県
札
幌
市
仙
台
市
さ
い
た
ま
市
千
葉
市
横
浜
市
川
崎
市
相
模
原
市
新
潟
市
静
岡
市
浜
松
市
名
古
屋
市
京
都
市
大
阪
市
堺
市
神
戸
市
岡
山
市
広
島
市
北
九
州
市
福
岡
市
熊
本
市
横
須
賀
市
金
沢
市
助言指導 継続指導 児童福祉司指導 児童福祉施設 里親委託
※100%との差はその他処理(他機関あっせん、児童福祉司以外による指導、訓戒・戒告及び家裁送致等)である。
【出所】「福祉行政報告例」(厚生労働省)
都道府県、政令市等ごとの児童相談所数と1か所当たりの管内人口
【出所】「平成30年度全国児童福祉主管課長、令和元年度児童相談所長会議資料」(厚生労働省)
(人)
※支所、分室等も1か所としてカウントしている。
全国の児童
相談所数
213か所
22支所
全国平均ラ
イン538千人
令和元年度児童福祉司任用区分(令和元年4月1日時
点)
【出所】「平成30年度全国児童福祉主管課長、児童相談所長会議資料」(厚生労働省)
全国平均:
33,371人
(注)児童福祉司の各任用区分の説明
児童福祉法第13条第3項
児童福祉司は、都道府県知事の補助機関である職員とし、次の各号のいずれかに該当する者のうちから、
任用しなければならない。
1号
都道府県知事の指定する児童福祉司若しくは児童福祉施設の職員を養成する学校その他の施設を卒業し、又は都
道府県知事の指定する講習会の課程を修了した者
2号
学校教育法に基づく大学又は旧大学令に基づく大学において、心理学、教育学若しくは社会学を専修する学科又は
これらに相当する課程を修めて卒業した者であって、厚生労働省令で定める施設(※1)において1年以上児童その
他の者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行う業務に従事したもの
3号 医師
4号 社会福祉士
5号
社会福祉主事として、2年以上児童福祉事業に従事した者であって、厚生労働大臣が定める講習会の課程を修了し
たもの
6号 前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者であって、厚生労働省令(※2)で定めるもの
児童福祉司の配置数の標準にかかる法令規定
※ 各年度における配置標準は、人口は直近の国勢調査の数値を、虐待相談対応件数は前々年度の福祉行政報告例の数値を用いて算定。
※ 各児童相談所の虐待相談対応発生率が、全国平均の虐待相談対応発生率よりも高い場合のみ、①に②を加えて得た数を標準とする。
※ ②の「40」は、平均的な児童福祉司の虐待相談に係る持ちケース数(年間約40ケース(雇用均等・児童家庭局総務課調べ)) を踏まえたもの。
①
児童相談所の管轄地域の人口
4万人
★端数は 切り上げ
②
40(※)
★端数は切り上げ
各児童相談所
の虐待相談対
応件数
全国の児童虐待対応件数
全国の人口
各児童相
談所管轄
地域の人
口
全国平均の虐待相談
対応発生率≒0.1%
① + ② 以上 ※交通事情等を考慮
都道府県、政令市等別児童相談ランキング
(18歳未満1000人当たりの相談種類別件数)(養護相談の件数順)
【出所】「福祉行政報告例」(厚生労働省)
都道府県、政令市等別児童相談ランキング
(18歳未満1000人当たりの全相談件数と児童虐待相談件数)
?
【出所】「福祉行政報告例」(厚生労働省)
都道府県、政令市等別児童相談ランキング
(18歳未満1000人当たりの全虐待相談に占める警察通告の率)
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
都道府県、政令市等別児童相談ランキング
(18歳未満1000人当たりのDV目撃による心理的虐待相談数)
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
都道府県、政令市等別児童相談ランキング
(人口1000人当たりの全虐待相談に占める学校通告の率)
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
都道府県、政令市等別児童相談ランキング
(人口1000人当たりの全虐待相談に占める市町村及び教育委員会経路の率)
【出所】厚生労働省福祉行政報告例
都道府県、政令市等別児童相談ランキング
(児童福祉司1人当たりの児童虐待相談件数)
【出所】厚生労働省福祉行政報告例・全国児童相談所長会議資料
全国平均
42.2件
(折れ線)

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B

Editor's Notes

  1. 予想に反して都市部か農山村地域かは、子どもの率とは相関関係はあまりなかった。要はその地域が子育てしやすく働きやすい環境にあるかどうかではないか。東京都23区は言うに及ばず大阪市や京都市の状況は危機的ではないだろうか。
  2. 言うまでもないが養護相談の伸びの原因はその中に含まれている虐待相談の伸びの影響だ。14年度から15年度にかけての障害関係の児童福祉施設への入所が、以前の措置制度から保護者が施設と直接契約する支援費制度(後に自立支援法に発展)導入により、児童相談所の関与の必要が亡くなったことに伴うもの。
  3. 詳しく分析する上で、全国一括ではなく都道府県、政令指定都市及び児童相談所を設置する中核市(調査時点では横須賀市と金沢市のみ。平成31年度からは明石市が、さらに制度改正により近い将来東京都特別区が加わる予定。)ごとの内訳を見る必要があるので、この区分によるグラフはこの後たくさん登場する。 また、総件数では都道府県等の人口規模がバラバラで比較検討しにくいので、その管内の18歳未満の人口で割り戻した数で比較するよう努めている。なお、18歳未満の人口は、総務省の発表している人口統計では毎年(毎月)のものは算出(推計)されていないようなので、5年に一度の国勢調査結果(今回は直近の2015年10月1日時点のもの)を用いている。各都道府県からは、当該管内の政令指定都市や児童相談所設置中核市の人口を除外しているのは当然である。 政令指定都市、児童相談所設置中核市の場合、児相と区役所・保健福祉センター等との業務分担区分が市によって多様となっていることが予測される。具体的には、市によっては法の予定している市町村と児童相談所の二層構造の相談体制ではなく、すべて(あるいは「児童虐待」など特定の部門)の相談を児童相談所で集中管理している例がある。 それにしても、児童1000人当たりの件数に割り戻してもこんなに格差。 都道府県のみの比較でも、最多の香川県と最少の神奈川県では3倍以上の開きがある。県民性にそれほど大きな開きがあるとは考えられない。そうした格差の原因は何なのか。
  4. 児童1000人当たりの比較だけではわかりにくかったので、相談の種類別の占める割合で比較してみた。 例えば、児童虐待の占める割合では、川崎市が約60%、大分県も60%近いが鳥取県は4%台、仙台市も7%台となっている。 同じ児童相談所を標榜しているのに両者の間では仕事の内容も全く異なっていると見ざるを得ない。 以下数値は煩わしいので省略するが、虐待を除く養護相談でも、神奈川、鳥取などのグループと宮城、秋田、京都(府、市)などのグループとの差はどこに原因があるのだろう。 仮説としては、児童相談窓口が平成16年の法改正で、従来の児童相談所のみから新たに市町村が加わり二層構造となったことがあると思う。もちろん、一般住民等通告する側はどちらにしてもよい仕組みになっており、市町村として対応できない例えば一時保護や立ち入り調査などの法的措置を必要とするものについては児童相談所に「送致」する、逆に市町村で担当していただくべきケースについては児童相談所から市町村に「送致」したり「指導依頼」したりできるシステムは整備されているはずである。身近にな行政機関である市町村に窓口を設置することで、発見漏れを防ぎ、通告する側の「敷居を低く」することを目的にしての対応てあったが、正直、増加する一方の児童虐待相談対応に、市町村も加わってもらおうとの思いも強かったのではないだろうか。 以上説明したように、相談の受理段階で児童相談所と市町村の明確な担当区分はないのだが、現場段階では、例えば「虐待相談は全て児童相談所に」(京都市がそうしていると聞いている。)とか、「学校や一般住民からの相談(通告)はまず市町村へ、そこでトリアージを行って」と言うようなやり方の都道府県(市)もあるのではないかと予想している。
  5. というわけで、児童相談所の統計と市町村の統計とを注意深く見比べてみる必要があのだろう。 市町村の相談になると余計に訳が分からなくなる。 横浜市では全相談の82%がその他の相談だ。一方、さいたま市では71%、児童相談所と業務分担しているらしい政令市ばかりでは申し訳ないので、京都府は63%が突出している。 念のために、国の定める「市町村子ども家庭支援指針」には、保健、育成、障害、養護(虐待を含む)及び非行の相談種別が規定されており、相談があれば拒否できず、必ず受理しなければならないとされている。極端に偏った相談種別になっている市町村(その集合の都道府県)というのはどういう理由なのだろう。 数学の集合論で説明してみよう。児童相談所への相談案件数をAとし市町村への相談案件数をBとしよう。すべての相談種別において「A⊂B」でもなければ「A⊃B」でもな「A⋃B」(AとBの一部が重複する)というのが制度設計。ただし、自治体の業務の進め方の特徴によって「A⋂B」(共通する部分)が大きいか小さいかの違いがでてくる。
  6. マスコミや書物にも頻繁に登場するこのグラフは極めて単純な構成なのであえて解説の必要はないだろう。 併せて、児童相談所の児童児童福祉司の数も並べてみたが、一見「この公務員削減が常識のような時代に、20年間で3倍にも増えているのだから」と思われる向きも多いだろう。 蟹と鰻のイラストを添えてみたが、「それでも……」と思われる向きには、同様の数字(児童福祉司の人数は翌年度の4月1日現在数)を平成10年の数値を100として比較してみた。こちらの方がイメージとして直感できるかもしれない。 いくら虐待相談が25倍に増えているとはいえ、虐待相談件数は全相談件数の中ではまだ3の分1をしめているにすぎない。 結論を言えば虐待相談の対応は1件当たりにかかる手数や日数が半端ない(ケースが多い)ということである。 ただ、このことを理論的に解明している研究結果などが極めて少ないように思う。
  7. 年齢構成は1歳刻みではなく、所属している学校で区分。就学前のみこのような区分に分けている。児童福祉法では乳児は1歳未満を、母子保健法では28日未満を新生児と呼び、この統計では0-2歳という区分はどういう意味なのか、私は存じ上げない。 社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会の「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第15次報告)」によれば、こと死亡という重篤なケースに限ると、児童虐待ケースのうち0歳児が47%を占めているという。(第1次から15次までの合計) また、さらにその内訳では、46.4%が0か月、40%が生後0日と記されている。 幼い子どもほど環境や外からの力に対する抵抗力が弱いから当然と言えば当然だろう。 棒グラフもそのことを如述に物語っている。説明の必要はないと思うが、年齢の刻みが等間隔でなく、高校生は普通3年生の途中で児童福祉法に規定する「児童」では生なるから、6年間通う小学生が最多になるのは当たり前かもしれない。 このグラフも伸び率の折れ線グラフを作成してみた。 先ほどの理屈でいえば、危険性の高い就学前の児童の伸び率がもっと高くていいはずだ。決して発見漏れが少ないなどと言うことはないだろう。 私見だが、市町村の健診等の機会はあるものの日常的に子どもの様子を観察できる学校(幼稚園を含む)や保育所に、すべての子どもたちが所属するわけではないからという理屈は成り立たないだろうか。それだけ、虐待が家庭という密室内で行われ、本人が訴えられず、周囲も発見しにくいのだ。 予想に反して高校生の伸びが最高だった。これは、以前は「高校生はもう体力も大人に近い、そんな目に遭っていたら自ら訴えたり逃げ出したりできるはず……」との判断が現場に支配的ではなかったかと。今現在でも、小中学校に比べると高校の教員の児童虐待に対する感度はイマイチと感じることもある。
  8. 虐待の種類別年次推移のグラフ。 あくまで、こういった傾向で増えているのではなく、こういった傾向で虐待の発見が進んだのだということで、よく「氷山の一角」という言い方がされる。目に見えているのはごく一部だということ、加えてその氷山の氷がそれぞ家比重が異なると言えるだろうか。 以前は「そんなもの虐待か?」とさえ思われていた心理的虐待がクローズアップされてきたためであろう。「あんたなんか産まなければよかった」「お兄ちゃんは賢い子やのにあんたはどうしてダメなの」など子どもを否定するような言い方に加え、いわゆる「面前DV」(正確には児童がいる家庭における配偶者への暴力であって「見ている前で」に限らない)に関わって、警察が関与したらほぼすべて(この後の自治体別のグラフを作るまではそう思っていた。)を児童相談所に通告してくるようになったからだ。 それにしても、全体の過半数が心理的虐待、しかもその中でも経路が「警察」というのがまた大多数(これも後述)というのも何だかひん曲がってきたように思う。 数年前に、頭の古い児童福祉司が、学校から虐待通告した児童の家庭訪問をし、「姿を見てきたけれど、怪我も何もしていませんやん(「こんなことぐらいで……」の気持ちが見え見え)」と言って返してきたことがあった。 彼は警察にもそんなことを言っているのだろうか?
  9. 主な虐待者別内訳の年次推移。(実数と割合の両者で表した。) 特徴としては、実母の伸びに比べて実父の伸びが大きいこと、実父以外の父や実母以外の母が世間の扞格に比べて極めて少ないと見えることだろう。 まず実母の割合だが、以前(20年近く前)は、全体の中に占める割合は7割~3分の2くらいの間で推移していた。 私はその頃から常に、「日本の母親はそんなに酷いのか?」と問題意識を述べてきた。 「虐待の種別」でも常に一つとは限らず時には2つ3つと重なる例が多いが、「主たる」虐待者も似たようなことで、ひとり親家庭以外の両親がいる場合、どちらか一方のみが虐待者でもう一方には全く責任がないなどと言うことは子育てを共同でしていれば起こるはずがないのだ。 極端な例を一つ上げればわかりやすいだろう。 夫は一応はまじめに働いているが給料はほとんど家に入れず、「飲む打つ買う」の放蕩三昧、幼い子を抱えて母は長時間の勤務に出ないと家計が成り立たず、幼児が定刻に十分な食事が与えられないなど家庭はネグレクト状態。また母は中々言いつけを守らない子どもを厳しく叱り、ついつい手が出てしまった。というようなケースだ。 母も確かに間違っていたけれど、責任の大半は共同親権者である父にあるのは明らかだ。 しかし、子育ては主に母の役割であるかのような理解が社会を覆い、主たる虐待者は母となると「酷い母親だ」との結論に至りがちである。 それでも、実父の割合が増えてきているというのは、ひとえにいわゆる「面前DV」による警察からの通告が飛躍的に増加したことによるものだろう。 実父、実母以外の親については、離婚の件数が増えてきたと言ってもまだ全体から見れば率は低く、離婚の際の親権者は圧倒的に母がなることが多く、当然に連れ子の率も母の連れ子=実父以外の父のケースの比率が高いのは高いのは当然の結果だろう。 白雪姫のママハハ女王のようなケースは稀といってよいだろう。
  10. 全国の虐待通告の経路(通告元)ごとの内訳を件数の折れ線グラフと全体に占める割合の棒グラフに加工。 どちらを見ても、警察の伸びが著しいことは一目瞭然。 どう考えても、全件の159,850のほぼ半数の79,138件を警察通告が占めているのは歪すぎる。 警察側に言わせれば、児童虐待防止法に規定する通り、児童の同居する家庭内における配偶者に対する暴力(警察庁統計の解説から類推すると「児童が見ている前での配偶者に対する暴力」かもしれない。)を発見した場合に通告しているのだからとやかく言われる筋合いはないのだろう。 では、学校や民生・児童委員や児童本人による通告が同じようには増えていないのはどういう訳か。 もちろん、児童虐待防止法の心理的虐待に、いわゆる「面前DV」が明確に書き込まれたのは平成16年の一部改正によってだと記憶しているが、そのことによって直後から急激に増加した訳でもないようだ。 はっきりした記憶はないが、何か事件が起こるたびに関係機関の間の連携不足がマスコミ等によって喧伝され、連携を怠ったとみなされた(本件の場合、DV事案が警察によって察知され現場に警察官が臨場したにもかかわらず、児童相談所には事案通告がされなかったため保護を受けることができず、その後当該家庭に同居している児童が生命にかかわるような重大な被害を受けた)ケースが問題になったことがあったのだろう。 念のため、警察庁の発信通達一覧に、それの徹底を促すようなものがないか閲覧してみたが該当するものは見つからなかった。 印象としては、学校その他の機関も同様に認識を新たにして通告励行を心掛けねばならない状況でありながら、結果からはそれほど「頑張っている」というような印象が見受けられないのが極めて残念である。
  11. 児童相談所と市町村の相談を、それぞれ年齢ごとの相談の種類ごとに積み上げたグラフ。児童相談所分は就学前の5歳と義務教育終了前の14歳に山があるようだが、相談事の内訳をみると、その理由は障害相談数の特徴的な雨後に左右されているようで、相談の中核を占める虐待相談及びその他の養護相談数は、0歳を最高にして徐々に減少していっている様子が窺える。 障害相談数は、その大多数を占めるであろう療育手帳取得のための判定等のための相談と思われ、この時期に、一般学級か特別支援学級か特別支援学校かの線路選択が必要になるからだろう。14歳の山についても同様に進学先の関係が、17歳の小さな山は、高等学校や支援学校卒業後に就職する際、これも一般枠か障害者枠かを選択する必要があるからで、いずれも、それまで手帳を取得されていなかった子どもたちの一定数が新たに手帳取得を行おうとするからと思われる。 なお、非行相談については、小学校低学年から高等学校までなだらかに存在するが、13歳に最大の山がある。これは、14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年(触法少年)については、発見した警察等からまずは児童相談所に送致通告される仕組みになっていることが原因。これに対して14歳以上では「犯罪少年」に区分され、検察庁に送致されるため、児童相談所が関わるのは主に保護者からの非行(虞犯=少年法3条1項3号を含む)相談のみとなるためであろう。 市町村の相談では、そのような明確な特徴点は見当たらず、児童の年齢が高くなるにしたがって徐々に減少していく傾向がみられるのみだ。
  12. いよいよここから虐待相談に絞って都道府県、政令指定都市及び児相設置市ごとの色んな件数を比較したグラフになる。 これまでお話しした全国をマクロで見た傾向が、どんな理由から起こるのか。それは、少しは県民性や市民性の違いの影響もあるかもしれない。しかし、大部分はその自治体の児童虐待に対する姿勢や考え方の違いから起こっているのではないか。大胆かもしれないがそんな仮説を立てながら見ていこう。 その際、以前のグラフでも用いたが、自治体の規模に大きな開きがあるところから、件数等についてはその管内の人口又は18歳未満の児童人口1000人当たりの数に割り戻して比較するようにしている。この人口等については、総務省は毎月1日現在の都道府県市町村ごとの人口を推計して発表しているが、これには年齢区分はいわゆる3区分(15歳未満、15~64歳、65歳以上)しか発表されていないことから、本当系の対象期間とはいささか異なるが、直近の国政調査である2015年10月1日現在の数値を用いることとした。当然だが、都道府県の数字からは、管内の政令指定都市及び児童相談所設置中核市のものは除いて計算している。 とはいえ、手始めは全相談件数とそのうち児童虐待相談の占める割合の比較だ。 これも以前触れたがね特徴的なのは指定都市の一部(仙台、京都、北九州)で突出して全相談件数が多くなっている。推測で恐縮だが、これらの市では各区にある保健福祉センターなどでは児童相談にはほぼ関与せず、虐待のみに限らずすべての相談種別をほぼ一括して児相が対応しているのではないか。都道府県でも、群馬県や香川県にそのような傾向が見て取れる。神奈川県や大阪府は伝統的に児童相談所の相談利用が多い自治体だろう。 もしそのような状況なら、単純に児童相談所の職員が多いか少ないかを論じてみても意味がなく、児童相談所と管内の市町村や指定都市の区との業務分担まで睨んで評価しなければならないのだ。 相談の全数では全国レベルであるのに、児童虐待相談の占める割合がわずか4%という鳥取県の実態はどうなのだろう。そんなにまで児童虐待をしない県民性だろうか、素晴らしい予防策が講じられているのか、はたまた相談受理の段階でトリアージし極めて重篤なケースしか受理していないのだろうか。 大分県は、きっと報告をされる担当者が何か誤解されているのだろう。それを鵜呑みに集約する県本庁や厚生労働省もどうかしていると思う。
  13. 都道府県、市ごとの虐待相談受付件数を虐待の種類別に児童1000人当たりの件数にして比較してみた。 色んなグラフして改めて驚くのが、最高の大阪市(17.56)と最小の鳥取県(0.89)の間ででは、じつに約20倍の開きがあることだろう。 心理的虐待の伸びが大きいことは以前にも書いたし、その主な原因が主には警察から通告される「面前DV」ケースの増加によるものだろうことも書いたとおりだ。それで、心理的虐待に含まれている「暴力の目撃」の数値を内数(グラフでは赤〇)で表示してみた。 ところが、その件数の開きにはさらに驚く。最高が大阪市の7.65件に対して最少は同じ大阪府内の堺市(0.02件)となっている。 警察庁の通達に忠実なはずの警察組織が、同じ府本部のもとにある警察署ごとにケースの取り扱いにそれほど差があるとは考えられないし、大阪市内の保護者は極めてDV体質で堺市にはそのような気質の人はほぼいないなどと言うこともないだろう。 だとすると、あとは、堺市は警察からの通告のほぼすべてを区役所や配偶者暴力センターなどの機能の中で初期調査、トリアージし、一時保護の必要なケースのみ児童相談所に送致しているのではないかという憶測のみが残る。 果たして真相は?
  14. 全虐待相談中に占める相談種別の割合がわかりやすいように100%積み上げグラフにしてみた。前回見たように、児童100人当たりの虐待相談数自身、都道府県・市ごとに大きな差異があるが、ここではそれは無視して比率での比較が目につきやすいように果て見た。 一番気になるのは、岡山県及び岡山市のネグレクトの多さと身体的虐待の少なさである。ここ岡山にだけがこうした特異な傾向が以前から続いている。 岡山の人のみが特にネグレクト傾向が強いという県民性でもあるまい。 ひとつ前のグラフ(⓭)と見比べれば謎が余計に深くなるように思う。岡山県・岡山市は、児童100人当たりの虐待相談の受付数が、秋田、島根、佐賀県などと並んで全国では鳥取(最少)に次いで少ないクラスに属している。 性的虐待に至っては、全国的、絶対的に発見が少ない中での大小比較であり、あまり意味がないようである。 そうした中で他の県は、救相談種別の占める割合ではほぼ全国平均に近い形であるのに、岡山だけが身体的虐待の数が異常に少ないため、相対的にネグレクトの比率が高くなっているらしいことがわかる。すると、岡山だけ特別に身体的虐待が少ないなどとありえないような結論に行きつく。本当だろうか。 全虐待相談に占める「面前DV」の比率「紫▲」で表示してみた。件数でも少なかった堺市と鳥取県が最少クラスに登場するのと合わせて、最多クラスにはノーマークの福島県や鹿児島県が登場する。 こうした県では、全国一本の組織で一定レベルの仕事をこなす警察以外の経路からの虐待相談(通告)が全国平均と比べてもかなり少ないのであろう。
  15. ここから「処理」の統計が登場。 処理というと何か安易なイメージを受けるが、児童相談の場合の「処理」は、受付けた案件をどのような援助方針の下に対応することと決定したか、すなわた援助方針会議で決定した援助の種別のことである。 大きく分けると法的権限行使ともいえる「措置」によるものとよらないもの、そしてもう一つの区分としては在宅による指導と施設入所指導等である。このグラフでは、すべて一つの積み上げ棒グラフにすると、その大多数を占める面接指導(助言指導と継続指導の和)が多数を占めすぎてわかりづらいので、面接指導みを折れ線で別計にした。軸の目盛りをみていただくと面接指導の占める割合の大きさがわかるだろう。しかも、あくまで全相談件数の中だが、面接指導の占める割合の増加が著しいことも理解できるだろう。 なお、助言指導と継続指導の区分は、以下の児童相談所運営指針を参照のこと。後の都道府県・市ごとのグラフで再度登場するので記憶しておいてほしい。 なお、棒グラフ中で最多を占める「その他」の計上には問題が潜んでいるのではないかと思う。何か特定の援助が多くを占めているとしたら、こんな全体の10パセントほどを占めているのに統計に区分がないなどと言うことがありうるのだろうか。 〇 助言指導とは、1ないし数回の助言、指示、説得、承認、情報提供等の適切な方法により、問題が解決すると考えられる子どもや保護者等に対する指導をいう。 〇継続指導とは、複雑困難な問題を抱える子どもや保護者等を児童相談所に通所させ、あるいは必要に応じて訪問する等の方法により、継続的にソーシャルワーク、心理療法やカウンセリング等を行うものをいう。
  16. ⓯のグラフでは、処理の種類別の傾向について、全国の状況と年次推移で見てきたので、こんどは人口10万人当たりと児童人口1000人当たりの件数に割り戻して全国の都道府県・市ごとの特徴を見てみた。 例によって、面接指導は件数が大多数を占めるので別計の折れ線にし、積み上げ棒グラフは訳の分からない「その他」などを除外して、「児童福祉司指導」、「訓戒誓約」、「児童福祉施設入所」及び「里親委託」4種類のみとした。 人口10万人当たりと児童人口1000人当たりの両者を用意したのは、現行の国の定める児童福祉司配置基準は、大原則「管内人口4万人(「2022年度までに4万人から3万人に見直す」としている )に一人」と定められているが、3つ目の参考グラフに見られるように、各都道府県・市ごとの全人口に対する18歳未満(児童)人口の比率は、最高の沖縄県(20.8%)から最低の東京都特別区部(12.9%)まで約1.6倍の開きがある。児童福祉司や心理司が適正配置かどうか、他の自治体に比べて児童虐待相談その他の構成要素は多いのか少ないのか、比較するにあたっては、本当は18歳未満の指導人口による比較が必要ではないか。そんな思いから2つ作成したのである。 沖縄県の位置など、人口のグラフと児童人口のグラフでの比較も面白い。 それにも増して特徴的なのは、相談種別ごとの件数分布だ。面接指導のやたら多い香川県、仙台市や福岡市はやはり何か歪な印象。東京都の児童福祉司指導の多さは丁寧な指導をやっていそうで「立派」という印象。 まあ、これは児童相談全体の概括なので、児童虐待相談に的を絞った分析は後ほどほかのグラフで試みてみたい。
  17. さて、今回は一時保護に関する統計だ。児童相談所以外の機関の方からは、時々誤解されて「一時預かり」という名称で呼ばれることがあるが、「児童一時預かり」は市町村の実施する家庭において保育を受けることが一時的に困難となった乳幼児を認定こども園・幼稚園・保育所等で一時的に預かる事業のことだ。 一時保護は児童相談所に「併設」される一時保護所において行う方法(所内一時保護)と、児童養護施設その他の施設、機関、個人に委託して行う方法(委託一時保護)があるが、諸般の理由からここでは一時保護の中心である所内一時保護に限って検討してみたい。 まず、全国における件数等の推移のグラフを見れば、一時保護件数全体としては増加傾向にはあるが、児童虐待相談の著しい伸びに比べれば微々たる伸びである。それでも、一時保護所の増設や定員増の対応が進まぬ中で、おまけに、困難ケース・生命にかかわる重大ケースが増加するしている。強硬的に実施することが求められる一方、キャパの拡充や職員体制の充実が進まぬ中、何とかやりくりしながら対応しているというのが実態ではないだろうか。 一件当たりの在所平均日数は、こちらも徐々に増加し、近年は概ね30日のラインで高止まりしている。 それでも、約16万件の虐待相談受理件数に対して、1万4500件と約9%のケースが一時保護されたのみである。 一時保護実施の必要がない軽微なケースが多かったからという説明で済めばよいのだが。
  18. 一時保護についても、実情が理解しやすいよう都道府県・市ごとのグラフを作成した。 一つは、児童1,000人当たりの一時保護件数とそのうち2か月を超える期間一時保護を行った件数を棒グラフで、自治体ごとの平均一件当たりの保護日数を折れ線グラフで表示した。 一時保護件数の多い自治体は、名古屋市、鳥取県及び横須賀市がベスト3、逆に少ない自治体は茨城、富山、岐阜の各県だった。「ベスト3」などと不謹慎に表現したが、必ずしも少ないからダメで多いから頑張っていると単純に言い切れるものでもない。また、この数字は、児童虐待だけではなく、一般養護や非行ケース(主に警察から身柄を伴って通告されるケース。家庭裁判所の審判により児童福祉施設福祉施設入所が必要とされたものも一時保護をまず行って行動観察等行わなければならない。)も含まれていることに留意が必要。 2か月を超えて保護しているものを国が特別に調査しているのは、児童福祉法第33条3項で「一時保護の期間は、当該一時保護を開始した日から二月を超えてはならない。」と規定されているからである。じゃあ、超えて実施している全国では13.5%(3,479件)は法律違反なのかという疑問が当然生じる。法律は、その場合の抜け道として同条第3項に次のような規定を設けている。「前項の規定にかかわらず、児童相談所長又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、引き続き第一項又は第二項の規定による一時保護を行うことができる。」何のことはない、「2か月以内」は、絶対的に順守しなければならない規定ではないのだ。ただ一時保護所という臨時的で不自由な施設で長期間過ごすということは、子どもの権利保護の立場からは好ましくないので、2か月を超えて一時保護を行おうとする場合、親権者等の意に反して行う場合は、家庭裁判所の承認を得る必要がある。(同第4項)(子ども本人の意見を聴くなどの法規定はないのが不思議と感じる。) 一件当たりの平均日数は、最高の千葉県(48.3日)から、最少の愛媛県(4.7日)まで大きな開きがある。 これも長ければよい、短ければだめなどと単純には割り切れないが、両者の間では全く異なったやり方をしているとしか思えない。 ただ、余りにも短期間の一時保護で、「児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握する」(同条第1項)という目的を達成するためには、その期間に相当密度の濃いケースワークが展開されないと不可能ではないか。
  19. 都道府県・市ごとの一時保護に関するグラフは、一時保護解除後に児童相談所はどんな対応をしたかの別だ。 児童1000人当たりの件数で積み上げたものと、100分率でどの程度の割合かの両面から見られるよう、同じ数字を用いて2のグラフを作成した。 前者のグラフでは比率がよくわからないので、主に後者のグラフをもとに気が付いた点を述べる。 まずは、一時保護後に施設入所及び里親宅となったケースは、全国平均で20%強、大阪府、鳥取県、愛媛県、横浜市、新潟市などの少なさが気になる。一方多い自治体は茨城県、山梨県、熊本県、長崎県で40~50%程度になっている。長崎、熊本の両県はその中でも里親委託の占める割合が高い。 一方、帰宅(その後どうしたのか、終結、継続指導、児童福祉司指導の割合までは統計は求めていないので不明)は、鳥取県と千葉、新潟、金沢の各市が高率のようだ。 ただし、前回も述べたが、ここでいう対象は児童虐待相談のみではなく、一般養護や非行ケースも含まれており、その比率はまちまちだ。鳥取県は児童虐待ケースの受理が極端に少ないので、単純な比較は危険だろう。 いずれにしても、都道府県・市ごとの一時保護に関するグラフは、一時保護解除後に児童相談所はどんな対応をしたかの別だ。 児童1000人当たりの件数で積み上げたものと、100分率でどの程度の割合かの両面から見られるよう、同じ数字を用いて2のグラフを作成した。 前者のグラフでは比率がよくわからないので、主に後者のグラフをもとに気が付いた点を述べる。 養育が困難と判断されるケースの率はそれほど自治体ごとに差があるとは考えられない。なのに、このような開きが生じるのは、里親どころか児童福祉施設の入所定員さえ不足している地域があり、傾向としては都市部にその傾向が顕著なようだ。かといって、帰宅させて保護者等に家庭で養育させることが悪かと言えばそうは言い切れない。 改正児童福祉法3条の2は、児童の権利条約の趣旨に則り、次のように規定している。 「国及び地方公共団体は、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならない。ただし、児童及びその保護者の心身の状況、これらの者の置かれている環境その他の状況を勘案し、児童を家庭において養育することが困難であり又は適当でない場合にあつては児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう、児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合にあつては児童ができる限り良好な家庭的環境において養育されるよう、必要な措置を講じなければならない。」と。 帰宅後養育環境が改善され、痛ましい事件が起こらなければ、帰宅が正解かもしれない。 その見極めと、その後のケースワークの量と質が問われているのではないだろうか。 なお、ピンクの折れ線グラフは、職権による一時保護(保護者の合意が得られなかったもの)の件数。積み上げ棒グラフを見た方がわかりやすい。 多い自治体は三重県、大阪府、名古屋市と岡山市。一時保護の強行性を重視し、保護者の同意をさほど追及していない(する余裕がない)のか。逆にゼロの自治体は秋田、茨城、栃木の各県と静岡県。たまたまそんなケースがなかったとは考えにくい。よほど行き届いたケースワークで全件同意を取り付けているか、面倒なことになることを懸念して一時保護実施をためらっているかのどちらだろうか。
  20. 児童福祉施設の代表格である児童養護施設について、定員と在籍者数を棒グラフで、在籍率(在籍/定員)を折れ線グラフで表したもの。 なお、当該年度の統計では、前年度以前との年次推移を示す表は掲載されていないので、筆者が独自に前年度以前の表も閲覧してグラフにまとめたもの。(次の里親委託のグラフも同じ。) 特徴として、25年度までは定員の微増乃至横ばいの中、在籍数(大多数は児童相談所措置)が年々増加して限界に達していたように思える。 「90%近い在籍率なら、まだ一割は入所受け入れの余地があるのではないか」と思われる向きもあるだろう。しかし、盛んな発達段階にある子どもたちと、病院や特別養護老人ホームの「空きベッド」と同じように考えるのは早計な判断だ。 入所児童には、男女の性別のほかにも、年齢層(幼児、学童、中高生)などの違い、相談種別(虐待か養護か非行か、それらの混合か)に加えて子どもたちそれぞの性格・特性などを慎重に検討して、既に入所している子どもたちとの「相性」も含めて判断される。そのため、児童相談所職員は何回か施設とサマリーを交換したり直接協議したりして入所打診をするのだ。 ただ、26年度以降の減少傾向がひときわ目を引く。とりわけ29,30と2年間にわたって70%台の在籍率となった背景にどんな動きが介在しているのだろうか。 また、二つの円グラフは、入所系の全児童福祉施設入所者の施設種別ごとの割合での18年度と30年度の比較だ。 パッと見ではほとんど変わっていない。 実際、入所児童総数でもほとんど変化なく、内訳で見ても、児童心理治療施設(18年度では「情緒障害児短期治療施設」という名称)が1から3%に増加し、児童自立支援施設(昔の「教護院」)が6割程度に減少したのみである。
  21. 里親委託されている児童数の年次推移。 「ああ、国が力を入れている(?)だけあって順調に伸びているな。18年間で2.6倍にも増えている」との印象を受けるグラフ。 年齢階層ごとの変化にアンバランスがあることが気になる。 そこで、違いを明確にするため、同じ数字を2000年を100%とした伸び率の折れ線グラフにしてみた。 里親委託に馴染まない理由や施設での処遇には問題が多い理由など、それぞれの年齢層に応じた理由があり、その解消に向けた対策が求められるのだろうが、ボヤっとした仮説以上には専門外の私にはよくわからない。 関係職員の解明努力に期待したい。
  22. 児童1000人当たり里親に委託されている児童数を、都道府県・市別に年齢別に積み上げたのが棒グラフ。 最多の北海道が7.1人、最少の富山県が1.25人、その格差は5.7倍だ。 一方、折れ線グラフは認定及び登録里親数。こちらは、最多の山梨県が11.87組、最少が大阪府の2.87組、格差は4.1倍だった。 煩雑になりすぎるのでグラフは作らなかったが、年齢階層ごとの比率も各自治体ごとに特徴がある。 いずれの特徴も、各都道府県・市ごとの児童福祉施設や里親施策の歴史の反映であり、一概に里親が少ないからとか、委託が進んでいないか単純に批判はできない。 ただ、児童福祉法の改正を受けて厚労省が定めた目標は、「①3歳未満は24年度末までに75%以上②3歳以上就学前は26年度末までに75%以上③学童期以降は29年度末までに50%以上」となっており、2020年3月17日付の朝日新聞記事では、「伸びぬ里親の委託率 国の目標満たす自治体、1割未満に」との見出しで、各都道府県・市ごとの区表数値を報道していた。 同記事では、一律的な国の目標押し付けに対して、「里親を増やし、スキルアップや里親を支援できる態勢を整えることが先。いきなり目標は定められない」(東京都)や「一番大事なのは、委託率の向上ではなく、子どもにとって施設か里親かの選択肢を増やすこと。数字だけ追い求めて里親委託後にうまくいかないことがないように、まずは里親の数を増やして、その上で相性などを見て委託を増やすことを目指したい」(大阪府)などの自治体側の事情も報道されていた。 つかしい背景があることは確かだろう。
  23. 施設・里親関係の仕上げに、社会的養護全体(児童福祉施設入所と里親委託の合計、積み上げ棒グラフ)に占める里親委託の割合(折れ線グラフ)を作成した。 内容の考察はこれまで述べてきているのでここでは省略したい。 ひとこと、愛知県と福岡市の違いはどこから来ているのだろうか。
  24. シリーズ⓯のグラフを、都道府県・市ごとの内訳で表示したものになる。 見え方の工夫で、目盛りの0から15までを省略(本当は「波線」を入れるが多々しいのだろが、PPTのグラフではその表示ができない)している点はご注意。 また、100%との隙間には、⓯のグラフでは「面接指導」(助言指導+継続指導)を除いた中では最多であった「その他」が入るが、どうやら自治体によってその中身のとらえ方がまちまちなようなので、このグラフでは表示しないこととした。全国で相談の内容にそれほど偏りがあるわけでもなく、対応に違いがあるのだろうけれど、それにしても、熊本、大分、鹿児島の各県では、その「その他」が50%近くを占めているのだから、全国で同じ基準で仕事をしているのか、はたまた、仕事の基準(「児童相談所運営指針」など)は順守されているのに統計区分への計上方法が間違っているのか、精査が必要だろう。 それを前提としたうえで、目につく点を列挙したい。 ①助言指導は、全国平均でも最多の71.7%を占めるが、最多の滋賀県は92.38を占める。本当に全相談の大多数を「1ないし数回の助言、指示、説得、承認、情報提供等の適切な方法により、問題が解決すると考えられる子どもや保護者等に対する指導」(児童相談所運営指針。以下同じ。)が占めているのだろうか。 ②継続指導は全国平均では11.49%なのに対して、最多の茨城県は51.3%、最少の群馬県は0.70%となっている。茨城県はこんなに多くのケースを本当に「複雑困難な問題を抱える子どもや保護者等を児童相談所に通所させ、あるいは必要に応じて訪問する等の方法により、継続的にソーシャルワーク、心理療法やカウンセリング等を行う」援助をしているのだろうか?しているとすればどんな体制で?一方、群馬県はこんな簡単に一丁上りにしてしまって大丈夫なのか? ③一時保護から帰宅させ在宅指導とするケースが多いことは先にも書いたが、「子ども虐待対応の手引き」で「一時保護後に家庭復帰させる場合の子どもや保護者に対する指導上の留意点について施設入所後に家庭復帰させる場合の留意点と基本的に同様」取り扱うことが示され、その具体的内容は、「児童相談所は、家庭復帰から少なくとも6か月間程度はとりわけリスクが高まる期間として、児童福祉司指導等の措置または継続指導を採り、家庭訪問や児童相談所への通所等を通じて、養育状況を把握すると共に必要な援助を実施する(「措置解除等に伴い家庭復帰した児童の 安全確保の徹底について」(平成 24年 11月1日付雇児総発 1101第 3号厚生労働省雇用均等・児 童家庭局総務課長通知)参照)」とされている。 そこで、児童福祉司指導は、最多が東京都の7.90%、であったのに対して、県では宮城県の0.06%を筆頭に、栃木、千葉、山口、福岡、熊本の各県が0.2%以下、政令指定市では仙台の「ゼロ」を筆頭に、千葉、京都、大阪、神戸、北九州の各市が0.2%以下だった。 「複雑困難な家庭環境に起因する問題を有する子ども等、援助に専門的な知識、技術を要する事例に対し子どもや保護者等の家庭を訪問し、あるいは必要に応じ通所させる等の方法により、継続的に行う。なお、保護者の不適切な養育の自覚の有無に関わらず、保護者の改善に向けた姿勢があいまいであったり、改善に向けた働きかけを行う上でも、法的枠組みを示すことが効果的であると考えられる場合などにおいて」法的根拠を有する措置としての指導を行うべきケースが、こんなにも少ないのだろうか。 千葉県野田市で10歳の女児が冷水シャワーを浴びせられるなどして虐待死させられたケース。なぜ、継続指導でなく児童福祉司指導の措置がとられなかったのか、返す返すも痛恨である。
  25. 番外として、福祉行政報告例にはないが、主管課長、児童相談所長会議の資料から、全国の児相数と一時保護所数の関係を都道府県・市ごとに棒グラフで表し、これまで活用してきた国勢調査の管内人口で割り戻して1か所当たりの人口を折れ線グラフで表示してみた。 児童福祉法12条の4には、「児童相談所には、必要に応じ、児童を一時保護する施設を設けなければならない。」と規定されている。 この条文の解釈として、市街地が固まっている政令指定都市はもちろん、区域が広範囲にたる都道府県でも、これまでは「他の児童相談所に付設されている一時保護所を使えばいいので、必ずしも一児童相談所に1か所の一時保護所を設置しなくてもよい」との考えが支配的だった。離島や郡部の小規模児童相談所では一時保護を必要とするケースが少なく、施設もさることながらそれだけの職員を常時確保しておくことが非効率と考えられてきた経過があるからだろう。 しかし、これだけ虐待相談が激増し、緊急に保護の必要なケースが増えており、また、援助を検討するにあたっても常に子どもの状況を観察し、意見を聴く必要があることが強調されているのだから、「児童相談所には必ず併設」をスタンダードとすべきだろう。法の「必要に応じは」とは、できる限り家庭的な保護環境を確保するため(児童養護施設の設置基準に準じて)、入所定員20名程度の小規模を原則として、必要な場合は2単位3単位の一時保護所を併設するなどの考え方が出てきてもいいはずだ。 児童相談所一か所当たりを人口で表したのは、国の基準が「概ね人口50万人に1か所」と定められているからだ。 都道府県でも、東京、埼玉、千葉あたりが上回っているし、政令指定市では、川崎市を除きほぼすべてが上回っている法令違反状態だと指摘したい。 一昨年から昨年にかけて重大な死亡事件が起こった東京都、千葉県、札幌市がいずれもがこの上回るグループに属していることは、単なる偶然の結果ではないだろう。 たとえ職員は充足していたとしても、児童相談所の規模が大きいと、判定会議や援助方針会議が形式的・事務的となり、署員全体の知見を集めて論議するキャパも時間的余裕もなくなるのだろう。 (詳しくは、各自治体の検証委員会報告を注意深く読む必要がある。)
  26. 今度のグラフは、前回と同じく全国主管課長、児童相談所長会議資料から、児童相談所で働く多くの職種のうちで一番人数が多く、ソーシャルワークの中心となる職種である児童福祉司の人数の比較を試みた。 念のため、児童相談所運営指針(P.28)には、児童福祉司の職務として次のように規定している。 (1) 子ども、保護者等から子どもの福祉に関する相談に応じること (2) 必要な調査、社会診断を行うこと (3) 子ども、保護者、関係者等に必要な支援・指導を行うこと (4) 子ども、保護者等の関係調整(家族療法など)を行うこと また、児童福祉法第13条には、児童福祉司の人数に関する標準ついて、「各児童相談所の管轄区域内の人口、児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第二条に規定する児童虐待(以下単に「児童虐待」という。)に係る相談に応じた件数、第二十七条第一項第三号の規定による里親への委託の状況及び市町村におけるこの法律による事務の実施状況その他の条件を総合的に勘案して政令で定める基準を標準として都道府県が定めるものとする。」と規定されているが、具体的には政省令にて参考の計算式が示されている。 なお、この数式は令和元年度現在であり、2020年度においては、以下のように改定する予定と全国課長会議資料に示されている。  ・児童福祉司は、児童相談所の管轄区域の人口3.5万人に1人配置することを基本に  ・里親養育支援児童福祉司は、各児童相談所に1人配置  ・市町村支援児童福祉司は、各都道府県及び各指定都市に1人配置 なお、人口当たりだけではなく、都道府県・市当たりの虐待相談数との関係での比較も必要と考えたので、それはこの後続く何枚かの「都道府県・市ランキング」シリーズにて触れる。
  27. これから後は、ランキングと称してある特定の指標の大きいものがら小さいものへと、都道府県・市を並べ替えたグラフが続く。 まずは、児童人口1,000人当たりの児童相談受付件数を、相談の種類別に積み上げ、うち養護相談(虐待相談を含む。)の件数の多い順に並べたグラフ。 最多の大阪市(27.20件)と最少佐賀県(3.60件)の開きの原因が大きすぎて単純な1つの答えが見つからない。全体構成としては、大都市部から農林漁業県へとなだらかに続いているように思う。 きっと、受け手側の意識体制、家族の力と家族構成、地域コミュニティーの力などの違いが複雑に絡み合っているのだろう。 京都市、仙台市、神戸市の障害相談(仙台市はその他相談も)の突出した多さは、はっきり言って区役所等の2層構造相談体制ができていないのだろう。 それらの相談に充てる時間と労力により、児童相談所が養護、虐待などの大変な事例への対応を丁寧に行う余力が圧迫されているのではないか。 全体に件数が少ないが、非行相談では、全国平均が0.67件であるのに比べ、大都市部の大阪市(1.23件)や東京都(1.11件)が倍近い。さらに沖縄県は1.51件と平均の倍をはるかに超える。米軍基地が密集してあることとの因果関係が見え隠れする。
  28. ランキングの二つ目は、全相談中に占める児童虐待相談の比率のグラフ。 なお、虐待相談の対応(ここでは初期対応から施設入所等を含む継続的援助全体をさす。)は、平均すれば他の相談種別に比べると、相当の困難性を有することは想像に難くないだろう。 たとえ、二つの児童相談所において、同じ全相談件数を同じ人数のスタッフが処理しているといっても、そのうち児童虐待相談の占める割合の大小によっておのずからその忙しさは異なってくるのだろう。 というわけで、全国平均は31.7%だが、最多は横須賀市の56.0%、最少は鳥取県の4.2%との結果が出た。 例えば、児童福祉司の配置標準数の算出方法で、まず、管内人口(児童人口ではない)、次に補助的な指数として児童虐待相談の対応件数の全国平均を加味するという現行算式は改善されたとはいえまだまだ不十分ではないだろうか。 グラフでは最多は102.5%の大分県という結果となっているが、先のグラフでも指摘したようにこの数値が100を上回るなどどいうことは考えられないから、同県の統計数値計上には何らかの勘違いがあって信ぴょう性に欠けるものとなっているのではないか。 なお、相談の種別ごとの一件当たりにかかる労力(事務量)については、記憶では過去にいくつか研究が取り組まれたように記憶しているが、少なくとも厚生労働省が公式のデータとして公表しているものはないように思う。
  29. ランキンググラフの第3弾は全虐待相談に占める警察通告の率。 全国平均では49.2%と、ほぼ半数の児童虐待相談が警察が経路となっている。 これは、当然全虐待相談だから、身体的虐待やネグレクト、性的虐待が含まれているのだが、2つ目、3つ目の警察庁発表の「令和元年における少年非行、児童虐待 及び子供の性被害の状況」のグラフを比較していただければ以下のようなことがわかってくる。 なお、警察庁と厚労省は、方や年でそしてもう一方は年度で統計を取るので、両者の対象とする期間には9か月のずれがあるが、大方の傾向をみるのに大した問題はなさそうだ。 警察の取り扱った児童虐待案件のうち、刑事事件として検挙されるのはわずか2%。その余は、すべて児童相談所に通告されるのみだ。 しかも、警視事件として検挙されるのは証拠が明確で警視事件として立件しても公判に耐えられると思われる身体的虐待が圧倒的多数で、ネグレクトや心理的虐待は微々たる数字で、もともと少なそう(?)な性的虐待の検挙は、「案外頑張っている」という状況である。 本グラフに戻って、それでも最多の鹿児島県(77.6%)と最少の鳥取県(12.5%)の間の開きが起こるのはどうしたことだろう。 警察は児童相談所と比べると、警察庁の指揮命令の下、上意下達・中央集権的に統一のとれた動きをする組織と理解している。 それでも、都道府県・市ごとの通告数(子ども1000人当たり)にするとわかるように、大阪市は12件、鳥取県は0.11件と極端に異なるのは、以前にも⓮で書いたが、事件を起こす側の住民(保護者)の県民性にあるのではなく、各都道府県警察または末端の警察署の姿勢に原因があるのではないだろうか。 もちろん、同じことは児童相談所側についても指摘できる。水色の棒にデコボコがある以上にオレンジの棒(水色を除いたとしても。)のデコボコ具合は何なんだろう。 また、以前のグラフで「心理的虐待に占めるDV目撃の比率がゼロ」だった堺市は、このグラフでは全虐待は大阪市に次いで2位、うち警察通告も、大阪市、さいたま市、埼玉県に次ぐ4位だ。どういうからくりなのだろう。
  30. ㉙の疑問をより明確にするため、通告経路とは関係なく、全虐待相談に占めるDV目撃の割合をグラフにしてみた。 やっぱり堺市はゼロ。ということは、児童虐待の防止等に関する法律第2条4項の「児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。」はどう解釈しているのだろう。 この条文が出たところで私の見解を書いておこう。正直にこの条文を読めば、「児童が見ている前で」や「面前DV」などの解釈は不正解だと思うのだ。 そんなことは法律には一言も書かれていない。配偶者を罵る大声が聞こえてきたり、殴る、叩く、蹴る、物を投げつけるなどの音の子どもたちの情緒に与える影響が大きいことも研究者から指摘されている。 グラフの表題は厚労省の表現に則り、「DV 目撃による心理的虐待」としたが、報告例の「記入要領及び審査要領」にはどのように書かれているのだろう。
  31. 5つめのランキングは、全虐待相談中に占める経路が学校等の割合の比較グラフだ。 じつは、この指標で京都府が著しく低い数値にあることに気づいたことが、ランキンググラフを作成したきっかけだ。 鳥取県は全虐待相談のじつに4分の1が学校等(学校教育法で「学校」に含まれる幼稚園のほか、教育委員会も含んでいる。)からの通告だ。ただ、今まで見てきたように、鳥取県は母数の虐待相談自身が極端に少ない。警察はじめ広く県民に児童虐待防止の意識が弱いのではないかと、余計なお節介かもしれないが逆に思う。 京都府の低い理由は、ひとえに京都府の児童相談所が表明している「公立の小中学校は市町村としての組織の一員だから、虐待通告するのなら市として(担当の子ども相談窓口を通して)行うべき。学校が直接行うことはできない。」との見解だ。念のため、この見解を記した公文書は存在せず、学校が直接連絡したら、上記のようなことを言われる経過が10数年続いてきている。 私は、児童相談所で担当児童福祉司をしていた時代から、この解釈は間違っていると主張し続けてきたが、「多勢に無(少)勢」で、福祉司会議の協議で押し切られてしまった。 児童虐待防止法の条文を正直に読めば、そんな解釈はおかしい思うし、もっと言えば「発見したら通告しなければならない」とされている、組織としての「学校」ではな、「学校の教職員」から通告があったらどう区分するのかとの疑問もある。 いずれにしても、この慣行のように回りくどいやり方(一般的に考えても、担任等→学年団→校長等管理職→市町村教育委員会担当→市町村子ども相談部署→市町村管理職の決裁)を必ず経なければ虐待通告ができないという理屈になることは、緊急の対応を要する場合や後々要したことが分かった場合に、取り返しのつかない結果を招きかねない。 なお、2019年5月に発せられた文部科学省のマニュアル「学校・教育委員会等向け 虐待対応の手引き」には、虐待の程度により児童相談所に通告すべきケースと市町村に通告すべきケースが明確に区分して記載されている。 ということは、京都府内の公立学校はほぼ一年間取り扱いに困ったはずだが、残念ながら文科省マニュアルをよく読み込んでいないのか、そのような声は聞こえてこなかった。 当然、私個人的にの段階だが、スクールソーシャルワーカーとして府教育委員会の担当者には、文科省マニュアルと比べても明白なこの誤った取り扱いを改めるよう調整してほしいと申し入れているのだが、いまだに梨の礫である。 このグラフのままだと、京都府内の公立学校教職員は、児童虐待の対応を「何もしていない」ように見られてしまう。日々奮闘している皆さんのためにも、改めていきたいと思う。
  32. 6つめのランキングは、全虐待相談中に占める経路が市町村の通告割合の比較グラフだ。なお前回報告したように「学校等」の中にも教育委員会は含めて整理しているが、このグラフでは市町村の中に教育委員会も含めてカウントしている。 この前のグラフで学校通告が極めて少ない京都府(兵庫県も)の特異性を書いたが、このグラフでは市町村として福祉行政報告例の項目に含まれている「児童委員」と「保健センター」は便宜的に除外している。 理由は、元は学校からの通告ケースが児童相談所に上がってきそうな部署のみに限ったつもりであったが、結論としてはこの課題はつかみようがない。 なぜなら、市町村児童相談主管課が所属している組織がまちまちで、福祉事務所の中の児童福祉部門であったり、場合によって、保健センターや教育委員会といった市町村もある。また、福祉事務所というと生活保護担当だけと解釈している児童相談所もあるかもしれない。 よって、福祉事務所、その他市町村、教育委員会の割合がまちまちの結果となってしまっている。 「福祉事務所」が大多数の三重県、大分県、千葉県とほぼすべてないし大多数が「その他市町村」となっている長野県、福岡県、東京都などとの違いは何か。後者がとくに福祉事務所を設置しない町村が多いわけでもなくむしろ反対だ。 市町村と児童相談所の「送致」や「援助依頼」等の仕事のやり取り、もともとの守備範囲のラインを定めて、通告があっても市町村に通告するように誘導するなどの取り扱いの違いが複雑に絡んでいるのだろう。 政令指定都市や中核市にはそもそも市町村という考え方は存在しないようだ。 区の保健福祉センターなどに、要保護児童対策地域協議会の事務局運営はじめ本格的な児童相談体制が敷けていないのではないか。 都道府県と市町村のように、相談体制の2層化分離がきっちりできていたら、当然、区からの送致や援助依頼ケースも登場するはずであるし、派生して「主たる援助機関」も明確にしなければならず、統計のこの部分に計上されてしかるべきだろう。
  33. ランキングの最後は、児童福祉司一人当たりの虐待相談件数だ。 根拠となる児童福祉司の数は、あくまで発令されている全員で、「児童虐待対応担当」のではない。 そもそも規模の小さい児童相談所では、虐待担当とその他相談(規模の大きな児童相談所では、それらをさらに非行専門とか障害専門とか、里親、家族再統合、市町村支援等々分割しているところもあるが)とをわけることも困難なほどギリギリの体制で業務をこなしている。また、ケースの内容自体、複数の相談種別が複雑に絡み合っていて、「児童虐待」だけに特化した知識や技術だけでは十分な対応はできない。 だから、児童虐待は相談種別としてはいまだに「養護相談」に含まれているのではないかと解釈している。 都道府県・市ごとの業務の過重の度合いを比較するには、この折れ線グラフだけでは不十分、試みに全相談に占める虐待相談の比率を破線の折れ線で同一軸上に表してみた。児童虐待の占める率の低いところほど他の相談種別にかける業務量が多くなるはずだからと思うからだ。(ただし先に触れているように大分県の100%を超える数値は信用できない。) 業務の過重度合いを比較しようと思うと、相談種別に加えて、これまでのグラフで触れてきた、処理種別の偏り、同じような手間をかけているのに処理種別の認識が異なる、児童福祉司の他の業務との兼任率、市町村との業務分担や支援の違い等々、複雑な要素が絡んでいるはずだ。 というわけで、このグラフは一つの視点を現したにとどまっている。決して東京都が一番大変で鳥取県が楽だなどと言い切れるものではないのだろう。しかし、傾向としては左側にある自治体、全国平均ラインを上回っている自治体は、とりわけ急いで思い切った増員が必要だろう。 全国の自治体が、忙しい日々の中から、一年間の仕事の総決算ともいうべき統計をせっかく苦労して取りまとめた貴重なデータだ。児童虐待によって命を奪われたり、ひどい権利侵害を受ける子どもたちをこれ以上生み出さないために、しっかり活用していく道を探ってほしい。