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[河原潤のITストリーム]
なし崩し的なBYODではなく、戦略的なBYODを考える:第40回
2012年4⽉25⽇(⽔) 河原 潤(ITジャーナリスト/IT Leaders編集委員)
「BYOD(Bring Your Own Devices:私有デバイスの業務利⽤)」への関⼼が⾼まっている中で、企業としてはどのような姿勢が必要となるのでしょうか。1つの
参考になるのが、欧⽶企業で広がりつつある「セルフサービスIT」という考え⽅です。
 社員が私物のノートPCやスマートフォン、タブレットを勤務先に持ち込んで業務で使うことを意味する「BYOD(Bring Your
Own Devices:私有デバイスの業務利⽤)」。個⼈的にはちょっと発⾳しづらいこの4⽂字略語を最近よく⽿目にします。スマー
トデバイスが⼀⼤ブームとなり、それに伴ってモバイルネットワーク接続サービスがより快適になったことで、⾃⾝が⼀番使いや
すいデバイスを、いつでも、どこでも公私の区別なく活⽤したいと考えるユーザーが増えるのは⾃然な流れだと思います。
 スマートデバイスが台頭する以前から、ブログやWiki、RSSに代表されるWeb 2.0系技術や、TwitterやFacebookをはじめとす
るSNS、GmailやDropboxなどのクラウドサービスのような消費者/個⼈ユーザーの間で広く浸透した技術/サービスを業務でも
活⽤する「ITコンシューマーライゼーション」が企業ITの⼀⼤トレンドになっているのはご存じのとおりです。BYODは、このIT
コンシューマーライゼーションが進む過程でユーザー側から当然に出てくるニーズであり、どの企業も遅かれ早かれ⾃社での正式
な⽅針とルールを打ち出しておく必要が⽣じています。
 ⾃⾝が⽇々の業務でどんなデバイスを使うかという話なので、BYOD導⼊のメリットと課題は、双⽅とも割とたやすく思い浮かべ
ることができます。メリットとしては、社員がそれぞれの職種やワークスタイルに合ったデバイスを使えることによる業務効率の
向上やワーク/ライフバランスの実現、モバイルデバイスならではの“いつでも、どこでもIT”が導く社員間の緊密なコミュニケー
ション、それから緊急時の事業継続性確保にも活⽤できそうです。⼀⽅、課題としては、業務デバイスとして求められるセキュリ
ティをいかに確保するのかをはじめ、デバイス/アプリケーション/ネットワークの選定と利⽤にどこまで裁量を与えるのか、そ
れらにかかるコストの公私区分をどうするのかといったことをクリアにしていかなくてはならないでしょう。
私物のスマートフォンやタブレットを業務で使うBYODが、IT管理者の新
たな悩みになっている
【次ページ】“なし崩し的BYOD”だと、IT部門の負担になるばかり
1 2
ITコンシューマーライゼーションの⼀環で機運が⾼まる
次へ 
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[河原潤のITストリーム]
なし崩し的なBYODではなく、戦略的なBYODを考える:第40回
2012年4⽉25⽇(⽔) 河原 潤(ITジャーナリスト/IT Leaders編集委員)
「BYOD(Bring Your Own Devices:私有デバイスの業務利⽤)」への関⼼が⾼まっている中で、企業としてはどのような姿勢が必要となるのでしょうか。1つの
参考になるのが、欧⽶企業で広がりつつある「セルフサービスIT」という考え⽅です。
 実態として、社としての明確な⽅針・ルールが特にないまま、すでに社員の間でなし崩し的にBYODが始まっている企業は相当数
に上るかもしれません。そもそもIT資産やセキュリティに対する認識が⽢いか、認識はしていても⼿が回らないかという事情から
そうなってしまったわけで、上述のBYODのメリットや課題をきちんと検討したうえでの運⽤はおそらくなされていないでしょう。
そんな“なし崩し的BYOD”だとすると、⾃社ITの運⽤管理全般を担うIT部門にとって新たなセキュリティ・リスクやコスト増⼤要因
になるばかりですので、いったんすべてのBYODをストップして⼀から仕切り直すべきです。
 IT部門としては、なし崩し的BYODを容認して、得られるメリットも不明確なままに⾃⾝の仕事や悩みの種を増やすのではなく、
クライアントPC管理の戦略・⽅針を最新版に書き換えるかたちでBYODを検討し、適切な導⼊ステップを踏む必要があります。
 そこで参考になりそうなのが、主に欧⽶企業の事例で⾒かける「セルフサービスIT」の考え⽅と、それに基づくBYODの実践で
す。セルフサービスITは、IT部門が業務⽤のPCを社員数分⼀括で購⼊しセットアップを⾏ったのち社員に配るのではなく、社員に
⼀定額のデバイス購⼊予算を与え、業務環境や業務内容に⾒合ったデバイスを⾃⾝で選び購⼊させるというスタイルです。社員は
デバイスの選定やその利⽤スタイルを⾃由にできる⼀⽅、セキュリティ対策も含めた運⽤管理作業もセルフサービスで⾏うわけで
す(⼤半のケースで、デバイスの紛失や情報漏洩などのセキュリティ事故を起こした場合にペナルティーが科せられるような条項
が設けられている)。
 かつての社⽤⾞通勤がマイカー通勤となったように、デバイスも社⽤ではなく、⾃⾝のワークスタイルにマッチしたマイデバイ
スを使って⽣産性の⾼い仕事をする――。セルフサービスITの発想はかなり欧⽶流と⾔え、また、そもそも社員のITリテラシーが
相応に⾼いことが前提になります。全社員に適⽤するというのは難しいと思いますが、なし崩し的ではない、戦略的BYODの1つの
スタイルとして検討に値するのではないでしょうか。
1 2
“なし崩し的BYOD”だと、IT部門の負担になるばかり
セルフサービスITの⼀環にBYODを組み込む
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