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CASELE2015@Tottori 「高等学校英語科の 教科書における 言語活動の分類と考察」
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CASELE2015@Tottori 「高等学校英語科の 教科書における 言語活動の分類と考察」
1.
高等学校英語科の 教科書における 言語活動の分類と考察 広島大学大学院 国分裕昭 hiroaki-k@hiroshima-u.ac.jp 2015年6月27日(土) 第46回中国地区英語教育学会 於:鳥取大学 地域学部棟
4階 4420教室
2.
本発表の構成 1. 研究の背景と目的 2. 先行研究 3.研究課題 4.
研究方法 5.結果と考察 2
3.
本発表の構成 1. 研究の背景と目的 2. 先行研究 3.研究課題 4.
研究方法 5.結果と考察 3
4.
1. 研究の背景と目的 平成21年告示の高等学校学習指導要領(文部科学省, 2010) 生徒の言語活動の充実 が求められる 特に外国語科では 生徒が実際に外国語を使用し, 言語活動を行う機会の充実 4 が必要とされる
5.
1. 研究の背景と目的 高等学校学習指導要領の改訂によって, 教科書に配置されている言語活動はその 形態や頻度の点でどのように変容している のかを明らかにする 5
6.
本発表の構成 1. 研究の背景と目的 2. 先行研究 3.リサーチクエスチョン 4.
研究方法 5.結果と考察 6
7.
2. 先行研究 ● 言語活動の定義 昭和45年の学習指導要領 「言語を聞いたり,話したり,読んだり, 書いたりするなど,言語を総合的に理解 したり表現したりする活動をさす」 小串(2011) 「学習指導で行われる活動(pedagogical activities)であり,コミュニケーション能力 の育成という目的のもとで意図的・計画的 に導入されるもの」 7
8.
2. 先行研究 ● 言語活動の定義 以上を踏まえると… 言語材料の定着のみを 目的とした活動 •
コミュニケーション能力の育成を主眼とする活動 • 言語材料のみに関する指導でなく, 場面や内容も意識した活動 ではなくて… 8
9.
2. 先行研究 ● 言語活動の定義 目標言語を用いて, コミュニケーション能力を育成すること を目的とした活動 becauseを含む文の作り方の指導 becauseを含む文の定着のための 機械的なドリル活動 言語活動とはいえない (学習活動) becauseを用いた自己表現活動
言語活動である 9 この定義に従うと…
10.
2. 先行研究 ● 言語活動と授業内活動 コミュニケーション活動 を行う前段階の活動 いわゆる コミュニケーション活動 ドリルなどによる,言語材 料についての学習活動 言語材料の機能・ 個別スキルについての (学習)活動 加えて,社会的に適切な コミュニケーションを行う活動 Littlewood
(1981)を参考に作成 学習した言語材 料・スキルを 活用して効率の よい コミュニケーション を行う活動 10
11.
●教科書における具体例 Pre-communicative activities Structural
Activities 機械的な並べ替え問題,文の書き換え問題 など Quasi-communicative activities 複数の言語材料を扱う問題(例: 適語補充)など Communicative activities Functional communication activities 「お気に入りのものとその理由を書く」 「あったらいいものを紹介する」など Social interaction activities 「メールの返信」,「グループでスピーチ」など 11
12.
2. 先行研究 ● 言語活動と授業内活動 Littlewood
(1981) を参考に作成 言 語 活 動 12
13.
2. 先行研究 ● 教科書分析の先行研究 •
タスクの観点から(大東,2004) • コミュニケーション能力の観点から (江草・横山,2008) これまでの先行研究…旧課程の学習指導要領 に基づいた教科書の分析 ⇒現行の学習指導要領に基づいた教科書を 分析した研究は見当たっていない 13
14.
本発表の構成 1. 研究の背景と目的 2. 先行研究 3.研究課題 4.
研究方法 5.結果と考察 14
15.
3.研究課題 1) 現行の学習指導要領に基づく高等学校英語 科の教科書における言語活動は,旧課程の 教科書における言語活動と比較して 言語活動の形態やその頻度に変化が あるのか 2) 現行の学習指導要領に基づく高等学校英語 科の教科書を用いて授業をする際に教師に 必要な視点や工夫な何か 15
16.
本発表の構成 1. 研究の背景と目的 2. 先行研究 3.リサーチクエスチョン 4.
研究方法 5.結果と考察 16
17.
4. 研究方法 ● 教科書決定のための予備調査 コミュニケーション英語I(ECI)の 最初の単元における本文を… 使用語彙の難易度調査
染谷(2009)の「英文語彙難易度解析プログラム (Word Level Checker) 」を使用 教科書本文のリーダビリティ調査 Flesh Reading Ease (Flesch, 1948)などを用いて調査 分析結果より 難易度を 3群に分ける それぞれの群において シェア率の高い 教科書シリーズを選択 17
18.
4. 研究方法 ● 教科書決定のための予備調査 分析対象の教科書シリーズ 易:教科書Aシリーズ 中:教科書Bシリーズ 難:教科書Cシリーズ 対象 英語I 英語II コミュニケーション 英語I(ECI) コミュニケーション 英語II
(ECII) 18
19.
4. 研究方法 ● 分析手順 対象
教科書本文以外に配置されている 問題などの活動 (Exercise, Activities など) 枠組み Littlewood (1981)の4分類 …4分類の振り分けが難しいもの →コミュニケーション技能で分類 分析の結果から教科書の実態を把握 (RQ1) よりよい授業のために,教師にはどのような 活用上の視点や工夫が必要かを明らかにする (RQ2) 19
20.
本発表の構成 1. 研究の背景と目的 2. 先行研究 3.リサーチクエスチョン 4.
研究方法 5.結果と考察 20
21.
5. 結果と考察 ● 英語I・IIにおける分析結果 0 10 20 30 40 50 60 Structural
Quasi Function Social Others (listening) Others (writing) Others (speaking) Others (reading) 頻 度 教科書A I 教科書A II 教科書B I 教科書B II 教科書C I 教科書C II 言語構造の定着 + 言語材料の意味 の学習 21
22.
5. 結果と考察 ● 英語I・IIにおける分析結果 『教科書B』『教科書C』
各10以上のFunctional communication activities 1回あたり教科書Bは約3ページ 教科書Cは約2ページ 割いている 『教科書A』 Communicative activities →各単元の終わりに1/2ページ程度 多数のStructural activities 基礎・基本的な部分の学習を主眼をおいた と考えられる 教科書別に見ると 22
23.
5.結果と考察 ● 英語I・IIにおける分析結果 Littlewood (1981)の大分類では 圧倒的にPre-communicative
activities のほうが多い 豊富な言語材料に関する学習 少数ながらもコミュニケーション活動を行う 推察 23
24.
5.結果と考察 ● EC I・IIにおける分析結果 0 10 20 30 40 50 60 70 80 頻 度 教科書A
I 教科書A II 教科書B I 教科書B II 教科書C I 教科書C II 24
25.
5.結果と考察 ● EC I・IIにおける分析結果 『教科書B』
各単元で扱う言語材料を用いて自己表現を する活動(Quasi-communicative activities)の配置 各単元末にコミュニケーション活動の配置 旧課程は2単元毎に1つの割合 『教科書A』『教科書C』 Structural Activitiesの増加 教科書A→基礎基本の定着に重点 教科書C→教科書のサイズ増が影響 教科書別に見ると 25
26.
5.結果と考察 ● EC I・IIにおける分析結果 Social
interaction activitiesの増え方… • 教科書の難易度が上がるにつれて増加 • 各シリーズともECIよりECIIに多く配置 →この活動自体が高度であることが反映 されている Littlewood (1891) の分類では 26
27.
5.結果と考察 ● 旧課程−新課程の比較 0 50 100 150 200 250 300 350 頻 度 English I/II
(517) English Communication I/II (605) 27
28.
5.結果と考察 ● 旧課程−現行課程の比較 • ほとんどの活動で増加が認められた
(517615) 指導要領改訂の影響 +教科書のサイズが大きくなったため? • Communicative activities間の差が減少 旧課程:Functional 91 Social 40 差 51 現行課程:Functional 69 Social 51 差 11 活動の指示文に,活動の 対象(場面・コミュニケー ションの相手など) が記され るようになる 28
29.
5.結果と考察 各活動による新旧比較 Pre-communicative activities Structural
Activities 並べ替え問題,文の書き換え問題 など →言語材料の構造定着のための活動 Quasi-communicative activities 複数の言語材料を扱う問題(適語補充など)など →言語材料の意味や機能を理解しないと解けない いずれも新旧による形態差は認められなかった 29
30.
5.結果と考察 各活動による新旧比較 Communicative activities Functional
communication activities 「お気に入りのものとその理由を書く」, 「あったらいいものを紹介する」など →学習した言語材料やスキルを統合して コミュニケーション活動を行う Social interaction activities 「メールの返信」,「グループでスピーチ」など →言語材料やスキルの統合+コミュニケーションの 場面や相手について明示的に指示 こちらも,新旧による形態差は認められなかった 30
31.
5.結果と考察 ● よりよい授業のための考察 • Pre-communicative
activities Quasi-communicative activitiesが多い 文部科学省(2011)の「コミュニケーションに 資するための言語材料の指導」の具現化 →教師はこれらを大いに活用して指導する ことができる 31
32.
5.結果と考察 ● よりよい授業のための考察 • Communicative
activities 実態:Functional communication activitiesが多い 指導要領:Social interaction activitiesも求める →教師の工夫が必要 Functional communication activitiesに 「誰が,誰に,どのような立場で,どのような状況で」 といった設定を加える →Social interaction activitiesを増やすことができる 提案 32
33.
5.結果と考察 ● 本研究の課題 • 対象とした教科書シリーズの数は十分か? →
調査しうる教科書シリーズ数は25 • 教科書の言語活動はそのまま行われるのか? →教師は生徒の実態などに応じて活動に手 を加えることができる点の考慮も必要では ないか 33
34.
主要参考文献 Littlewood, W. (1981).
Communicative language teaching : an introduction. Cambridge University Press. 江草千春・横山吉樹. (2008). 「中学校,高等学校,ESLの教科書分 析 : 社会言語学的能力,談話的能力,方略的能力の観点か ら」. Research Bulletin of English Teaching, (5), 27–49. 小串雅則. (2011). 『英語検定教科書 : 制度、教材、そして活用』. 東京: 三省堂. 染谷泰正. (2009). 「オンライン版「英文語彙難易度解析プログラ ム」(Word Level Checker) の概要とその応用可能性につい て」. Retrieved from http://someya-net.com/wlc/readability.pdf 大東真理. (2004). 「高校検定教科書の「言語活動」について」. 『語学教育研究論叢』, 21, 207–222. 文部科学省. (2010). 『高等学校学習指導要領解説 外国語編 英語 編』. 東京: 文部科学省. 文部省. (1972). 『高等学校学習指導要領解説』. 東京書籍. 34
35.
ご清聴ありがとうございました • 本研究結果のまとめ 学習指導要領の改訂によって… 言語活動の数の増加
517→605 現行課程での Communicative Activities 活動の指示文に,活動の対象が記されるように なる Communicative Activitiesに教師の工夫が必要 既存の活動に相手や状況を加える 35
Editor's Notes
広島大学の国分です。よろしくお願いします。
本研究の構成はご覧のとおりです。
まずは研究の背景と目的です。
平成21年度
星とかっこ
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