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コラボ産学官の活動が経産局全国9事例に掲載されました
- 1. 事例2
青森県の信用金庫が描く、“点から線”“線から面”の支援による地域振興
、
青森県の信用金庫は産学官連携活動を通して信用金庫の取引先の本業を支援。参加者が主体となる研
修会により事業者のやる気を引き出す支援モデルを構築。農水産資源と観光資源を掛け合わせた豊富
なアイデアで地域の活性化を促進。
産学連携は信用金庫同士の連携が契機
青森の自然や経済は津軽地域と南部地域に分けて語られることが多く、地域金融機関の連携は難し
いと考えられていた。ところが、世界経済の構造変化や国内の経済問題の影響を受けて、青森県内の
信用金庫(4 信金のうち東奥信用金庫を除く、八戸信用金庫、あおもり信用金庫、下北信用金庫の 3
信金が合併して「青い森信用金庫」が設立(2009 年 11 月)
)は、地域企業の課題を解決して地域産
業の振興を図らなければ地域金融機関は衰退してしまうという共通の危機感があった。
ただ、単一金庫では地域が限定されており、地域全体での産業力の底上げにはつながり難いとの認
識から、信用金庫同士が連携を取るとともに、大学等の外部の資源を有効活用する目的で、2005 年
10 月、青森県信用金庫協会が中心となり「コラボ産学官青森支部」を設立した。
お客様本位の研修会を実践
コラボ産学官青森支部の下に、信用金庫は地域の中小企業に対してビジネスプランの作成や評価な
どを中心に企業支援を行っていたが、企業から「すぐに役立つ、本当に役立つ支援をして欲しい」と
の要望が多く寄せられたため支援方針を転換し、業績を伸ばすための直接的な経営支援を始めた。
活動が軌道に乗ってきたのは、2008 年の「しんきん地域力連携拠点」事業が実施されてからであ
る。信用金庫の職員が様々な
課題を抱える中小企業に声を
かけて「経営力研修会」への
参加を募る。これは小規模事
業者や目立った実績を持たな
い企業を見出す意味でも重要
な発掘活動である。
研修会は、コンサルタント
等の講師が販路開拓や経営財
務分析、知的財産などを講義
した後に、参加企業が自社製
品を持参して課題を説明し、
参加者全員が主体的に課題の
解決を検討する仕組みだ。
青い森信用金庫営業統括部 左から、青森県信用金庫協会 福井氏、
付主任調査役の建部幸一氏は、 敬和マーケティング総研 横内氏、
青い森信用金庫 建部氏
1
- 3. 3段階目は、3つ以上企業が連携し、
新しい商品群を共同開発するプロジ
ェクトを支援する取り組み。「それぞ
れの企業の強みの連携による事業活
性の相乗効果(売上と利益)を狙った
もの」(敬和マーケティング総研代表
取締役 横内靖氏)だという。例えば、
ブランド力のある企業や製品を積極
的に PR し、より多くの顧客を地域に
取り込んだ上で、それらの顧客に対し
て、お土産、食、観光、癒しなど様々
な商品やサービスを提供し、地域全体
の振興を図ろうとする取り組みが考 左から、東北有機リサイクル 蛯沢氏、陶房 Toh-lu 今氏、
えられる。 蔦温泉旅館 小笠原氏、秋田屋仕出し店 秋田氏
信用金庫では 2011 年からこのよう
な面の支援を展開しようとしている。ただ、その一方で、「このような研修会が地域でも注目され、
参加企業は増え続けている状況であり、それに対応したコーディネート機能の提供が課題となってい
る」(建部氏)という。
連携パートナーの視点
研修会に参加し、新しい商品開発を成功させた、蔦温泉旅館代表取締役社長の小笠原正明氏は、
「紹
介されたコーディネーターの熱血指導により、県内企業が横断的につながり、新たな事業展開を進め
ることができている。100 年を超える老舗旅館の経営者としてアイデアは持っているが、そのカード
を開くお手伝いをしてもらっている。経営力向上研修会に継続参加して今後のビジネスに役立てた
い」と語る。
推進のキーポイント
連携力:青い森信用金庫のコーディネートによって、これまで接点のなかった県内地域の企業間連携
が構築されるようになった。これまでお互いに知らなかったことによる機会損失から、お互いを認め
合い協調することから生まれる創造力へと大転換が図られた。地域をまたいだ連携体の形成とプロジ
ェクト化によってビジネスが効果的に進められている。
補助事業の活用:地域力連携拠点事業、中小企業応援センター事業などの施策を有効に活用し地域の
支援機関との連携強化を図っている。大きな研究開発や設備投資を必要としない優れたアイデアの事
業化例が多いことも奏功している理由に挙げられる。
人材力:外部の専門家との密接な連携体制を持っていることが大きな強みとなっている。押しつけで
はなく経営者のモチベーションを高めるコンサルティングにより顧客満足度の高い企業支援が生み
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