Climate Change and Human Sustainability (Japanese)9. 9
(出典)NASAウエブサイト, “2018 Fourth Warmest Year in Continued Warming Trend, According to NASA, NOAA”
https://www.nasa.gov/press-release/2018-fourth-warmest-year-in-continued-warming-trend-according-to-nasa-noaa
NASAは、2014年~2018年の5年間は、記録史上最も暑い5年間で
あったとして、気候変動による深刻な影響について警告している。
地球全体の温度は確実に上昇している
10. 10
© STEEN ULRIK JOHANNESSEN / AFP グリーンランド西岸のフィヨルドで、融解した氷の間を進む船 (2008年8月28日撮影)
グリーンランドと南極の氷床が解けて海に流出した数十億トンもの水により、数十年
もしないうちに異常気象が増加し、局地的に気候が不安定化する恐れがあると指摘
する研究が、英科学誌ネイチャーに掲載(AFPBB News 2019年2月7日)
そして、色が白から青に変化することにより、太陽から受ける熱の吸収量も上がり、
温暖化が加速化するといわれる。
20. (出典)「The Global Risks Report 2019 14th Edition」(世界経済フォーラム)
201820172015 2016
ダボス会議を主催する世界経済フォーラムがまとめた2019年グローバルリスク報告書
によれば、発生可能性が高いリスクの1位が「極端な気象現象」、2位が「気候変動
緩和及び適応の失敗」とされた。
発
生
可
能
性
が
高
い
リ
ス
ク
1位
2位
3位
4位
5位
世界の経営者は気候変動をリスクと捉えている
負
の
影
響
が
大
き
い
リ
ス
ク
1位
2位
3位
4位
5位
2019
*黄色の丸囲みは気候変動関連のリスク
1位「極端な
気象現象」
2位「気候変
動緩和・適
応の失敗」
3位「自然
災害」
3位「極端な
気象現象」
2位「気候変
動緩和・適
応の失敗」
5位「自然
災害」
22. • 累積CO2排出約3兆トンで、地球全体の平均温度は2度上昇(IPCC)。
• 既に約2兆トンを排出済み。2度上昇にとどめるには、残り約1兆トン(現行ペースで約
30年)しか燃やせない。
• 化石燃料の埋蔵量を全て燃やすと約3兆トン排出相当、つまり3分の2は単純に
は燃焼できない。 → 「座礁資産」
• 1.5度上昇に抑えるためには排出を更に抑える必要。
出所 OECD “Divestment and Stranded Assets in the Low-carbon Transition”, p.4, 2015年10月(化石燃料の可採埋蔵量についてはCarbon Tracker Initiative and The
Grantham Research Institute, LSE “Unburnable Carbon 2013: Wasted capital and stranded assets”が原著)を基に環境省作成
1.89兆トン
1.74兆トン
既に
排出
2℃目標を達成するための
累積許容CO2排出量
3.01兆トン
2.86兆トン
化石燃料の可採埋蔵量に
含まれるCO2排出量
燃焼
できない
1.12兆トン 1.12兆トン
22
残る許容
排出量 燃焼
できる
気温上昇を2℃にとどめる場合、燃やせる化石燃料の量は決まる。
23. 分野 社名 石炭ダイベストメントの内容
開発・
生産
三菱商事 2018年12月、豪州で発電に使う燃料用石炭の権益の
売却を決定。燃料用石炭の権益がゼロへ。
三井物産 同上
リオ・ティント
(豪・英)
2018年3月、豪州の炭鉱を売却。石炭資産を持たない
初の資源メジャーに。
発電 丸紅 2018年9月、石炭火力発電所の新規開発から撤退を
表明。30年までに保有する石炭火力事業を半分に。
エンジー(仏) 2015年、石炭火力発電所の新規開発から撤退を表明。
投融資 ノルウェー政
府年金基金
2015年、8000億円規模の石炭火力の関連株を売却。
日本生命保険 2018年、CO2排出の多い石炭火力への融資停止を表
明。
(出典) 2018年12月24日日本経済新聞1面「脱石炭の波 商社にも」
石炭ダイベストメントの動き: 経営者は気候リスクに敏感
26. 26(出典) IGBP, Global Changeの図に講師が追記
現代は「完新世」から「人新世」へ?
「完新世」
Anthropocene?
「人新世?」
完新世における気温変化が非常に少ない安定した
気候の下、人類は、農耕を開始し、文明を発展させる
ことができたとされている。
産業革命以降の人為的な気温急上昇は、新しい地
質区分(人新世)とも言える変化であり、人類の発展
基盤を損なうものと言われる。
地質年代のうち最も新しい区分
で、約1万年前、最後の氷河期
が終わった以降現在までを指す。
27. 27
(IPCC AR5 SYR SPM p.13, 8-9行目)
• 気候変動は、既存のリスクを増幅し、自然及び人間シス
テムにとって新たなリスクを引き起こすだろう
(IPCC AR5 SYR SPM p.13, 9-10行目)
• リスクは偏在しており、どのような開発水準にある国々
においても、おしなべて、恵まれない境遇にある人々や
コミュニティに対してより大きくなる
それでは「裕福な先進国」である日本は気候変動による
影響は小さいと言えるか?
気候変動によるリスクとは?
28. 図: 洪水被害の事例(愛知県 広田川)
(写真提供:国土交通省中部地方整備局)
図 サンゴの白化(写真提供:環境省)
農山村の過疎化や狩猟人口の減少等に加え、
積雪の減少も一因と考えられる。
農林産物や高山植物等の食害が発生
熱中症・
感染症
異常気象・災害
2015年夏、 救急車で搬送された熱中症患者の
19市・県計は14,125人となった。
短時間強雨の観測回数は増加傾向が明瞭に現れている。
(写真提供:中静透)
米・果樹
・水稲の登熟期(出穂・開花から収穫までの期間)の
日平均気温が27℃を上回ると玄米の全部又は一部
が乳白化したり、粒が細くなる「白未熟粒」が多発。
・特に、登熟期の平均気温が上昇傾向にある九州地方
等で深刻化。
成熟後の高温・多雨により、果皮と果肉が
分離する。(品質・貯蔵性の低下)
図: みかんの浮皮症
(写真提供:農林水産省)
米が白濁するなど品
質の低下が頻発。
図 ヒトスジシマカ
(写真提供:国立感染症研究所
昆虫医科学部)
生態系
サンゴの白化・ニホンジカの生息域拡大
デング熱の媒介生物
であるヒトスジシマカ
の分布北上
(出典:気候変動監視レポート2016(気象庁))
(出典:熱中症患者速報平成27年度報告
(国立環境研究所)より作成)
図 水稲の「白未熟粒」(左)と
「正常粒」(右)の断面
(写真提供:農林水産省)
日本において既に起こりつつある気候変動の影響
29. 一方、気候影響は地球規模。海外の気候影響は日本にも。
環境省 29出典:図. IPCC AR5 SYR SPM Fig. SPM.4
グローバライゼーションにより世界がつながっている現在、気候影響を
一国のみで語ることはできない。
図:AR4以降の入手可能な科学的文献に基づいて気候変動が原因であると特定された広範にわたる影響
氷河、雪、氷かつ/又は永久凍土
沿岸侵食かつ/又は
海面水位の影響
河川、湖、洪水かつ/又は干ばつ
陸域生態系
火災
海洋生態系
食料生産
生計、健康かつ/又は経済
確信度の幅を示す
気候変動が原因として
特定されたことの確信度
地域全体にわた
る研究の有効
性に基づいて、
特定された影響
白抜き:気候変動の寄与は小さい
中塗り:気候変動の寄与は大きい
物理システム
生物システム
人間及び管理システム
非常に
高い
高い中程度低い
非常に
低い気
候
変
動
に
起
因
す
る
観
測
さ
れ
た
影
響
※オーストラリアとニュージーランドの国土、領土、沿岸水域及び排他的経済水域の海洋島として定義(IPCC AR5 WGII Chp25 p.1377)
●各地域の右下楕円中の数字は、2001年から2010年に公表された気候変動に関する文献の地域別の合計(IPCC AR5 SYR SPM Fig.SPM.4キャプション)
北米 欧州 アジア
アフリカ
小島嶼
中米・南米
極域(北極及び南極)
オーストラレーシア※
30. 例えば、食料生産に関するリスク
30
(IPCC AR5 SYR SPM p.13, 31行目)
• 気候変動は、食料の安全保障を低下させると予測
• 気候変動により、海洋生物種の世界規模の分布変化や
影響されやすい海域における生物多様性の低減が、漁
業生産性やその他の生態系サービスの持続的供給に
対する課題となるだろう
• 熱帯及び温帯地域のコムギ、米、及びトウモロコシにつ
いて、その地域の気温上昇が20世紀終盤の水準より2℃
又はそれ以上になると、個々の場所では便益を受ける
可能性はあるものの、気候変動は適応なしでは生産に
負の影響を及ぼすと予測
• 20世紀終盤の水準より4℃程度かそれ以上の世界平均
気温の上昇は、食料需要が増大する状況では、世界規
模で食料安全保障に大きなリスクをもたらしうる
(IPCC AR5 SYR SPM p.13, 31-33行目)
(IPCC AR5 SYR SPM p.13, 33-35行目)
(IPCC AR5 SYR SPM p.13, 35-37行目)
日
本
の
食
料
自
給
率
は
?
海
外
の
食
糧
危
機
は
日
本
に
ど
の
よ
う
に
影
響
?
33. • 近年、夏季の高温により
主要米の品質低下が顕
在化。
• 農業研究センターが高温
耐性に優れる品種を開
発し、推奨品種に採用す
ることで、順次品種転換
を促進。
農林水産業
高温耐性品種への転換
• 「熱中症予防情報サイト」を
通して、当日の暑さ指数と熱
中症危険度を公表し、国民
に注意喚起している。
• 「熱中症環境保健マニュア
ル」を策定し、自治体、学校、
国民等に対して、熱中症被
害の軽減策を周知している。
自然災害・沿岸域
将来の水位変化に対応できる設計
出典: 環境省
自然生態系
サンゴのモニタリングや移植・増殖
出典: 環境省
• 海水温の上昇により、
サンゴの白化が深刻な
状況。
• サンゴ礁生態系の状況
をモニタリングするとと
もに、劣化したサンゴの
回復を目指し、サンゴの
移植や人工岩礁での増
殖を行っている。
③将来
巻上機の改造
④将来
ゲート規模の拡大
①基礎
部分の
増強出典: 国土交通省
着床具に付着して
成長したサンゴ
• 将来の豪雨の頻発化等を見
越して、できるだけ手戻りの
ない施設の設計に着手。
• 設計段階で幅を持った降水
量を想定し、基礎部分をあら
かじめ増強するなど、
施設の増強が
容易な構造
形式を採用。
②門柱の
高さの確保
健康
熱中症の注意喚起
例:愛知県
日光川水閘門
暑さ指数(WBGT)
の実況・予測
出典: 農林水産省
広島県 高温耐性品種
「恋の予感」
33
日本の具体的な適応策の例
34. (写真)Jeremy Cohen, Penn State University
NASA, Global Climate Change, “Keeping an eye on
coral reef health from space “, 2015年6月17日
34
(写真)グレートバリアリーフにて
Andreas Dietzel/ARC Center of Excellence for Coral
Reef Studies
New York Times, 2016年12月1日
• 1.5°Cの地球温暖化の場合、
サンゴ礁は70~90%減少
• 気温上昇が2°Cに達した場
合、サンゴ礁は事実上全滅
(99%超が死滅)
(出典) IPCC1.5℃特別報告書
多様な生物の生息場所であ
るサンゴの死滅は、それら生
物の死滅をも意味する。
42. • 1992年 気候変動枠組条約採択
• 1994年 同条約発効
• 1997年 京都議定書採択
(2002年 日本の議定書批准)
• 2005年 京都議定書発効
• 2008~2012年 京都議定書第一約束期間
• 2009年 COP15 @コペンハーゲン(失敗?)
• 2010年 COP16 @カンクン(カンクン合意)
• 2015年 COP21 @パリ (パリ協定合意)
• 2016年 パリ協定発効
• 2018年 COP24 @ポーランド
(実施指針:ルールブック採択)
42
(写真) COP3(地球温暖化防止京都会議)
(出典)全国地球温暖化防止活動推進センター
(写真)環境省資料より
京都議定書からパリ協定へ
8年
1年
43. パリ協定の概要
目的 世界共通の⾧期目標として、産業革命前からの平均気温の
上昇を2℃より十分下方に保持。
1.5℃に抑える努力を追求。
目標 上記の目的を達するため、今世紀後半に温室効果ガスの人
為的な排出と吸収のバランスを達成できるよう、排出ピークを
できるだけ早期に迎え、最新の科学に従って急激に削減。
各国の目標 各国は、約束(削減目標)を作成・提出・維持する。
削減目標の目的を達成するための国内対策をとる。
削減目標は、5年毎に提出・更新し、従来より前進を示す。
⾧期戦略 全ての国が⾧期の低排出開発戦略を策定・提出するよう努
めるべき。
(COP決定で、2020年までの提出を招請)
グ ロ ー バ ル ・
ストックテイク
(世界全体で
の棚卸ろし)
5年毎に全体進捗を評価するため、協定の実施を定期的に
確認する。
世界全体の実施状況の確認結果は、各国の行動及び支援
を更新する際の情報となる。 43
44. 44
(出典) (公財)地球環境産業技術研究機構(RITE) システム研究グループ グループリーダー 秋元 圭吾氏作成資料
(2017年12月6日)を基に筆者が一部改変。http://www.rite.or.jp/news/events/pdf/akimoto-ppt-kakushin2017.pdf
京都議定書 パリ協定
A国 B国 C国 A国 B国 C国
先進国全体で少なくとも5%削減
各先進国に排出上限量を割当
国際的なレビューを実施
各国が定めた国別貢献(削減
等)を提出
削減目標は先進国(附属書Ⅰ国)のみ
中国・インド等の新興国に削減目標は
無し
削減目標達成に関し、法的拘束力あり
(罰則規定あり)
先進国のみならず中国・インド等の新興
国も取り組む
プレッジ&レビュー
(目標提出、実施状況の査察受入れは法
的拘束力があるが、目標達成自身は法的
拘束力は無い。目標は各国が自ら設定。)
京都議定書とパリ協定
ト
ッ
プ
ダ
ウ
ン
プ
レ
ッ
ジ
&
レ
ビ
ュ
ー
45. 45
*図中の吹き出しは原図に追加したもの
出典:図. IPCC AR5 SYR SPM Fig. SPM.5(b)
※1:1861-1880年平均と比較
2100年までの範囲では、CO2の
累積排出量と予測される世界平
均気温変化量の間にはほぼ比例
の関係がある
1861-1880年平均との気温差(℃)
1870年以降の人為起源CO2累積排出量(GtCO2)
66%超の確率で人為起源の全気温上昇を
2℃未満※1に抑える場合には、1870年以降
の全ての人為起源の発生源からのCO2累積
排出量を約2900GtCO2未満に留めることが
求められる2000年代の
観測値
人間に起因する気温上昇の合計
ベースライン
ベースラインシナリオ:
排出を抑制する追加
的努力のないシナリオ。
(IPCC AR5 SYR SPM p.8,
26-27行目)
(参考 IPCC AR5 SYR SPM p.8, 30-33行目)
(IPCC AR5 SYR SPM p.10, 1-3行目)
人為起源CO2累積排出量と気温上昇
46. 46
図:人為起源のCO2の年間排出量
出典:図. IPCC AR5 SYR SPM Fig. SPM.5(a)
代表的濃度経路シナリオ(線)及びWGIIIで用いられた関連するシナリオ
区分におけるCO2単独の排出量(着色部分は5~95%の範囲)
(IPCC AR5 SYR SPM Fig. SPM.5キャプション)
年間排出量(GtCO2/年)
過去の排出量 RCPシナリオ
(年)
AR5WGIIIシナリオデータベースの2100年における全範囲
WGIIIのシナリオ区分
ppm CO2換算
ppm CO2換算
ppm CO2換算
ppm CO2換算
ppm CO2換算
ppm CO2換算
人為起源CO2年間排出量と気温上昇
年間排出量(GtCO2/年)
2℃上昇以内に抑え
るため、21世紀末ま
でに排出量を実質
ゼロにする必要
: 非常に高いGHG排出となるシナリオ
: 中間的なシナリオ
: 厳しい緩和シナリオ
: 中間的なシナリオ
47. Special report on global warming of 1.5℃
47
(出典) IPCC Special Report: Global Warming of 1.5 degree
IPCCの最新の知見:1.5℃特別報告書(2018年10月)
気温
上昇
1.5℃
1℃
現在の排出が続けば2030~2052
年の間に1.5℃上昇に達する。
*将来の温度予測の局線幅は、2055年にCO2排出量
を実質ゼロ、CO2以外の温室効果ガス排出を2030年
以降に減少させた場合のシナリオ
53. 国名 2020年目標
(カンクン合意)
2020年以降の目標(パリ協定)
日本 -3.8% (2005年比) 2030年 -26% (2013年比)
米国 -17%程度 (2005年比) 2025年 -26~-28% (2005年比)
EU -20%(1990年比) 2030年に-40%(1990年比)
豪州 -5%(2000年比) 2030年に-26%~-28%(2005年比)
ニュージー
ランド
-5%(1990年比) 2030年に-30%(2005年比)
カナダ -17%(2005年比) 2030年に-30%(2005年比)
ロシア -15~-25%(1990年比) 2030年に-25%~-30%(1990年比)
中国 GDPあたりCO2排出量を
-40~-45%(2005年比)
GDPあたりCO2排出量を-60~-65%(2005年
比)
2030年頃にCO2排出量のピーク達成
インド GDPあたりGHG排出量を
-20~-25%(2005年比)
2030年にGDPあたりGHG排出量を-33%~
35%(2005年比)
各国の削減目標
56. 0
2
4
6
8
10
12
14
16
1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050
(出所)「2016 年度の温室効果ガス排出量(確報値)」及び「地球温暖化対策計画」から作成
排出量
(億トンCO2換算)
2020年度
2005年度比
3.8%以上減
今世紀後半に
温室効果ガスの
人為的な排出と
吸収のバランスの
達成
2050年
80%減
基準年度 排出量
2013年度 14.08億トン
2005年度 13.97億トン
※削減目標決定時の数値
日本の目標は、2030年度26%減(2013年度比)、2050年までに80%の温室効果ガスの
排出削減。そのため、施策を「今」から講じ、2040年頃までに大幅削減の基礎を要確立。
吸収源
吸収源
「2050年80%削減」
は従来の取組の延⾧
では実現が困難
2030年度
2013年度比
26%減
(10.42億トン)
日本の中⾧期の削減目標
実質ゼロへ
パリ協定の目標は
57. 出所 資源エネルギー庁総合政策課, 平成26年度(2014年度)における エネルギー需給実績(確報)23ページ電力需要の推移、24ページ事業用発電の燃料構成の推移、25ページ自家用発電の燃料構成の
推移から2013年度の発電電力量の割合を算出。経済産業省 資源エネルギー庁, 日本のエネルギー 図20「再生可能エネルギーの発電電力量」、長期エネルギー需給見通し関連資料。平成27年6
月資源エネルギー庁, 42ページ「2030年度における再生可能エネルギーの導入見込量」、65ページ「エネルギー需要・一次エネルギー供給」、67ページ「電力需要・電源構成」、70頁「電源構成・発電電
力量」
省エネ
17%
(総発電電力量)
石油
3%
水力
8.8~9.2%
太陽光
7.0%
風力1.7%
バイオマス
3.7~4.6%
地熱
1.0~1.1%
ベースロード比率
:56%程度
再エネ
22~24%
原子力
22~20%
LNG
27%
石炭
26%
(総発電電力量)
石油15%
石炭
32%
LNG
41%
原子力
1%
再エネ
12%
2013年度 2030年度
電力
9808
億kWh
程度
電力
9666
億kWh
電力供給電力需要
約17%の
省エネ
2013年度 2030年度
(省エネしない
場合の自然増)
水力
8.1%
太陽光
1.1%
風力
0.5%
バイオマス
1.7%
地熱
0.2%
エネルギー基本計画における電源構成(2030年度)
64. 64
(出典)名目GDP:OECD「OECD.Stat-Gross domestic product(GDP) VXCOB: Current prices, constant exchange rates, OECD base year(2018年3月7日時
点)」、CO2排出量:IEA「CO2 Emissions from Fuel Combustion 2017」
(備考)GDPについては、二次産業はOECDの区分における”Manufacturing”と”Construction”の合計値、二次産業以外は全付加価値額から”Manu facturing”と”Construction”の
合計値を差し引いた値。CO2排出量については、二次産業は”Manufacturing industries and construction(間接排出)”、二次産業以外は全エネルギー起源CO2排出
量から”Manufacturing industries and construction(間接排出)”を差し引いた値。
スイス
スウェーデン
ノルウェー
デンマーク
フランス
英国
ドイツ
日本
米国
0
5
10
15
20
25
30
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
炭素生産性(千ドル/t-CO2)
スイス スウェーデン ノルウェー
デンマーク フランス 英国
ドイツ 日本 米国
炭素生産性推移(二次産業:当該年為替名目GDPベース)
65. 65
(出典)名目GDP:OECD「OECD.Stat-Gross domestic product(GDP) VXCOB: Current prices, constant exchange rates, OECD base year(2018年3月7日時
点)」、CO2排出量:IEA「CO2 Emissions from Fuel Combustion 2017」
(備考)GDPについては、二次産業はOECDの区分における”Manufacturing”と”Construction”の合計値、二次産業以外は全付加価値額から”Manu facturing”と”Construction”の
合計値を差し引いた値。CO2排出量については、二次産業は”Manufacturing industries and construction(間接排出)”、二次産業以外は全エネルギー起源CO2排出
量から”Manufacturing industries and construction(間接排出)”を差し引いた値。
スイス
スウェーデン
ノルウェー
デンマーク
フランス
英国
ドイツ
日本
米国
0
2
4
6
8
10
12
14
16
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
炭素生産性(千ドル/t-CO2)
スイス スウェーデン ノルウェー
デンマーク フランス 英国
ドイツ 日本 米国
炭素生産性推移(二次産業以外:当該年為替名目GDPベース)
79. • エネルギー
– 風力・太陽光等の再生可能エネルギー
• 固定価格買取制度(FIT)により導入が加速したが十分とは言えない。
• 今後は洋上風力の発展が鍵。
• グリッド(送電網)の整備が必要条件
• 生態系への影響も考慮しなければならない。
(e.g. 森林伐採して太陽光、バードストライク、水面を覆う太陽光パネル、
洋上風力建設による海底への影響?)
• 「欠点のない夢のエネルギーは無い」
– 水素エネルギー
• ただし、水素を作るためのエネルギーが化石燃料ならば意味がない。
– CCS(Carbon Capture&Storage: 炭素貯留)付き石炭火力発電
– 原子力発電は?
79
日本における取組を考える主なポイント
80. • 産業
– 省エネ(設備・機器、建築物断熱)
– RE100(事業に必要なエネルギーを100%再エネ化)への参加企業は増加中
– ESG投資も活発化
• 交通
– 次世代自動車 (電気自動車、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、燃料
電池自動車、クリーンディーゼル自動車)
– カーシェアリング?
– バイオ燃料?
80
日本における取組を考える主なポイント
81. • 家庭
– 住宅の省エネ化、消費の選択(衣類、移動手段、食 etc.)
• 分野横断
– 地球温暖化対策税
– 金融のグリーン化 (ESG投資)
– 国内排出量取引制度は、「慎重に検討を行う」
– 二国間クレジット制度 (JCM)
– 技術開発 (窒化ガリウム、セルロースナノファイバー、蓄電池)
– 国民運動
81
日本における取組のポイント
全ての取組を突き動かす
のは最終的にはこれ。
しかし、一体どうすれば
国民運動が起こるか?
85. “After the last NO comes a YES,
And on that YES, the future world depends.”
(Wallace Stevens:
「不都合な真実2」においてアル・ゴアが引用)
85
「わたしたちのしていることは、大海の一滴に過
ぎません。ですが、もしこれをするのをやめれば、
大海は一滴分小さくなるでしょう。」 (マザーテレサ)
「~~かも知れない。それでも、~~しよう」