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Google のクラウド
サービスを利用する前に
注意すべきこと
"Going Google" のパイロット プログラムに基づく
調査結果




2010 年 2 月 16 日
免責事項
      このドキュメントに記載されている情報は、このドキュメントの発行時点におけるマイクロソフトの見解を反映したものです。マイクロソフトは市場の変化に対応
      する必要があるため、このドキュメントの内容に関する責任をマイクロソフトは問われないものとします。また、発行日以降に発表される情報の正確性を保証で
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      このホワイト ペーパーに記載された内容は情報の提供のみを目的としており、明示、黙示または法律の規定にかかわらず、これらの情報につい
      てマイクロソフトはいかなる責任も負わないものとします。
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      イクロソフトのライセンス契約上に明示の規定のない限り、このドキュメントはこれらの特許、商標、著作権、またはその他の無体財産権に関する権利をお客様
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Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例                                                                 2
目次
概要.......................................................................................................................................................... 4
クラウド サービスの導入 ............................................................................................................................ 5
                重要なターニング ポイント ........................................................................................................ 5
                パイロット プログラム計画......................................................................................................... 5
パイロット プログラムの結果 ....................................................................................................................... 7
                ドキュメントの再現性 ................................................................................................................. 7
                データの移行 ........................................................................................................................... 8
                インストールおよび構成 ............................................................................................................ 9
                不足している機能 ..................................................................................................................... 9
                調査結果のまとめ................................................................................................................... 11
IT 管理上の問題 ..................................................................................................................................... 11
                サービス レベル契約.............................................................................................................. 11
                ディレクトリ同期 ...................................................................................................................... 11
                サーバーのサポートおよびクライアント ソフトウェア アドイン ..................................................... 12
                管理者のサポート ................................................................................................................... 12
リスクが大きいシステム ............................................................................................................................ 13
                セキュリティ上の懸念 .............................................................................................................. 13
                データの保管場所 .................................................................................................................. 14
事例によって明らかになったこと ................................................................................................................ 15
結論........................................................................................................................................................ 16
リンクおよびリソース................................................................................................................................. 17




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概要
厳しい経済環境の中で、経営者はコストを最適化し敏捷性を向上させる、リスクのない革新的な方法を探して
います。クラウド コンピューティングや Software as a Service (SaaS) などの新しいソフトウェア提供モデル
には、IT 戦略をビジネス上の緊急課題に対応させる効果的な方法としての可能性があります。多くの企業が、
メッセージング (電子メール) とコラボレーションに使用されているサーバー インフラストラクチャを統合し、負
荷を軽減する方法としてクラウド戦略を含めた IT ロードマップを作成しています。企業の中には、Gmail や
Google Apps などの従来のコンシューマー ベースのサービスが、その企業の戦略の方向性に合致している
かどうかを評価している例もあります。
しかし、どのような新しいテクノロジやベンダーのサービスでも、期待される結果を得るためのコストとリスクを
正確に見極める基準はありません。したがって、IT 部門が精密な評価を行うことがますます重要になってい
ます。
このホワイトペーパーは、IT (情報技術) に関する計画と管理を行い、IT の価値実現に取り組む、IT 担当の役
員やマネージャーを対象としたものです。また、IT に関する投資決定を担当する、あるいはそれに関与する、そ
の他のビジネス上の意思決定者やマネージャーにも役立ちます。
Google のクラウド ソリューションの採用を決定する前に、このホワイトペーパーの事例を参考にして、このホワ
イトペーパーで紹介する企業が、Google のパイロット プログラムを中止して他のベンダーのサービスを検討す
るに至る理由について考察してください。
重要: このホワイトペーパーでは、ある架空の企業を例にとって、Google Apps のパイロット実装の実績予測
を行っています。企業は架空のものですが、取り上げられている例は実例であり、現実の多くの顧客による経験
や報告されている機能不足が基になっています(注: リンクおよびリソースのセクションには、導入事例にある顧
客の証言へのリンクが記載されています)。このホワイトペーパーでは、企業でのユーザーの生産性、IT サポー
ト、セキュリティおよびコンプライアンス対策、最終的な収益などを含む、パイロット プログラムの効果を検証しま
す。




Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例   4
クラウド サービスの導入
重要なターニング ポイント
Contoso, Ltd. は、多くの企業の例にもれず、絶え間なく変化する経済             架空の企業のプロファイル |
環境とテクノロジの動向に俊敏に適応することを迫られています。経済                    Contoso Ltd.
見通しが悪化する中で、Contoso の CIO である John Woods は、
                                                    CIO: John Woods
Google の広告宣伝の説得力も手伝って、変化に着手すべきときだと
判断しました。Microsoft Exchange Server 2003 プラットフォームが     所在地: 米国。本国および海
古くなっていることもあり、Contoso の電子メール システムは重要な                外に大規模な製造設備を持つ
ターニング ポイントに達していました。ここでは、新しいハードウェア ラ                 従業員数: 1200 人
イセンスとソフトウェア ライセンスが必要になるアップグレードをすべき
                                                    業種: 製造業
でしょうか。あるいは、クラウドに移行する好機とすべきでしょうか。
                                                    専門: 風力タービンおよび水力タービン
                                                    用のカスタム コンポーネントを製造し、
                                                    世界規模で代替エネルギー ソリュー
                                                    ションを展開するエンジニアリング企業
パイロット プログラム計画                                       に供給している

Woods は、Google Apps クラウド ソリューションをテストすべきだと判断しました。既存のプラットフォームに
代わるものとしては、SaaS アプリケーションが適切であると考えていました。資本支出 (CAPEX) から運用支
出 (OPEX) に転換するメリットによって、IT リソースが解放され、企業の敏捷性が高まり、潜在的な成長と人
員の減尐に対応できると予想されます。次の表に、"Going Google" パイロット プログラムの実装に関する
Woods の計画の概要を示します。
図 1: Google Apps をテストする Contoso のパイロット プログラムの概要

                "Going Google" パイロット プログラム
目標              Google Apps クラウド ソリューション採用の実行可能性を評価する
プロセス            全社からユーザーを選択し、Google Apps (Gmail、Google トーク、Google Docs、Google カ
                レンダー) のテストを実施する
期間              2 か月
テストする                 エンド ユーザー
ユーザー グループ             IT 管理
                      セキュリティとコンプライアンス
評価カテゴリ                コスト削減 (ソフトウェア、ハードウェア、IT 管理)
                      機能の可用性 (現行のエンド ユーザー機能とのシナジー)
                      サポートおよびサービス レベル契約 (SLA)




Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例      5
ユーザー グループ
次のような Google Apps のシナリオを評価するために、異なる 3 つのユーザー グループが編成されました。
                                             
    Gmail が構成された Microsoft Office Outlook       で Google Apps を評価する
    ブラウザー ベースの Google ユーザー インターフェイスで Google Apps および Gmail を評価する
    両方の構成を評価する

図 2: ユーザー グループによる評価

ユーザー グループ          テスト ユーザー         評価カテゴリ              テストされる機能
グループ A: Gmail      販売担当者            利用可能な機能                コラボレーション
が構成された                                                     顧客との外部ドキュメント共有
Outlook で Google
Apps を評価する         設計エンジニア          利用可能な機能                使いやすさ
                                                           電子メール
                                                           予定表管理
                   IT セキュリティ責任      IT セキュリティおよ            データおよび電子メールのセキュリティ
                   者                びコンプライアンス
グループ B: ブラウ        マーケティング          利用可能な機能                コラボレーション
ザー ベースの            マネージャー                                  ドキュメントの再現性
Google ユーザー イ
ンターフェイスで           製造チーム リーダー       利用可能な機能                コラボレーション
Google Apps および                                            サプライヤーとの外部ドキュメント共有
Gmail を評価する
                   コンプライアンス マ       IT セキュリティおよ            規制遵守
                   ネージャー            びコンプライアンス              アーカイブ
グループ C: 両方の        IT マネージャー        コスト削減                  全体管理
構成                                                         変更管理
                                                           トレーニングのニーズ
                   ディレクトリ管理者        サポートおよび                ディレクトリ同期および移行
                                    SLA
                   電子メール管理者         サポートおよび                ユーザーの準備
                                    SLA                    管理ツールの使いやすさ


注: この企業は前年に Microsoft Office 2007 を展開したばかりで、ファイル共有とプロジェクト タスク管理用の標準のコラボレーション
システムとして Microsoft SharePoint 2007 の使用を開始していました。また、管理チーム全体と技術的知識が豊富なインフォメーション
ワーカーの多くが、モバイル メールと予定表管理に BlackBerry デバイスを含む多様なモバイル デバイスを使用していました。




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パイロット プログラムの結果
2 か月のパイロット プログラムの完了後に、評価チームは複数のチームに対する面接を開始しました。パイロッ
ト ユーザーは、ドキュメントの作成と共有、予定表での予定の設定、個人の電子メール ファイルの管理など、通
常業務におけるさまざまなシナリオでテストを行いました。パイロット エンド ユーザーによって報告された問題は、
次のカテゴリに分類できます。

    ドキュメントの再現性
    データの移行
    インストールおよび構成
    不足している機能


ドキュメントの再現性
パイロット ユーザーによって最も多く提示された問題は、ドキュメントの互換性に関するものでした。Contoso は、
ビジネス パートナーやサプライヤーなど、外部の企業と協力関係を築いています。ほとんどの場合、電子メール
を使用して情報を共有し、すべて Microsoft Office で作成した販売提案、価格表、製品関連の問い合わせなど
のファイルを添付しています。パイロット ユーザーは、外部の関係者や、パイロット プログラムに参加していない
Contoso の他の従業員とのコミュニケーションについて、次のような問題を報告しています。

図 3: Google Apps のドキュメントの再現性に関する評価

 機能                             問題
 Google Spreadsheets での         グラフや数式がコピーされないために、Web ベースのユーザーがそれらを表示
 Microsoft Office Excel ワーク    できない。
 ブックの使用
 Google Docs での Microsoft       フォント、レイアウト、テーブル、およびその他のドキュメント要素が永久に
 Office Word 文書の使用              変更されてしまう (図 4)。
 Word 文書のアップロード                 Google の 500 KB の制限を超える Word 文書をアップロードできな
                                い。
 Google Presentation での         アニメーションなどの要素が含まれる PowerPoint プレゼンテーションが
 Microsoft Office PowerPoint   永久に変更されてしまう。
 プレゼンテーションの表示
 異なる形式でのドキュメントの保                地域別のコンプライアンスに対応していない。ODF ベースのすべてのド
 存                              キュメントについて、整合性に関する同様の問題が報告された。
 オフライン作業                        Microsoft Office を使用していないユーザーは、ドキュメントの操作が "
                                表示のみ" に限定される。
 添付ファイルの受信、およびパ                 Gmail ユーザーは、Outlook ユーザーが作成した予定表の招待状に含
 スワードで保護されたドキュメン                まれる添付ファイルを受信できない。またパスワードで保護されているド
 トのアップロード                       キュメントをアップロードできない。
 透かしの使用                         "下書き" や "社内機密" などの透かしが付けられたドキュメントを安全
                                に送信できない。透かしが削除される場合もある。
 ドキュメントの変更履歴                    Word と Google Docs との間に "変更履歴" (ドキュメント内のコメント
                                や編集) の互換性がないため、異なる 2 つのプラットフォーム間のユー
                                ザーがシームレスに連携することが困難になっている。
 状態のチェック                        オンラインの IM のユーザーの状態にエラーが発生し、サインオフ後の
                                ユーザーの状態がオンラインとして表示されることがあるため、ユーザー
                                が混乱する。




Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例    7
図 4: Microsoft Word ファイルを Google Docs にアップロードする際のドキュメントの再現性に関する問題の例




        元の Microsoft Word 文書                       Google Doc での表示

ドキュメントの再現性に関するエンド ユーザーからの苦情のリストを精査した評価チームは、これらが既知の問
題であることを CIO が理解できるように、次の引用を報告書に記載しました。2009 年 11 月 13 日に、
Google のエンタープライズ部門の責任者である Dave Girouard 氏は、ZDNet に対して「Google Docs は
まだ未成熟であるため、Microsoft Office の使用を中止して、Google Docs を使用することはお勧めしていま
せん」と述べました。

データの移行
マーケティングおよび販売部門のパイロット グループの一部のユーザーは、既存の電子メール データ (メッ
セージ、予定表のエントリ、フォルダーなど) をホスト環境に移行して、Google Apps に完全に移行するとどうな
るかをテストしました。その結果、必ずしもすべてのデータが移行されるわけではなく、移行の過程でアイテムが
壊れる場合があることがわかりました。図 5 に、Exchange および Outlook から Google Apps へのデータ
移行について報告された問題の概要を示します。
図 5: Google Apps のデータ移行に関する評価

 データ アイテム         問題                    説明
 配布リスト            配布リストまたは配布グループ        配布リストはローカルの Outlook に保存する必要
                  は Google に移行されない。     があり、Web ベースの Gmail Apps Sync ツール
                                        を通じてユーザーが配布リストにアクセスすることは
                                        できませんでした。Gmail Apps Sync ツールではこ
                                        れらのアイテムがサーバー上の Gmail アカウント
                                        に移行されません。Outlook の使用を中止すれば、
                                        それらの配布リストも失われてしまいます。
 パブリック フォ         パブリック フォルダーの移行が       Contoso は Exchange でパブリック フォルダーを
 ルダー              サポートされていない。           使用して、各部署のドキュメントを共有していました。
 連絡先              連絡先が Google に自動的に     Outlook から連絡先を移行するには、Google Apps
                  移行されない。               Sync という別のプロセスを実行する必要がありま
                                        す。
 一部のフォル           名前にスラッシュ (/) が含まれ     電子メールのパワー ユーザーの多くが、スラッシュ
 ダーが移行され          ているフォルダーが移行されな        の使用を許容する命名規則によるフォルダーを使用
 ない               い。                    していました。これらのフォルダー内のコンテンツは
                                        すべて移行されず、エンド ユーザーが手動で送信
                                        する必要があります。
 仕事/To Do         "仕事" が Google に移行され   仕事はローカルの Outlook で保存する必要があ
                  ない。                   り、仕事を転送したり他のユーザーに割り当てること
                                        はできません。




Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例   8
インストールおよび構成
それまでのマイクロソフト製品で得られた機能と同等の機能を得るには、すべてのエンド ユーザーが別個の
4 つのソフトウェア ツールをダウンロードしてインストールし、Google Apps で正しく機能するように構成する
必要がありました。IT グループとエンジニアリング グループは、技術的な知識が十分でないエンド ユーザー
は、基本的なトラブルシューティングについて IT ヘルプ デスクに依存する程度が非常に大きくなると考えま
した。図 6 の表は、それまでと同等の機能を利用するためにユーザーが手動で行う必要があった作業を示し
ています。

図 6: Google Apps でのインストールおよび移行に関する評価

 ソフトウェア ユーティリティ        ユーザーによるインストールの理由                         Google Apps
                                                                SLA による
                                                                サポート
 Outlook 用 Apps Sync   Outlook クライアントでのメール、予定表、連絡先の同期           なし
                       を可能にする。
 Google トーク            この IM/Chat ソフトウェア パッケージ (Outlook とは統     あり
                       合できない) では、ローカルで電子メール通知を受信する
                       にはリッチ クライアントを必要とする。
 Google Gears          Microsoft Office を使用しないユーザーのために電子        なし
                       メールおよびドキュメントのオフライン同期をサポートす
                       る。
 ビデオ会議アドイン             Google トーク専用のアドイン ソフトウェアによってビデ           あり
                       オ会議を可能にする。


不足している機能
パイロット評価で明らかになった問題の最後のカテゴリは、機能不足に関する問題です。エンド ユーザーは、特
定の機能を利用できないことで日常業務に多大な時間を要すると報告しています。図 7 の表では、不足してい
る機能を示し、機能カテゴリに分類しています。

図 7: Google Apps の機能の不足に関する評価

 カテゴリ/機能               問題                                       エンド ユーザー
                                                                にとっての
                                                                重要度
                                  予定表管理
 BlackBerry アクセス       BlackBerry には一方向の同期オプションしかないため、          中
                       定期的な会議を管理することが困難である。
 共有予定表                 ユーザーが Outlook の予定表を共有できない (イン            高
                       ターネット予定表の共有は可能)。
 予定表の委任                会議の出席依頼を作成、承諾、または辞退する機能を含                高
                       め、ユーザーが予定表の管理を他のユーザーに委任でき
                       ない。
 会議の出席依頼の転送            電子メールで転送された出席依頼をユーザーが受信して                中
                       予定表にイベントを追加することができない。
 会議室の予約                ドメイン管理者が会議室またはその他のリソースの名前                中
                       を変更すると、Outlook ユーザーは、会議で使用する会
                       議室またはリソースの新しい名前を見ることができない。
 定期的なイベントのスケ           Google Calendar ユーザーが、定期的なイベントのスケ        高
 ジュール設定                ジュールを、それまでとは異なる日に開始するよう設定す
                       ると、Outlook ユーザーはイベントを見ることができない。

Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例   9
カテゴリ/機能              問題                                             エンド ユーザー
                                                                     にとっての
                                                                     重要度
                                  メッセージング
 委任オプションがない           ユーザーが Outlook を使用してアシスタントやその他の                 高
                      ユーザーにメールボックスの管理を委任できない。
 パブリック フォルダーがな        Outlook 内のフォルダーはアクセス許可プロパティがな                  高
 い                    い Google Apps の電子メール ラベルにマップされるた
                      め、ユーザーが他のユーザーとフォルダーを共有できな
                      い。
 不在時のサポート             Outlook の不在状態との互換性がない。                         高
 仕事/メモ/履歴エントリ         Outlook ではこれらの機能を使用できるが、個人の作業                  中
                      に限定され、複数ユーザー間の操作には使用できない
                      (作業をその他のユーザーに割り当て、またはメモを共有
                      することは可能)。また、このデータはローカル コンピュー
                      ターに格納され、Google Apps インターフェイスからは利
                      用できず、Outlook からのみ利用できる。
 電子メール スレッドの添         電子メール メッセージを送信または転送する場合に、                      中
 付                    ユーザーが別個のメッセージ スレッドを転送する必要が
                      ある。
 ディレクトリ参照             電話番号、スーパーバイザー、ビジネス グループ、オフィ                    中
                      ス所在地、またはその他の基本的な情報のメタデータが
                      ない。
 モバイル ディレクトリがな        ディレクトリのローカル コピーのオフライン同期がサポー                    高
 い                    トされていない。
 削除済みアイテムの回復          Outlook と違い、Google Apps Sync で削除されたアイ          中
                      テムを回復するオプションがない。
 プレゼンスの統合             電子メールではなく IM ですばやく応答するために使用                    高
                      する、使い慣れたプレゼンス統合がサポートされていな
                      い。
                                   ドキュメント
 スペル チェック             Microsoft Office と Internet Explorer で使い慣れてい   高
                      る自動スペル チェック機能とオートコレクト機能がない
                      (Firefox で実現しているが、アプリケーションではなくブラ
                      ウザーの機能である)。
 文法チェック               文法チェック機能がない。文法と句読点のチェックはユー                     中
                      ザー自身が手動で必要がある。
 バージョン管理              社内の SharePoint で可能なドキュメントのバージョン管               高
                      理機能が、Google Docs では利用できなくなっている。
 ドキュメントの校閲 (変更        ドキュメント校閲中の編集内容の追跡機能が利用できなく                     高
 履歴、編集、コメント)          なり、コメントをドキュメントに反映する際に、新しいコメント
                      テキストに作成者と日付が付けられてドキュメントに追加
                      されるようになったことで、コメントに問題が発生した。
 イメージ                 ドキュメントのイメージを Google プレゼンテーションに貼                中
                      り付けることができない。
 グラフ                  Google Spreadsheets からグラフをコピーして Google         高
                      Docs に貼り付けることができない。
 書式設定                 Word で設定したドキュメントの書式 (フォントの種類、ド                 高
                      キュメントのレイアウト、テーブル、およびその他のドキュ
                      メント要素) が Google Docs で変更される。



Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例     10
調査結果のまとめ
パイロット プログラム参加後のエンド ユーザーとの面接によって、Google ソリューションについて、いくつか
の重大な欠陥が明らかになりました。その中には、電子メールおよび予定表におけるデータ移行の問題など、
予想された問題もありました。パイロット ユーザーが Google Apps Sync を導入したときには、Outlook の移
行に関する問題はわずかに改善されていました。ただしエンド ユーザーにとって特に問題があった欠陥は、
Google Apps では利用できない機能がまだあることでした。パワー ユーザーにとっては、委任や予定表の管
理権限の共有ができないことと並んで、Outlook とのプレゼンス/IM の統合ができないことが最大の問題でし
た。
これに対して、Microsoft Office に慣れているユーザーにとって大きな問題なのは、Google Docs に不足して
いる機能があることでした。ドキュメントの作成者、または特に外部のパートナーやサプライヤーとの共同作業
者としてパイロット プログラムに参加したユーザーは、Google Docs や Google Spreadsheets だけでは日
常業務に支障が出ると述べています。



IT 管理上の問題
Contoso の IT グループは、電子メールが社内におけるビジネス上のコミュニケーションの主要な形態になって
いることを認識していました。クラウドに移行することで電子メールに問題が生ずれば、ビジネス グループの反
感も大きなものになります。コスト削減の重要性は変わらないとはいえ、IT グループはクラウドによってリスクが
増大することは防がなければなりません。

サービス レベル契約
特に Google の最近の大規模な停止やセキュリティ上の欠陥を受けて、Google の SLA の保証範囲を理解す
ることが、IT グループの最優先事項の 1 つになっていました。
IT チームは、失われたデータの回復が SLA では保証されていないことを認識しました。Google は、SLA に
は金銭的補償があると主張していましたが、それはサービス延長について言及したものであり、また 10 分未
満のダウンタイムは対象とされていませんでした。これはつまり、Contoso にとっては、今後 10 分以下のサー
ビス停止が何度も起きる可能性があり、毎月それに対する支援もないというリスクが発生することになります。
Google が、サービス延長の最長期間も 2 週間までしか補償していないこともわかりました。
また IT チームのその後の調査によって、Google のダウンタイムに対して公に不満を表明している顧客が多
数いることも明らかになりました。(http://www.infoworld.com/d/architecture/downtime-makes-google-apps-
customers-wary-261 (英語) の例を参照)。さらに、Google が、Google Labs にリリースした機能については
SLA では、まったく保証されていないことがわかりました。Google は、ミッション クリティカルな環境で、実験
的な機能を Contoso のエンド ユーザーに対して予告なくリリースする可能性があります。そのため IT 部門
は、それによって Google によるサポートがないままヘルプ デスクへのエスカレーションが多大なものになる
懸念を持ちました。

ディレクトリ同期
Contoso は、まったくユーザーが意識することなく、社内ディレクトリと新しい Google Apps ホスト環境を同
期させることを目指していました。
Google Apps では、社内で Lightweight Directory Access Protocol (LDAP) ディレクトリを完全に別個に展開
する必要があります。さらに、Google Apps 環境との一方向のディレクトリ同期のために、専用のサーバーを別
個に展開および維持しなければなりません。Contoso は、集中管理された Active Directory に新しい LDAP
ディレクトリを統合することになります。その場合は、電子メールだけのために別のディレクトリを追加し、管理者
が一連のユーザー アカウントとパスワード維持しなければなりません。
Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例          11
2 か月間のパイロット テストを経て、IT グループは評価チームに対して、ディレクトリ同期について次のような
問題を提示しました。

    ネイティブ ディレクトリ (Active Directory) の接続または同期ができない。
    ディレクトリの同期プロセスは Google Apps から社内の LDAP ディレクトリに対する一方向のみで、
    別個のオープン ソース ツールが必要になる。
    同期プロセスでは専用の自社運用サーバーが必要になり、IT コストとサポートが増大する。
    ユーザーの追加または削除は、LDAP サーバーから出力された CSV ファイルで管理される。このリ
    ストに含まれるユーザー数が何千にも及び、プロビジョニングに時間がかかる場合がある。
    永続的なパスワード同期が行われないため、Google Apps にアクセスするためにユーザーのサインオ
    ンを複数用意しなければならない。SSO (シングル サインオン) を有効にするには、Exchange パス
    ワードと Google Apps パスワードが一致していなければならない。
    新しい電子メール ディレクトリ (グローバル アドレス一覧) では、ユーザー名と電子メール アドレスし
    か表示されない。グローバル アドレスにはその他の情報 (オフィス所在地、スーパーバイザー、役職、
    会社名など) は表示されない (ただし、ユーザーの個人用連絡先に表示される)。
注 :Contoso は、Google が追加機能としてサード パーティのプロバイダーからディレクトリ同期ユーティリティを提供し
ており、追加料金がかかることを知りました。


サーバーのサポートおよびクライアント ソフトウェア アドイン
既に述べたように、Contoso の IT グループでは、サーバーによっては社内でのサポートと保守が必要になるこ
とがわかりました。そのようなサーバーとしては、モバイル BlackBerry ユーザー用の BES サーバーや、専用
のディレクトリ同期サーバーなどがあります。
エンド ユーザー用に必要なアドインに (図 6) に加えて、エンド ユーザーおよびサーバー用に、次の一覧
に示すサーバー ソフトウェア アドインを展開しサポートする必要があります。

図 8: Google Apps 用のソフトウェア アドイン

 サーバー アドイン
 ディレクトリ同期ツール (LDAP 用に 1 つ必要。
 Postini を使用する場合は、もう 1 つツールが必要に
 なる可能性がある)
 BES サーバー用 BlackBerry コネクタでサポート可
 能なユーザー数は、BES サーバー 1 台につき 500
 のみ (追加サーバーが必要)

管理者のサポート
パイロット プログラムを通じて IT チームが認識した問題の中でも、特に失望の度合いが大きかったのが
Google によるサポートの扱いでした。Google Apps の電話サポートは、日曜の夜から金曜の夜までしか利用
できません。緊急の問題で Google のスペシャリストを必要とする場合でも、Google の営業時間まで待たなけ
ればなりません。
データ回復に関する重要な要求の処理については、さらに大きな問題がありました。Outlook と Google を連
動させている場合には [削除済みアイテムを復元] オプションを使用できないため、パイロット プログラムに参加
したメール管理者は、削除されたメッセージを復元できるかどうか、電話サポートに問い合わせました。結果的に、
長い時間待たされた後で電子メールが送られてきて、削除されたメッセージは復元できず、再度手動で作成する
しかないことがわかっただけでした。


Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例   12
リスクが大きいシステム
評価チームが最後に面接を行ったのは、セキュリティおよびコンプライアンス グループでした。評価チームは、
2004 年 7 月から 2008 年 8 月にかけて発生した 37 件のセキュリティの欠陥と、過去 2 年間に発生し
た Gmail システム全体の停止に関する文書をまとめて、懸念を表明しました。

セキュリティ上の懸念
2 か月にわたる詳細な分析を行った結果、セキュリティおよびコンプライアンス グループは、CIO の評価チー
ムに対して重大な問題を報告しなければならなくなりました。Google はいくつかのサービスについて、SAS70
Type II など、業界の基本的な認証を取得しています。またデータ センターにおいて、優れた物理的なセキュリ
ティを実現しています。しかしセキュリティおよびコンプライアンス グループには、より広範なセキュリティ対策を
実施する責任があります。たとえば Google では、特定の部門で使用されるエンド ユーザー向けの基本的な
セキュリティ機能がサポートされていません。セキュリティおよびコンプライアンス グループは、調査結果を簡単
な図表にまとめました。

図 9: Google Apps のセキュリティ機能

 セキュリティ機能                                        Google でのサポート (あり/なし)
 電子メールの暗号化                                       なし
 メッセージの種類のフラグ (社外秘、親展)                           なし
 Information Rights Management ("表示のみ"、          なし
 "転送不可"、"印刷不可" など、ポリシー ベースのルール)
 透かしの保持 (Google Apps へのアップロード時)                  なし
 SSL の適用                                         あり (無効にすることが可能)

IT 管理の観点から、セキュリティおよびコンプライアンス グループは Google Apps におけるセキュリティ上の
潜在的な欠陥も指摘しました。たとえば、厳密に定義された管理を必要に応じて特定のユーザーに柔軟に委任
することは、許可されていないか極端に制限されています。Google の非公式の IM 機能は、コンプライアンス
責任者にとって致命的な問題になります。この機能を使用して、会話の一部または全体が IT 部門の記録に残
らない形で、エンド ユーザーが意図的にチャット セッションを行うことができるからです。Contoso のそれまでの
手法とは異なり、Google では管理者による制御のレベルが 1 つに限られているため、特定の IT 担当者の負
担が増大したり、経験のないユーザーに、システム全体に対する制御を必要以上に行わせてしまう可能性があり
ます。
また、Gmail を使用したアーカイブ コンプライアンス ソリューションが無償ではないことも明らかになりました。
コンプライアンスと eDiscovery に必要なアーカイブ サービスを利用するには、有償で Google の Postini
サービスとの統合を行わなければなりません。




Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例   13
データの保管場所
米国と欧州に拠点を持つ Contoso は、データの保管場所を把握する必要がありました。Google は Contoso
に対して、データの保管場所は決して通知することはできないと明言しました。Google のオンライン専用オプ
ションを利用すると、インターネットやデータ センターが停止した場合には、Contoso ではセキュリティとコンプラ
イアンスが維持できない状態が発生してしまいます。
また、データ保持ポリシーに現実性がないことも明らかになりました。これらのポリシーは Contoso ではなく
Google のサービス利用規約 (TOS) に基づいて管理されます。これらのポリシーに関する第 1 の懸念は、電
子メールがまったく削除されない可能性があることです。Google がすべての情報のバックアップのコピーを維持
する権利を有する旨が、利用規約に記載されています。しかしながら Google は、データを回復できるように電
子メールのバックアップを維持することは保証していません。セキュリティおよびコンプライアンス グループにとっ
ては、どちらの問題も非常に大きな懸念材料になります。




Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例   14
事例によって明らかになったこと
特定の IT サービスをクラウド ホスティング プロバイダーに移行することで、組織内のコミュニケーションの形
を変革し、コストを削減し、中心となるサービスにおける IT の生産性を向上させ、組織に柔軟性がもたらされま
す。ただし、すべてのサービスが同等のレベルで構築されているわけではないことを理解することが重要です。ク
ラウド サービスに移行する前に、このドキュメントの事例にある企業のように、移行先の環境を分析する必要が
あります。
クラウド ベースの移行の効果を最大にするために、移行の決定にあたっては、次のステップについて検
討してください。
クラウド サービスのビジョンを確立する。最初に、自社の環境におけるユニファイド コミュニケーションとコラ
ボレーションに関するビジネス ニーズを把握する必要があります。その際にはすべての関係者を関与させ、
またビジネス グループが個別に推進している孤立したテクノロジに投資することは避けなければなりません。
クラウド サービスのビジョンには、エンド ユーザー向けの操作性の統合、シームレスな移行を行うためのイ
ンフラストラクチャ、および信頼性の高いサポートされている開発者プラットフォームを使用した、コミュニケー
ション機能を強化するための柔軟性を含める必要があります。
グループを 1 つに統合する。本当のクラウド コンピューティングのビジネス プランを採用するには、電子
メール、IM、セキュリティ、ヘルプ デスクのサポート、モビリティ、デスクトップ アプリケーション、コラボレーショ
ン、Web 会議などの推進者、さらにはツールを利用する経営陣などを含む、異なる多数の分野の連携が必
要になります。これらのグループ間での調整を早い段階で行う必要があります。
移行設計セッションを行う。マイクロソフトは、カスタマイズ可能な移行設計セッションを開発しました。これは企
業のビジネス目標を明確にし、Business Productivity Online Standard Suite (BPOS) 環境への移行を成功
に導くために、必要となる具体的な移行の手順とビジネス目標との対応を図るものです。このセッションでは、
CIO、設計担当者、IT チームの上級メンバーに対して、アーキテクチャに関するガイダンスと、望ましい手法、
アーキテクチャ、ツール、リスク分析に関する情報が提供されます。さらに、移行設計セッションは、単に一貫性
のないソリューションを移行の間だけ短期的につなぎ合わせるためではなく、組織が相互運用性を戦略的に利
用して長期的なビジネス目標を達成するために役立ちます。
ベンダーを客観的に選択する。競合との比較情報を数多く得るためには、要件を明確にしたうえで、それぞれの
ホスティング ソリューションのコストとメリットを提示するように各ベンダーに依頼します。現実的なシナリオに基
づいて、すべてのサービスを同一条件で比較します。このプロセスによって、各ベンダーは明確に定義された顧
客ニーズに従ってソリューションを提示することができます。導入の決定は最初の取得コストに基づいて行うので
はなく、継続的な保守費用、組織の業績と従業員の生産性の向上によるメリット、高度なセキュリティと財務的な
保証が確保されていることによる安心感なども考慮すべきです。
小さく始めてメリットを測定する。大規模に展開する前に初期段階で問題点を洗い出すことは非常に有益です。
ホストティング サービス ソリューションについて小規模なユーザー グループをいくつか選択し、展開と管理にお
ける操作性、得られたメリット、ユーザーからのフィードバックに関する比較を行います。手始めとして、BPOS ト
ライアル プログラムと BPOS 体験版プログラムを利用して、個々の組織の環境でこれらの機能を確認してみて
ください。これらのプログラムの詳細については、マイクロソフトのアカウント マネージャーにお問い合わせくださ
い。




Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例   15
結論
Contoso では、Google Apps Premier Edition について 2 か月にわたるパイロット プログラムを行った結果、
多くの重要な発見があり、評価チームのレポートにまとめられました。当初は Google Apps の導入に積極的
だった CIO は、パイロット プログラムを終了して他のアプローチを評価することを決定しました。この決定に至っ
た主な理由は、以下に示すように、評価チームの最終レポートにまとめられました。

コスト削減
パイロット チームは、Google Apps に移行することで、それまでは予期されていなかったソフトウェア、ハード
ウェア、および IT の管理コストが発生する可能性を明らかにしました。発生するコストとしては、自社運用の
ハードウェアに対する投資や、ディレクトリ同期やモバイル BlackBerry ユーザーに対する管理上のサポートな
どが考えられます。また、エンド ユーザーによるダウンロードによってヘルプ デスクに対する依存度が高まるこ
とも、予期されていなかったリスクです。さらに、電子メールの保護や Google の Postini サービスによるアー
カイブを導入する場合には、さらに毎月のコストが増大します。
そのような新たなハードウェア コストやサービス コストの増大、さらには統合とユーザーのプロビジョニングを
サポートするための社内の管理コストなどを考慮した結果、長期的な TCO が低くなることがわかりました。

利用可能な機能
パイロット ユーザーが検証した結果、Google Docs と使い慣れた Microsoft Office 製品との間の機能の差は
非常に大きいものでした。Contoso は、中核的なビジネス ニーズの一部として、内部および外部におけるドキュ
メント共有とコラボレーションに対応する、高い再現性を確保する必要がありました。それらの問題に加えて、電
子メールのセキュリティ オプションが不足している問題もあり、すべてのユーザーを Google クラウド ソリュー
ションに移行することは現実的でないと判断されました。

サポートおよびサービス レベル契約
わずかな調査を行っただけで、Gmail のダウンタイムが非常に多く発生していることがわかりました。Contoso
では電子メールがビジネス上の主要なコミュニケーション ツールになっており、短期間で何度もダウンタイムが
発生し、業務が中断するというのは重大な問題です。

セキュリティとリスク
Google のクラウド ソリューションの導入中止を招いた問題で特に大きなものは、電子メール サービスとド
キュメントを Google のクラウド ソリューションに移行する際に発生するセキュリティ ホールとリスクでした。
メッセージや添付ドキュメントを簡単にロックダウンできる制御メカニズムがなければ、機密情報が漏えいする
という大きなリスクを抱えることになります。加えて、セキュリティおよびコンプライアンス チームによって、デー
タ保持に関する懸念や管理上の柔軟性の問題も指摘されました。




Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例   16
リンクおよびリソース
マイクロソフトのホストティング サービスの詳細については、次のリンク先やリソースを参照してください。
    Microsoft BPOS トライアル:
     http://www.microsoft.com/japan/online/trial.mspx
    Google vs. Microsoft – ホスティング サービス比較ホワイトペーパー:
     http://www.microsoft.com/businessproductivity/ja/jp/why-microsoft/google-apps.aspx

    顧客の証言および関連する導入事例
      o   Datatune: "Google Apps は、丸い穴に四角いくいを打ち込むようなものです"
          http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000002896


      o   CIF: "Google Apps はエンタープライズ クラスのソリューションではありません。あくまでコンシュー
          マー向けのソリューションであり、それによってビジネスをリスクにさらすことはできません"
          http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000005041

      o   W.J. Bradley Company: "当社ではほとんどすべてのユーザーが、電子メール クライアントとしては
          Outlook が適切であると判断しました。Exchange Server を実行できない電子メール サーバーで
          は、特にモバイル デバイスを利用している場合には、正常な運用は困難でした"
          http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000003747


      o   Procore: "Google Apps を試してみましたが、Microsoft Online Services と比較するとサービス内
          容が不足しています"
          http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000003799


      o   Competitiveness.com: "マイクロソフトのオンライン アプリケーションとオフライン アプリケーション
          は、相互に補完し合っています。Google が提供するのはオンライン アプリケーションだけであり、互
          換性や書式に関する問題があります"
          http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000003809


      o   SaaSIT: "Google Apps を導入することで、1 月あたり 1 ドルや 2 ドルの節約はできるかもしれま
          せんが、その価値はないでしょう。運用が難しいソフトウェアを選択することは、コスト削減の方法とし
          て正しくありません"
          http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000004063




Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例                      17

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Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと

  • 1. Google のクラウド サービスを利用する前に 注意すべきこと "Going Google" のパイロット プログラムに基づく 調査結果 2010 年 2 月 16 日
  • 2. 免責事項 このドキュメントに記載されている情報は、このドキュメントの発行時点におけるマイクロソフトの見解を反映したものです。マイクロソフトは市場の変化に対応 する必要があるため、このドキュメントの内容に関する責任をマイクロソフトは問われないものとします。また、発行日以降に発表される情報の正確性を保証で きません。 このホワイト ペーパーに記載された内容は情報の提供のみを目的としており、明示、黙示または法律の規定にかかわらず、これらの情報につい てマイクロソフトはいかなる責任も負わないものとします。 お客様ご自身の責任において、適用されるすべての著作権関連法規に従ったご使用を願います。このドキュメントのいかなる部分も、米国 Microsoft Corporation の書面による許諾を受けることなく、その目的を問わず、どのような形態であっても、複製または譲渡することは禁じられています。ここでいう形態 とは、複写や記録など、電子的な、または物理的なすべての手段を含みます。ただしこれは、著作権法上のお客様の権利を制限するものではありません。 マイクロソフトは、このドキュメントに記載されている内容に関し、特許、特許申請、商標、著作権、またはその他の無体財産権を有する場合があります。別途マ イクロソフトのライセンス契約上に明示の規定のない限り、このドキュメントはこれらの特許、商標、著作権、またはその他の無体財産権に関する権利をお客様 に許諾するものではありません。 別途記載されていない場合、このソフトウェアおよび関連するドキュメントで使用している会社、組織、製品、ドメイン名、電子メール アドレス、ロゴ、人物、場 所、出来事などの名称は架空のものです。実在する商品名、団体名、個人名などとは一切関係ありません。 © 2010 Microsoft Corporation. All rights reserved. Microsoft、Microsoft ロゴ、Microsoft Office Excel、Microsoft Office Outlook、Microsoft Office PowerPoint、Microsoft SharePoint、および Microsoft Word は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。 その他のすべての商標は、各社によって所有されています。 Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 2
  • 3. 目次 概要.......................................................................................................................................................... 4 クラウド サービスの導入 ............................................................................................................................ 5 重要なターニング ポイント ........................................................................................................ 5 パイロット プログラム計画......................................................................................................... 5 パイロット プログラムの結果 ....................................................................................................................... 7 ドキュメントの再現性 ................................................................................................................. 7 データの移行 ........................................................................................................................... 8 インストールおよび構成 ............................................................................................................ 9 不足している機能 ..................................................................................................................... 9 調査結果のまとめ................................................................................................................... 11 IT 管理上の問題 ..................................................................................................................................... 11 サービス レベル契約.............................................................................................................. 11 ディレクトリ同期 ...................................................................................................................... 11 サーバーのサポートおよびクライアント ソフトウェア アドイン ..................................................... 12 管理者のサポート ................................................................................................................... 12 リスクが大きいシステム ............................................................................................................................ 13 セキュリティ上の懸念 .............................................................................................................. 13 データの保管場所 .................................................................................................................. 14 事例によって明らかになったこと ................................................................................................................ 15 結論........................................................................................................................................................ 16 リンクおよびリソース................................................................................................................................. 17 Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 3
  • 4. 概要 厳しい経済環境の中で、経営者はコストを最適化し敏捷性を向上させる、リスクのない革新的な方法を探して います。クラウド コンピューティングや Software as a Service (SaaS) などの新しいソフトウェア提供モデル には、IT 戦略をビジネス上の緊急課題に対応させる効果的な方法としての可能性があります。多くの企業が、 メッセージング (電子メール) とコラボレーションに使用されているサーバー インフラストラクチャを統合し、負 荷を軽減する方法としてクラウド戦略を含めた IT ロードマップを作成しています。企業の中には、Gmail や Google Apps などの従来のコンシューマー ベースのサービスが、その企業の戦略の方向性に合致している かどうかを評価している例もあります。 しかし、どのような新しいテクノロジやベンダーのサービスでも、期待される結果を得るためのコストとリスクを 正確に見極める基準はありません。したがって、IT 部門が精密な評価を行うことがますます重要になってい ます。 このホワイトペーパーは、IT (情報技術) に関する計画と管理を行い、IT の価値実現に取り組む、IT 担当の役 員やマネージャーを対象としたものです。また、IT に関する投資決定を担当する、あるいはそれに関与する、そ の他のビジネス上の意思決定者やマネージャーにも役立ちます。 Google のクラウド ソリューションの採用を決定する前に、このホワイトペーパーの事例を参考にして、このホワ イトペーパーで紹介する企業が、Google のパイロット プログラムを中止して他のベンダーのサービスを検討す るに至る理由について考察してください。 重要: このホワイトペーパーでは、ある架空の企業を例にとって、Google Apps のパイロット実装の実績予測 を行っています。企業は架空のものですが、取り上げられている例は実例であり、現実の多くの顧客による経験 や報告されている機能不足が基になっています(注: リンクおよびリソースのセクションには、導入事例にある顧 客の証言へのリンクが記載されています)。このホワイトペーパーでは、企業でのユーザーの生産性、IT サポー ト、セキュリティおよびコンプライアンス対策、最終的な収益などを含む、パイロット プログラムの効果を検証しま す。 Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 4
  • 5. クラウド サービスの導入 重要なターニング ポイント Contoso, Ltd. は、多くの企業の例にもれず、絶え間なく変化する経済 架空の企業のプロファイル | 環境とテクノロジの動向に俊敏に適応することを迫られています。経済 Contoso Ltd. 見通しが悪化する中で、Contoso の CIO である John Woods は、 CIO: John Woods Google の広告宣伝の説得力も手伝って、変化に着手すべきときだと 判断しました。Microsoft Exchange Server 2003 プラットフォームが 所在地: 米国。本国および海 古くなっていることもあり、Contoso の電子メール システムは重要な 外に大規模な製造設備を持つ ターニング ポイントに達していました。ここでは、新しいハードウェア ラ 従業員数: 1200 人 イセンスとソフトウェア ライセンスが必要になるアップグレードをすべき 業種: 製造業 でしょうか。あるいは、クラウドに移行する好機とすべきでしょうか。 専門: 風力タービンおよび水力タービン 用のカスタム コンポーネントを製造し、 世界規模で代替エネルギー ソリュー ションを展開するエンジニアリング企業 パイロット プログラム計画 に供給している Woods は、Google Apps クラウド ソリューションをテストすべきだと判断しました。既存のプラットフォームに 代わるものとしては、SaaS アプリケーションが適切であると考えていました。資本支出 (CAPEX) から運用支 出 (OPEX) に転換するメリットによって、IT リソースが解放され、企業の敏捷性が高まり、潜在的な成長と人 員の減尐に対応できると予想されます。次の表に、"Going Google" パイロット プログラムの実装に関する Woods の計画の概要を示します。 図 1: Google Apps をテストする Contoso のパイロット プログラムの概要 "Going Google" パイロット プログラム 目標 Google Apps クラウド ソリューション採用の実行可能性を評価する プロセス 全社からユーザーを選択し、Google Apps (Gmail、Google トーク、Google Docs、Google カ レンダー) のテストを実施する 期間 2 か月 テストする  エンド ユーザー ユーザー グループ  IT 管理  セキュリティとコンプライアンス 評価カテゴリ  コスト削減 (ソフトウェア、ハードウェア、IT 管理)  機能の可用性 (現行のエンド ユーザー機能とのシナジー)  サポートおよびサービス レベル契約 (SLA) Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 5
  • 6. ユーザー グループ 次のような Google Apps のシナリオを評価するために、異なる 3 つのユーザー グループが編成されました。   Gmail が構成された Microsoft Office Outlook で Google Apps を評価する  ブラウザー ベースの Google ユーザー インターフェイスで Google Apps および Gmail を評価する  両方の構成を評価する 図 2: ユーザー グループによる評価 ユーザー グループ テスト ユーザー 評価カテゴリ テストされる機能 グループ A: Gmail 販売担当者 利用可能な機能  コラボレーション が構成された  顧客との外部ドキュメント共有 Outlook で Google Apps を評価する 設計エンジニア 利用可能な機能  使いやすさ  電子メール  予定表管理 IT セキュリティ責任 IT セキュリティおよ  データおよび電子メールのセキュリティ 者 びコンプライアンス グループ B: ブラウ マーケティング 利用可能な機能  コラボレーション ザー ベースの マネージャー  ドキュメントの再現性 Google ユーザー イ ンターフェイスで 製造チーム リーダー 利用可能な機能  コラボレーション Google Apps および  サプライヤーとの外部ドキュメント共有 Gmail を評価する コンプライアンス マ IT セキュリティおよ  規制遵守 ネージャー びコンプライアンス  アーカイブ グループ C: 両方の IT マネージャー コスト削減  全体管理 構成  変更管理  トレーニングのニーズ ディレクトリ管理者 サポートおよび  ディレクトリ同期および移行 SLA 電子メール管理者 サポートおよび  ユーザーの準備 SLA  管理ツールの使いやすさ 注: この企業は前年に Microsoft Office 2007 を展開したばかりで、ファイル共有とプロジェクト タスク管理用の標準のコラボレーション システムとして Microsoft SharePoint 2007 の使用を開始していました。また、管理チーム全体と技術的知識が豊富なインフォメーション ワーカーの多くが、モバイル メールと予定表管理に BlackBerry デバイスを含む多様なモバイル デバイスを使用していました。 Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 6
  • 7. パイロット プログラムの結果 2 か月のパイロット プログラムの完了後に、評価チームは複数のチームに対する面接を開始しました。パイロッ ト ユーザーは、ドキュメントの作成と共有、予定表での予定の設定、個人の電子メール ファイルの管理など、通 常業務におけるさまざまなシナリオでテストを行いました。パイロット エンド ユーザーによって報告された問題は、 次のカテゴリに分類できます。  ドキュメントの再現性  データの移行  インストールおよび構成  不足している機能 ドキュメントの再現性 パイロット ユーザーによって最も多く提示された問題は、ドキュメントの互換性に関するものでした。Contoso は、 ビジネス パートナーやサプライヤーなど、外部の企業と協力関係を築いています。ほとんどの場合、電子メール を使用して情報を共有し、すべて Microsoft Office で作成した販売提案、価格表、製品関連の問い合わせなど のファイルを添付しています。パイロット ユーザーは、外部の関係者や、パイロット プログラムに参加していない Contoso の他の従業員とのコミュニケーションについて、次のような問題を報告しています。 図 3: Google Apps のドキュメントの再現性に関する評価 機能 問題 Google Spreadsheets での グラフや数式がコピーされないために、Web ベースのユーザーがそれらを表示 Microsoft Office Excel ワーク できない。 ブックの使用 Google Docs での Microsoft フォント、レイアウト、テーブル、およびその他のドキュメント要素が永久に Office Word 文書の使用 変更されてしまう (図 4)。 Word 文書のアップロード Google の 500 KB の制限を超える Word 文書をアップロードできな い。 Google Presentation での アニメーションなどの要素が含まれる PowerPoint プレゼンテーションが Microsoft Office PowerPoint 永久に変更されてしまう。 プレゼンテーションの表示 異なる形式でのドキュメントの保 地域別のコンプライアンスに対応していない。ODF ベースのすべてのド 存 キュメントについて、整合性に関する同様の問題が報告された。 オフライン作業 Microsoft Office を使用していないユーザーは、ドキュメントの操作が " 表示のみ" に限定される。 添付ファイルの受信、およびパ Gmail ユーザーは、Outlook ユーザーが作成した予定表の招待状に含 スワードで保護されたドキュメン まれる添付ファイルを受信できない。またパスワードで保護されているド トのアップロード キュメントをアップロードできない。 透かしの使用 "下書き" や "社内機密" などの透かしが付けられたドキュメントを安全 に送信できない。透かしが削除される場合もある。 ドキュメントの変更履歴 Word と Google Docs との間に "変更履歴" (ドキュメント内のコメント や編集) の互換性がないため、異なる 2 つのプラットフォーム間のユー ザーがシームレスに連携することが困難になっている。 状態のチェック オンラインの IM のユーザーの状態にエラーが発生し、サインオフ後の ユーザーの状態がオンラインとして表示されることがあるため、ユーザー が混乱する。 Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 7
  • 8. 図 4: Microsoft Word ファイルを Google Docs にアップロードする際のドキュメントの再現性に関する問題の例 元の Microsoft Word 文書 Google Doc での表示 ドキュメントの再現性に関するエンド ユーザーからの苦情のリストを精査した評価チームは、これらが既知の問 題であることを CIO が理解できるように、次の引用を報告書に記載しました。2009 年 11 月 13 日に、 Google のエンタープライズ部門の責任者である Dave Girouard 氏は、ZDNet に対して「Google Docs は まだ未成熟であるため、Microsoft Office の使用を中止して、Google Docs を使用することはお勧めしていま せん」と述べました。 データの移行 マーケティングおよび販売部門のパイロット グループの一部のユーザーは、既存の電子メール データ (メッ セージ、予定表のエントリ、フォルダーなど) をホスト環境に移行して、Google Apps に完全に移行するとどうな るかをテストしました。その結果、必ずしもすべてのデータが移行されるわけではなく、移行の過程でアイテムが 壊れる場合があることがわかりました。図 5 に、Exchange および Outlook から Google Apps へのデータ 移行について報告された問題の概要を示します。 図 5: Google Apps のデータ移行に関する評価 データ アイテム 問題 説明 配布リスト 配布リストまたは配布グループ 配布リストはローカルの Outlook に保存する必要 は Google に移行されない。 があり、Web ベースの Gmail Apps Sync ツール を通じてユーザーが配布リストにアクセスすることは できませんでした。Gmail Apps Sync ツールではこ れらのアイテムがサーバー上の Gmail アカウント に移行されません。Outlook の使用を中止すれば、 それらの配布リストも失われてしまいます。 パブリック フォ パブリック フォルダーの移行が Contoso は Exchange でパブリック フォルダーを ルダー サポートされていない。 使用して、各部署のドキュメントを共有していました。 連絡先 連絡先が Google に自動的に Outlook から連絡先を移行するには、Google Apps 移行されない。 Sync という別のプロセスを実行する必要がありま す。 一部のフォル 名前にスラッシュ (/) が含まれ 電子メールのパワー ユーザーの多くが、スラッシュ ダーが移行され ているフォルダーが移行されな の使用を許容する命名規則によるフォルダーを使用 ない い。 していました。これらのフォルダー内のコンテンツは すべて移行されず、エンド ユーザーが手動で送信 する必要があります。 仕事/To Do "仕事" が Google に移行され 仕事はローカルの Outlook で保存する必要があ ない。 り、仕事を転送したり他のユーザーに割り当てること はできません。 Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 8
  • 9. インストールおよび構成 それまでのマイクロソフト製品で得られた機能と同等の機能を得るには、すべてのエンド ユーザーが別個の 4 つのソフトウェア ツールをダウンロードしてインストールし、Google Apps で正しく機能するように構成する 必要がありました。IT グループとエンジニアリング グループは、技術的な知識が十分でないエンド ユーザー は、基本的なトラブルシューティングについて IT ヘルプ デスクに依存する程度が非常に大きくなると考えま した。図 6 の表は、それまでと同等の機能を利用するためにユーザーが手動で行う必要があった作業を示し ています。 図 6: Google Apps でのインストールおよび移行に関する評価 ソフトウェア ユーティリティ ユーザーによるインストールの理由 Google Apps SLA による サポート Outlook 用 Apps Sync Outlook クライアントでのメール、予定表、連絡先の同期 なし を可能にする。 Google トーク この IM/Chat ソフトウェア パッケージ (Outlook とは統 あり 合できない) では、ローカルで電子メール通知を受信する にはリッチ クライアントを必要とする。 Google Gears Microsoft Office を使用しないユーザーのために電子 なし メールおよびドキュメントのオフライン同期をサポートす る。 ビデオ会議アドイン Google トーク専用のアドイン ソフトウェアによってビデ あり オ会議を可能にする。 不足している機能 パイロット評価で明らかになった問題の最後のカテゴリは、機能不足に関する問題です。エンド ユーザーは、特 定の機能を利用できないことで日常業務に多大な時間を要すると報告しています。図 7 の表では、不足してい る機能を示し、機能カテゴリに分類しています。 図 7: Google Apps の機能の不足に関する評価 カテゴリ/機能 問題 エンド ユーザー にとっての 重要度 予定表管理 BlackBerry アクセス BlackBerry には一方向の同期オプションしかないため、 中 定期的な会議を管理することが困難である。 共有予定表 ユーザーが Outlook の予定表を共有できない (イン 高 ターネット予定表の共有は可能)。 予定表の委任 会議の出席依頼を作成、承諾、または辞退する機能を含 高 め、ユーザーが予定表の管理を他のユーザーに委任でき ない。 会議の出席依頼の転送 電子メールで転送された出席依頼をユーザーが受信して 中 予定表にイベントを追加することができない。 会議室の予約 ドメイン管理者が会議室またはその他のリソースの名前 中 を変更すると、Outlook ユーザーは、会議で使用する会 議室またはリソースの新しい名前を見ることができない。 定期的なイベントのスケ Google Calendar ユーザーが、定期的なイベントのスケ 高 ジュール設定 ジュールを、それまでとは異なる日に開始するよう設定す ると、Outlook ユーザーはイベントを見ることができない。 Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 9
  • 10. カテゴリ/機能 問題 エンド ユーザー にとっての 重要度 メッセージング 委任オプションがない ユーザーが Outlook を使用してアシスタントやその他の 高 ユーザーにメールボックスの管理を委任できない。 パブリック フォルダーがな Outlook 内のフォルダーはアクセス許可プロパティがな 高 い い Google Apps の電子メール ラベルにマップされるた め、ユーザーが他のユーザーとフォルダーを共有できな い。 不在時のサポート Outlook の不在状態との互換性がない。 高 仕事/メモ/履歴エントリ Outlook ではこれらの機能を使用できるが、個人の作業 中 に限定され、複数ユーザー間の操作には使用できない (作業をその他のユーザーに割り当て、またはメモを共有 することは可能)。また、このデータはローカル コンピュー ターに格納され、Google Apps インターフェイスからは利 用できず、Outlook からのみ利用できる。 電子メール スレッドの添 電子メール メッセージを送信または転送する場合に、 中 付 ユーザーが別個のメッセージ スレッドを転送する必要が ある。 ディレクトリ参照 電話番号、スーパーバイザー、ビジネス グループ、オフィ 中 ス所在地、またはその他の基本的な情報のメタデータが ない。 モバイル ディレクトリがな ディレクトリのローカル コピーのオフライン同期がサポー 高 い トされていない。 削除済みアイテムの回復 Outlook と違い、Google Apps Sync で削除されたアイ 中 テムを回復するオプションがない。 プレゼンスの統合 電子メールではなく IM ですばやく応答するために使用 高 する、使い慣れたプレゼンス統合がサポートされていな い。 ドキュメント スペル チェック Microsoft Office と Internet Explorer で使い慣れてい 高 る自動スペル チェック機能とオートコレクト機能がない (Firefox で実現しているが、アプリケーションではなくブラ ウザーの機能である)。 文法チェック 文法チェック機能がない。文法と句読点のチェックはユー 中 ザー自身が手動で必要がある。 バージョン管理 社内の SharePoint で可能なドキュメントのバージョン管 高 理機能が、Google Docs では利用できなくなっている。 ドキュメントの校閲 (変更 ドキュメント校閲中の編集内容の追跡機能が利用できなく 高 履歴、編集、コメント) なり、コメントをドキュメントに反映する際に、新しいコメント テキストに作成者と日付が付けられてドキュメントに追加 されるようになったことで、コメントに問題が発生した。 イメージ ドキュメントのイメージを Google プレゼンテーションに貼 中 り付けることができない。 グラフ Google Spreadsheets からグラフをコピーして Google 高 Docs に貼り付けることができない。 書式設定 Word で設定したドキュメントの書式 (フォントの種類、ド 高 キュメントのレイアウト、テーブル、およびその他のドキュ メント要素) が Google Docs で変更される。 Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 10
  • 11. 調査結果のまとめ パイロット プログラム参加後のエンド ユーザーとの面接によって、Google ソリューションについて、いくつか の重大な欠陥が明らかになりました。その中には、電子メールおよび予定表におけるデータ移行の問題など、 予想された問題もありました。パイロット ユーザーが Google Apps Sync を導入したときには、Outlook の移 行に関する問題はわずかに改善されていました。ただしエンド ユーザーにとって特に問題があった欠陥は、 Google Apps では利用できない機能がまだあることでした。パワー ユーザーにとっては、委任や予定表の管 理権限の共有ができないことと並んで、Outlook とのプレゼンス/IM の統合ができないことが最大の問題でし た。 これに対して、Microsoft Office に慣れているユーザーにとって大きな問題なのは、Google Docs に不足して いる機能があることでした。ドキュメントの作成者、または特に外部のパートナーやサプライヤーとの共同作業 者としてパイロット プログラムに参加したユーザーは、Google Docs や Google Spreadsheets だけでは日 常業務に支障が出ると述べています。 IT 管理上の問題 Contoso の IT グループは、電子メールが社内におけるビジネス上のコミュニケーションの主要な形態になって いることを認識していました。クラウドに移行することで電子メールに問題が生ずれば、ビジネス グループの反 感も大きなものになります。コスト削減の重要性は変わらないとはいえ、IT グループはクラウドによってリスクが 増大することは防がなければなりません。 サービス レベル契約 特に Google の最近の大規模な停止やセキュリティ上の欠陥を受けて、Google の SLA の保証範囲を理解す ることが、IT グループの最優先事項の 1 つになっていました。 IT チームは、失われたデータの回復が SLA では保証されていないことを認識しました。Google は、SLA に は金銭的補償があると主張していましたが、それはサービス延長について言及したものであり、また 10 分未 満のダウンタイムは対象とされていませんでした。これはつまり、Contoso にとっては、今後 10 分以下のサー ビス停止が何度も起きる可能性があり、毎月それに対する支援もないというリスクが発生することになります。 Google が、サービス延長の最長期間も 2 週間までしか補償していないこともわかりました。 また IT チームのその後の調査によって、Google のダウンタイムに対して公に不満を表明している顧客が多 数いることも明らかになりました。(http://www.infoworld.com/d/architecture/downtime-makes-google-apps- customers-wary-261 (英語) の例を参照)。さらに、Google が、Google Labs にリリースした機能については SLA では、まったく保証されていないことがわかりました。Google は、ミッション クリティカルな環境で、実験 的な機能を Contoso のエンド ユーザーに対して予告なくリリースする可能性があります。そのため IT 部門 は、それによって Google によるサポートがないままヘルプ デスクへのエスカレーションが多大なものになる 懸念を持ちました。 ディレクトリ同期 Contoso は、まったくユーザーが意識することなく、社内ディレクトリと新しい Google Apps ホスト環境を同 期させることを目指していました。 Google Apps では、社内で Lightweight Directory Access Protocol (LDAP) ディレクトリを完全に別個に展開 する必要があります。さらに、Google Apps 環境との一方向のディレクトリ同期のために、専用のサーバーを別 個に展開および維持しなければなりません。Contoso は、集中管理された Active Directory に新しい LDAP ディレクトリを統合することになります。その場合は、電子メールだけのために別のディレクトリを追加し、管理者 が一連のユーザー アカウントとパスワード維持しなければなりません。 Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 11
  • 12. 2 か月間のパイロット テストを経て、IT グループは評価チームに対して、ディレクトリ同期について次のような 問題を提示しました。  ネイティブ ディレクトリ (Active Directory) の接続または同期ができない。  ディレクトリの同期プロセスは Google Apps から社内の LDAP ディレクトリに対する一方向のみで、 別個のオープン ソース ツールが必要になる。  同期プロセスでは専用の自社運用サーバーが必要になり、IT コストとサポートが増大する。  ユーザーの追加または削除は、LDAP サーバーから出力された CSV ファイルで管理される。このリ ストに含まれるユーザー数が何千にも及び、プロビジョニングに時間がかかる場合がある。  永続的なパスワード同期が行われないため、Google Apps にアクセスするためにユーザーのサインオ ンを複数用意しなければならない。SSO (シングル サインオン) を有効にするには、Exchange パス ワードと Google Apps パスワードが一致していなければならない。  新しい電子メール ディレクトリ (グローバル アドレス一覧) では、ユーザー名と電子メール アドレスし か表示されない。グローバル アドレスにはその他の情報 (オフィス所在地、スーパーバイザー、役職、 会社名など) は表示されない (ただし、ユーザーの個人用連絡先に表示される)。 注 :Contoso は、Google が追加機能としてサード パーティのプロバイダーからディレクトリ同期ユーティリティを提供し ており、追加料金がかかることを知りました。 サーバーのサポートおよびクライアント ソフトウェア アドイン 既に述べたように、Contoso の IT グループでは、サーバーによっては社内でのサポートと保守が必要になるこ とがわかりました。そのようなサーバーとしては、モバイル BlackBerry ユーザー用の BES サーバーや、専用 のディレクトリ同期サーバーなどがあります。 エンド ユーザー用に必要なアドインに (図 6) に加えて、エンド ユーザーおよびサーバー用に、次の一覧 に示すサーバー ソフトウェア アドインを展開しサポートする必要があります。 図 8: Google Apps 用のソフトウェア アドイン サーバー アドイン ディレクトリ同期ツール (LDAP 用に 1 つ必要。 Postini を使用する場合は、もう 1 つツールが必要に なる可能性がある) BES サーバー用 BlackBerry コネクタでサポート可 能なユーザー数は、BES サーバー 1 台につき 500 のみ (追加サーバーが必要) 管理者のサポート パイロット プログラムを通じて IT チームが認識した問題の中でも、特に失望の度合いが大きかったのが Google によるサポートの扱いでした。Google Apps の電話サポートは、日曜の夜から金曜の夜までしか利用 できません。緊急の問題で Google のスペシャリストを必要とする場合でも、Google の営業時間まで待たなけ ればなりません。 データ回復に関する重要な要求の処理については、さらに大きな問題がありました。Outlook と Google を連 動させている場合には [削除済みアイテムを復元] オプションを使用できないため、パイロット プログラムに参加 したメール管理者は、削除されたメッセージを復元できるかどうか、電話サポートに問い合わせました。結果的に、 長い時間待たされた後で電子メールが送られてきて、削除されたメッセージは復元できず、再度手動で作成する しかないことがわかっただけでした。 Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 12
  • 13. リスクが大きいシステム 評価チームが最後に面接を行ったのは、セキュリティおよびコンプライアンス グループでした。評価チームは、 2004 年 7 月から 2008 年 8 月にかけて発生した 37 件のセキュリティの欠陥と、過去 2 年間に発生し た Gmail システム全体の停止に関する文書をまとめて、懸念を表明しました。 セキュリティ上の懸念 2 か月にわたる詳細な分析を行った結果、セキュリティおよびコンプライアンス グループは、CIO の評価チー ムに対して重大な問題を報告しなければならなくなりました。Google はいくつかのサービスについて、SAS70 Type II など、業界の基本的な認証を取得しています。またデータ センターにおいて、優れた物理的なセキュリ ティを実現しています。しかしセキュリティおよびコンプライアンス グループには、より広範なセキュリティ対策を 実施する責任があります。たとえば Google では、特定の部門で使用されるエンド ユーザー向けの基本的な セキュリティ機能がサポートされていません。セキュリティおよびコンプライアンス グループは、調査結果を簡単 な図表にまとめました。 図 9: Google Apps のセキュリティ機能 セキュリティ機能 Google でのサポート (あり/なし) 電子メールの暗号化 なし メッセージの種類のフラグ (社外秘、親展) なし Information Rights Management ("表示のみ"、 なし "転送不可"、"印刷不可" など、ポリシー ベースのルール) 透かしの保持 (Google Apps へのアップロード時) なし SSL の適用 あり (無効にすることが可能) IT 管理の観点から、セキュリティおよびコンプライアンス グループは Google Apps におけるセキュリティ上の 潜在的な欠陥も指摘しました。たとえば、厳密に定義された管理を必要に応じて特定のユーザーに柔軟に委任 することは、許可されていないか極端に制限されています。Google の非公式の IM 機能は、コンプライアンス 責任者にとって致命的な問題になります。この機能を使用して、会話の一部または全体が IT 部門の記録に残 らない形で、エンド ユーザーが意図的にチャット セッションを行うことができるからです。Contoso のそれまでの 手法とは異なり、Google では管理者による制御のレベルが 1 つに限られているため、特定の IT 担当者の負 担が増大したり、経験のないユーザーに、システム全体に対する制御を必要以上に行わせてしまう可能性があり ます。 また、Gmail を使用したアーカイブ コンプライアンス ソリューションが無償ではないことも明らかになりました。 コンプライアンスと eDiscovery に必要なアーカイブ サービスを利用するには、有償で Google の Postini サービスとの統合を行わなければなりません。 Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 13
  • 14. データの保管場所 米国と欧州に拠点を持つ Contoso は、データの保管場所を把握する必要がありました。Google は Contoso に対して、データの保管場所は決して通知することはできないと明言しました。Google のオンライン専用オプ ションを利用すると、インターネットやデータ センターが停止した場合には、Contoso ではセキュリティとコンプラ イアンスが維持できない状態が発生してしまいます。 また、データ保持ポリシーに現実性がないことも明らかになりました。これらのポリシーは Contoso ではなく Google のサービス利用規約 (TOS) に基づいて管理されます。これらのポリシーに関する第 1 の懸念は、電 子メールがまったく削除されない可能性があることです。Google がすべての情報のバックアップのコピーを維持 する権利を有する旨が、利用規約に記載されています。しかしながら Google は、データを回復できるように電 子メールのバックアップを維持することは保証していません。セキュリティおよびコンプライアンス グループにとっ ては、どちらの問題も非常に大きな懸念材料になります。 Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 14
  • 15. 事例によって明らかになったこと 特定の IT サービスをクラウド ホスティング プロバイダーに移行することで、組織内のコミュニケーションの形 を変革し、コストを削減し、中心となるサービスにおける IT の生産性を向上させ、組織に柔軟性がもたらされま す。ただし、すべてのサービスが同等のレベルで構築されているわけではないことを理解することが重要です。ク ラウド サービスに移行する前に、このドキュメントの事例にある企業のように、移行先の環境を分析する必要が あります。 クラウド ベースの移行の効果を最大にするために、移行の決定にあたっては、次のステップについて検 討してください。 クラウド サービスのビジョンを確立する。最初に、自社の環境におけるユニファイド コミュニケーションとコラ ボレーションに関するビジネス ニーズを把握する必要があります。その際にはすべての関係者を関与させ、 またビジネス グループが個別に推進している孤立したテクノロジに投資することは避けなければなりません。 クラウド サービスのビジョンには、エンド ユーザー向けの操作性の統合、シームレスな移行を行うためのイ ンフラストラクチャ、および信頼性の高いサポートされている開発者プラットフォームを使用した、コミュニケー ション機能を強化するための柔軟性を含める必要があります。 グループを 1 つに統合する。本当のクラウド コンピューティングのビジネス プランを採用するには、電子 メール、IM、セキュリティ、ヘルプ デスクのサポート、モビリティ、デスクトップ アプリケーション、コラボレーショ ン、Web 会議などの推進者、さらにはツールを利用する経営陣などを含む、異なる多数の分野の連携が必 要になります。これらのグループ間での調整を早い段階で行う必要があります。 移行設計セッションを行う。マイクロソフトは、カスタマイズ可能な移行設計セッションを開発しました。これは企 業のビジネス目標を明確にし、Business Productivity Online Standard Suite (BPOS) 環境への移行を成功 に導くために、必要となる具体的な移行の手順とビジネス目標との対応を図るものです。このセッションでは、 CIO、設計担当者、IT チームの上級メンバーに対して、アーキテクチャに関するガイダンスと、望ましい手法、 アーキテクチャ、ツール、リスク分析に関する情報が提供されます。さらに、移行設計セッションは、単に一貫性 のないソリューションを移行の間だけ短期的につなぎ合わせるためではなく、組織が相互運用性を戦略的に利 用して長期的なビジネス目標を達成するために役立ちます。 ベンダーを客観的に選択する。競合との比較情報を数多く得るためには、要件を明確にしたうえで、それぞれの ホスティング ソリューションのコストとメリットを提示するように各ベンダーに依頼します。現実的なシナリオに基 づいて、すべてのサービスを同一条件で比較します。このプロセスによって、各ベンダーは明確に定義された顧 客ニーズに従ってソリューションを提示することができます。導入の決定は最初の取得コストに基づいて行うので はなく、継続的な保守費用、組織の業績と従業員の生産性の向上によるメリット、高度なセキュリティと財務的な 保証が確保されていることによる安心感なども考慮すべきです。 小さく始めてメリットを測定する。大規模に展開する前に初期段階で問題点を洗い出すことは非常に有益です。 ホストティング サービス ソリューションについて小規模なユーザー グループをいくつか選択し、展開と管理にお ける操作性、得られたメリット、ユーザーからのフィードバックに関する比較を行います。手始めとして、BPOS ト ライアル プログラムと BPOS 体験版プログラムを利用して、個々の組織の環境でこれらの機能を確認してみて ください。これらのプログラムの詳細については、マイクロソフトのアカウント マネージャーにお問い合わせくださ い。 Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 15
  • 16. 結論 Contoso では、Google Apps Premier Edition について 2 か月にわたるパイロット プログラムを行った結果、 多くの重要な発見があり、評価チームのレポートにまとめられました。当初は Google Apps の導入に積極的 だった CIO は、パイロット プログラムを終了して他のアプローチを評価することを決定しました。この決定に至っ た主な理由は、以下に示すように、評価チームの最終レポートにまとめられました。 コスト削減 パイロット チームは、Google Apps に移行することで、それまでは予期されていなかったソフトウェア、ハード ウェア、および IT の管理コストが発生する可能性を明らかにしました。発生するコストとしては、自社運用の ハードウェアに対する投資や、ディレクトリ同期やモバイル BlackBerry ユーザーに対する管理上のサポートな どが考えられます。また、エンド ユーザーによるダウンロードによってヘルプ デスクに対する依存度が高まるこ とも、予期されていなかったリスクです。さらに、電子メールの保護や Google の Postini サービスによるアー カイブを導入する場合には、さらに毎月のコストが増大します。 そのような新たなハードウェア コストやサービス コストの増大、さらには統合とユーザーのプロビジョニングを サポートするための社内の管理コストなどを考慮した結果、長期的な TCO が低くなることがわかりました。 利用可能な機能 パイロット ユーザーが検証した結果、Google Docs と使い慣れた Microsoft Office 製品との間の機能の差は 非常に大きいものでした。Contoso は、中核的なビジネス ニーズの一部として、内部および外部におけるドキュ メント共有とコラボレーションに対応する、高い再現性を確保する必要がありました。それらの問題に加えて、電 子メールのセキュリティ オプションが不足している問題もあり、すべてのユーザーを Google クラウド ソリュー ションに移行することは現実的でないと判断されました。 サポートおよびサービス レベル契約 わずかな調査を行っただけで、Gmail のダウンタイムが非常に多く発生していることがわかりました。Contoso では電子メールがビジネス上の主要なコミュニケーション ツールになっており、短期間で何度もダウンタイムが 発生し、業務が中断するというのは重大な問題です。 セキュリティとリスク Google のクラウド ソリューションの導入中止を招いた問題で特に大きなものは、電子メール サービスとド キュメントを Google のクラウド ソリューションに移行する際に発生するセキュリティ ホールとリスクでした。 メッセージや添付ドキュメントを簡単にロックダウンできる制御メカニズムがなければ、機密情報が漏えいする という大きなリスクを抱えることになります。加えて、セキュリティおよびコンプライアンス チームによって、デー タ保持に関する懸念や管理上の柔軟性の問題も指摘されました。 Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 16
  • 17. リンクおよびリソース マイクロソフトのホストティング サービスの詳細については、次のリンク先やリソースを参照してください。  Microsoft BPOS トライアル: http://www.microsoft.com/japan/online/trial.mspx  Google vs. Microsoft – ホスティング サービス比較ホワイトペーパー: http://www.microsoft.com/businessproductivity/ja/jp/why-microsoft/google-apps.aspx  顧客の証言および関連する導入事例 o Datatune: "Google Apps は、丸い穴に四角いくいを打ち込むようなものです" http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000002896 o CIF: "Google Apps はエンタープライズ クラスのソリューションではありません。あくまでコンシュー マー向けのソリューションであり、それによってビジネスをリスクにさらすことはできません" http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000005041 o W.J. Bradley Company: "当社ではほとんどすべてのユーザーが、電子メール クライアントとしては Outlook が適切であると判断しました。Exchange Server を実行できない電子メール サーバーで は、特にモバイル デバイスを利用している場合には、正常な運用は困難でした" http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000003747 o Procore: "Google Apps を試してみましたが、Microsoft Online Services と比較するとサービス内 容が不足しています" http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000003799 o Competitiveness.com: "マイクロソフトのオンライン アプリケーションとオフライン アプリケーション は、相互に補完し合っています。Google が提供するのはオンライン アプリケーションだけであり、互 換性や書式に関する問題があります" http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000003809 o SaaSIT: "Google Apps を導入することで、1 月あたり 1 ドルや 2 ドルの節約はできるかもしれま せんが、その価値はないでしょう。運用が難しいソフトウェアを選択することは、コスト削減の方法とし て正しくありません" http://www.microsoft.com/casestudies/Case_Study_Detail.aspx?casestudyid=4000004063 Google のクラウド サービスを利用する前に注意すべきこと | Going Google のパイロット プログラムによる調査結果の例 17