独学で聖書解釈

1. 加茂勇太郎

2.  聖書解釈を学ぶ必要性
 聖書を理解する際の隔たりは何か
 聖書解釈の例
 正しい聖書解釈がもたらす祝福
今日の話は難しいので、話半分で聞いてください。
聖書を解釈するために、聖書研究が必要だということ
をお話したいだけです…

3.  聖書は古典である
◦ 一番新しくても、2000年ほど前の文献
◦ たった100年ほど前の書籍（森鴎外・夏目漱石など）でも、注
釈が無いと理解できない
 殆どの箇所は異邦人に向けて書かれていない
◦ 旧約聖書は、ユダヤ人に向けて書かれている
◦ 新約聖書の一部（マタイ・ヤコブの手紙等）も、ユダヤ人に向
けて書かれていると考えられる
 多様な解釈の可能性がある
◦ 聖書は論文ではない
◦ 解釈の方法によっては、同じ箇所で正反対の意味にも…

4.  時間的隔たり
◦ 数千年の幅がある
 空間的隔たり
◦ イスラエル周辺での出来事
 言語的隔たり
◦ 原文はヘブル語・アラム語・ギリシャ語。翻訳には限界がある。
翻訳時に、翻訳者の解釈が入ってしまう
 民族・習慣的隔たり
◦ ユダヤ人の習慣と、日本人の習慣には大きな隔たりがある。
 神学的隔たり
◦ 説教者や注解者の神学的立場によって、解釈が異なる

5.  今回は、マタイの福音書 21:43を例に説明
 この箇所は、受難週の時期、律法学者やパリサイ人
に対して、イエスが神の国について語っている箇所
（これによって、時間・空間・民族・習慣的隔たりが解
決できる）
 この箇所の解釈によっては、ユダヤ人に与えられてい
た祝福の約束は取り去られて、異邦人の教会にそれ
が引き継がれたと解釈できる。
 これを置換神学という

6.  原文を読むのが一番良い
◦ 旧約聖書はヘブル語（一部アラム語）
◦ 新約聖書はギリシャ語（コイネーと呼ばれる、当時の口語）
◦ 原文は、神の霊感を受けている
 でも難しい
◦ 正直難しい
◦ 原点や辞書は高い
 この点は改善されていて、ネットで見れる
 Bible Hub(ギリシャ語<->英語対訳＋コンコルダンス）
 http://biblehub.com/
 誰でもできるのは、複数の訳を比較すること
◦ 新改訳・新共同訳・口語訳・文語訳・リビングバイブルの比較

7.  マタイ21:43
◦ それだから、あなたがたに言うが、神の国はあなたがたから
取り上げられて、御国にふさわしい実を結ぶような異邦人に
与えられるであろう（口語訳 置換神学の影響下）
◦ だから、わたしはあなた方に言います。神の国はあなたがた
から取り去られ、神の国の実を結ぶ国民に与えられます（新
改訳）
◦ だから、言っておくが、神の国はあなたたちから取り上げられ、
それにふさわしい実を結ぶ民族に与えられる（新共同訳）
◦ Therefore I say to you, the kingdom of God will be
taken away from you and given to people producing
its fruits.(TLV Tree of Life Version) 定冠詞(the)がない

8.  聖書が聖書を解釈するという原則に則る
 一旦、人が作った神学は横においておく
 該当の単語（コイネーの原文）が、他にどの箇所でど
のように用いられているか確認する（コンコルダンスを
用いる）
 単語自身の意味を調べる

9.  使徒行伝10:35
 使徒行伝24:2
 使徒行伝24:10
 使徒行伝26:4
 ロマ書10:19
に該当の単語が出現している
検討の結果、少なくとも「異邦人」と解釈するのは意訳
（恣意的な訳）すぎる。国民と訳すのが妥当。

10.  ἔθνει
 a multitude (whether of men or of beasts)
associated or living together
◦ a company, troop, swarm
 a multitude of individuals of the same nature
or genus
◦ the human family
 a tribe, nation, people group
 in the OT, foreign nations not worshipping
the true God, pagans, Gentiles
 Paul uses the term for Gentile Christians

11.  昔から体系化された神学を適用し、検討する
◦ 組織神学
◦ 歴史神学（今までの神学者の理解など。～主義など）
◦ 使徒信条
 祈る
◦ 本当にそれが神様の意図なのか、祈る。黙想する
 発表する
◦ 自分の解釈を、他の人に言ってみることも大切

12.  聖書解釈にはいろいろな種類がある
 厳密に解釈するには、科学的な方法と、地道な研究
が不可欠である
 「偉い人が書いてるから」とか言う理由で、その解釈を
鵜呑みにしてはいけない
 聖書を解釈する責任と自由は、信者一人ひとりにある
◦ プロテスタントの原則

13.  神理解が深まる
 頑張り型クリスチャンからの脱却
 クリスチャン生活が楽になる
みなさんも、聖書を学んでみませんか？