1. 現在の社会が抱えているさまざまな問題（地震、エネルギー、もの
づくりなど）に対し、工学的な解決策を提示できるような技術の創出・
蓄積を行うことが東京大学生産技術研究所の使命です。千数百名の
研究者・教職員を擁する日本最大規模の研究所で、5つの研究
部門と8つの研究センターを中心として構成され、今回Panasasが
導入された革新的シミュレーション研究センターは、生産技術研究
所付属の教育・研究施設として平成20年1月に設置されました。
「計算科学シミュレーションは、21世紀において最も発展が期待さ
れる分野のひとつです。しかし、我が国では超高速計算機を最大限に
活用できる実用的な計算科学シミュレーションソフトウェアの研究
開発が遅れており、人材育成を含めた産業界への普及促進が急務と
なっています」そう語るセンター長の加藤千幸氏。センターの目的
は、世界をリードする先端的シミュレーションソフトウェアの研究
開発、研究開発成果の社会への普及、そしてシミュレーションソフト
ウェアを開発・利活用できる人材育成のための教育基盤の強化
です。革新的シミュレーション研究センターでは、平成14年度から
3つの文部科学省のプロジェクトを実施（前身の計算科学技術連携
研究センターでの実施を含む）しており、我が国独自のシミュレー
ションソフトウェアの研究開発を進めてきました。また、平成22年度
からは、東京大学生産技術研究所を代表機関とし、JAEA、JAXAの
3つの機関により、京速コンピュータ「京」を中核とする文部科学省
HPCI戦略プログラム「分野4 次世代ものづくり」を実施してい
ます。
大学の研究者のひとりよがりではなく、産業界やソフトウェアベン
ダーなど、産官学が連携して始まった日本の次世代ものづくりへの
チャレンジ。センターでは、有期の国家プロジェクト等が終了後も
その成果である先端的なソフトウェアが継続的にバージョンアップ
され、産業界等のユーザに安心して使っていただけるようにする
ことをめざして、引き続き関連研究機関、産業界、協力ソフトウェア
メーカー／ベンダー等との取り組みを継続していくといいます。
では具体的に、Panasasがどのようなシステムにおいて研究
開発に貢献しているのかを特任研究員の吉廣保氏にお聞きしま
した。
吉廣氏：当初、当センターでは、プロトタイプとして構築した1ラック・36ノードの
サーバに対して、ワーキングディレクトリ用のストレージとしてPanasasを
1シェルフ、ホームディレクトリ用としてiSCSIディスクを用いたファイルサーバ
を1台導入し提供していました。
しかし、研究グループのユーザによってはワーキングとホームを使い分けずに
大規模な並列計算を実行してしまうことがあり、その結果、ホームディレクトリを
共用しているシステム全体に遅延やスループットの低下が多々生じていました。
遅いストレージがシステムの中にあると、それが全体の足を引っ張る事態が起き
ていたわけです。
今回新たに2つのシステム（6ラック・144
ノード）を増強して、ワーキングディレクトリ用の
Panasasを3シェルフに拡張し、ホームディレ
クトリ用もPanasas1シェルフへと刷新した
ことで、トータルで36＋144ノードのファイル
アクセスにおいて遅延や渋滞、作業の中断が
すべて解消されました。
Panasas ActiveStor 導入事例
Parallel Storage Clusters
東京大学生産技術研究所
革新的シミュレーション
研究センター 様
総計180ノードのサーバのストレージを、
すべてPanasas に増強刷新！
東京大学生産技術研究所
革新的シミュレーション研究センター長・教授
加藤 千幸 氏
東京大学生産技術研究所
革新的シミュレーション研究センター
特任研究員
吉廣 保 氏
生産技術革新の基盤となる
シミュレーションソフトウェア研究開発プロジェクト、
日本の次世代ものづくり を推進する
HPCI 戦略プログラムに貢献するPanasas。
東京大学生産技術研究所
革新的シミュレーション研究センター
・平成22年∼27年度
文部科学省HPCI戦略プログラム
「分野4 次世代ものづくり」
・平成14年∼17年度
文部科学省ITプログラム
「戦略的基盤ソフトウェアの開発」
・平成20年∼24年度
文部科学省次世代IT基盤構築のための研究開発
「イノベーション基盤シミュレーションソフトウェアの研究開発」
・平成17年∼19年度
文部科学省次世代IT基盤構築のための研究開発
「革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発プロジェクト」
連携
参加企業：製薬、IT、精密機器、家電、
電機、重工業、自動車、
鉄道、ほか多数
○他大学
○関連研究機関
○協力ソフトウェアメーカ
○協力ソフトウェアベンダー
等
スーパーコンピューティング技術
産業応用協議会

2. ※本カタログに記載の会社名、商品名は、各社の商標または登録商標です。本カタログに記載の仕様については、予告なしに変更することがあります。
開発・製造元
本 社：〒154-0012 東京都世田谷区駒沢1-16-7
TEL.03-5712-8070 FAX.03-3419-9679
http://www.ctc-g.co.jp/ ctcsp/
sp-admin@ctc-g.co.jp
国内販売代理店
・霞が関：TEL.03-6203-5190
・大 崎：TEL.03-6417-5950
・名古屋：TEL.052-203-2239
・大 阪：TEL.06-6439-8860
・福 岡：TEL.092-734-6251
Panasas ActiveStor 導入事例
Parallel Storage Clusters
東京大学生産技術研究所
革新的シミュレーション研究センター 様
加藤氏：ストレージのファイルコントローラを増やしていきシステム全体のスルー
プットを上げる、このアプローチはどのベンダーも同じです。しかしHPCの分野に
おいては、データは同じシステム上にあるのではなく、別の場所のシステムに
あることが多々あります。近い将来には、ペタバイト級のストレージにあるデータ
の転送速度はテラバイト/秒でないと困ることになると考えています。今はどん
なに頑張っても一つのポートでギガバイト/秒です。現在の性能でも、DNAシー
ケンサ等でデータを全部専用ストレージで管理するとか、多くの研究者が同一
システムのストレージにアクセスする分には問題は生じないと思われます。
しかし、今後の産官学連携を想定したHPCでは、１ペタバイトのメモリを使って、
10ペタバイトのデータを1万台のローカルストレージに吐き出して、そこから
ひとりの研究者が１ペタバイトのデータをあっちからこっちへ持って行く、などと
いうことも考えなければいけません。ペタバイト
級のデータ移行の問題を解決していかなけれ
ば、HPC分野のストレージに未来はないのでは
ないでしょうか。
「京」では8 万個のCPUがあり、パラレルで
処理されて高速化を図っています。ストレージ
のHPCアクセスが現在のままではなく、CPU
とネットワークを介してパラレルにやりとりでき
るような革新的なプロトコルやステージングに
ついて考える時代が来ているといえます。
HPC Issue
［次世代ものづくり・計算機システム（抜粋）］
過去のデータ移行やストレージ拡張もまったく不安なし！
CTCSPの的確なアドバイスにも満足している（吉廣氏）
吉廣氏：Panasasの導入については、私が担当する前から決まっていたことではありますが、求めて
いたスループットとコスト、この両面で対抗製品がひとつもなかったことが決め手となったと聞いて
います。平成22年3月の導入から昨年の更新拡張も含め、研究開発データが消えてしまった！などと
いうトラブルも一切起きていません。今のところ、ドライブの故障による交換等もなく、信頼性の高さ
には満足しています。今回、複数のシステムでPanasasを導入することになったのですが、システムを
統合する際の設定の注意点やデータ移行作業のポイント等もCTCSPさんからは的確なアドバイスを
いただき感謝しています。当センターでは、複数のシミュレーションソフトウェアを開発しており、それ
ぞれにファイル入出力の形態が違うため、PanasasのI/O性能をどこまで十二分に活かしているかは
見えにくいのですが、今のところまったく問題なくプロジェクトが進んでいます。管理運用の立場と
して、私自身はすごく満足しているというのが本音ですね。
ビジュアルテクノロジー株式会社
代表取締役社長
川股 敦 氏
川股氏：平成5年の創業以来、科学技術計算のHPC分野を歩んでおり、独立系
企業としてはオンリーワンの存在であると自負しています。お客様の半数は、
官公庁および学術関連組織の皆様で、日本で初めてパーソナルなHPC を提供
した歴史を持ちます。このたび、東京大学生産技術研究所の加藤先生のセンター
においてプロトタイプシステムを導入時にPanasasをご選択いただきました
が、この際弊社が窓口となり、いわばHPCのコンシェルジュとしてお役に立って
います。Panasasの選定にあたっては、「パフォーマンスが確実に出ること」
「HPC分野で実績があること」「Web管理による使い勝手がよく、万一のトラブル
対応も容易であること」などを前提に検証しました。こうした条件を唯一満たす
製品がPanasasであったわけです。たとえば、平成22年度の初回導入時には
panasas1台で1.5GBb/sのベンチマーク性能が求められたわけですが、設置
後2時間ほどでチューニングなしで要求性能が
問題なく出ました。また翌年、2台増設し計3台
に拡張した際にも想定した通りリニアにパフォー
マンスが向上しました。今後はより低コストの
モデルを投入していただき、多くの研究機関の
イノベーションにお役に立てればと思います。
今後のHPCにおけるストレージには何が求められてくるのか、
加藤先生に忌憚のないご意見をお聞きしました。
48Port GbE Switch
Panasas PAS12
10GbE×4本
10GbE×2本
IB QDR
×1系統
36Port IB Switch
×4台
GPUノード
×4台
演算ノード
×17台
48Port GbE Switch
10GbE×4本
IB QDR
×1系統 36Port IB Switch
×5台
GPUノード
×2台
演算ノード
×25台
48Port GbE Switch
10GbE×4本
IB QDR
×1系統
36Port IB Switch
×6台
GPUノード
×2台
演算ノード
×19台
演算ノード
×6台
48Port GbE Switch
10GbE×4本
IB QDR×2系統
演算ノード
×25台
48Port GbE Switch
10GbE×4本
IB QDR×2系統
36Port IB Switch
×4台
演算ノード
×25台
48Port GbE Switch
次世代ものづくり分野研究支援環境システム
次世代ものづくり分野大規模データの可視化処理支援システム
次世代ものづくり分野研究支援環境プロトタイプシステム
40PortGbESwitch
36Port GbE
Switch
Force10 S4810
Panasas PAS12
10GbE×4本
10GbE×2本
10GbE×4本
Panasas PAS12
10GbE×2本
Panasas PAS12
10GbE×2本
IB QDR×2系統
36Port IB Switch
×4台
演算ノード
×19台
演算ノード
×36台
HPC Concierge
HPCコンシェルジュとして、産官学のニーズに
幅広く応えていくのがビジュアルテクノロジーの使命です。
36Port IB Switch
×6台