イタリアにおける公共調達への入門.pdf
- 1. イ タ リ ア に お け る 公 共 調 達 へ の 入 門
イタリアの公共調達
イタリアでは、公共調達(Acquisti pubblici)は、行政が公共事業を委託したり、市場で商
品やサービスを購入したりするための主要な手段です(例:医薬品、機械、家具、ユニフォーム、
消費財、その他の商品やサービス)。
購入形式や、機会の宣伝方法、及び付託は、入札なしの直接譲渡や、交渉による手続き 、
及び「公開」入札 (一般公募)によって、異なります。
これらの方法は、手順の経済的価値 (いわゆる「EU のしきい値」soglia comunitaria)、緊
急性、およびその他の要因などに影響を受けます。
複雑な主題で頻繁に変更され、各業界で非常に固有であるため、一般的な性質の概要と
実用的な情報に限定します。
規制の要約
公共調達に関してイタリアで法的に最も基準となるのは、定期的に更新される公共調達法
(2016 年 4 月 18 日の法令第 50 号) です。 この立法文は更新され、2014/23 /EU;
2014/24/EU と 2014/25/EU を含む現行の欧州法令が主体となっています。 実際、EU 加
盟国にとっては、欧州の法律が国内の法律よりも優先されることを知っておくと役に立ちます。
公共調達の一般基準
公共契約法は、入札は、経済性、有効性、適時性および公平性の原則に従い、自由競
争、無差別、透明性、比例性および宣伝性の基準に従って実施されなければならないことを
定めています。
- 2. イタリアにおける公共調達の基礎データ
イタリア国家汚職防止機関 ANAC (Autorità Nazionale Anticorruzione)がイタリア議会
に提出した最新の年次報告書のデータによると、2021 年に 4 万ユーロを超える契約に対す
るイタリアの公共調達の経済的価値は約 2’000 億ユーロでした( 2020 年に対し+6.6%)、
そのうち 51.4%が公開入札によるものでした。
同 2021 年は、物品供給が 861 億ユーロ、サービスが 699 億ユーロ、工事契約が 434 億
ユーロに達しました。
また、2021 年に実施された入札の総数は 213’131 件(CIG 数)であり、入札一件あたりの
平均値は 935’615 ユーロであり、入札の 60.8% (金額で 65.1%)が電子上で行われまし
た(紙の提出無し)。
入札情報
入札(tender)による購入手続きに関しては、イタリア共和国官報(GURI)、委託者のプロ
フィール、および国のその他の公共システムに公開されていることを知っておくとよいでしょう。
入札価格が EU のしきい値(soglia comunitaria)(ケースによって異なり、定期的に更新さ
れる)を超える場合、欧州連合の官報(GUUE)およびイタリア全国および地方の新聞
(契約が授与される場所)で公示する必要があります。
イタリアの公共調達に参加するためのデジタルツール
現行のイタリアの規制には、以下を使用できることが不可欠です
– POSTA ELETTRONICA CERTIFICATA (PEC) (公認電子メール)
– FIRMA DIGITALE (デジタル署名)
– FATTURAZIONE ELETTRONICA (電子請求)
– SISTEMA PUBBLICO DI IDENTITÀ DIGITALE (SPID) (デジタルアイデンティ
ティの公認)
– MARCATURA TEMPORALE (タイムスタンプ)
- 3. – AVCPASS ( Authority Virtual Company Passport ) と
PASSOe(Economic Operator PASS)
– PAGOPA (“ ”
行政に支払う )
イタリアでビジネスをするのに不可欠な 7 つのデジタルツールはこのリンクの記事で詳しく説明さ
れています。
DGUE (DOCUMENTO DI GARA UNICO EUROPEO) 欧州単一入札資料
入札公募の構造は、管理部分の標準化と簡素化を目的とした DGUE (Single Europea
n Tender Document) 欧州単一入札資料をサプライヤーに作成させるケースが増加していま
す。
E-CERTIS
e-CERTIS は、委託者が公共調達に参加するためにの条件や、サプライヤーが入札に関し
ての必要条件を検索できる欧州の情報システムです。
– e-CERTIS https://ec.europa.eu/tools/ecertis/#/homePage
公共調達のためのオンラインプラットフォームと情報
以下の EU、イタリア、およびイタリアの地方自治体の公式リンクを通じて、進行中の入札、
以前の落札、必要条件、購入計画に関する情報を見ることができ、場合によっては準備が
整えばサプライヤーとして登録することもできます。
Italia
– イタリア共和国官報 (GURI)
https://www.gazzettaufficiale.it/ ;
– Acquistinretepa https://www.acquistinretepa.it/
EU
- 4. – EU 官報(GUUE)の TED 補足
https://ted.europa.eu/TED/
イタリアの地域公共プラットフォームの例
– Campania (Portale Gare Regione Campania)
https://pgt.regione.campania.it/portale/ ;
– Emilia Romagna (SATER-SITAR-ER) https://www.sitar-er.it/Sitar-ER/ ;
– Lazio (STELLA) https://centraleacquisti.regione.lazio.it/ ;
– Lombardia (ARIA/ Sintel) http://www.sintel.regione.lombardia.it/ ;
– Veneto (Bandi Regione Veneto) https://bandi.regione.veneto.it/ .
可能な限り、個々の入札当局(委託者)のサイトも確認することをお勧めします。 たとえば、
病院の入札の場合、入札当局が属する医療施設 (ASL、AUSL など)のサイトまたは要綱
で要求された情報を検索します。
入札を検索するためのオンラインウェブサイト
日本と同様に、機関、ポータル、サイト、および官報の間で、国と地域の両方の関連性のさ
まざまな層で情報が大きく断片化されていることを考慮して、イタリアには、入札を検索および
監視するための民間のサブスクリプションサービスもあります。 ここではいくつかの例を示します。
– Telemat https://www.telemat.it/
– Infoplus https://infoplus.gare.it/
行政とリスク管理
リスク管理は複雑な問題でここで全ては説明できません。 行政機関が遵守しなければならな
い支払い条件の義務や民間企業が採用できる、重大な支払い遅延リスクの防止や、落札
価格に関する市場の過酷さの回避、契約期間や、供給条件等のベストプラクティスです。
結論
イタリアの公共部門には数多くの絶対的な重要性があり、日本企業にとって大きな市場参
入の機会になる可能性もあります。たとえば、科学機器、医薬品・医療品、持続可能なモビ
リティや、例えば耐震技術、省エネ、SDGs(持続可能な開発目標)の素材を使っての建築
などの分野です。
これらの機会をつかむには、多くの忍耐力、粘り強さ、および地元市場の経験と市場の把握
を必要とする簡単ではない技術的および官僚的な障壁の乗り越えが要求されます。
適切な設定があれば、リスク、ミス、時間の無駄を軽減し、安定した確実な方法でビジネス
を多様化し、競合他社、製品、消費者に関する貴重な情報にアクセスできます。