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Editor's Notes
- CLC3は9月5日から24日まで、カンボジアのRuseydom村で行なわれたワークキャンプである。主なワークの内容は、「英語教育」であった。
- Ruseydom村はカンボジア王国のカンポット州にあり、首都・プノンペンからバスで2~3時間ほどのところにある、300世帯ほどが暮らすのどかな村であり、現地団体の代表の故郷でもある。現在は雨季で、ワークキャンプ中もだいたい一日一回はスコールが降った。また、雨期の今は一面に田んぼが広がり、その景色はとても美しい。夜には星や月も非常に美しく、天気がいいと満点の星空と天の川をみることができる。村に住む人々の多くは農民であるが、中には首都のプノンペンやアンコールワットのあるシェムリアップに出稼ぎに出る人もいる。また、子どもたちが家事や農業も手伝う姿もよく見られる。村には小学校・中学校があり、近くに高校をもある。学校は無料(制服などは有料)であり、多くの子どもたちは学校に通っているが、中には家の手伝いをしなければならず、通うことができてない子どももいる(義務教育とされていない高校に通っているのは7割程度)。また、村には電気は通っているが、水道(地下水をくみ上げるシステム)はない家庭もあり、そういった家庭は近くの池の水を生活用水として使用している。ガスは通っていない。
- CYAによって運営されている村の英語塾であり、今回のワークキャンプではこのCYA Learning Center(通称CLC)で子どもたちに英語教えるワークをしていた。最近たてものがあたらしくなったばかり。CLCには、4~17.18歳の120名ほどの生徒が通い(夏休みの今は、出かける生徒や家事を手伝う生徒がいるため、80~90名ほど)、クラスは5段階のレベル別に時間が別れている(13:30~ kindergarten, 14:00~ kids, 15:00~ Bigger kids, 17:00~ teens, 18:00~ Bigger teens)。生徒が多い時間帯はA.B.Cの教室に別れて、授業が行なわれる。クラス分けの仕方は、入塾時のテストと全生徒に対して行なわれる年1回のテストによってレベル別に分けられている。一番下のクラス(kindergarten)では中には、「what is your name?」が理解できない生徒もいるが、一番上のクラス(bigger teens)では授業中に英語での冗談が飛び交ったり、英語ですらすらと会話ができたりする生徒が多く、クラスによって大きく英語のレベルは異なる。また、教師は基本的に現地スタッフのPechとボランティアによってまかなわれている。
※現地の学校では、小学校では英語の授業はなく、英語を学ぶのは中学校からである。
- Ruseydom村(カンボジア)の課題についてだが、1つは貧富の差である。経済成長に伴い、貧富の差が拡大しているのが現状である。Ruseydom村においては、大富豪のようなとても裕福な暮らしをする家庭はないものの、村の一ヶ月の平均収入が150~200ドルのところ、中には30~40ドルほどしか収入がない家庭もあり、その差は大きい(CLCマネージャーPech談)。また家庭の問題で、学校をドロップアウトしてしまう子ども達もいる。カンボジアの学校は基本的には無料であるが、制服代やノート、テキスト代などは払う必要があるため、そのお金を払うのが難しかったり、家の手伝いをする必要があったりして、ドロップアウトする生徒がいる。また、カンボジアは1975~起こった内戦により、多くの知識人は殺害され、学校は破壊、教材は焼却された歴史があり、そのことにより教育の基盤が崩壊してしまった。年々状況は良くなっているものの、まだまだ課題があるというのが現状である。
また、CLC の課題であるが、1つはカリキュラムがない点である。カリキュラムが存在しないため、何を教わっていて何を教わっていないのかが曖昧であり、教わる内容が重複してしまっている可能性が高い。またもう一つの課題は、教師不足である。ボランティアがいないときには現地マネージャーのPechが一人ですべての授業を行なっており、時間によっては2~3クラスを同時に授業している(一クラスに板書の指示を出している間に、もう一つのクラスに説明しにいく、という具合。)。
- 今回のワークキャンプの共催団体Cambodian Youth Action(通称CYA)は2010年設立のボランティアNGOである。CLC 以外にも様々な場所で活動している。日本からだけでなく、他国(韓国や香港、ヨーロッパなど)からもボランティアを受け入れており、CLCにも様々な国のボランティアたちが訪れている。
- 今回のワークキャンプには、合計26名の参加者がいた。詳細は上の通りである。今回のワークキャンプのメインワークである授業に関しては短期ワークキャンプ参加者のみで行なったため、中長期ボランティアの三人と現地マネージャーは全てのワークを一緒に行なったわけではなかったものの、ミーティングや食事、一部のワークなどともに行ない、距離も非常に縮まったため、ワークキャンプ参加者としてカウントしている。また今回は9/5~9/9、9/15~9/19の五日間参加、9/5~9/14、9/15~9/24の十日間参加、9/5~9/24のフル参加と様々な期間があった。五日間参加者は両期間併せて11名、十日間参加者は2名、フル参加者は9名と比較的メンバーの出入りが激しかった。またそのため、26名全員が顔を合わせているわけではない。
また、主なワーク内容は上記の通り3つあった。次のスライドで1つずつ説明していく。
- 英語教育は今回のメインのワークである。3~5名のグループに分け、1グループ一日3~4クラスを担当した。毎日午前中にその日の授業準備を行い、午後に授業をするというスケジュールだった。夜にはミーティングを行ない、その日の授業の良かった点や改善点をシェアした。参加者は最初は授業の準備の仕方や進め方に戸惑う様子もあったが、日に日に参加者自身も授業することに慣れ、笑顔が多くみられるようになっていった。またそれだけでなく、非常にみんな授業に熱心で、改善点を見つけては直していったため、授業自体も日に日に良くなり、みんなの顔つきも“先生”になっていったように思う。子どもたちも授業を楽しんでおり、日が進むにつれ「Teacher ○○!」と参加者のことを呼ぶ声も増えていき、中にはプレゼントをくれる生徒までいた。また、最後の授業日には、日本に関する授業を行なった。日本語を教えたり、日本のおもちゃでみんなで遊んだりする授業で、子どもたちも興味津々だった。
- 今回のワークキャンプではいくつかのフィジカルワークも行なった。左側の画像は、CLCの看板を立てた際の写真である。看板自体(イラストなど)は他国のボランティアのよってすでにつくられており、私たちはその看板を立てるため、①看板が見えるように周辺の雑草の手入れ、②看板の足を入れるための穴掘り、③看板に脚をつける、④看板を立て固定する、作業を行なった。休憩込みで4時間ほどかかった上、炎天下での作業だったため、なかなか体力のいる作業ではあったものの、看板が立ったときの達成感は素晴らしいものだった。いつもバスからCLCの位置がよく分からず困っていたが、この看板により少しでも解消されたら嬉しい。 右の写真は現地の方の畑を耕すのを手伝わせていただいた際の写真である。こちらも草が生い茂る状態から、写真の様な状態にしたため、なかなか体力のいる作業ではあったが、助け合いながら無事こなすことができた。数日後のホームステイの際に一部の参加者がこの畑に種をまくのを手伝い、さらにその数日後には畑から芽が出た様子を見ることができ、みんな喜んでいた。
次にフリーデイの際に行なったアクティビティに関してである。(フリーデイに行なったため、ワークと言うよりアクティビティに近いが、事前に決められていた内容だったのでワークの項目に入れた。)今回のワークキャンプでは、現地の方の家庭に一泊二日でホームステイをする機会があり、5~6人の2チームに分かれ、現地の方と過ごした。現地の方の仕事や夕食の準備を手伝い、夜にはインタビューしたり、ゲームをして過ごした。帰宅後にはチームごとにプレゼンを行なった。メンバーにとってはもちろん現地の方にとっても貴重な時間だったのではないかと思う。
また最後のフリーデイには同じKampot州にあるもう一つのワークキャンプ地のTFCを訪れ、マングローブの植林や種を探すワークをした。ワークの合間にはメンバーみんなで海で遊び、楽しい時間を過ごすとともに、違うワークキャンプ地での活動を体験することができ、有意義な時間になったと思う。
- 今回のワークキャンプにはカンボジア人参加者やドイツ人の中長期ボランティアもいたため、非常に国際色豊かなワークキャンプとなった(今まで私が参加したここでのワークキャンプの中では今回のワークキャンプがダントツで外国人の割合が多かった。)。日本人が少ないときには5:5の比率だった。はじめは、メンバーみんな静かだったが、日が経つにつれ、国籍関係なく積極的にコミュニケーションを取り合うようになり、食事中やフリータイムはいつもにぎやかで笑いが頻繁に起きていた(動画は夜にメンバーで集まり、自然と合唱となったときの様子)。また、ミーティング中などはみんな非常にまじめであり、ワーク中も助け合う姿や、お互いの文化を理解し合おうとする姿が多く見られた。今回のワークキャンプを通して、ただの「友達」ではなく、国籍を超えたかけがえのない「仲間」になることができたと思う。 また、それと同時に異文化理解の機会もあり、メンバーの視野がはじめに比べ広がっていったように思う。中には、英語が非常に苦手であり、初日のミーティングでは3文話すのが限界だった男性が、最終日のミーティングでは4分も話すことができるようになるケースもあり、彼自身もはじめよりもずっと想いを伝えることができるようになったと話してくれた。英語が苦手でも、誰よりも一生懸命話を聞き伝えようとする彼の努力や、周囲のメンバーも同じように彼の英語を理解しようとする姿勢が相乗効果となってこういった成果を生み出したと思う。
また、メンバーは空き時間にも積極的に子どもや現地の人と関わり、その中で自分自身の考えが変わるメンバーが多くいた。中にはこのワークキャンプを通して、自分自身が将来のビジョンが変わったメンバーもいた。
- 一つ目は、今後も引き続き海外からのボランティアを受け入れることである。英語を教えることだけが目的ならば、英語が得意なカンボジア人や英語が母国語の外国人のみをボランティアとして受け入れればすむ話だが、そうではなく様々な国からのボランティアを受け入れる理由の1つに「子ども達の世界を広げる」というものがある。Ruseydom村の子ども達は非常に素直でかわいいが、知らないことも多く彼らの世界はまだまだ狭いというのが現状である。海外からボランティアを受け入れ、子ども達が様々な国の人々と関わる中で、新しいことを知ったり、他国に興味を持ったり、と少しでも彼らの世界が広がること、彼らの可能性を広げることを期待している。
二つ目は定期テストの導入である。これまでは入塾時に行なわれるテストと年に一度レベル分けのために行なわれるテストのみだったが、今年から期末テストや中間テストなど定期テストを導入する予定である。テストを定期的に取り入れることで、子ども達が学習した内容を再確認することや子ども達の学習意欲がより高まることを期待している。
- 現在はCLCには英語のクラスしかないが、ゆくゆくは英語のみならずコンピューターなど専門的な知識を学べる場所にすることを目標にしている。子ども達の可能性をより広げるためにも、CLCでの学習が多岐にわたることはとてもいいことだと私自身も考えている。
またCLC のみならずRuseydom村全体を他国の人から見ても素敵な場所にすることが目標である。今でも自然が広がり、笑顔で溢れる素敵な場所であるが、先のスライドでも記載されているように多くの課題があるのもまた事実である。身近な問題で言えば、「ポイ捨て」などである。村全体がゴミで溢れているわけではないものの、少し見渡せばお菓子のゴミやペットボトルなどが散らかっており、子どもがポイ捨てする姿も見られる。Ruseydom村をもっともっと素敵な場所になることを期待している。
最後にCLCを独立した組織にすることである(現地マネージャーPech談)。現在は完全にCYAによって運営されているが、CLCを独立させ、時にはCYAの力を借りながらも自立して運営できるようにすることが目標である。
- たくさんの自然とたくさんの子どもたちの笑顔で溢れる場所。個人的にも大好きな場所である。そして今回はここに素敵なワークキャンプメンバーが集まった。たった3週間の活動ではあったが、今回の発表を通して、ワークキャンプの活動やこのRuseydom村に少しでも興味を持ってくれたら、大変嬉しく思う。