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農業改良助長法
第一章 総則(第一条)
第二章 農業に関する試験研究の助長(第二条~第五条)
第三章 農業に関する普及事業の助長(第六条~第十四条)
第一章 総則
法律の目的
第一条(法律の目的)
この法律は、農業者が農業経営及び農村生
活に関する有益かつ実用的な知識を得、これを
普及交換することができるようにするため、農業
に関する試験研究及び 普及事業を助長し、も
つて能率的で環境と調和のとれた農法の発達、
効率的かつ安定的な農業経営の育成及び地域
の特性に即した農業の振興を図り、あわせて農
村生活の改善に資することを目的とする。
農業者が農業経営、農村生活に関する有益な情報を得る。
情報について普及交換できるようにする。
第一条(法律の目的)
目的
農業に関する試験研究と普及事業の助長
方法
能率的で環境と調和のとれた農法の発達
効率的かつ安定的な農業経営の育成
地域の特性に即した農業の振興
農村生活の改善
目標
ポイント
• 普及事業だけでなく試験研究の根拠法令で
ある。
• 「地域の特性」や「農村生活の改善」が重視
されている。
第二章 農業に関する試験研究の助長
試験研究に出される補助金の根拠
第二条(助成の基準)
第二条 政府は、農業に関する試験研究を助長す
るため、都道府県及びその他の試験研究機関に対
し、次に定めるところにより、補助金又は委託金(以
下この章において「資金」という。)を交付する。
一 国及び地方の農業事情からみて緊要と認めら
れる都道府県及びその他の試験研究機関の特
定の試験研究に要する経費について、その全
部又は一部
二 第七条第一項第二号及び第三号の協同農業
普及事業に必要な試験研究を行うための試験
研究施設の設置及び運営につき、都道府県の
要する経費について、その二分の一
第二条(助成の基準)
やること
• 補助金または委託金の交付
目的
• 農業に関する試験研究の助長
対象
• 都道府県及びその他の試験研究機関
助成基準
• 試験研究に要する経費(全部または一部)
• 普及事業に必要な試験研究を行うための経費(二分の一)
ポイント
試験研究のために国がお金を出してくれます。
第三条(農林水産大臣の任務)
第三条 農林水産大臣は、農業試験場その他
の試験研究機関における試験研究につき、そ
の重複反復を避け、成果を高め、結果報告の
形式を統一するために、結果報告の 具体的方
法を示すとともに、随時、最も重要と考えられる
検討方向を示し、その他この法律の目的を最善
に達成するため必要な忠告及び助力を与えな
ければなら ない。
第三条(農林水産大臣の任務)
目的
• 試験研究の重複反復を避ける
• 試験研究の成果を高める
• 試験研究の結果報告の形式を統一する
やること
• 結果報告の具体的方法を示す
• 最も重要と考えられる検討方向を示す
• 必要な忠告と助力を与える
ポイント
農林水産大臣は試験研究の結果報告方法な
んかに対してアドバイスをくれます
第五条(年次報告書)
第五条 農林水産大臣は、毎年度、都道府県又はその他の試
験研究機関がこの章の規定により資金の交付を受けて実施した
事業と農業に関する国の試験研究機関及び農業に関する試験
研究に関する業務を行う独立行政法人の試験研究事業とを検
討整理しなければならない。
2 農林水産大臣は、前項の検討整理の結果及びこの章の目
的のために定められた予算の支出額の年次報告書を作成し、
これを財務大臣に送付しなければならない。
3 内閣は、前項の年次報告書を、財政法(昭和二十二年法
律第三十四号)第四十条の規定による歳入歳出決算の添付
書類として、国会に提出するものとする。
第五条(年次報告書)
やらないといけない
• 資金交付を受けて実施した事業や試験研究の検討整理
誰が?
• 農林水産大臣
ほかにやること(第十四条でも規定)
• 検討整理の結果と使った予算の支出額の報告書作成
(財務大臣に送付)
• 報告書は内閣が決算の添付書類として国会に提出
ポイント
試験研究の結果は農水大臣が整理して予算の
支出額とともに報告書にしないといけない。
第三章 農業に関する普及事業の助長
第六条(助成の目的)
第六条 政府は、農業者が農業経営及び農村生活に関する
有益かつ実用的な知識を取得交換し、それを有効に応用す
ることができるように、都道府県が農林水産省と協同 して行う
農業に関する普及事業を助長するため、この章の規定に従
い、都道府県に対し協同農業普及事業交付金(以下単に「交
付金」という。)を交付する。
2 農林水産大臣は、前項の規定による交付金の交付につ
いては、各都道府県の農業人口、耕地面積及び市町村数
を基礎とし、各都道府県において協同農業普及事業を緊
急に実施することの必要性等を考慮して政令で定める基
準に従つて決定しなければならない。
3 この法律は、個人的寄附又は農業協同組合その他政府
若しくは都道府県以外の団体によつて支持されている普
及事業を打ち切り、又は退歩させる意図があると解すべき
ではない。
第六条(助成の目的)
目的
• 農業者が農業経営と農村生活に関する情報の取得交換、応用が行える。
やること
• 都道府県に対する協同農業普及事業交付金の交付
交付額の決定
• 農業人口、耕地面積、市町村数を基礎とする
• 協同農業普及事業の実施の緊急性等を考慮する
注意事項
• 農協その他の団体による普及事業を打ち切ったり退歩させたい訳ではない
ので勘違いしないように。
ポイント
国が都道府県に対し、
協同農業普及事業交付金を交付する。
第7条1(協同農業普及事業とは)
第七条 この章の規定により交付金を交付される「協同農業普及事
業」とは、次に掲げるものをいう。
一 普及指導員を置くこと。
二 普及指導員が次条第二項各号に掲げる事務を行うことにより、
普及指導活動を行うこと。
三 普及指導センターを運営すること。
四 普及指導協力委員が第十三条第二項の規定により活動を行う
こと。
五 農業者研修教育施設において農業後継者たる農村青少年そ
の他の農業を担うべき者に対し近代的な農業経営の担当者として
必要な農業経営又は農村生 活の改善に関する科学的技術及び
知識を習得させるための研修教育を行うこと。
六 普及指導員の研修及び農業経営又は農村生活の改善を目的
とする農村青少年団体の指導者の育成を行うこと。
第7条1(協同農業普及事業とは)
やること
• 普及指導員を置く。
• 普及指導員が普及指導活動を行う。
• 普及指導センターを運営する。
• 普及指導協力委員が活動を行う。
• 農業者研修教育施設において農村青少年などを対
象とした研修を行う。
• 普及指導員の研修を行う。
• 農村青少年団体の指導者の育成を行う。
普及指導協力委員?
第十三条にて規定
第十三条 都道府県は、農業又は農産物の加工若しく
は販売の事業その他農業に関連する事業について識
見を有する者のうちから、普及指導協力委員を委嘱す
ることができる。
民間の有識者や、先進的農業者が選ばれる場合が多いよう
です。大分では税理士を委員として活用している事例も。
愛知県では「普及指導協力委員」という名称での委嘱は無い
模様(?)
ポイント
普及員と普及センターの設置根拠。
後継者育成のための研修を行うことも規定。
普及指導員の研修を行うことも規定。
第7条2~4(運営指針)
2 農林水産大臣は、政令で定めるところにより、次に掲げる
事項を内容とする協同農業普及事業の運営に関する指針
(以下「運営指針」という。)を定めるものとする。
一 普及指導活動の基本的な課題
二 普及指導員の配置に関する基本的事項
三 普及指導員の資質の向上に関する基本的事項
四 普及指導活動の方法に関する基本的事項
五 その他協同農業普及事業の運営に関する基本的事項
3 農林水産大臣は、運営指針を定め、又はこれを変更しよ
うとするときは、あらかじめ、都道府県の意見を聴かなければ
ならない。
4 農林水産大臣は、運営指針を定め、又はこれを変更し
たときは、遅滞なく、都道府県に通知しなければならない。
第7条2~4(運営指針)
農林水産大臣の仕事
• 協同農業普及事業の運営に関する指針(運営指針)を定
める
運営指針で定めること
• 普及指導活動の基本的課題
• 普及指導員の配置に関する基本的事項
• 普及指導員の資質向上に関する基本的事項
• 普及指導活動の方法に関する基本的事項
• その他いろいろ
ポイント
普及事業の基本的な事項は
国(農林水産大臣)が
運営指針によって定めている
第七条5~9(実施方針)
5 協同農業普及事業は、この章の規定により交付金の交付を受け
る都道府県が、運営指針を基本として定める協同農業普及事業の実
施に関する方針(以下 「実施方針」という。)に従つて、これを実施す
るものとする。
6 実施方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 普及指導活動の課題
二 普及指導員の配置に関する事項
三 普及指導員の資質の向上に関する事項
四 普及指導活動の方法に関する事項
7 実施方針には、前項各号に掲げる事項のほか、協同農業普及
事業の実施に関する事項を定めるよう努めるものとする。
8 第五項の都道府県は、第四項の規定による通知を受けたときは、
遅滞なく、実施方針を定め、又はこれを変更しなければならない。
9 第五項の都道府県は、実施方針を定め、又はこれを変更したと
きは、遅滞なく、農林水産大臣に報告しなければならない。
第七条5~9(実施方針)
都道府県がやること
• 運営指針を基本に、協同農業普及事業の実施に関する方針
(実施方針)を定める
実施方針で定めること
• 普及指導活動の課題
• 普及指導員の配置に関する事項
• 普及指導員の脂質の向上に関する事項
• 普及指導活動の方法に関する事項
• その他、協同農業普及事業の実施に関する事項を定めるよう
に努める
ポイント
普及事業の少し具体的な内容は
各都道府県が実施方針によって定める
第八条(普及指導員)
第八条 都道府県は、前条第一項第二号、第五号及び第六号の協
同農業普及事業を行うため、普及指導員を置く。
2 普及指導員は、次に掲げる事務を行う。
一 試験研究機関、市町村、農業に関する団体、教育機関等と密
接な連絡を保ち、専門の事項又は普及指導活動の技術及び方法に
ついて調査研究を行うこと。
二 巡回指導、相談、農場展示、講習会の開催その他の手段により、
直接農業者に接して、農業生産方式の合理化その他農業経営の改
善又は農村生活の改善に関する科学的技術及び知識の普及指導を
行うこと。
3 都道府県は、普及指導員の行う前項第一号の調査研究と都道
府県試験研究機関等の行う前条第一項第二号の協同農業普及事業
に必要な試験研究とが緊密な連絡を保ちながら行われることにより、
有用な成果が得られるよう必要な措置を講ずるものとする。
第八条(普及指導員)
普及指導員の事務
• 調査研究を行う
• 直接農業者に接して普及指導を行う
都道府県の役割
• 調査研究と試験研究が緊密な連携を保ち
つつ行われることで有用な成果が得られる
よう、必要な措置を講ずる
ポイント
普及指導員の仕事は調査研究と普及指導であ
る。
調査研究は研究機関の試験研究と連携して行
う。
第十二条(普及指導センター)
第十二条 都道府県は、普及指導センター(以下「セン
ター」という。)を設けることができる。
2 センターは、次に掲げる事務をつかさどる。
一 普及指導員が第八条第二項各号に掲げる事務を
行うことにより得られた知見の集約その他農業経営及
び農村生活の改善に関する科学的技術及び知識の
普及指導を総合するための活動を行うこと。
二 農業者に対し農業経営又は農村生活の改善に関
する情報を提供すること。
三 新規就農を促進するための情報の提供、相談そ
の他の活動を行うこと(第七条第一項第五号の研修教
育を除く。)。
第十二条(普及指導センター)
都道府県ができること
• 普及指導センターの設置
普及指導センターの司る事務
• 調査研究によって得られた知見の集約
• 農業経営、農村生活の改善に関する技術・知識の
普及指導の総合
• 農業者に対する情報提供
• 新規就農促進のための情報提供や相談
ポイント
普及指導センターは設置「できる」
調査研究、普及指導だけでなく、新規就農相談
も役割として条文に明記されている
その他の条文
第九条:普及指導員資格試験に合格したもの
が普及指導員に任用されると規定。
第十条:普及指導員の研修を実施するよう規定。
第十一条:普及指導手当を支給することができ
ると規定。

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