土壌学第14章2. 湛水の利点
水がイネの生育の制限にならない
かんがい水による養分供給
塩類障害を受けにくい
地温の調節がある程度できる
連作か可能である
土壌浸食の防止
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3. かんがい水からの養分供給
かんがい水からの供給量 (単位:kg/10a)
T-N P K Ca Mg Na S Si Fe Cl
0.77 0.02 2.1 16.4 3 13 6.5 12.8 0.6 9.5
・イネは施肥しなくても
8割取れる。
→還元状態のリンの有
効化が要因
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・麦は要素がないと収量
落ちる。
→イネの湛水が有利だと
わかる。 3
4. 連作障害
土壌病原菌の多くは好気性菌
水田・・・湛水状態のため菌は死滅、増殖抑制
還元⇔酸化の環境変化で、
安定して生息できない
畑・・・土壌肥沃度よりも土壌病原菌が原因
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輪作が必要
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6. 水田の土層分化
酸化層
(微生物による有機物分解→有機物減少
→分解活動減少→微生物酸素消費量減少)
田面水中の酸素や藻類からの酸素により酸化
還元層
湛水により還元
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すき床層
酸化的下層土
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7. 脱窒
改善策:全層施肥or深層施肥
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8. 有機物の蓄積
水田
酸素が不足
→微生物による有機物の分解が鈍くなる
→有機物の蓄積
土の乾燥(乾土効果)・田面水の水温上昇
→有機態Nが無機態Nになる
畑
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有機物が分解しやすい
→作物残渣や堆肥の施与
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9. リンの有効化
水田
還元状態で
FePO4→Fe2(PO4)3
水に溶けやすく、吸収されやすい
畑
酸性土壌のため、リンの肥効は落ちる
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10. 土壌pHの変化
土壌pHが6.7~7.0に保たれる
H+ H2O
酸化状態 還元状態
Fe(OH)3 Fe(OH)2
H2O HCO3-
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土壌中の CO2
有機物
O2 H+
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11. 畑土壌の酸性化
窒素の形態変化も原因の一つ
NH4+ーN→NO3-N (硝化作用)
土壌に吸着されず、下方へ移動
↓
電気的中性を保つため
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陽イオンの交換性塩基も一緒に移動
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12. 水田土壌と畑土壌の比較
水田 畑
かんがい水からの
あり なし
養分補給
土壌構造 単粒 団粒
酸化還元状態 還元 酸化
連作障害 なし あり
蓄積有機物 多い 少ない
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窒素の有効化 大きい 小さい
リンの有効化 大きい 小さい
土壌pH 中性付近 酸性化
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13. 秋落ち現象
還元状態
Fe(OH)3→ Fe(OH)2
下層へ溶脱(老朽化)
硫安の施用でSO42-が残留
↓
H2Sが生成・残留
↓
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H2Sが養分吸収阻害
↓
イネの生育抑制
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14. 秋落ち現象の防止対策
鉄を含む資材や鉄が多く粘土含量が多い
山土を客土する
下層の鉄集積層を作土と混和する
硫酸根を含む肥料を使わない
ケイ酸、マンガンなどを含む資材の給与
中ぼしで一時的な酸化状態をつくる
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↓
今は多くの水田で解決している
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