GISA学術研究発表Web大会

HTML5を用いた
交通事故報告作図システムの開発

根元裕樹
奥野 守

© PASCO CORPORATION 2012
1.はじめに
交通事故
• 自動車とともに発展してきた現代社会とは切り離せない現象
• 交通事故死者数は1990年代から減少傾向
20,000

1,000,000

18,000

900,000

16,000

800,000

14,000

( )
)

交
通
事
故
死
者
数人

12,000
10,000

600,000

8,000

500,000

6,000

400,000

4,000
2,000

300,000

0

200,000

)

→ 交通事故件数は、まだまだ多発している。
© PASCO CORPORATION 2012

1

交
通
事
故
件
数件

( )

車
両
保
有
台
数
万
台

(

(

自
動
車
走
行
距
離億
㎞

交通事故
死者数

700,000

車両保有
台数
自動車
走行距離
交通事故
件数
1.はじめに
交通事故の研究
• 都市計画学、土木工学、自動車工学、心理学、法学…
• GISを用いた研究は、多くはない。
『交通事故分析のためのGISの構築方法に関する研究』
(森地・浜岡 1994)
→ GPSなどによる交通事故データの精度向上が課題
『東広島市における交通事故の分析とGISを活用した事故情報
支援システムの構築』
(高井 2002)
→ データベースの更新と蓄積をきめ細かくすることが課題
交通事故データの精度が大きな課題
© PASCO CORPORATION 2012

2
1.はじめに
自動車事故報告書
• 運送事業者は、交通事故を起こした場合、
自動車事故報告書を30日以内に国土交通大臣に提出する
義務がある。
• 70以上の詳細な項目
• 現場の略図

※ともに関東運輸局2013 から引用

 事故状況を伝える詳細な記述が求められている。
© PASCO CORPORATION 2012

3
1.はじめに
自動車事故報告書
• 現場の略図
 事故状況を伝える詳細な記述が求められている。
→ 手書きで作図している事業者も少なくない。
→ 数時間を要する煩雑な作業

→ 汎用的なデジタル作図ツールが普及していない。
→ 個々の技量、アナログ→デジタル誤差
꞊ データ精度の不均質
これとは別形式で警察は報告書を作っている。
→ 運送事業者、国土交通省、警察関係省庁でデータが統一で
ないことがデータ精度の不均質のもう一つの要因
© PASCO CORPORATION 2012

4
1.はじめに
プラットフォーム戦国時代
• iOSやAndroidなどの興隆による様々なプラットフォームの出現
– 特にタブレットの普及は、現地調査に大いに貢献

• 興亡の激しさ
 ネイティブアプリを導入しても、すぐに使えなくなる可能性

→ 運送事業者の作図ツール導入の躊躇

マルチプラットフォーム対応の必要性

© PASCO CORPORATION 2012

5
1.はじめに
目的
HTML5 を用いることによって、マルチプラットフォームに対応した
交通事故報告作図システムのプロトタイプを開発した。

• 作図作業の簡略化
→ 業務の効率化
• 自動データベース化
• データ精度の向上と均質化
→ GISデータとしての価値が向上

© PASCO CORPORATION 2012

6
2.作図システムの開発
HTML5
• 現在、策定途中の次世代HTML
• マルチプラットフォーム対応が前提
• 動的な処理が多く追加
–
–
–
–

アニメーション
図形描画
センサ(GPSなど)との連携
オフライン処理

• マルチコアプロセッシングの追加
• レイアウト性の向上

© PASCO CORPORATION 2012

7
2.作図システムの開発
作図システムの開発
開発形式
• HTML5 + JavaScript + VBScript → ASP
 データベース
• SQL Server 2010
 GISエンジン
• GeoAccess3.0 (株式会社パスコ開発)
• SQL Serverなど商用利用で代表的なRDBと連携し、DB上の図形情報
を簡単に投影したり、空間検索ができる。

 地図データ
• 『PFM2500』及び『PFM25000』 (株式会社パスコ作成)
© PASCO CORPORATION 2012

8
2.作図システムの開発
画面構成
 報告書一覧画面
•

報告書が一覧表示される。

 作図画面
•
•

現場の略図を作成する。
地図を配置や文字入力、レ
イアウトの編集を行う。

 地図検索画面
•
•

地図を検索する。
地図の範囲を作図画面に
切り出す。

© PASCO CORPORATION 2012

9
2.作図システムの開発

© PASCO CORPORATION 2012

10
2.作図システムの開発

© PASCO CORPORATION 2012

11
2.作図システムの開発

© PASCO CORPORATION 2012

12
2.作図システムの開発

© PASCO CORPORATION 2012

13
2.作図システムの開発

© PASCO CORPORATION 2012

14
3.適用事例
現場の略図作成例
 想定
• 左側に小縮尺の地図を配置し、現場の位置を示す。
• 右下に大縮尺の地図を配置し、交通事故状況を示す。
• 右上に文章による説明を書く。
↑運送事業者の方の本システムへの要望の1つ

© PASCO CORPORATION 2012

15
3.適用事例

© PASCO CORPORATION 2012

16
3.適用事例
現場の略図作成例
 想定
• 左側に小縮尺の地図を配置し、現場の位置を示す。
• 右下に大縮尺の地図を配置し、交通事故状況を示す。
• 右上に文章による説明を書く。
↑運送事業者の方の本システムへの要望の1つ
 結果
• 作業時間:約15分
• 地図や車両を描く手間が省け、作図作業が簡略化
• 手書きの地図ではなく、配置の精度も向上
GISデータとしても使える。
© PASCO CORPORATION 2012

17
3.適用事例
各プラットフォームの違い
• マルチプラットフォーム対応の検証として、以下の端末とOS、ブ
ラウザの組み合わせで、確認を行った。

© PASCO CORPORATION 2012

18
3.適用事例
Windows7

© PASCO CORPORATION 2012

19
3.適用事例
iOS

© PASCO CORPORATION 2012

20
3.適用事例
Android

© PASCO CORPORATION 2012

21
3.適用事例
各プラットフォームの違い
• マルチプラットフォーム対応の検証として、以下の端末とOS、ブ
ラウザの組み合わせて、確認を行った。

• OS、ブラウザ間で多少のインターフェイスの違いがあった。
• 地図範囲の選択をドラッグアンドドロップではなく、クリックに変
更した。
操作感はほぼ同一
© PASCO CORPORATION 2012

22
3.適用事例
運送事業者におけるデモンストレーション
• 某大手バス事業者におけるデモンストレーション
• iPadを用いた作図システムは好評
 課題
• 通常の地図では表示できないところがある。
• 高速道路の高架下
• 立体交差
• トンネル内

• 通常の地図に載っていないものがある。
• 横断歩道
• 中央分離帯

• 電波圏外ではどのように用いるのか。
© PASCO CORPORATION 2012

23
4.結論
 成果
• HTML5 を用いることによって、マルチプラットフォーム対応の交
通事故報告作図システムのプロトタイプを開発した。
• 現場の略図の作図作業
 作業の簡略化
 精度の均質化
 自動データベース化

• マルチプラットフォームに対応
 Windows7、OS X、iOS、Androidのマルチプラットフォームに対応
 同様の操作感

© PASCO CORPORATION 2012

24
4.結論
 課題
• 専用の地図の選定、もしくは作成
以下のような条件を満たす地図を選定、もしくは作成が必要である。
• 高速道路の高架下
• 立体交差
• トンネル内

• 地図の欠点をシステムで補完する必要性
横断歩道や中央分離帯など、地図に含まれないものをシステムで補う必
要性がある。

• オフライン時の対応
アプリケーションキャッシュなど、オフライン時の対応が必要である。

© PASCO CORPORATION 2012

25
4.結論
 今後の展望
• 各運送事業者独自の交通事故対応
• 国土交通省への報告事項に加えて、各運送事業者独自の交通事故対
応のカスタマイズをする必要がある。

• 交通事故減少に向けて
• 本システムを用いたことにより、交通事故データの均質化が図れた。
• 今後の交通事故分析に活かすための項目選定を行うことにより、
交通事故減少に向けた分析により価値のあるデータを作成できる。
• ドライブレコーダーなど近年実装されている技術との連携により、さらに
よりデータの価値を上げることができるだろう。
• 運送事業者、国土交通省、警察関係省庁が共同して同一フォーマットの
デジタルデータを蓄積することにより、今後の交通事故減少に関する分
析・対応が期待できる。

© PASCO CORPORATION 2012

26
© PASCO CORPORATION 2012

- 27 -

Html5を用いた交通事故報告作図システムの開発 gisa学術研究発表web大会