-北海道でテーマを持ったエコツアーを実践している取り組みを事例に-

1. 野外調査法実習 最終報告
2015年7月27日
地域システム科学講座３年
01132121 山田恵美子
地域と協働でエコツアーを続けることの条件と課題
ーテーマを持つ取り組みを事例にー

2. 研究の背景と目的
エコツーリズム
・環境に配慮しながら楽しむ観光
・地域づくりの手法
・地域が主体
国連環境計画・世界観光機関
持続可能性
→マスツーリズムとエコツーリズムの対称軸
（満田：2005）
→注目されている
（敷田：2008）
・地域と協働でエコツアーを続けることの条件は？
・テーマ性を追うことの課題は？

3. 調査方法
・北海道・他地域でのエコツーリズムの取り組み
・観光を利用したまちづくりの取り組み
文献調査
・ゆっくりずむ北海道 宮川幸史さん
5月29日、7月15日
・NPO法人ねおす 大雪山自然学校 荒井一洋さん
6月11日（参与観察）、7月14日
聞き取り調査

4. 調査対象団体①
ゆっくりずむ北海道 札幌市
・札幌近郊→トレッキングやスノーシュー、ワカサギ釣り
・道内各地（テーマ性の強いもの）
えりも：砂漠から緑を取り戻すまでの歴史を学ぶ
真狩～ニセコ～岩内：水、作物、海との関わりを学ぶ
エコツアー
・エコツアーの企画運営
・飲食店の経営→バルコ札幌
・イベント企画→生産者トーク、研究者と連携して講演
事業内容

5. 調査対象団体①
ゆっくりずむ北海道 バルコ札幌
従
来
ま
で
の
飲
食
店
バ
ル
コ
札
幌
生産者 客飲食店
客飲食店生産者

6. 調査対象団体①
伐採による砂漠化
緑化に向けた取り組み
質の良い牧草
おいしい短角牛に
強風
エコツアー：えりも エコツアー：真狩～岩内
強風
湧き水を汲む
真狩
水と作物の関わり
ニセコ：生産者
海と山の関わり
岩内：海洋深層水工場

7. 調査対象団体②
NPO法人ねおす 大雪山自然学校
・「利用者による公園管理」
→行政・企業と協働で公園管理
・エコツアーの企画運営
・子ども向け自然体験活動
事業内容
以前まで：
北海道の四季を楽しむツアー
地域の暮らしを見に行くツアー
現在：
５～６人を対象とした受注型ツアー
エコツアー
着地型観光が
主流に

8. 調査対象団体②
スキー場のコース整備（ニセウの森づくり運営委員会）

9. 調査対象団体②
スキー場のコース整備
（ニセウの森づくり運営委員会）
スキー人口の減少
維持管理は困難に
住民：「なくなると困る」
利用者による管理
今できること
→利用者による木の手入れ
他の地域でも
実践できるようなモデル
（荒井一洋さん聞き取りより）

10. 考察
・地域内外で異なる価格設定
→同じ内容でも地域外からは高めの価格
・従来までのツアー旅行との違い
→地域にとって負担になるサービスはできない
・「エコツアー」という名前のわかりにくさ
→バルコさっぽろ：別の視点からのアプローチ
条件１：参加者の理解

11. 参加者 地域
エコツアー
サポート サポート
参加者と地域を理解し、調整する
コーディネーター
条件２：コーディネーターの存在
考察

12. 地域づくりが目的
ボランティアで運営
シャドーワーク
持続性に限界
ゆっくりずむ北海道
→生産者に参加費の一部を払う
大雪山自然学校
→木を切る代わりに
リフト券や温泉券の提供
考察
条件３：地域側の少ない負担

13. 「地の利を活かした、環境を活かした生活文化のうえで
できたお祭りだったり、お米だったりする。」
荒井一洋さん
「そこに行かないと、会えないモノがあったり、会えない
人がいることを１番伝えたい」
宮川幸史さん
表現しきれていない
・地域の誇りやモチベーションにつながらない
・参加者の満足度
考察
条件４：地域の価値を伝える

14. 今後の課題
参加者に伝える
・地域の価値
・環境と生活のつながり
地域が認識する
・地域資源の価値
・土地の将来
地域を軸とした
テーマ性のあるツアー
複数の地域を
組み合わせる必要
日数が必要
持続可能性
に貢献
マーケットと
不一致

15. 今後の課題
複数の地域を
組み合わせる必要
日数が必要
地域を軸とした
テーマ性のあるツアー
会員制の導入
→ターゲットとして効果的？
コーディネーターの育成
→複数地域の情報を
参加者に提供

16. 【文献】
市田飛鳥ら 2005エコツーリズムにおける地域環境保全の役割―沖縄県・石垣島におけるWWFしらほサンゴ村体験ツアーを事例として― 大妻女子大
学紀要.社会情報系,社会情報学研究 14 141-155
伊藤太一 1997 エコツーリズムのジレンマ 森林科学：日本林学会会報 21 16-22
奥田夏樹 2007日本におけるエコツーリズムの現状と問題点: 西表島におけるフィールド調査から 地域研究 3 83-116
小田切徳美 2013 農山村再生の戦略と政策―総括と展望― 『農山村再生に挑む―理論から実践まで―』 岩波書店 225-250
環境省 2007 エコツーリズム推進法
菊地直樹 1999 エコ・ツーリズムの分析視角に向けて：エコ・ツーリズムにおける「地域住民」と「自然」の検討を通して 環境社会学研究 5 136-151
小林英俊 2006 自然遺産管理とツーリズムが共存する仕組み 61 167-197
敷田麻実 2005 よそ者と協働する地域づくりの可能性に関する研究 江渟の久爾 50 74-85
敷田麻実 2008 自律的観光から持続可能な地域を目指して：エコツーリズムという試み 大交流時代における観光創造70 75-96
敷田麻実編著 2008 『地域からのエコツーリズム―観光・交流による持続可能な地域づくり』 学芸出版社
敷田麻実・森重昌之編著 2011 『地域資源を守っていかすエコツーリズム―人と自然の共生システム―』 講談社
柴崎茂光ら 2005 エコツーリズムの定義に関する再検討：エコツーリズムは地域にとって持続可能な観光か？ 林業經濟 57(10) 2-21
内閣府政府広報室 2014 「環境問題に関する世論調査」の概要
中村憲司ら 2008 「労働」と観光が融合したボランティアツーリズムに関する研究 日本観光研究学会全国大会学術論文集 23 425-428
満田久義 2005 エコツーリズム論―持続可能な発展戦略として― 『環境社会学への招待：グローバルな展開』 朝日新聞社書籍編集部 142-175
森重昌之 2009 着地型観光による地域づくりに必要な地域の条件 北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院院生論集 5 103-111
安村克己 2011 社会現象としての観光の構造と変遷安村克己・堀野正人・遠藤英樹・寺岡伸悟編著『よくわかる観光社会学』 ミネルヴァ書房 16-27
安村克己・敷田麻美・須永和博 2011 新しい観光のかたち 安村克己・堀野正人・遠藤英樹・寺岡伸悟編著『よくわかる観光社会学』ミネルヴァ書房
30-35
依田真美 2009 ボランティア・ツーリズムにかんする国内外の研究動向と日本社会における可能性 日本観光研究学会全国大会研究発表論文集 24
329-332
米津達哉ら 2010 神奈川県西丹沢地域におけるエコツーリズム事業にみるエコツアー実施団体とエコツアーガイドに関する一考察 地球環境研究 12
161-171
参考文献

17. 【ウェブサイト】
日本エコツーリズム協会. 日本エコツーリズム協会.
http://www.ecotourism.gr.jp/, (参照 2015-05-24).
NPO法人ねおす. NPO法人ねおす.
http://www.neos.gr.jp/index.html, (最終参照 2015-07-25).
株式会社北海道テロワール. BARCOM SAPPORO.
http://barcom.jp/, (参照 2015-07-25).
ゆっくりずむ北海道. ゆっくりずむ北海道.
http://yukkureism.com/index.html, (参照 2015-07-25).
【資料】
NPO法人ねおす 『NPO法人ねおす総合案内』
NPO法人ねおす 『ねおすの子ども向け自然体験活動 歴史と
理念と活動と ねおす・theベスト that’s DSR』
参考文献