1. 神戸大学 安岡ゼミ

2. ～国際比較から見えてくる日
本の雇用の現状～

3. パートタイムとフルタイムの賃金
格差
出所：OECD 「Taxcing Wages」
2004-2005

4. 男女の賃金格差

5. 男性の家事負担率
出所：内閣府男女共同参画会議「尐子化と男女共同参画に関する専門調査会
「尐子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較報告書」（平成１７年

6. 問題点①：非正規社員
問題点②：女性の労働

7. 正規雇用者と非正規雇用者の推移
3人に1人が
非正規社員！

8. 非正規社員の割合増加に対する企業の懸
念
企業はコスト面の理由から
社員の非正規比率を上げているが…
「人材育成・技能継承がしにくい」（５割以上）
「生産管理や品質管理上で不安」（約４割）
「会社に対する忠誠度・責任感が低い」
非正社員の増加は、企業にとっても必ずしも有効
ではなく、生産性の低下などデメリットも多い！

9. 非正規社員が抱える問題
非正規選択理由「正社員として働ける会社がなかっ
た」
契約社員：31.5％、派遣社員：37.5％
「他の就業形態に変わりたい」：30.6％
うち約半数が正社員への転職を希望（登録型派
遣）
転職希望理由：
「収入が尐ない」32.6％
「一時的についた仕事だか
非正規社員の中に
ら」21.1％
潜在的な労働力が眠っている！

10. 男女年代別非正規雇用者比率の推移
80%
70%
60%
50%
現在では、ほとんどの
女性
女性労働者が非正規雇用
男性
40%
30%
20%
10%
0%
1990
1995
2000
2005
2011

11. 女性の就業継続に対する意識
50%
子どもができても、
ずっと職業を続けるほ
うがよい
45%
40%
35%
子どもができたら職業
をやめ、大きくなった
ら再び職業をもつほう
がよい
30%
25%
20%
現行の制度では女性は（育児のため
に）一度離職してしまうと復帰が困
難
15%
10%
5%
0%
1972
1984
1992
2002
2004
2007

12. 限られた選択の中で働く人々


女性・・・二者択一「仕事か家庭か」
非正規社員・・・不満はあるが受け入れるし
かない
では、彼らが働きやすい社会と
より広い選択の中で自らの意志
は・・・？
に従って多様な働き方ができる
社会

13. 多様な働き方を実現したモデル
オランダの労働形態
：：：：：：：：：：：：：：：：：：
：：：：：：：：：：：：：：：：：
：
いったいどのような方法を導入してる
の？

狭義：有償労働において、労働時間を削減する

14. ワークシェアリングを取り入れた
結果


全員を「正社員」に転換。 非正規社員の
同一労働・同一賃金の導入。 撤廃！
90
（％）
80
70
60
50
40
30
20
10
女性の労働者
増加！
1980年
1990年
1999年
0
15-19 20-24 25-34 35-44 45-54 55-59 60-64
出所：OECD “Labour force statistics” より
（年齢）

15. 現状の日本では……
非正規労働者が現在増加傾向にある。
+
正社員と非正規社員の処遇格差が非常に大き
い。
⇒オランダ型の単なる
模倣・導入は実現困
難。

16. 政策提言
全企業において
「短時間正社員制度」の導
入
=正社員と非正規社員の間に位置する
中間的な雇用形態を創出!!

17. 短時間正社員の定義

日本の非正規社員との違い
ボーナス・休日・有給休暇・保険・年金→正社員と同等

時間・縛りは企業による
例）時間or日数or曜日が固定
タイプ１
• 正社員から一時的に移行 例）育児・夜間大学
タイプ２
• 正社員から恒常的に移行 例）定年延長・初めから
タイプ３
• 非正規社員から恒常的に移行

18. 「短時間正社員制度」の利用希望（男
性）」
大
度立（
）に家
感事
じと
る仕
負事
担の
両
小
出所：日本労働組合総連合会「2002連合生活アンケート調査」より

19. 「短時間正社員制度が実現した
ら.. 」
28歳男性
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
月
月
火
火
水
水
木
木
金
金
土
土
日
日
Ａ社
Ａ社
Ａ社
Ａ社
Ａ社
Ａ社
Ａ社
Ａ社
Ａ社
起業準備
Ａ社
起業準備
休暇
休暇
育児中の夫婦
•月
•月
•火
•火
•水
•水
•木
•木
•金
•金
•土
•土
•日
•日
夫 妻育児
夫 妻育児
夫
夫
夫
夫
夫 夫育児
妻
夫
妻
夫
妻
休暇
休暇
非正規労働者
•月
•月
•火
•火
•水
•水
•木
•木
•金
•金
•土
•土
•日
•日
パート
短時間
パート
短時間
パート
短時間
パート
短時間
パート
短時間
派遣
休暇
派遣
休暇

20. 短時間正社員導入企業：モロゾ
フ
2007年 ショートタイム正社員制度導入
１年半で利用者数１８０名
従業員のモチベーション向上！
優秀なパートの離職者数の減尐
全従業員に多様な働き方の選択肢を提供
→内部労働市場の充実・会社の活性化！

21. こうしたら、導入できるんで
す！
政策提言！

全企業対象：日本社会全体に根付かせる
Ⅰ.５年以内に全社員の5％以上を短時間正社員にすることを義務
化
（①新規から/②非正規から/③正社員から）
Ⅱ.全社員の10％以上を短時間正社員にすることを達成した
企業 （①新規ｏｒ②非正規から）
→政府から認可を受
けられる。

22. 日本特有の雇用形態や社会問題に即した
ワークシェアリングを導入し、
労働形態の多様化を実現させることで
日本が抱える非正規雇用の問題・女性労働の問題を
解決できるのではないか。
「短時間正社員制度」の導入・定着は
その糸口となり得るのではないだろうか。

23. 参考文献①






清水耕一著 『労働時間の政治経済学』 2010年
名古屋大学出版会
奥林康司著 「ワークシェアリングと雇用の安
定」 2003年 日本経営学会
合力知工著 「不況期におけるワークシェアリン
グの可能性」 2003年 福岡大学
久場嬉子著 「ワークシェアリングとは何か」
2003年 大阪女子大
戎野淑子著 「労働時間と労働者の生活」 2003
年 三田商学研究
土田道夫著 「解雇・労働条件の変更・ワーク
シェアリング」 2002年 同志社法学会

24. 参考文献②

熊沢誠著 『リストラとワークシェアリン
グ』 2003年 岩波新書竹信三恵子著
『ワークシェアリングの実像』 2002年 岩
波新書根元孝著 『ワークシェアリング
「オランダ・ウェイ」に学ぶ日本型雇用革
命』 2002年 ビジネス社伊田広行著 『シ
ングル単位の社会論』1998年 世界思想社労
働大臣官房政策調査部著 『ワークシェアリ
ング』 平成2年 大蔵省印刷局

25. 参考文献③





湯浅誠著 『反貧困－「すべり台社会」からの脱
出』 2008年 岩波新書
本田由紀著 『教育の職業的意義』 2009年 ち
くま新書
日本弁護士連合会編著 『懸賞 日本の貧困と格
差拡大－大丈夫？ニッポンのセーフティネット』
2007年 日本評論社
小倉一哉著「働き過ぎ日本人の実像」 2008年
生産性新聞社連載
You Tubeウェブページ 「オランダのワークシェ
アリング」 2012年６月２日
http://www.youtube.com/watch?v=dJTlrTVe4DI

26. ご清聴ありがとうございま
した
安岡ゼミ一同