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フルダ・ミニストリー 令和3年 9月 月報
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第311号 令和3年8月27日
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「主が神の箱のことで、オべデ・エドムの家と彼に属するすべてのものを祝福された」という知らせ
がダビデ王にあった。ダビデは行って、喜びをもって神の箱をオべデ・エドムの家からダビデの町へ運び
上げた。
主の箱を担ぐ者たちが六歩進んだとき、
ダビデは、
肥えた牛をいけにえとして献げた。
ダビデは、
主の前で力の限り跳ね回った。ダビデは亜麻布のエポデをまとっていた。ダビデとイスラエルの全家は、
歓声を挙げ、角笛を鳴らして、主の箱を運び上げた。 サムエル記第二 6:12-15
王が自分の家に住んでいたときのことである。主は、周囲のすべての敵から彼を守り、安息を与えて
おられた。王は預言者ナタンに言った。
「見なさい。この私が杉材の家に住んでいるのに、神の箱は天幕の
中に宿っている。
」ナタンは王に言った。
「さあ、あなたの心にあることをみな行いなさい。主があなたと
ともにおられるのですから。
」その夜のことである。次のような主のことばがナタンにあった。
「行って、
私のしもべダビデに言え。…主はあなたに告げる。主があなたのために一つの家を造る、と。あなたの日
数が満ち、あなたが先祖とともに眠りにつくとき、わたしは、あなたの身から出る世継ぎの子をあなたの
後に起こし、神の王国を確立させる。彼はわたしの名のために一つの家を建て、わたしは彼の王国の王座
をとこしえまでも堅く立てる。わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。…わたしの恵みは、わた
しが、あなたの前から取り除いたサウルからそれを取り去ったように、彼から取り去られることはない。
あなたの家とあなたの王国は、あなたの前にとこしえまでも確かなものとなり、あなたの王座はとこしえ
までも堅く立つ。
』
」 サムエル記第二 7:1-16
モーセの掟では、王職、祭司職、預言者職は分立した職務でしたが、ダビデ王が、神のご臨在を象徴す
る「神の箱」をダビデの町シオンに移したとき、レビ人の祭司制度とは異なった「メルキゼデクの例」
(へ
ブル人 5-7 章)にならった祭司王としての位がダビデに授けられ、ダビデの血筋の王メシアにも永久の大
祭司としての位が約束されました。シナイ山で神の指示によって、天にある本物の「ひな型」として造られ
た「神の箱」は、イスラエルの民が約束の地カナンに入った後、シロに置かれ、その後、ペリシテ人に奪わ
れ、エベン・エゼル、アシュドデ、ガテ、エクロンを経て、ベテ・シェメシュに戻され、キルアテ・エアリ
ムのアビナダブの家に二十年間、
オべデ・エドムの家に三箇月間安置されたあと、
ダビデの王宮があったシ
オンに落ち着くことになったのでした。
大祭司の装束、亜麻布のエポデを身にまとい、いけにえを献げたダビデ王は「主の前で力の限り跳ね
回
(り)
」
、
主をダビデの町にお迎えする喜びを全身全霊で表し、
民も王にならって神のご臨在を喜んだので
す。
「心を尽くし、いのちを尽くし、力を尽くして、あなたの神を愛しなさい」
(申命記 6:5)の御言葉を
実践し、
心底から賛美、
礼拝したダビデの姿勢は神に受け入れられ、
神はダビデにエルサレムでの平安な日々
を与えられました。
しかし、
レバノン杉の豪華な王宮に住んでいたダビデは、
神の箱が天幕の中に安置され
ているのはふさわしくない、
天の王なる神のご臨在が地に永続する堅固な構造の建物、
神殿を建てたいとの
思いに駆られるようになり、
預言者ナタンに伺いを立てました。
ナタンを通して神が告げられた啓示は驚く
べきものでした。
それは、
ダビデが神のために神殿を築くのではなく、
神ご自身がダビデのために永久の家、
すなわち、王朝と神の民イスラエルを養う真の王、メシアを樹立するとの約束でした。
この世の神々や宗教制度とは対照的に、
神の関心は建物、
神殿にはなく、
羊飼いなる善き指導者に導か
れる真の礼拝者の群れの成長、でした。神が、父エッサイの羊を忠実に飼っていたダビデを「羊の群れを追
う牧場から取り、…イスラエルの君主」として選ばれたのは、ここに理由があるのです。ダビデ、続いて、
ダビデの血筋のメシアが召されるのは、父なる神の羊を飼うためです。このようにサムエル記第二 7 章の
預言者ナタンを通しての啓示は、14、15 節がダビデに続く時代への言及であることを除けば、究極的にダ
ビデの血筋のメシアによって樹立される
「地上に成る神の国」
の遠未来預言です。
懇願しなかった思いもよ
らない約束を神から与えられたダビデは御言葉を謙遜に受け止め、神の慈しみと主権をほめたたえ、18-
29 節には、御言葉が成就するようにとのダビデの真摯な祈りが記されています。
ダビデが願った神殿建設に関しては、
「あなたは多くの血を流し、大きな戦いをしてきた。あなたがわ
たしの名のために家を建ててはならない。…あなたに一人の男の子が生まれる。彼は穏やかな人となり…
ソロモンと呼ばれる…彼がわたしの名のために家を建てる」
(歴代誌第一 22:8-10)と神は言われ、神殿
フルダ・ミニストリー 令和3年 9月 月報
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建設はダビデの役割ではなく、ダビデの子、
「神の平和」の意のソロモンの手に託されたのでした。ソロモ
ンの神殿がエルサレムのモリヤの山に建てられた後、
ダビデの天幕に安置されていた
「神の箱」
は神殿に移
され、
モーセによって真の神殿の
「ひな型」
として荒野で始まった幕屋制度、
―神がイスラエルの王であり、
祭司である― のレビ人の祭司制は尾ひれがつき、
神殿で大々的に行われるようになったのでした。
「神の箱」
はユダ王国の晩年期に第一神殿から消失し、
未だ行方不明のままですが、
神殿での祭司制度はエルサレム第
二神殿時にも、また、西暦一世紀のヘロデ王により修復された絢爛豪華な神殿でも維持されました。西暦
70 年、キリストが預言されたとおり、エルサレム神殿が焼失するまで続いたのです。
外的には荘厳な宗教行事が行われる神殿での祭司制度は人々を魅了しますが、
形式的な礼拝の踏襲、
神
殿の乱用を、
「わたしの父の家を商売の家にしてはならない」
、
「
『わたしの家は祈りの家と呼ばれる』と書
いてある。それなのに、おまえたちはそれを『強盗の巣』にしている」と厳しく非難され、宮聖めをされ
たのは、他でもない、ダビデに約束されたメシアなるイエス・キリストでした。キリストが地上での宣教を
始められたとき、
エルサレム第二神殿はまだ存続していましたが、
キリストがミニストリーの最初と最後に
象徴的に宮聖めを行われたように、
神殿の汚れは取り除かれることなく、
ついに焼失に至ったのでした。
し
かし、エゼキエルが預言したように、神の霊、聖霊はすでにエルサレム第一神殿から去り、その後、再建さ
れた神殿にも戻ることなく、
また神のご臨在を象徴する
「神の箱」
も神殿の至聖所から消失したままになっ
ていましたから、神殿では何世紀もの間、神不在の人の儀式、制度が守られていたにすぎなかったのです。
キリストはサマリアの女に、
「この山(サマリアのゲリジム山)でもなく、エルサレムでもないところ
で、あなたがたが父を礼拝する時が来ます。…今がその時です。父はそのような人たちを、ご自分を礼拝
する者として求めておられるのです。神は霊ですから、神を礼拝する人は、御霊と真理によって礼拝しな
ければなりません」
(ヨハネ 4:21-24)と言われ、神殿での古来の祭司制度ではなく、信徒自身が内住の
キリストによって、
「神の宮」
、
神殿となる新約の礼拝形態がご自分によってもたらされたことを教えられま
した。キリストのお言葉は、まさに神がダビデを受け入れられた理由、
「神が求めておられるのは神殿、建
物、人の手に成る形骸的なものではなく、神を喜び、畏れ敬う人の心、
『真の礼拝者』である」ということ
でした。
ダビデに神が約束された永久の王朝は、
ソロモン以降、
エルサレム第二神殿が焼失するまで続けら
れてきた神殿、祭司制度を飛び越えた遠未来預言で、奇しくもメシアのご降誕、すなわち、キリストの初臨
によって成就へと最終段階に入ったのです。
しかし、
初臨のキリストは神の民ユダヤ人によって拒否された
ため、
今日に至るまでこの預言は部分的な成就、
すなわち、
キリストを受け入れた信徒の間だけでしか成就
していないのです。預言の完結はキリストが再臨されるときまで持ち越されたのです。
神の預言の確かさ、
細微に至る正確さは、
このことを裏づけている他の預言から明らかです。
旧約時代
の預言者アモスは、世の終わりのイスラエルの残りの者の贖いについて、
「その日、わたしは倒れているダ
ビデの仮庵を起こす。
その破れを繕い、
その廃墟を起こし、
昔の日のようにこれを建て直す」
(アモス書 9:
11)と、神の言葉を取り次ぎました。初代教会の時代、エルサレム教会の長としての責任を担っていたキ
リストの実弟ヤコブは、
エルサレム会議の場でこの預言を引用し、
異邦人もユダヤ人と等しく救いにあずか
る時代が到来したことを告げました。
この預言でアモスが、
世の終わりに神が再建されるのがモリヤの山の
ソロモンの神殿ではなく、
「ダビデの仮庵」
、すなわち、シオンの山のダビデの幕屋であると告げたことは
注目に値します。
すでに言及しましたが、
ソロモンの神殿に象徴されるのは形骸的な礼拝形態、
宗教的儀式
ですが、
ダビデの幕屋に象徴されるのは、
真の礼拝者の群れです。
神が世の終わりに完成しようとしておら
れるご計画は、異なった時代にさまざまな形で預言者たちに告げられてきましたが、みな一貫しています。
神は究極的に、廃れ、失われたダビデの仮庵をご自分が再建する、すなわち、ダビデに象徴される真の礼拝
を復興させる、と言われたのでした。ソロモンの血筋ではなく、ソロモンの弟、ダビデの子ナタンの血筋か
らお生まれになったキリストが再臨されるとき、
この預言は成就し、
地上にメシアが支配される御国が始ま
るのです。預言者イザヤも、復興されたダビデの天幕でメシアが君臨されることを、
「一つの王座が恵みに
よって堅く立てられる。ダビデの天幕で真実をもってそこに座すのは、さばきをし、公正を求め、速やか
に義を行う者」
(イザヤ書16:5)と預言しています。
究極的な神のご計画は、人種、民族、部族を問わず神のすべての民が「一人の牧者」
、キリストに聞き
従い、
「一つの群れ」になることで、黙示録 21 章には、現存の天地が過ぎ去った後、真の礼拝者が導かれ
る永久に神とともなる至福の状態が描写されています。
「見よ、神の幕屋が人々とともにある。神は人々と
ともに住み、人々は神の民となる。神ご自身が彼らの神として、ともにおられる。神は彼らの目から涙を
ことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、悲しみも、叫び声も、苦しみもない。以前のものが
過ぎ去ったからである」と、新しい天と新しい地に神の御許、天から降って来る「聖なる都、新しいエル
サレム」は、夫のために飾られた花嫁にたとえられているのです。新しいエルサレムとは、神が復興される
「シオンの山のダビデの幕屋」に象徴される真の礼拝者、キリストによって贖われた信徒の群れなのです。

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  • 2. フルダ・ミニストリー 令和3年 9月 月報 huldahministry.blogspot.jp huldahministry.com yosheru.blogspot.jp 2 建設はダビデの役割ではなく、ダビデの子、 「神の平和」の意のソロモンの手に託されたのでした。ソロモ ンの神殿がエルサレムのモリヤの山に建てられた後、 ダビデの天幕に安置されていた 「神の箱」 は神殿に移 され、 モーセによって真の神殿の 「ひな型」 として荒野で始まった幕屋制度、 ―神がイスラエルの王であり、 祭司である― のレビ人の祭司制は尾ひれがつき、 神殿で大々的に行われるようになったのでした。 「神の箱」 はユダ王国の晩年期に第一神殿から消失し、 未だ行方不明のままですが、 神殿での祭司制度はエルサレム第 二神殿時にも、また、西暦一世紀のヘロデ王により修復された絢爛豪華な神殿でも維持されました。西暦 70 年、キリストが預言されたとおり、エルサレム神殿が焼失するまで続いたのです。 外的には荘厳な宗教行事が行われる神殿での祭司制度は人々を魅了しますが、 形式的な礼拝の踏襲、 神 殿の乱用を、 「わたしの父の家を商売の家にしてはならない」 、 「 『わたしの家は祈りの家と呼ばれる』と書 いてある。それなのに、おまえたちはそれを『強盗の巣』にしている」と厳しく非難され、宮聖めをされ たのは、他でもない、ダビデに約束されたメシアなるイエス・キリストでした。キリストが地上での宣教を 始められたとき、 エルサレム第二神殿はまだ存続していましたが、 キリストがミニストリーの最初と最後に 象徴的に宮聖めを行われたように、 神殿の汚れは取り除かれることなく、 ついに焼失に至ったのでした。 し かし、エゼキエルが預言したように、神の霊、聖霊はすでにエルサレム第一神殿から去り、その後、再建さ れた神殿にも戻ることなく、 また神のご臨在を象徴する 「神の箱」 も神殿の至聖所から消失したままになっ ていましたから、神殿では何世紀もの間、神不在の人の儀式、制度が守られていたにすぎなかったのです。 キリストはサマリアの女に、 「この山(サマリアのゲリジム山)でもなく、エルサレムでもないところ で、あなたがたが父を礼拝する時が来ます。…今がその時です。父はそのような人たちを、ご自分を礼拝 する者として求めておられるのです。神は霊ですから、神を礼拝する人は、御霊と真理によって礼拝しな ければなりません」 (ヨハネ 4:21-24)と言われ、神殿での古来の祭司制度ではなく、信徒自身が内住の キリストによって、 「神の宮」 、 神殿となる新約の礼拝形態がご自分によってもたらされたことを教えられま した。キリストのお言葉は、まさに神がダビデを受け入れられた理由、 「神が求めておられるのは神殿、建 物、人の手に成る形骸的なものではなく、神を喜び、畏れ敬う人の心、 『真の礼拝者』である」ということ でした。 ダビデに神が約束された永久の王朝は、 ソロモン以降、 エルサレム第二神殿が焼失するまで続けら れてきた神殿、祭司制度を飛び越えた遠未来預言で、奇しくもメシアのご降誕、すなわち、キリストの初臨 によって成就へと最終段階に入ったのです。 しかし、 初臨のキリストは神の民ユダヤ人によって拒否された ため、 今日に至るまでこの預言は部分的な成就、 すなわち、 キリストを受け入れた信徒の間だけでしか成就 していないのです。預言の完結はキリストが再臨されるときまで持ち越されたのです。 神の預言の確かさ、 細微に至る正確さは、 このことを裏づけている他の預言から明らかです。 旧約時代 の預言者アモスは、世の終わりのイスラエルの残りの者の贖いについて、 「その日、わたしは倒れているダ ビデの仮庵を起こす。 その破れを繕い、 その廃墟を起こし、 昔の日のようにこれを建て直す」 (アモス書 9: 11)と、神の言葉を取り次ぎました。初代教会の時代、エルサレム教会の長としての責任を担っていたキ リストの実弟ヤコブは、 エルサレム会議の場でこの預言を引用し、 異邦人もユダヤ人と等しく救いにあずか る時代が到来したことを告げました。 この預言でアモスが、 世の終わりに神が再建されるのがモリヤの山の ソロモンの神殿ではなく、 「ダビデの仮庵」 、すなわち、シオンの山のダビデの幕屋であると告げたことは 注目に値します。 すでに言及しましたが、 ソロモンの神殿に象徴されるのは形骸的な礼拝形態、 宗教的儀式 ですが、 ダビデの幕屋に象徴されるのは、 真の礼拝者の群れです。 神が世の終わりに完成しようとしておら れるご計画は、異なった時代にさまざまな形で預言者たちに告げられてきましたが、みな一貫しています。 神は究極的に、廃れ、失われたダビデの仮庵をご自分が再建する、すなわち、ダビデに象徴される真の礼拝 を復興させる、と言われたのでした。ソロモンの血筋ではなく、ソロモンの弟、ダビデの子ナタンの血筋か らお生まれになったキリストが再臨されるとき、 この預言は成就し、 地上にメシアが支配される御国が始ま るのです。預言者イザヤも、復興されたダビデの天幕でメシアが君臨されることを、 「一つの王座が恵みに よって堅く立てられる。ダビデの天幕で真実をもってそこに座すのは、さばきをし、公正を求め、速やか に義を行う者」 (イザヤ書16:5)と預言しています。 究極的な神のご計画は、人種、民族、部族を問わず神のすべての民が「一人の牧者」 、キリストに聞き 従い、 「一つの群れ」になることで、黙示録 21 章には、現存の天地が過ぎ去った後、真の礼拝者が導かれ る永久に神とともなる至福の状態が描写されています。 「見よ、神の幕屋が人々とともにある。神は人々と ともに住み、人々は神の民となる。神ご自身が彼らの神として、ともにおられる。神は彼らの目から涙を ことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、悲しみも、叫び声も、苦しみもない。以前のものが 過ぎ去ったからである」と、新しい天と新しい地に神の御許、天から降って来る「聖なる都、新しいエル サレム」は、夫のために飾られた花嫁にたとえられているのです。新しいエルサレムとは、神が復興される 「シオンの山のダビデの幕屋」に象徴される真の礼拝者、キリストによって贖われた信徒の群れなのです。