ゼミ発表資料

1. 軍部
政府の改革派と穏健派が主流になって、平和的な民主化が可能
になっても、軍が介入してきたとしたら、民主化不可能になっ
てしまう。
そのために、軍が体制から離脱ないし、中立的な態度に移行で
きるかどうか
→政軍関係論を利用

2. 軍部
政軍関係論
「制度としての軍部」：軍事的機能を持ち、
日々の軍事訓練に従事する兵員や軍の教育
機関及び官僚機構を管理する軍人達からな
る軍事組織
「政府としての軍部」：政治的機能を持ち、
政府を指揮する一部の高級将校を指す

3. 軍部
政軍関係論〜ハンティントン〜
1. 軍の内部に専門的職業集団としての利害や役割への認
識が存在する軍事専門職業主義が前提
軍事専門職業とは・・・
軍事力の編成、軍事活動の計画、戦闘において
その作戦を指揮すること
2. 専門職業化の水準が高まるにつれて、「政府としての軍
部」と「制度としての軍部」の機能分化が進む
3. 軍隊の専門技能や行動範囲は軍事関連領域に限定され
るため、必然的に軍部は政治から離れる

4. 軍部
政軍関係論〜ハンティントン〜
「客観的文民統制」：軍の専門職業主義を極大化し、
非軍事分野への介入を自制する軍を国家の道具として統制
発展途上諸国のような高度な政治思考を持つ軍部では適さな
い
「主観的文民統制」：文民の力を軍部との比較において極大
化
することで、軍の政治介入を阻止しようとする
統治エリート内
体制維持派優位 → 体制離脱を抑止

5. 軍部
政軍関係論〜武田康裕 〜
「主観的文民統制」の形態
1「垂直型」:「政府としての軍部」と「制度として
の軍部」を階層組織の上下に配置した形
2「水平型」:独立した指揮命令系統を持つ「政府と
しての軍部」と「制度としての軍部」が階層構造を
分断した形
3「融合型」:政治と軍事が高度に一体化した形

6. 軍部
政軍関係論〜武田康裕 〜
政府
制度
垂直型
政府 制度
水平型
制度・制度
融合型
出典：武田康裕『民主化の比較政治』p90 図３−２
１ ２ ３

7. 軍部
従来、軍は人民戦争観・自力更生精神の下に経済活動が認
められていた
しかし、湾岸戦争や台湾海峡危機を受け「ハイテク戦争」
に対応できるようになることが求められた
→・1998年軍の経済活動の禁止
・兵役法の改正:専門技能を持った人材の公募
・ハイテク分野の人材育成の為に軍の教育機関の再編
人民解放軍の専門職業主義化

8. 軍部
「絶対的指導」:党による軍のコントロール
1 政治委員制度:思想教育、人材育成、規律
検査といった軍内政治工作を担当。
連隊以上に設置。
大隊に政治教導員、中隊に政治指導員が配置。
補佐機関として旅団規模政治部、
連隊には政治処が配置
人民解放軍の形態

9. 軍部
「絶対的指導」:党による軍のコントロール
2 軍内党委員会:意思決定機関
党の方針の伝達、思想教育、規律検査、軍人の評価、
部隊作戦方針、経営方針を担当。
連隊以上に設置。大隊に基層党委員会、中隊に党支部
が設置。
→軍の末端組織まで党のコントロールがいきわたる形
人民解放軍の形態
一方で天安門事件では鎮圧出動命令を拒否した例がある。
士官110名、兵士1400名に及ぶ。

10. 軍部
軍部における結論
人民解放軍はハイテク戦争に対応できるように国防に専念す
る事が求められている(専門職業主義化)
しかし、それはあくまで近代化された党の軍隊としてであり、
水平型の主観的文民統制の下に党軍としての性質は維持され
国軍化は求められていない。よってこのシステム下では人民
解放軍は党の軍隊として存在するので体制離脱は抑止される。
一方、天安門事件では一部の将兵が命令不服従を起こし党の
コントロールに背いた例がある。

11. 参考文献
S・P・ハンチントン『軍人と国家』（上・下）原書房
武田康裕『民主化の比較政治』ミネルヴァ書房
天児慧『現代中国の構造変動4 政治-中央と地方の構図』東京大学出版会2000年4
月21日
『中国安全保障レポート2012』 防衛省防衛研究所
http://www.nids.go.jp/publication/chinareport/pdf/china_report_JP_web_2012_A01.
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