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ソーシャルゲームの問題点
      と
  ユーザーの特性
 小山友介(芝浦工業大学)
ゲームという商品の特性
▶ 嗜好性が非常に強い商品
   ゼロ円でも要らないモノもある(ワゴンの肥やし)


→単純な価格競争にならない
   ブランドに対する忠誠心(ロイヤリティ)を持つ
       価格を上げても、かなりの消費者はついてくる
       経済学用語で言うところの市場支配力を持つ
   各ユーザーが「値頃(reasonable)」ラインを持つ
       値頃ラインより安ければ購入
1本のゲームからの利益を増やすに
▶   大きく2つの方法 は?
       新規ユーザーを増やす
       客単価を上げる
▶ 新規ユーザーを増やすのは非常に難しい
       新規タイトルはあまり売れない
       既存タイトルの続編はほとんどが縮小再生産
           減衰率をどこまで下げられるか、が勝負
       広告宣伝費はほとんど無い
▶ 客単価上昇しか方法がない
パッケージゲームでの客単価上昇法
      価格差別戦略
▶ 下の3戦略の組合せ
      DLC,限定版,廉価版
払える                払える                   払える
上限額                上限額                   上限額




      DLC

                        限定版
                                               初回版
        売上                    初回版                    廉価
                                                      版

 0           人数(需要) 0               人数(需要) 0              人数(需要)




※これ以外だと,店舗別特典を用意して複数買い誘発もありますが,特殊な例外とします
ソーシャルゲームの特性
▶ ゲームのパッケージではなく,サービスを販売す
  る
   売り切り型でない
   顧客を継続的に「もてなす」必要あり
       ○○キャンペーン,○○イベント...
   サービスの対価として,消費者が遊んでいる間は継続
    的に収入チャンス
▶ 最低課金単位が小さい:細やかに価格差別可能
   10000円払ってもいい人からは10000円
   100円だけ試したい人からは100円
ソーシャルゲームの価格差別戦略
▶ 最低課金単位が細かい
                   払える
→演出次第で,本人が         上限額
払ってもいい上限まで出
してもらうことが可能に


▶ 理論上,ソーシャルゲー
  ムでの可能な売上(右
  図)                     企業の
                         売上額
    三角形のすべての部分だ
     け払ってもらうことが可    0          人数(需
                                要)
     能
アイテム課金のビジネスモデルの特徴
▶ パッケージにない利点が多い
1. 基本料金無料:多数の潜在的な顧客を呼び込む
    (いわゆるフリーミアムビジネスモデル)
2. パッケージよりずっと細やかに価格差別を行え
   る
1.   100円しか払う気がない顧客からは100円
2.   5000円まで出せると考えている顧客からは5000円
3.   10万円までと考えている顧客からは10万円
▶ 重要なこと:ビジネスの重心が移動
    お金:ゲームエクスペリエンスの対価
    モノ(パッケージ)からサービスへ
価格差別戦略:不十分
▶ ソーシャルゲームのすさまじい高収益
   利益高・利益率ともに高い
       売上高利益率:50%?
   非常な高収益:別の理由があるはず
       価格差別戦略だけではそこまでいくのか?

▶ 補助線:頻発する高額支払
   子供~高校生が親のアカウントで遊ぶ→高額課金
   いい年した大人も高額課金
       数十万,百万以上

▶ 合理性を失わせてるのでは?
「演出」による上限額拡大
▶ ゲーム内の様々な作り込
                       払える
  み                    上限額

    課金をすることで気持ちよ            様々な作り込みで
     く/楽しくプレイできるデ            合理的な行動より
                              支払が増加
     ザイン
    CEDECでの開発者の発言
        月5000円:俺ツエー

        月30000円:無双

    定期的なイベント
                        0         人数(需
        1月は正月,2月はチョ               要)

         コ・・・
課金率




モバゲー全体




         0%       20%        40%         60%         80%    100%
         0円           1-300円       301-500円     501-1000円
         1001-2000円   2001-3000円   3001-5000円   5000円-
Prospect Theoryの知見とソシャゲ
▶                   (1)
    Prospect Theoryの知見で,ソーシャルゲームでの
    人間行動はある程度説明可能
       もっと言うなら,「ハマるゲームデザイン」として,
        ゲーム産業内に暗黙知化されたノウハウとして存在し
        ているのでは?


1. 人間は損得の計算を「損(得)の総額」ではな
   く、「基準となる点からの差額」で行う

→1回300円ずつ徴収することで基準点を毎回ずら
す.「300円出しただけ」という感覚→最終的に10
Prospect Theoryの知見とソシャゲ
2.                   (2)
         損得の評価:基準点から離れるにつれて・・・
        得:プラス評価の伸び幅が弱まる(逓減)
        損:マイナスの評価の伸び幅が強まる(逓増)


→1回あたりの支出額が高額になると忌避感が強ま
るので、安価(100円~300円程度)に押さえる
Prospect Theoryの知見とソシャゲ
3.               (3)
     確率が小さい現象に対して、人間はその発生確
     率を過剰に見積もりがちである。言い換える
     と、「ほぼ100%」の現象に対しては「100%で
     ない」ことに過剰に反応し「わずかだが可能性
     がある」現象に関しては「確率がゼロでない」
     ことに過剰に反応する

→ユーザーは実際の確率以上に「レアアイテムが当
たるかもしれない」と考えやすい

▶ これら3つの知見:“Prospect Theory”からの帰結
ソーシャルゲーム依存度判定(1)
1. いつも頭のなかでソーシャルゲームのことばか
   り考えている。
2. 興奮を求めてソーシャルゲームに使う金額が次
   第に増えている。
3. ソーシャルゲームをやめようとしてもやめられ
   ない。
4. ソーシャルゲームをやめているとイライラして
   落ちつかない。
5. いやな感情や問題から逃げようとしてソーシャ
   ルゲームをする。

            DSM-IVをソーシャルゲームに合うように改変
ソーシャルゲーム依存度判定(2)
6. (コンプ)ガチャで欲しいカードが出ないと、
   使ったお金をムダにしたくなくて、いつまでも
   (コンプ)ガチャをやり続ける。
7. ソーシャルゲームの問題を隠そうとして、家族
   やその他の人々に嘘をつく。
8. ソーシャルゲームの元手を得るために、詐欺、
   盗み、親のクレジットカード番号を盗み見す
   る、横領、着服などの不正行為をする。
9. ソーシャルゲームのために、人間関係や仕事、
   学業などがそこなわれている。
10.ソーシャルゲームでつくった借金を他人に肩代
   わりしてもらっている。
ユーザー特性調査
▶ データソース:ゲームを日常的にプレイしている
  ユーザー2060人
    10代,20代,30代,40代,50代の男女それぞれ200人
    データ選別用アンケートを3万人から以下のうち少なくと
     も1種類に関して「日常的に遊ぶ」と回答した人のみを
     ピックアップ
                        1次調査(スクリーニング調査)
        家庭用ゲーム            約3万サンプル

        PCのオンラインゲーム           「家庭用ゲーム・オンラインゲーム」 し は
                                                も く
                               「ソーシャルゲーム・モバイルゲーム」を
        ソーシャルゲーム              現在利用し ている人のみに限定


        (ソーシャル以外の)
                            2次調査(本調査)
                       10代から50代の男女各200サンプル
         ケータイゲーム
ユーザ間の交流
▶ ゲームを遊ぶ際の交流 ▶ ゲームの紹介・勧誘
     一人で遊ぶ人がほとんど                              家庭用の方が積極的
          0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%
                                               ソーシャルはあまり勧誘しない
                                                                     0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0%
                                   78.3%
  基本的に一人                           78.2%




                                                      両方利用経験あり
                                67.9%                             家庭用                             40.8%

                11.2%
周囲の友人・知人      6.1%                                               オンライン                   30.1%
                  17.1%
                                                                 ソーシャル                  27.9%
             0.7%
ネッ の友人・
  ト    知人       8.5%
                                                      ソー 家庭用
                                                         のみ
                 10.6%                                            家庭用                              44.1%

                13.5%
                                                 シャルのみ

       家族                                                        オンライン                          38.7%
                                                オンライン・



               9.7%
                  17.0%
                                                                 ソーシャル                           39.0%
  家庭用のみ     オンライン・ソーシャル           両方遊ぶ

                                                   遊んでいるゲームを紹介・勧誘するか
ゲームで重視する要素(クロス)
                               ソーシャル経験者
                  ル ショ ング 対戦

                               ソーシャル未経験
                                           ソーシャルの経験
                 緊張 コ ュ 比較・
のシン オ・ フィ キャラサウン 感・ ニケー ランキ




                               ソーシャル経験者
                                            有無で評価が
                               ソーシャル未経験
                                            変わる3項目
                      ン




                               ソーシャル経験者
                     ミ




                               ソーシャル未経験
                   ス




                               ソーシャル経験者
            ー ド リ




                               ソーシャル未経験
                               ソーシャル経験者
                               ソーシャル未経験
                               ソーシャル経験者
プルさ 界観 ク クタ




                               ソーシャル未経験                              重要という回答が
         ッ




                               ソーシャル経験者                             過半数を超える4項目
操作 シナリ グラ




                               ソーシャル未経験
                               ソーシャル経験者                             「操作のシンプルさ」
      世




                               ソーシャル未経験                             以外は家庭用によく見
                               ソーシャル経験者                               られる特徴
                               ソーシャル未経験
                                          0%        25%       50%      75%   100%
                                               不要   どちらでもない   重要
ゲームで重視する要素(因子分析)
                                               ▶ 前スライド各質問で因子分
1.000
             対戦                                 析
        比較・
          ランキング

             コ ュニケーショ
              ミ      ン
                                                   主因子法・バリマックス回転
 .500
                  緊張感・ ル
                     スリ                        ▶ 出来すぎぐらいキレイに2軸
                            サウンド               ▶ 縦軸:家庭用ゲーム的因子
 .000                         グラフィ ク
                                  ッ
                              キャラクター
         操作のシンプルさ
                           シナリ 世界観
                              オ・
                                                   サウンド,グラフィック,キャ
                                                    ラクター,シナリオ・世界観
-.500
     -.500        .000       .500      1.000   ▶ 横軸:ソシャゲ的因子
                                                   対戦,比較・ランキング,コ
                                                    ミュニケーション

                                               ▶ 面白さとして2つの因子は個
ゲームハード価格の主観的評価
             100%

             90%
                                                                                   ▶ 本体価格(定価)を提示
                                                                                     した上で各ハードに対し
             80%                                          WiiU
     た人の割合




             70%                                                  PSVITA

             60%

             50%                                       PlayStation3
                                                                                     高い(5)~安い(1)
   感じ




             40%
                                                                                     について5件法で質問
高いと




                                             Xbox360
             30%
                               ニンテンドー3DS
                                                                                   ▶ 3グループで4,5と回答
             20%

             10%


                                                                                     した比率を計算し,横軸
              0%
                    0   5000   10000   15000 20000      25000    30000     35000
                                          価格[円]

                家庭用のみ
                両方プレイ経験あり
                                            オンライン・ソーシャルのみ
                                            線形 (家庭用のみ)
                                                                                     をハード価格としてプ
                線形 (オンライン・ソーシャルのみ)          線形 (両方プレイ経験あり)
                                                                                     ロット
   オンライン・ソシャゲのみ:ハード価格に厳しい
                                                                                       家庭用のみ遊ぶ
   両方プレイ:ゲーム好き→ハード価格に寛容
                                                                                       オンラインorソシャゲの
   家庭用のみ:その中間                                                                           み
                                                                                       両方遊ぶ
ユーザー特性(おまけ)卒論データよ
▶ 中高生データ り  67 29 84         中学                                        今も遊んでいる

 (2012年12月実施)
                             高校         55     40          94          過去にやってい

    私立A学園                                                             た

                                                                       遊んでいない
                      パイ ト
                        ロッ 調査          20      18          34
     (中高一貫の男子校)
                                  0%     20%   40%   60%    80% 100%
    中学生180人,高校生200         ※パイロット調査:芝浦工大1,2年生(ほぼ
                            男子)
     人
▶ ゲームユーザーの傾向           中学         23                        69
    経験率5割,現役率3割                                                                ある
                                                                                ない
        中>高>大
                       高校        17                    85
    プレイ経験者中の課金率
     2割程度                   0%         20%     40%         60%   80%    100%

                                                      小山研の卒論調査より
参考:コンプガチャ
コンプガチャ規制とその対応
▶ 消費者庁:「絵合わせ」のみ規制
  「カード合わせ」に関する景品表示法
  (景品規制)の運用基準の公表につい
  て(2012年6月28日)
▶ 一般社団法人ソーシャルゲーム協会
  (JASGA)設立 2012年11月8日
    現在,自主規制議論中
    「何がコンプガチャか」のガイドライン
     は作成
    ガチャ自体を辞める気は無いらしい
コンプガチャの問題点
1. 販売しているのが「アイテムが手に入る”かもし
   れない”くじを引く権利」であること
   アイテムをそのまま販売しているのではない
2. (1と関連して)ユーザーが欲しいアイテムを手
   に入れるまでにかかる金額が不明
   「ガチャ1回300円、コンプガチャの最終商品の価格が
    10万円」だとしても、消費者に商品価格は明示されて
    いない
3. くじ1回あたりの支出額が少額で、かつ、くじ1
   回あたりにかかる時間が短い
   気がついたら高額課金,と言うことが起こりうる
スマートフォン普及後のソシャゲ
この1年で急激にスマホシフ
ト


1. ゲームが複雑に             KLab2011年度四半期決算短信より抜粋

    画面解像度が大幅上昇       100%
                      90%
                      80%
    端末性能が飛躍的に上昇      70%
                      60%

    UIがタッチパネルに       50%
                      40%

    Webベースで、ネイティブア   30%
                      20%

     プリとしての開発も        10%
                       0%
                              12月―2月   3月―5月     6月―8月     9月―11月
2. ガワネイティブがやりづら          スマホ・ネイティブアプリ          スマホ・Web経由   ガラケー

   い                         Klabの2011年12月~2012年11月の
                                 モバイルゲーム売上比率
ソシャゲの今後
▶ コンプガチャ騒動後:増収減益
      まだまだ高収益だが,限界も見えた

▶ 未だに「ガチャ」以外のビジネスモデルが無い
      パズル&ドラゴンズ(ガンホーゲームズ)ですら,収益源は廃人のガ
       チャ

▶ 消費者庁がガチャ規制まで踏み込むかが,今後の鍵
         売上高     営業利益    営業利益率
  単位:
    百万円
              騒動前      騒動後1      騒動後2      騒動前      騒動後1      騒動後2      騒動前      騒動後1      騒動後2
Klab            3660      3299      3546     1446      931       -212     39.
                                                                            5%      28.
                                                                                      2%      -6.
                                                                                                0%
C ave            651       661       518       82      -15        -46     12.
                                                                            6%      -2.
                                                                                      3%      -8.
                                                                                                9%
ド コム
  リ             1875      1901      2176      251       18        200     13.
                                                                            4%       0.
                                                                                      9%       9.
                                                                                                2%
アクセルマーク          471       562       475       57      -11         -6     12.
                                                                            1%      -2.
                                                                                      0%      -1.
                                                                                                3%
クルーズ            1781      2284      3196      278       477       460     15.
                                                                            6%      20.
                                                                                      9%      14.
                                                                                                4%
ボルテージ           2195      2218      2407      465      -107       181     21.
                                                                            2%      -4.
                                                                                      8%       7.
                                                                                                5%
エイチーム*           685      1224      1836      262       341       750     38.
                                                                            2%      27.
                                                                                      9%      40.
                                                                                                8%
合計             11318     12149     14154     2841      1634      1327     25.
                                                                            1%      13.
                                                                                      4%       9.
                                                                                                4%
ガンホーゲームズ**      1936      2730     12159      685      1251      6897     35.
                                                                            4%      45.
                                                                                      8%      56.
                                                                                                7%
合計(参考値含***)    13254     14879     40467     3526      2885      9551     26.
                                                                            6%      19.
                                                                                      4%      23.
                                                                                                6%
結語:ソーシャルの利点はどこか?
▶ 日本のゲーム産業が海外で不利な点がカバーさ
  れ,日本のゲーム産業の優れた点が生きている分
  野

1. 2Dのイラストに非常に高い付加価値がつく。
2. プレイヤーを熱中させる、きめ細やかな作り込
   みがとても重要である。
3. 据置機ほどの高度な技術/システム設計能力を
   必要としない。

▶ 早く業界を健全化させ,世界市場に出て行くべし

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進化経済学会2013春ポスターセッション

  • 1. ソーシャルゲームの問題点 と ユーザーの特性 小山友介(芝浦工業大学)
  • 2. ゲームという商品の特性 ▶ 嗜好性が非常に強い商品  ゼロ円でも要らないモノもある(ワゴンの肥やし) →単純な価格競争にならない  ブランドに対する忠誠心(ロイヤリティ)を持つ  価格を上げても、かなりの消費者はついてくる  経済学用語で言うところの市場支配力を持つ  各ユーザーが「値頃(reasonable)」ラインを持つ  値頃ラインより安ければ購入
  • 3. 1本のゲームからの利益を増やすに ▶ 大きく2つの方法 は?  新規ユーザーを増やす  客単価を上げる ▶ 新規ユーザーを増やすのは非常に難しい  新規タイトルはあまり売れない  既存タイトルの続編はほとんどが縮小再生産  減衰率をどこまで下げられるか、が勝負  広告宣伝費はほとんど無い ▶ 客単価上昇しか方法がない
  • 4. パッケージゲームでの客単価上昇法 価格差別戦略 ▶ 下の3戦略の組合せ  DLC,限定版,廉価版 払える 払える 払える 上限額 上限額 上限額 DLC 限定版 初回版 売上 初回版 廉価 版 0 人数(需要) 0 人数(需要) 0 人数(需要) ※これ以外だと,店舗別特典を用意して複数買い誘発もありますが,特殊な例外とします
  • 5. ソーシャルゲームの特性 ▶ ゲームのパッケージではなく,サービスを販売す る  売り切り型でない  顧客を継続的に「もてなす」必要あり  ○○キャンペーン,○○イベント...  サービスの対価として,消費者が遊んでいる間は継続 的に収入チャンス ▶ 最低課金単位が小さい:細やかに価格差別可能  10000円払ってもいい人からは10000円  100円だけ試したい人からは100円
  • 6. ソーシャルゲームの価格差別戦略 ▶ 最低課金単位が細かい 払える →演出次第で,本人が 上限額 払ってもいい上限まで出 してもらうことが可能に ▶ 理論上,ソーシャルゲー ムでの可能な売上(右 図) 企業の 売上額  三角形のすべての部分だ け払ってもらうことが可 0 人数(需 要) 能
  • 7. アイテム課金のビジネスモデルの特徴 ▶ パッケージにない利点が多い 1. 基本料金無料:多数の潜在的な顧客を呼び込む  (いわゆるフリーミアムビジネスモデル) 2. パッケージよりずっと細やかに価格差別を行え る 1. 100円しか払う気がない顧客からは100円 2. 5000円まで出せると考えている顧客からは5000円 3. 10万円までと考えている顧客からは10万円 ▶ 重要なこと:ビジネスの重心が移動  お金:ゲームエクスペリエンスの対価  モノ(パッケージ)からサービスへ
  • 8. 価格差別戦略:不十分 ▶ ソーシャルゲームのすさまじい高収益  利益高・利益率ともに高い  売上高利益率:50%?  非常な高収益:別の理由があるはず  価格差別戦略だけではそこまでいくのか? ▶ 補助線:頻発する高額支払  子供~高校生が親のアカウントで遊ぶ→高額課金  いい年した大人も高額課金  数十万,百万以上 ▶ 合理性を失わせてるのでは?
  • 9. 「演出」による上限額拡大 ▶ ゲーム内の様々な作り込 払える み 上限額  課金をすることで気持ちよ 様々な作り込みで く/楽しくプレイできるデ 合理的な行動より 支払が増加 ザイン  CEDECでの開発者の発言  月5000円:俺ツエー  月30000円:無双  定期的なイベント 0 人数(需  1月は正月,2月はチョ 要) コ・・・
  • 10. 課金率 モバゲー全体 0% 20% 40% 60% 80% 100% 0円 1-300円 301-500円 501-1000円 1001-2000円 2001-3000円 3001-5000円 5000円-
  • 11. Prospect Theoryの知見とソシャゲ ▶ (1) Prospect Theoryの知見で,ソーシャルゲームでの 人間行動はある程度説明可能  もっと言うなら,「ハマるゲームデザイン」として, ゲーム産業内に暗黙知化されたノウハウとして存在し ているのでは? 1. 人間は損得の計算を「損(得)の総額」ではな く、「基準となる点からの差額」で行う →1回300円ずつ徴収することで基準点を毎回ずら す.「300円出しただけ」という感覚→最終的に10
  • 12. Prospect Theoryの知見とソシャゲ 2. (2) 損得の評価:基準点から離れるにつれて・・・  得:プラス評価の伸び幅が弱まる(逓減)  損:マイナスの評価の伸び幅が強まる(逓増) →1回あたりの支出額が高額になると忌避感が強ま るので、安価(100円~300円程度)に押さえる
  • 13. Prospect Theoryの知見とソシャゲ 3. (3) 確率が小さい現象に対して、人間はその発生確 率を過剰に見積もりがちである。言い換える と、「ほぼ100%」の現象に対しては「100%で ない」ことに過剰に反応し「わずかだが可能性 がある」現象に関しては「確率がゼロでない」 ことに過剰に反応する →ユーザーは実際の確率以上に「レアアイテムが当 たるかもしれない」と考えやすい ▶ これら3つの知見:“Prospect Theory”からの帰結
  • 14. ソーシャルゲーム依存度判定(1) 1. いつも頭のなかでソーシャルゲームのことばか り考えている。 2. 興奮を求めてソーシャルゲームに使う金額が次 第に増えている。 3. ソーシャルゲームをやめようとしてもやめられ ない。 4. ソーシャルゲームをやめているとイライラして 落ちつかない。 5. いやな感情や問題から逃げようとしてソーシャ ルゲームをする。 DSM-IVをソーシャルゲームに合うように改変
  • 15. ソーシャルゲーム依存度判定(2) 6. (コンプ)ガチャで欲しいカードが出ないと、 使ったお金をムダにしたくなくて、いつまでも (コンプ)ガチャをやり続ける。 7. ソーシャルゲームの問題を隠そうとして、家族 やその他の人々に嘘をつく。 8. ソーシャルゲームの元手を得るために、詐欺、 盗み、親のクレジットカード番号を盗み見す る、横領、着服などの不正行為をする。 9. ソーシャルゲームのために、人間関係や仕事、 学業などがそこなわれている。 10.ソーシャルゲームでつくった借金を他人に肩代 わりしてもらっている。
  • 16. ユーザー特性調査 ▶ データソース:ゲームを日常的にプレイしている ユーザー2060人  10代,20代,30代,40代,50代の男女それぞれ200人  データ選別用アンケートを3万人から以下のうち少なくと も1種類に関して「日常的に遊ぶ」と回答した人のみを ピックアップ 1次調査(スクリーニング調査)  家庭用ゲーム 約3万サンプル  PCのオンラインゲーム 「家庭用ゲーム・オンラインゲーム」 し は も く 「ソーシャルゲーム・モバイルゲーム」を  ソーシャルゲーム 現在利用し ている人のみに限定  (ソーシャル以外の) 2次調査(本調査) 10代から50代の男女各200サンプル ケータイゲーム
  • 17. ユーザ間の交流 ▶ ゲームを遊ぶ際の交流 ▶ ゲームの紹介・勧誘  一人で遊ぶ人がほとんど  家庭用の方が積極的 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%  ソーシャルはあまり勧誘しない 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 78.3% 基本的に一人 78.2% 両方利用経験あり 67.9% 家庭用 40.8% 11.2% 周囲の友人・知人 6.1% オンライン 30.1% 17.1% ソーシャル 27.9% 0.7% ネッ の友人・ ト 知人 8.5% ソー 家庭用 のみ 10.6% 家庭用 44.1% 13.5% シャルのみ 家族 オンライン 38.7% オンライン・ 9.7% 17.0% ソーシャル 39.0% 家庭用のみ オンライン・ソーシャル 両方遊ぶ 遊んでいるゲームを紹介・勧誘するか
  • 18. ゲームで重視する要素(クロス) ソーシャル経験者 ル ショ ング 対戦 ソーシャル未経験 ソーシャルの経験 緊張 コ ュ 比較・ のシン オ・ フィ キャラサウン 感・ ニケー ランキ ソーシャル経験者 有無で評価が ソーシャル未経験 変わる3項目 ン ソーシャル経験者 ミ ソーシャル未経験 ス ソーシャル経験者 ー ド リ ソーシャル未経験 ソーシャル経験者 ソーシャル未経験 ソーシャル経験者 プルさ 界観 ク クタ ソーシャル未経験 重要という回答が ッ ソーシャル経験者 過半数を超える4項目 操作 シナリ グラ ソーシャル未経験 ソーシャル経験者 「操作のシンプルさ」 世 ソーシャル未経験 以外は家庭用によく見 ソーシャル経験者 られる特徴 ソーシャル未経験 0% 25% 50% 75% 100% 不要 どちらでもない 重要
  • 19. ゲームで重視する要素(因子分析) ▶ 前スライド各質問で因子分 1.000 対戦 析 比較・ ランキング コ ュニケーショ ミ ン  主因子法・バリマックス回転 .500 緊張感・ ル スリ ▶ 出来すぎぐらいキレイに2軸 サウンド ▶ 縦軸:家庭用ゲーム的因子 .000 グラフィ ク ッ キャラクター 操作のシンプルさ シナリ 世界観 オ・  サウンド,グラフィック,キャ ラクター,シナリオ・世界観 -.500 -.500 .000 .500 1.000 ▶ 横軸:ソシャゲ的因子  対戦,比較・ランキング,コ ミュニケーション ▶ 面白さとして2つの因子は個
  • 20. ゲームハード価格の主観的評価 100% 90% ▶ 本体価格(定価)を提示 した上で各ハードに対し 80% WiiU た人の割合 70% PSVITA 60% 50% PlayStation3 高い(5)~安い(1) 感じ 40% について5件法で質問 高いと Xbox360 30% ニンテンドー3DS ▶ 3グループで4,5と回答 20% 10% した比率を計算し,横軸 0% 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 価格[円] 家庭用のみ 両方プレイ経験あり オンライン・ソーシャルのみ 線形 (家庭用のみ) をハード価格としてプ 線形 (オンライン・ソーシャルのみ) 線形 (両方プレイ経験あり) ロット オンライン・ソシャゲのみ:ハード価格に厳しい  家庭用のみ遊ぶ 両方プレイ:ゲーム好き→ハード価格に寛容  オンラインorソシャゲの 家庭用のみ:その中間 み  両方遊ぶ
  • 21. ユーザー特性(おまけ)卒論データよ ▶ 中高生データ り 67 29 84 中学 今も遊んでいる (2012年12月実施) 高校 55 40 94 過去にやってい  私立A学園 た 遊んでいない パイ ト ロッ 調査 20 18 34 (中高一貫の男子校) 0% 20% 40% 60% 80% 100%  中学生180人,高校生200 ※パイロット調査:芝浦工大1,2年生(ほぼ 男子) 人 ▶ ゲームユーザーの傾向 中学 23 69  経験率5割,現役率3割 ある ない  中>高>大 高校 17 85  プレイ経験者中の課金率 2割程度 0% 20% 40% 60% 80% 100% 小山研の卒論調査より
  • 23. コンプガチャ規制とその対応 ▶ 消費者庁:「絵合わせ」のみ規制 「カード合わせ」に関する景品表示法 (景品規制)の運用基準の公表につい て(2012年6月28日) ▶ 一般社団法人ソーシャルゲーム協会 (JASGA)設立 2012年11月8日  現在,自主規制議論中  「何がコンプガチャか」のガイドライン は作成  ガチャ自体を辞める気は無いらしい
  • 24. コンプガチャの問題点 1. 販売しているのが「アイテムが手に入る”かもし れない”くじを引く権利」であること  アイテムをそのまま販売しているのではない 2. (1と関連して)ユーザーが欲しいアイテムを手 に入れるまでにかかる金額が不明  「ガチャ1回300円、コンプガチャの最終商品の価格が 10万円」だとしても、消費者に商品価格は明示されて いない 3. くじ1回あたりの支出額が少額で、かつ、くじ1 回あたりにかかる時間が短い  気がついたら高額課金,と言うことが起こりうる
  • 25. スマートフォン普及後のソシャゲ この1年で急激にスマホシフ ト 1. ゲームが複雑に KLab2011年度四半期決算短信より抜粋  画面解像度が大幅上昇 100% 90% 80%  端末性能が飛躍的に上昇 70% 60%  UIがタッチパネルに 50% 40%  Webベースで、ネイティブア 30% 20% プリとしての開発も 10% 0% 12月―2月 3月―5月 6月―8月 9月―11月 2. ガワネイティブがやりづら スマホ・ネイティブアプリ スマホ・Web経由 ガラケー い Klabの2011年12月~2012年11月の モバイルゲーム売上比率
  • 26. ソシャゲの今後 ▶ コンプガチャ騒動後:増収減益  まだまだ高収益だが,限界も見えた ▶ 未だに「ガチャ」以外のビジネスモデルが無い  パズル&ドラゴンズ(ガンホーゲームズ)ですら,収益源は廃人のガ チャ ▶ 消費者庁がガチャ規制まで踏み込むかが,今後の鍵 売上高 営業利益 営業利益率 単位: 百万円 騒動前 騒動後1 騒動後2 騒動前 騒動後1 騒動後2 騒動前 騒動後1 騒動後2 Klab 3660 3299 3546 1446 931 -212 39. 5% 28. 2% -6. 0% C ave 651 661 518 82 -15 -46 12. 6% -2. 3% -8. 9% ド コム リ 1875 1901 2176 251 18 200 13. 4% 0. 9% 9. 2% アクセルマーク 471 562 475 57 -11 -6 12. 1% -2. 0% -1. 3% クルーズ 1781 2284 3196 278 477 460 15. 6% 20. 9% 14. 4% ボルテージ 2195 2218 2407 465 -107 181 21. 2% -4. 8% 7. 5% エイチーム* 685 1224 1836 262 341 750 38. 2% 27. 9% 40. 8% 合計 11318 12149 14154 2841 1634 1327 25. 1% 13. 4% 9. 4% ガンホーゲームズ** 1936 2730 12159 685 1251 6897 35. 4% 45. 8% 56. 7% 合計(参考値含***) 13254 14879 40467 3526 2885 9551 26. 6% 19. 4% 23. 6%
  • 27. 結語:ソーシャルの利点はどこか? ▶ 日本のゲーム産業が海外で不利な点がカバーさ れ,日本のゲーム産業の優れた点が生きている分 野 1. 2Dのイラストに非常に高い付加価値がつく。 2. プレイヤーを熱中させる、きめ細やかな作り込 みがとても重要である。 3. 据置機ほどの高度な技術/システム設計能力を 必要としない。 ▶ 早く業界を健全化させ,世界市場に出て行くべし