SlideShare a Scribd company logo
1 of 15
Download to read offline
スクラム開発の概要とコンセプト
アジャイル・スクラム
勉強会
スクラム
開発概要
https://unsplash.com/photos/ft7vJxwl2RY
スクラム開発の歴史
u The New New Product Development Game
ü 1986年、野中郁次郎と⽵内弘⾼がHarvard
Business Reviewに掲載された論⽂
Ø 新製品開発のような不確実性の⾼いプロジェ
クトは、リレー形式(図中のType A)で⾏う
のでは変化に対応できない
Ø ラグビーのようにチーム内でパスを回し合い
ながら(図中のType C)、スピード感を持っ
て⾃律的に⾏動していく必要があると説いて
いる
u アジャイルソフトウェア開発スクラム
ü 野中⽒、⽵中⽒の論⽂に着想を得て、Ken
SchwaberとJeff Sutherlandが1995年に
OOPSLAカンファレンスでスクラムを発表
Ø Jeff Sutherlandはその後、2001年のアジャイ
ルソフトウェア開発宣⾔の場にも参加してい
る
Ø 2010年にScrum Guideの初版が制定され、ス
クラム開発の原則はこのScrum Guideに則って
いる
スクラム開発とは︖
u Scrum Guideで定義されたスクラム開発
ü 優先度の⾼い機能から順次開発・順次リリースする
ü 途中で必要な機能が変わった場合も柔軟に対応する
ü 開発チームが⾃律的に⾏動する
プロダクトオーナー スクラムマスター
開発チーム
スクラムチーム
今までの開発とは異なる
役割・⾏動が求められる
WF開発とスクラム開発の違い
u ウォーターフォール開発(WF開発)の場合
ü 最初に期間(開発総期間)を確定する
ü 最初にコスト(開発総コスト)を確定する
ü 最初に全機能を確定する
Ø お客様・開発会社間は請負契約を結ぶ
(成果物の納品によって、報酬を頂く)
u スクラム開発の場合
ü 最初に期間(エンジニアのアサイン期間)を確定する
ü 最初にコスト(エンジニア費⽤)を確定する
ü 最初に全機能を確定しない
Ø お客様・開発会社間は準委任契約を結ぶ
(エンジニアの稼働によって、報酬を頂く)
スクラムの
コンセプトを
例で理解する
https://unsplash.com/photos/_TN1m5R1pFI
例えば、クリスマスパーティでゲストに振る舞うケーキを
ケーキ屋さんに依頼する例で考えてみると…
ケーキを発注する例で考える
パーティーで
ケーキをいっぱ
い⾷べたい︕
ゲスト 幹事さん ケーキ屋さん
パーティーで
振る舞うケーキ
を注⽂します︕
承りました︕
6⽉ごろのやりとり
WF開発の場合の流れ(1)
製作期間は6ヶ⽉、
総費⽤は10万円
です︕
では、6ヶ⽉後に
納品されたらお
⽀払いします
ゲスト 幹事さん ケーキ屋さん
6⽉ごろのやりとり
ケーキ屋さんは幹事さんからどのようなケーキが良いか聞
き出し、制作期間と総費⽤を伝える。
制作するケーキの完成形は最初に全て確定させる。
ケーキ屋さんは6ヶ⽉後に約束したケーキを納品する。その
間にゲストが⾷べたかったケーキが判明したり、参加⼈数
が変わっていても納品するケーキの変更はできない。
WF開発の場合の流れ(2)
出来ましたので
納品します︕
イメージしていた
ケーキとちょっと違
う気がするなぁ。。。
ゲスト 幹事さん ケーキ屋さん
12⽉ごろのやりとり
⾷べたかったケーキ
と違った・量が多く
て⾷べきれない
スクラム開発の場合の流れ(1)
カットケーキで
制作するので
ゲストの反応を
⾒てください
わかりました
ゲスト 幹事さん ケーキ屋さん
6⽉ごろのやりとり
ケーキ屋さんは幹事さんと協⼒してどのようなケーキが良
いか整理し、まずはカットケーキで制作することを伝える。
制作するケーキの完成形は最初に確定させない。
ケーキ屋さんは期間内に複数回カットケーキを渡し、フィード
バック(FB)を得る。ゲストが⾷べたかったケーキが判明したり、
途中で必要なケーキの量が変わった場合でも柔軟に対応する。
スクラム開発の場合の流れ(2)
カットケーキ
できました︕
ちょっと違う
気がするなぁ。
ゲスト 幹事さん ケーキ屋さん
7⽉〜12⽉頃のやりとり
⾷べたかった
ケーキと違うなぁ
ではこれならどうで
しょう︕
これならいけるか︖
もっと⽣クリームな
ケーキがいいなぁ
1回⽬
2回⽬
ちょっと変えてみま
した︕
ゲストの反応を⾒てみ
ます︕
このカットケーキは
いい感じ︕
3回⽬
以降も続く
FB FB
FB FB
FB FB
u ウォーターフォール開発の場合
ü ケーキの完成形を最初に確定する
ü ホールケーキとして最後にまとめて受け取る
ü 受け取ってみて、違うケーキが必要だったり、必要な量が変
わってしまっていた場合でも、渡しているケーキが最初に確
定した完成形の通りなら途中で変更できない
Ø どうしても変更したい場合は追加費⽤を頂く
u スクラム開発の場合
ü ケーキの完成形を最初に確定しない
Ø 完成形の確定はしないが、完成形の予想はしている
ü カットケーキとして順次⼩さく受け取る
ü 受け取ってみて、違うケーキが必要だったり、必要な量が変
わってしまった場合でも、途中で柔軟に対応する
ケーキの例のポイント
スクラム開発
疑問と回答
https://unsplash.com/photos/tVkdGtEe2C4
スクラム開発への疑問と回答
u 開発費⽤について
ü 「スクラム開発だから安くなる」ということは無い
ü 無駄なものを作らずに済んだことで、結果的に安く済む可能性
はある
ü 逆に、本当に作りたいものが途中でわかって、結果的に当初の
想定よりも⾼くつくこともある
u 契約形態について
ü スクラム開発を⾏う場合、頻繁な変更を容認するため、基本的
には準委任契約でないとできない
ü ⾦額と成果物が明確でないと依頼できないというお客様の場合
は、請負契約のWF開発でやりましょう…
u 結局のところスクラム開発のメリットは何か
ü 価格が安くなることは無い
ü 環境や要求の変化に柔軟に対応できる
ü 動くソフトウェアを⼩さく・早く届ける
Ø 早く使い始めることができる
Ø 早くフィードバックを得ることができる
雑談Time
スクラム開発という⾔葉を知って
いましたか︖
スクラム開発が⽇本の論⽂に影響
を受けたものだということについ
て、どう思いましたか︖
ケーキの例えについてどう思いま
したか︖(難しそう︖)

More Related Content

More from Satoshi Harada

【第6回】アジャイル・スクラム勉強会
【第6回】アジャイル・スクラム勉強会【第6回】アジャイル・スクラム勉強会
【第6回】アジャイル・スクラム勉強会Satoshi Harada
 
【第5回】アジャイル・スクラム勉強会
【第5回】アジャイル・スクラム勉強会 【第5回】アジャイル・スクラム勉強会
【第5回】アジャイル・スクラム勉強会 Satoshi Harada
 
【第4回】アジャイル・スクラム勉強会
【第4回】アジャイル・スクラム勉強会【第4回】アジャイル・スクラム勉強会
【第4回】アジャイル・スクラム勉強会Satoshi Harada
 
【第3回】アジャイル・スクラム勉強会
【第3回】アジャイル・スクラム勉強会【第3回】アジャイル・スクラム勉強会
【第3回】アジャイル・スクラム勉強会Satoshi Harada
 
【第1回】アジャイル・スクラム勉強会
【第1回】アジャイル・スクラム勉強会【第1回】アジャイル・スクラム勉強会
【第1回】アジャイル・スクラム勉強会Satoshi Harada
 
WIP制限・体験ワークショップ
WIP制限・体験ワークショップWIP制限・体験ワークショップ
WIP制限・体験ワークショップSatoshi Harada
 

More from Satoshi Harada (6)

【第6回】アジャイル・スクラム勉強会
【第6回】アジャイル・スクラム勉強会【第6回】アジャイル・スクラム勉強会
【第6回】アジャイル・スクラム勉強会
 
【第5回】アジャイル・スクラム勉強会
【第5回】アジャイル・スクラム勉強会 【第5回】アジャイル・スクラム勉強会
【第5回】アジャイル・スクラム勉強会
 
【第4回】アジャイル・スクラム勉強会
【第4回】アジャイル・スクラム勉強会【第4回】アジャイル・スクラム勉強会
【第4回】アジャイル・スクラム勉強会
 
【第3回】アジャイル・スクラム勉強会
【第3回】アジャイル・スクラム勉強会【第3回】アジャイル・スクラム勉強会
【第3回】アジャイル・スクラム勉強会
 
【第1回】アジャイル・スクラム勉強会
【第1回】アジャイル・スクラム勉強会【第1回】アジャイル・スクラム勉強会
【第1回】アジャイル・スクラム勉強会
 
WIP制限・体験ワークショップ
WIP制限・体験ワークショップWIP制限・体験ワークショップ
WIP制限・体験ワークショップ
 

【第2回】アジャイル・スクラム勉強会