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MPI京都総会フォーラム「農業政策～国のお荷物から成長産業へ～」平山留美青木健治澤田有彩美岩尾拓馬

Ⅱ．政策理念　農業の意義（食糧安全保障） © 2006 MPI All Rights Reserved. 6 食糧安全保障に関して、以下のことを想定。 ①最低限の食＝カロリーベースで現状の穀物需要量をまかなう ②有事・輸出停止リスクは低く、将来的な価格高騰リスクはありうる。米以外の国産穀物は、多額の補助金なしでは採算が取れない。そのため、自給しようとすると財政負担増大をまねく。外交的手段による供給確保が望ましいと考え、今回は特に扱わない。将来的な価格高騰を見込んで、消費者利益を守るための外交対策 ①供給国を増やし供給者間の競争を復活させ、価格高騰を抑制する。もしくは ②一部の供給国と関係性を強化し、日本への優先的な供給を図る

Ⅱ．政策理念　食糧安全保障縄文時代後期からの稲作の歴史は、日本の伝統文化にも影響。日本人の精神性を形成してきた伝統的な価値を持つ。独自の文化を守り、次世代に継承する必要性。その一つである食文化において、米は欠かせない役割を果たす。また、水田は美しい景観を価値として提供する。米は日本人にとって歴史的・文化的に特別な価値を持つ。

Ⅱ．政策理念　食糧安全保障 © 2006 MPI All Rights Reserved. 9 現状でのリスク他国と日本人のニーズに合ったコメの安定供給を締結した場合のリスク不作の場合、自国の需要を優先させるため、日本での絶対量確保が困難となる。またジャポニカ米を生産できる地域は韓国・台湾・中国の一部に限られるため、リスク分散は難しい。価格変動リスクが高い。輸入に頼らず、日本で自給することが望ましい。出典：Jakson Son & Co.(London) Ltd．

Ⅲ．現状分析　農業従事者数、生産面積、生産額の減少出所：農林水産省「農林業センサス」「農業所得統計」「耕地及び作付面積統計」農業従事者・生産面積・農業生産額すべて減少の一途をたどり、日本の農業は規模的に縮小している。

Ⅲ．現状分析　農家の経営体質 © 2006 MPI All Rights Reserved. 13 農家の所得は相対的に低く、農業だけで生計を立てるのは難しく、主業農家が占める割合は小さい。販売農家数 175万戸 100% 注釈：主業農家　　　　農業収入＞農外収入かつ65歳未満の農業従事60日以上の者がいる農家準主業農家　　農業収入＜農外収入かつ65歳未満の農業従事60日以上の者がいる農家副業的農家　　65歳未満の農業従事60日以上の者がいない農家出所：農林水産省、厚生労働省

Ⅲ．現状分析　米（生産調整制度の概要と必要性）生産調整とは、米価維持で生産者を保護するための政策。 ○生産調整の流れ ○生産調整が必要な理由市場原理が働きにくい。 ①個別農家が需要を予測しにくい ②供給量の調節が困難　　・１年に１回しか作付されない　　・経済的に赤字でも生産者が撤退しない価格維持・生産者保護のため行政の介入が必要。

Ⅲ．現状分析　米（生産調整の失敗による米価下落とその要因）近年の平均米価格の推移(60kgあたり、単位円) ①拘束力がないため、生産調整の未達成率が高い、 ②生産調整参加者以外の余剰生産のため、供給調整がうまくいかず、米価下落出典：農林水産省ＨＰ

Ⅲ．現状分析　米（非効率な構造の維持）稲作単一経営における面積別損益分岐点比率（H17) ※損益分岐点比率＝損益分岐点売上高/実際の売上高×１００生産調整の参加農家は収益を上げられない小規模農家が大多数。大規模・小規模農家に一律に生産調整させるなど、非効率的な状態. 出典：農林水産省ＨＰ

Ⅲ．現状分析　課題②技術・人材　　　　　　ビジネスとして農業に参入しても、多くは赤字となってしまうのが現状。　　参入後の課題として、近年一番悪化傾向にあるのは技術・人材である。 © 2006 MPI All Rights Reserved. 農業開始にあたり苦労したこと（複数回答）外的要因技術・人材資金・2000年から2004年にかけて、悪化傾向にあるのは　技術・人材、資金である。・資金調達が困難な原因の一つとして技術・人材の問題が　あげられる。出所：農林水産省「新規就農者就業状態調査」、社団法人　農業法人協会，株式会社クロスエイジへの聞き取り

Ⅲ．現状分析　課題②技術・人材 © 2006 MPI All Rights Reserved. 25 現状現在農業を学べる機関農業高等学校地域独自の就農支援制度農業大学校就農準備校農業総合研究所農業インターンシップ普及推進事業農業に必要とされる実践的な技術を学べる機会は少ない。実践的に学べても、多額の費用を要し、支援を受けている人は少ない。農業と経営に必要とされる実践的な技術の習得を、費用を抑えて、多くの人が学べるような機関がない。株式会社クロスエイジ，マイファームへの聞き取り

Ⅳ．政策案①　政策目的と目標

Ⅳ．政策案①　供給調整制度米の生産調整において、以下の条件のいずれかを満たす農業者を認定生産者とし、特別枠として生産数量を優先的に配分する。認定条件　①3ha以上の農地で経営する農業従事者（集落営農は15ha) 　②10年以内に農地規模を3ha以上に拡大する計画を持つ農業従事者また、生産調整に参加していない農業従事者には、米価格形成センターにおける平均価格の1.5倍以上の価格での米の販売を義務化。　③10aあたりの生産額が12万円以上の農業従事者目標生産それ以外（価格×1.5）残りを配分特別枠　（優先的に配分）徐々に拡大！

Ⅳ．政策案②　対制度的放棄：農地所有権移転時審査制度譲受人相続人効率的な農業農地所有者相続・譲渡合格審査不合格入札なし競売落札者による経営改善計画策定落札耕作放棄地の増加抑制土地利用効率の改善

Ⅳ．政策案③　技術・人材育成行政機関を頂点とするコミュニティの中で、農業に必要な技術を実践的に学び、かつそれを次世代に継承させることでより多くの人が技術を享受できる、「恩返し型人材育成制度」　　　　　　　　農業・経営技術をもつ新規就農者を育成・輩出する © 2006 MPI All Rights Reserved. 36 手順　　①各市町村にある農業委員会のもとで、1代目が2年間実践的な研修を積む　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（このときに、次世代の育成義務を契約）　　　　　　　　　　　②研修後、農業委員会の監視の下、次世代の育成に実践的に2年間協力する　　　　　　　　　　　　　（このときに、教育を受ける側は次世代の育成義務を契約）　　　　　　　　　　　　　③教育の受け手は指導者として、次の2年間、次世代の育成に実践的に協力する　　　　　　　　　　　　　（このときも、受ける側は次世代の育成義務を契約）以下②と③の繰り返し

Ⅳ．政策案③　技術・人材育成政策　概念図 © 2006 MPI All Rights Reserved. 農業委員会全て農業委員会の管理下に次世代の育成を契約実践的な農業・経営技術、土地・施設・機械は負担 2年間 2年間 2年間 A A A 労働力労働力実践的な農業・経営技術、土地・施設・機械は準備次世代の育成を契約 2年間 2年間 2年間 2年間 B B B C 契約労働力労働力　　　　　　実践的な農業・経営技術、土地・施設・機械は準備 2年間 2年間 2年間 C C C 自由な情報交換自由な情報交換

資料②目標数値の算出式 10年間でおよそ211,936haが非効率な利用を免れ、効率的な農業に振り向けられる。 © 2006 MPI All Rights Reserved. 40 転用利益への１００％課税の効果　＝耕作放棄地年間拡大面積　　　×10年　　　×放棄されずに有効利用される割合　＝42,185ha 　　　×10 　　　×30% 　＝126,556ha 農地所有権移転時審査制度の効果　＝後継者のいない農地面積　　　×７５歳以上の農業従事者率　　　×落札される農地の割合　＝1,953,307ha 　　　×14.57％　　　×30％　＝85,380ha すべてコメの生産に回すとすると、総消費量の17%にあたる148万tの生産が可能

GDテーマ１．日本は国内でどれだけのコメを生産するべきだと思いますか？　　回答例）平時の需要だけでなく、輸入がストップした際の需要もまかなえるだけ生産するべき１－１．コメを生産する場合、それはどのような体制で実現するべきだと思いますか？　　　　　規模、収益構造など様々な側面から検討してください。１－２．積極的にコメを生産するわけではない場合、　　　　　日本はどのようにコメを調達するべきだと思いますか？ © 2006 MPI All Rights Reserved.

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