重度身障者、特に脳性まひの筆者は、自然に親しむ機会は限られてしまう。そんな筆者が電動車椅子を用い、大好きな山に挑んだ体験談。あくまで個人的な体験です。

1. 山へ行こう
〜電動車椅子の危険な(*_*)使い方〜
２０１６年３月１２日
茂森勇 isamush01@gmail.com

2. はじめに写真など見て
うっとりして下さい

3. イギリス
素敵な森
にて

4. イギリス
素敵な森
にて

5. イギリス
素敵な森
にて

6. イギリス
素敵な森
にて
実は…
オフィスの裏山で
この方達、仕事の
合間のrefresh？！

7. アメリカ
Stanford

8. 日本

9. 日本

10. はじめに、注意事項
これから、お話する内容は、私のごく個人的な内容であり、真似し
てもいいけど、事故に対しては責任を負いかねます。その点、十
分ご注意下さい。
まあ、しかし、重度障害者でスキューバダイビングなどをやってい
る連中に聞くと、かなりヒヤッとする場面もあるので、似たようなも
のだと思います。

11. 自己紹介
● 名前：茂森 勇
● 年齢：１９６８年生まれ、４7歳
● 特長：小学校から普通校に通い、中学でワンダーフォーゲル
部、高校でトレッキング部、北岳、八ヶ岳登頂
（8,9割り、先生、母、友人たちに背負ってもらって）
● その他：1990年単身渡米、２０数年アメリカ、イギリスに住み、
学問に励み、働いていた。
● Facebook参加中
写真は、右上から、スカイダイビング、ヨセミテ、U.C.Berkeley 卒業式

12. さて、出発しましょう
・電動車いすとの出会い
1990年、22歳でカリフォルニア大学バークレー校、付属の英語学校に留学、渡米翌日、
大学から電動車椅子を借り受ける。
・悪路デビュー
山と言えば、当然、舗装されていない凸凹の悪路です。
英語学校のサマー・キャンプに参加、テント生活のワークショップに参加、宿泊地から、1
キロ弱の林道を電動車椅子で走る。爽やかで、気持ちよかった。
・キャンプや山に行く機会はあったけど、でも、そこから、14年間、封印状態。
・2004年、イギリスに転勤、山好きな同僚に出会い、オフィスの隣が原野で、電動車椅
子でフィールドに入る。それから、病みつきに！

13. アメリカ、日本では
・日本に一時帰国した際、友人の同行で高尾山５９９ｍ制覇
・アメリカ、シリコンバレーでは、やはり、ピックアップ・トラックを持っている友達に出会
い、度々、バレーを囲む丘というか山に連れて行ってもらう。週末・早朝ハイク！
・一番長いトレイルは標高差４００ｍ、
距離１４ｋｍ、
時間 2時間半
さすがにバッテリーが切れかけた。

14. どうやって、やるか？
１．下調べ：地図などで行きたいところ、走ってみたい道を調べる。
最近は、Googleのストリートビューなど、便利。
重要：1人では行かない。同行者・仲間を募る。
２．アプローチ：起点までの移動。同行者頼りのところも正直あるし、出発点までどうやっ
て行くかが１つのポイント。
３．あとは、出発するのみ。そして、必ず帰ってくること！
質問：どんなところを走れるの？
返答：私の経験だけですが、車(4WD)で行けそうな所。次にその技術の数々を紹介しま
す。

15. 悪路の走り方・ラインの取り方①
・基本、山側のラインを取りま
す。
谷側のラインで、スリップする
と、落ちて、一巻の終わりです。

16. 悪路の走り方・ラインの取り方②
・道筋で、凹凸がある時、
できるだけ、山か谷をまた
いで走ります。どちらかに
偏ると、車椅子が傾いて、
横転する危険があります。

17. 悪路の走り方・ラインの取り方③
・写真では、分かり
難いかも知れませ
んが、荒れた道で
す。
この時は、左から
入って右にターン
して、右から抜け
ました。

18. 一番危険な所…急な下り坂
・電動車椅子で山登り、先駆者はいないし、手探りで、始めたんですが、一番リスクがあるのは、急な、下り坂で
す。イギリスから日本に一時帰国して、友人と高尾山に登った時の経験です。私のブログから
「まだ、時間がある。すこし、欲を出して、城山を通り、小仏、相模湖に下りられないかと目論んで、道を探した。
山頂の反対側は、階段で、下りられず、登って来た道を少し、下り、抜け道はないか探して、少し、迷った。その
先、林道と言うより、山道と言うべき5号路を発見し、慎重に進んでみた。下り坂で所々、急になっていた。その
上、小石で、いわゆるガレ場のような道であった。急坂を下れば、車椅子にも、勢いがついてしまう。止まりたい
ところで、下に小石があると、タイヤをロックしても、石車という現象で、車椅子は、止まらない。長く急な下り坂
が続き、そのように、車椅子が、コントロールを失い、危うく、谷側に行きそうになってしまった。落ちれば、この
１８０kgの鉄の塊は、もちろん数十m、落ちるだろう。肝を冷やした。もう少し、慎重に行ってみたが、また同じよう
な長く急な下り坂が出てきて、 Nさんに、インスペクションしてもらった。が、さっきの二の舞を踏むと思われ、引き
返すことに決めた。「これが、この車椅子の限界だろうねえ」と、お互い一致した意見。 」

19. 電動車いすで山登り、面白アラカルト
・危険なところは、シートベルトを外そう？！
道幅が狭く、山にへばりついているような道を進む時、万が一滑落しても、車椅子だけ
落ちるように、シートベルトを外しました。安全のため、笑
・急な下り坂では、命綱を装着
前のページで下り坂の危険性について述べましたが、命綱を装着することも効果があ
るかもしれません。幸運にも、まだ役に立った経験は、ありませんが。
・汗を搔きたい方、少し歩きたい方
車椅子をテポする。安全かどうかはさておき、車椅子を途中でおいて、ちょっとヘルプ
付きで歩かせてもらって汗を搔く…という楽しみもあります。

20. まとめ：山はいいよ！
・自分で、自分の身の丈で、楽しめる。
身障者の自立生活で、「リスク・テイカーになる」という言葉があります。
山にはリスクがありますが、ラインを読みながら進み、「あのカーブを曲がったら…」と
か「この坂を上がったら…」とか、景色の変化を楽しめる。
・比較的重度の身障者でも、楽しめると、思います。
・テクニカルな楽しみ方
ライン読み、道の種類、車椅子の性能で自分にあった道を探す。
・同行者への感謝！ やはり、最後はこれですね。

21. これから
まだ、何も決まっていませんが、アイデアならば、
・夢：もっと高いところに行ってみたい。
山小屋の発電機を使わせてもらえれば…笑
・山もいいけど、城址公園とか、丘陵とか、車椅子で登れる道の発掘。
・タイム・トライアル・レース
例えば、夏の間のスキー場などを利用し、テクニカルなコースを作り、時間や技能を競
う大会など。

22. 動画リスト
・電動車椅子で悪路を走行（イギリス）
・電動車椅子で山道を登る（カリフォルニア）
・高尾登山（グループ登山）
・介助してもらいながら、山道を歩く

23. ご清聴、ありがとうございました。