05_良いユーザー体験のためのデザイン

1. 良いユーザー体験のためのデザイン
第5回
『分析』－ペルソナ

2. 前回は・・・
人間中心設計（HCD/UCD）の
「調査」プロセスの
「KJ法の実践」
を練習しました。

3. 質的調査の意義
• 「数字、指標」の量的データに対して、「発言録、観察メモ」等、「数えられない
もの」が質的データ
• 「質的調査」と「質的データ分析法」はセットで行わなければ意味がない
―演算しない。編集する。
―メリット：被調査者の体験を追従することで、その体験や事象の深層まで理解すること
ができる
―デメリット：属性においても、体験の根拠においても普遍化しにくい
―質的調査の意義は、「根拠にする」というよりは、「深堀りによる発想」にある。
量的調査と、目的に応じて使い分けることが大切。
（参考：h,p://kccn.konan-­‐u.ac.jp/sociology/research/02/1_1.html）
※質的調査者の心構え
(1)あいまいさに対してかなり寛容でなくてはならない。
(2)感受性あるいは 直観性が高くなければならない。
(3)すぐれたコミュニケーション能力をもたなければならない。回答者に感情移入し、ラポールを形成し、良い質問を
し、熱心に耳をかたむけ、自らの気づきや直観を的確に言語で表現できなくてはならない。
（S.B.メリアム『質的調査法入門―教育における調査法とケース・スタディ』）
復習

4. KJ法
• 文化人類学者、川喜多二郎（Kawakita
Jiro）発案
• 編集＝「脱文脈化」と「再文脈化」
• KJ法は、「整理法」ではなく、「発想法」
―「分析」手法におけるKJ法は、データをグルーピング化してタイトルを
付けるだけではなく、文章化することが大切。
―誰にも分かりやすい文章にしようとすることで、
「図解したものの論理構成はあっているか」
「それらの関係を立証するためにはどういうデータが必要か」
といったことを考えるようになり、分析が深まる。
復習

5. 人間中心設計（HCD/UCD）
優れたUXを実現するための設計思想
復習

6. 人間中心設計（HCD/UCD）
UCDのプロセス
①調査：ユーザの利利⽤用状況を把握する
②分析：利利⽤用状況からユーザニーズを探索索する
③設計：ユーザニーズを満たすような解決策を作る（プロトタイプ）
④評価：解決策を評価する
⑤改善：評価結果をフィードバックして、解決案を改善する
⑥反復復：評価と改善を繰り返す
反復復デザイン
復習
イマココ

7. 今回は・・・
ペルソナ（&プラグマティックペルソナ）
の説明・実践です。

8. ペルソナ/プラグマ
ティックペルソナ
KJ法
カスタマージャーニーマップ
プロセス② 分析 手法② ペルソナ

9. ペルソナとは
プロセス② 分析 手法② ペルソナ
設計を支援するために定義する”仮想”のユーザ像

10. ペルソナが必要である理由
すべてのユーザのニーズを満たそうとすれば、結局、誰のニーズも満たさない
すべてのユーザではなく、一人のユーザのために製品を設計する
プロセス② 分析 手法② ペルソナ
「コンバーチブルのバンでオフロード仕様」のクルマ
これ１台で原野を駆け抜け、ナンパができて、
荷物の配達もできる"便利"なクルマ。
開発者の陥りがちな失敗を揶揄した象徴的な表現
元マイクロソフトのアラン・クーパー
の1999年の著書で広まる

11. ペルソナをつくる目的
プロセス② 分析 手法② ペルソナ
• メンバー間でユーザ－像を統一するため
• ユーザー像をもとに仮説を立て、コンテンツを設計していくため
ペルソナを作ることが目的ではなく、
あくまで、UCDのプロセスで使うツー
ルの一部です

12. “架空”ではない
ペルソナは、「事実に基づいたフィクション」
架空：事実に基づかず想像によって作り上げる
仮想：事実に基づいて仮に想定する
プロセス② 分析 手法② ペルソナ

13. ゴムのユーザー
「流行と自分らしさの調和を大切にする大人のユーザ」
これでは、設計メンバーが自分勝手なユーザ像を思い描くことができてしまう。
想定ユーザを決めればよいというものではない。
メンバーが設計に必要なユーザ像を共有できる程度に、具体的に設定する。
プロセス② 分析 手法② ペルソナ

14. 合成人間
ペルソナの素は「人」ではなく「パターン」
同じ「仕事」をする場合のパターンは「十人十色」ではなく、「十人三～四色」
共通する「パターン（行動、思考、生活）」等によってまとめて、
各１人の合成人間を作るイメージ。
プロセス② 分析 手法② ペルソナ

15. ペルソナの要素例
プロセス② 分析 手法② ペルソナ

16. ペルソナの作り方
プロセス② 分析 手法② ペルソナ
①複数人のインタビュー内容をそれぞれ要素化し、カテゴリに分ける
（例：基本情報、サイトの使い方、実現したいこと、生活習慣・・・）
②ペルソナ化したい要素をピックアップする
③ペルソナシートの体裁にまとめる
※補足
• ペルソナは重要な共通事項を抽出し、統合したモデル（合成人間）を作るもの
なので、複数のユーザーの要素をまとめて良い。
• ペルソナは一体にまとめる必要はない。ゴールや特徴が明らかに異なる場合には、別のペルソナにする。（後述）
• ペルソナを作る目的をはっきりさせてから作る（ピックアップする要素に影響）
• 基本情報よりも、行動特性を定義することがより大切
• ペルソナは、インタビュー内容を設計に反映し、今後のプロト作成につながるツールなので、
ある程度主観が入っても良いし、そういうものだと認識して使う。
（正当性を担保する必要がある場合には、インタビュー人数を増やすか、随時ペルソナを変更して対応）

17. ペルソナの使い方
• 無理に1体にまとめる必要はない
―通常、1プロジェクトで3体～6体
• 複数のペルソナには必ず優先順位をつける
―『プライマリーペルソナ』、『セカンダリーペルソナ』（2位以下）
• プライマリーペルソナの要求を完全に満たすことをプロジェクトの目的とする
• プライマリーとセカンダリーの要求が対立する場合には、
プライマリーペルソナを優先する
プロセス② 分析 手法② ペルソナ
軸のブレない意思決定をするた
めに、「プライマリーペルソナ」を
判断基準とする

18. プラグマティック・ペルソナとは？
• データに基づかない簡易的なペルソナ
• ペルソナ作成プロセスの、ユーザの「パターン化」「擬人化」「優先順位付け」
のうち、「擬人化」と「優先順位付け」に特化する
• 「ターゲットユーザの擬人化によるチームの一体感の醸成」、
「優先順位付け」による要求管理の効率化」といった効果は得られる
プロセス② 分析 手法② ペルソナ

19. アジャイル開発とプラグマティック・ペルソナ
プロセス② 分析 手法② ペルソナ
アジャイルでは、ユーザの要求を段階に応じて試行錯誤しながら開発していくため、
最初から時間をかけてペルソナを正確に固める必要がない。
プラグマテック・ペルソナと相性が良い。
あくまで、仮のペルソナであることを意識して利用すればOK
掲載：h,p://www.slideshare.net/barrelbook/pragmaUc-­‐personas

20. プラグマティック・ペルソナの基本ルール
プロセス② 分析 手法② ペルソナ
• みんなで作る
ペルソナを作るプロセスを関係者全員に開示して、そのペルソナがいかに「仮説」に過ぎないか
を共有する
• 偽物であることを明示する
あえて雑なイラストにとどめたり、文字を修正した形跡を残す
• 依存しない/固執しない
ペルソナの設定は「存在しない」かもしれないので、依存しない。
疑問があればすぐに調査し、ペルソナを変更することをいとわない。
プロトペルソナ、偽のペルソナ、なんちゃってペルソナなどとも呼ばれる

21. 【演習】
プロセス① 調査 手法② ペルソナ
「『平日の睡眠』の行動パターンを分類する」
[目的]
複数のペルソナを作る練習として、行動からユーザーを分類してみる
［手順］
①平日、夜寝てから朝完全に起きるまでの行動を波形に書いてみる
②発表する
③分類して、グループのタイトルをつける