2017/11/11 - 教育⼯学研究会@上智⼤学
CyberAgent, Inc. All Rights Reserved
1
仮想社会における
ソーシャルサポート効果の検証:
ピグパーティにおけるいじめ相談
⾼野雅典・⾓⽥孝昭
株式会社サイバーエージェント
技術本部 秋葉原ラボ
2
• ピグパーティ
・仮想世界のアバターチャットサービス
・iOS, Androidで利⽤可能
・若年層の利⽤者が多い
• 悩み相談をしているユーザがいる
・いじめられている
・将来・受験
・友⼈関係
⾏動ログ分析・ユーザインタビューより
• 実⽣活とは異なる別の世界
・実⽣活とは別の⼈間関係・⾒た⽬
↔ FacebookやLINEは現実の拡張
・仮想社会「ピグパーティ」で
実⽣活の社会関係を補間できないか?
ピグパーティによるリアルの補間
3
• 共感、安⼼、愛着、尊敬を提供すること
・ストレスを軽減させる
• Webでのコミュニケーションでも効果を発揮。
実⽣活での⾃信にもつながる。
・マイノリティが匿名のネット空間で仲間を発⾒
実⽣活でも⾃信を持てるようになる(カミングアウト等)
McKenna et al., “Coming out in the age of the Internet: Identity ”demarginalization“ through virtual group participation”,
Journal of Personality and Social Psychology, Vol. 75(3), Sep 1998, 681-694.
・インターネット使⽤によって中学⽣の孤独感を軽減させ、
実⽣活の友⼈からのソーシャルサポートを増加させる
安藤 et al., “インターネット使⽤が中学⽣の孤独感・ソーシャルサポートに与える影響”, パーソナリティ研究, Vol. 14, No. 1, 2006.
・MMO-RPGの利⽤による(実⽣活の)シャイネス改善の試み
⽥島, "オンラインゲームでの社会的相互作⽤がシャイネスに及ぼす影響", 御茶ノ⽔⼤学博⼠論⽂, 2016.
・ソーシャルネットワークの交流は友⼈の死の痛みを
和らげる(Facebookの研究)
Hobbos & Burke, "Connective recovery in social networks after the death of a friend", Nature Human Behaviour, 2017.
ソーシャルサポート: 情緒的サポート
4http://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20170510134232.pdf?id=ART0009070223
カウンセラーによるメールカウンセリング
5
• 「現実世界のいじめ相談」に焦点を当て分析
・ユーザに若年層(⼩〜⾼校⽣)が多い
・若年層にとって⾮常に重⼤な問題
・「悩んでいる状態」が判別しやすい
・現実世界では⾔いにくいセンシティブな悩み
• いじめ相談データ
・2017/6の1週間の会話データから抽出
・86⼈の相談者
※ 本研究で⽰すデータは会話データの統計処理の結果であり個⼈を
特定可能なものではない。
焦点: いじめの相談
6
ピグパーティのルームといじめ相談件数
パブリックルーム
• 広い・⾃由に出⼊り
• ⼤⼈数・初対⾯中⼼
• いじめ相談: 3件
テンポラリルーム
• 狭い・⾃由に出⼊り・
2時間で消える
• ⼤⼈数・初対⾯中⼼
• いじめ相談: 42件
プライベートルーム
• 狭い・出⼊りは制限
• 少⼈数・友⼈中⼼
• いじめ相談: 38件
7
ピグパーティのルームといじめ相談件数
パブリックルーム
• 広い・⾃由に出⼊り
• ⼤⼈数・初対⾯中⼼
• いじめ相談: 3件
テンポラリルーム
• 狭い・⾃由に出⼊り・
2時間で消える
• ⼤⼈数・初対⾯中⼼
• いじめ相談: 42件
プライベートルーム
• 狭い・出⼊りは制限
• 少⼈数・友⼈中⼼
• いじめ相談: 38件
8
1.仮想社会で「いじめ」相談する
こと/されることはユーザにと
っていいことなのか?
2.(いいことであれば)だれにど
のような相談をすることが効果
的のか?
リサーチクエスチョン
9
• 仮説: 「いじめについて相談した」ことが、ユーザにとってのソーシャル・サポ
ートになっている
→ よりピグパーティを使うはず
• 仮説: 「いじめについて相談された」ことが、ユーザにとって良い体験である
→ よりピグパーティを使うはず
→ 相談したこと・相談されたことが翌週ログイン⽇数に与える影響を分析
• モデル
どのルームで相談した/されたら、
翌週も利⽤しやすいか?
いじめ相談の効果: 仮説・モデル
10
• 結果
・相談したユーザ: 少⼈数の友⼈と相談すると効果あり
・相談にのったユーザ: 相⼿によらず効果あり
いじめ相談の効果: 結果
11
• ⽬的
・どんな相談が⾏われているのか?
・プライベートルームとテンポラリルームで何が違うのか?
• アプローチ
・「いじめ相談の会話」× {プライベートルーム, テンポラリルーム}
と「通常の会話」を⽐較する
・具体的にはトピックモデル(LDA)を作って出現頻度を⽐較
• 会話の定義
・いじめ相談の会話
・現在「いじめを受けている」と明⾔したユーザが参加している会話のうち、
”いじめ|イジメ|虐め|苛め” が含まれる発⾔前後15分の同じ部屋の発⾔
(30分以内に複数発話された場合は統合する)
・通常の会話
・ランダムに選択した発⾔から前後15分の同じ部屋の発⾔
相談内容の分析
12
相談内容の分析: 代表的なトピック
プライベートルーム テンポラリルーム
テンポラリルームは初対面であることが多い。
そのため自己紹介的な会話が多い。
13
相談内容の分析: 代表的なトピック
プライベートルーム テンポラリルーム
いじめトピックは8割以上の
「いじめ相談会話」に登場
14
• プライベートルーム
・ネガティブな感情や⾏動・家族に関すること
に関する⾔及が多い。i.e., 踏み込んだ内容・⾃⼰開⽰的
• テンポラリルーム
・⼩学校、制服、殴る、リーダー、天候
などの説明的
相談内容: プライベートルームとテンポラリルームの違い
• いじめに関する話題はほとんど1つのトピック
・プライベートルームとテンポラリルームでいじめトピックの単語をPMIで⽐較
15
• 「現実世界のいじめ相談」に焦点を当て分析
• 相談者
・仮想社会においても、ソーシャルサポートを受けていた
・少⼈数の空間で友⼈に相談することでストレス軽減効果が
あった可能性がある
・踏み込んだ内容を話していた
・効果は検出できなかったが初対⾯での相談も多い
• 被相談者
・仮想社会においても、ソーシャルサポートを提供
・空間・相⼿に関わりなくWell-being向上
• 両者のWell-beingに貢献するには⾃⼰開⽰しやすい場を作
ることが重要
まとめ
16
• 場の提供
・相談しやすい場、⾃⼰開⽰しやすい場の開発
・初対⾯での相談をより効果的に
• 相談・被相談者のマッチング
・相談を必要としているユーザの検出
・相談にのりたい・得意なユーザの検出
→ データを増やして分析・分類器の開発
• ⾮常に深刻なユーザへの対応
・カウンセラーなどの専⾨家による対応など
今後

仮想社会におけるソーシャルサポート効果の検証: ピグパーティにおけるいじめ相談