今日、女性活躍推進法の施行などにより、女性の活躍が推進されています。例えば、株式会社ソフィアでは、「女性の活躍」を「仕事にやりがいを持てていること」と考えており、私達もそのように考えています。荒木ら(2017)では、女性のキャリア形成には職場でのコミュニケーションが必要だと指摘しており、コミュニケーションに由来するような取り組みを含め、仕事でのどんな取り組みがやりがいに影響を与えるのかについて分析しました

1. 女性の活躍と成果に関する
実証分析
青森中央学院大学
山本ゼミナール 女性の活躍チーム
小松雅・村田陽稀
この度のアオモリシックスがONLINE開催となったため、当初予定していたポスター付近での
口頭による補足等ができない状況です。そこで、音声付きのパワーポイントを用意しましたので、
以下のURLまたはQRコードからご覧頂ければ幸いです。
また、ご質問やご意見を頂ける場合には、以下のFormsから、お送り頂けると有難い次第です。
動画URL： https://bit.ly/3LmEeT4
質問等Forms URL： https://bit.ly/3rEZL1r
質問等
動画

2. 自分で自分が活躍している思えれば、
活躍している！
どんな女性がそう思うのか？
株式会社ソフィア・・・座談会(2016年)
・「その人を中心に場が動いたり、空気を変えながらいい方向に進んでいく人」
・「自分で生き生きしていると思っている人」
・「本人が仕事にやりがいを感じ、誰かのためになっていると実感できる人」
日本女子大学教授 大沢真知子氏（2015年）
・活躍≠「女を男にして働かせること」
１．女性が活躍するって？

3. ・図１・・・女性の就業率が増加しつつある！
・図２・・・キャリアの中断の減少や、中断時期の高年齢化が目立つ！
⇒ 女性労働者（キャリア意識向上）と受け入れる社会（制度、法律）の変化
40
45
50
55
60
65
70
75
80
85
90
昭和61
63
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
24
26
28
就業率（％）
図１ 就業率の推移
15～64歳（女）(％) 25～44歳（女）… 15～64歳（男）…
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
図２ 女性の年齢階級別就業率の推移
昭和61年（1986年）
(％)
平成18年（2006年）
(％)
平成28年（2016年）
(％)
データ出所：厚生労働省「労働力調査」
データ出所：厚生労働省「労働力調査」
２．女性労働の変化

4. 女
性
活
躍
推
進
法
平成28年
施行 <背景>
・少子高齢化や労働力不足
の解決策
⇒ 女性への注目≠女性本位
＜基本原則＞
働く意欲のある女性へ
・機会の平等、積極提供
・能力と個性を発揮可能な環境整備
・家庭生活と仕事を両立し得る環境整備
・この両立に関し、女性の意思を尊重
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
図３ 女性管理職割合(%)の変化
部長相当兼 課長相当兼 係長相当兼
データ出所：厚生労働省「雇用均等基本調査」、報告者作成。
平成28年以降、係長職の伸びが大きい！
３．法整備と背景と変化

5. ４．問題意識
問題意識：どんな取り組みをしている女性が「やりがい」を持って仕事に取り組んで
いるのか？
５．先行研究
タイトル 女性の仕事への意欲を高める職場の要因
ー女性の昇進意欲と仕事のやりがいに関する分析
企業で働く女性のキャリア展望に影響する
職場要因の検討
著者（出版年） 武石（2014） 荒木、正木、松下、伊達（2017）
問題意識 女性の活躍推進には、女性が自身の仕事に対して
意欲をもって取り組むことができる環境を整備す
ることが企業に求められるのではないか
女性が組織の中でキャリア形成をしていくには、女性の
キャリア形成に支援的な上司や、男女平等な雇用管理、柔
軟な働き方といった女性活躍を推進する企業の組織文化が
必要ではないか
分析対象 一般従業員4,227人 社員276人
分析方法 二項ロジスティクス回帰分析 探査的因子分析
主な結論 女性の昇進意欲や仕事のやりがいを高める上で、
職場における取り組みや上司のマネジメントが重
要である。
女性が企業において中長期的なキャリア形成を行うために
は、女性を積極的に登用する文化や職場でのオープンなコ
ミュニケーション、上司の支援、女性を仕事に巻き込むマ
ネジメント支援が女性のキャリア形成の展望を促す。

6. ６．検討課題 仕事での取り組みが「やりがい」に与え
る影響①
やりがいを高めている女性は
職場でどんな工夫をしているのか？
・業務の分担の調整（D）
・スケジュールの共有（D）
・職場の働き方改善に向けて周囲に働きかける（D）
・業務に優先順位をつける（D）
・業務のマニュアル化（D）
・会議の効率化 （D）
・退社時間の目標を設定する（D）
コントロール要因
・年齢・子供数・年収
・勤務企業従業員規模
・実労働時間/本人
・自分のために使える時間が十分にある（D）
※（D）はDummy変数を示し、利用している（ある、はい）は１，利用しない（ない、いいえ）は0をとる。
そう思う、まあそう思うは１，あまりそう思わない、そう思わないは０をとる。
被説明変数
仕事へのやりがい

7. 調 査 名：仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査，2017
寄 託 者：厚生労働省 雇用環境・均等局
調査時点：＜労働者＞2017年9月27日～9月30日
調査対象：＜労働者＞年齢：20歳～49歳
雇用形態：正社員・職員
末子の年齢：満1歳以上満3歳未満
調査方法：＜労働者＞WEB上でのモニター調査
サンプルサイズ：＜労働者＞男性・正社員 2,062人
女性・正社員 1,032人
要因分析・・・推計手法 : 2項ロジットモデル
※「あなたは・やりがいを感じますか？」・・・大いにある、ある、ない、大いにない
⇒ １ ⇒ 0
※東京大学社会科学研究所附属社会
調査・データアーカイブ研究セン
ターSSJデータアーカイブから「仕
事と育児の両立に関する実態把握の
ための調査（厚生労働省 雇用環
境・均等局）」の個票データの提供
を受けた！記して感謝する！
７．検討課題 仕事での取り組みが「やりがい」に与える影響
②

8. ８．検討課題 どんな工夫をしている女性が「やりがい」を高めているの
か？
サンプル
被説明変数
係数 限界効果 p値
定数項 -1.952 0.009
年齢 0.0102 0.002 0.483
子供数 0.088 0.019 0.415
年収（本人） 0.702 0.15 0.011
従業員規模 -2.43E-05 -5.17E-06 0.707
業務分担の調整 0.355** 0.073 0.041
スケジュール共有 0.315* 0.066 0.052
周囲への働きかけ 0.029 0.006 0.931
業務に優先順位をつける 0.208 0.044 0.194
業務のマニュアル化 0.207 0.0432 0.242
会議の効率化 0.374 0.074 0.219
退社時間の目標設定 -0.063 -0.013 0.741
自分のために使える時間が十分ある 1.109*** 0.2 1.76E-07
対数尤度
疑似決定係数
仕事でのどんな工夫がやりがいを高めているのか
1032
仕事にやりがいがある
-614.077
0.052

9. ９．結論 「やりがい」のある女性はどんなことをしているのか？
業務分担の調整
スケジュール共有
チームワークを意識した業務
→仕事の効率化へとつながり、やりがいを感じている？
→仕事の効率化により、プライベートとの両立ができる？
仕事へのやりがい
女性の活躍には、
コミュニケーションを意識した
職場での働き方が必要！

10. 参考文献
・武石恵美子（2014）「女性の昇進意欲を高める職場の要因」『日本労働研究雑誌』５６（7）、労働政策研究・
研修機構
・荒木淳子、正木侑太郎、松下慶太、伊達洋駆（2017）「企業で働く女性のキャリア展望に影響する職場要因の検
討」『経営行動科学第30巻第1号』、経営行動科学学会
・厚生労働省「労働力調査」
・厚生労働省「雇用均等基本調査」
・N woman smart キャリア ホームページ 「女性活躍とは女を男にして働かせることではない」
URL https://style.nikkei.com/article/DGXMZO94145540Y5A111C1000000/（2021.8.15アクセス）
ご清聴、ありがとうございました！